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同じ時期(夫が亡くなった直後)のエッセーから。「ふいに涙が出てきて、やっぱり悲しいだけだなあ、と思う。丸まってお湯につかり、ケッと泣いた…お悔やみの電話をかけてくれた親切な誰彼のことを、その人が男であれば(丈夫だなあ。なぜ死なないのだろう)と、女であれば、(あの人のつれあいだって、いまに死ぬぞ)と、湯船の中で思ったりなどもする」【お湯】。形容詞でなく、『ケッ』から続く言葉に、人はこうやって生きていくもんだとつくづく思う。
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この本でも、人間の観察と食べ物の感覚がやっぱり面白い。辛辣だが一線を越えない彼女流の「反省」と「述懐」。無人島に一冊だけ持って行く本、と言われたら内田百閒か武田百合子と前に書いた。物語や説明文選ばずエッセーなのは、日常感覚の優れた言語化に触れさせていただき、自分という人間の捉え直し、その快さなんだろうなあ。感覚の触媒みたいな言葉に出会い、幼稚で浅はかな自分を笑う醍醐味。
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波風立男氏は、還暦少し前から意識してコラムを読むようになった。昔の朝日「天声人語」なんかは確かに名文揃いだ。エッセーの優劣は文末でわかる、が波風氏の持論だ。この「あの頃」もやっぱりそうなのだ。今回、一人娘(写真家 武田花)が波風氏と同年齢だったことを再確認した。それにしても、武田泰淳は64歳で逝ったのか。一冊も読んでないが読む予定もない。意外にそんな読者が多かったりして。
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