電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ブルックナーの交響曲第3番を聞く

2006年07月08日 20時15分44秒 | -オーケストラ
ここ一週間ほど、通勤の音楽に聞いていたのが、ブルックナーの交響曲第3番です。ヘンな言い方ですが、エンドレスに再生していると、第4楽章の終わりから第1楽章の頭に戻るのがなんだか自然に(?)聞こえます。その意味では、ロングドライブでも大丈夫かもしれません。

第1楽章、Mehr langsam, Misterioso (20'05")。適度にゆるやかに、神秘的に、と訳せばよいのでしょうか、解説では「適当に運動的に」とされていますが、これはなんだかヘンな訳です。弦のリズミカルだが不安気な動きの中で金管が加わって行き、力強い主題が奏されます。弦が優美な旋律を歌う中に断定的に主張する金管の響き。大きな楽章です。
第2楽章、Adagio-bewegt, quasi Andante (15'31")。アダージョ--不安気に、ほとんど歩くように。冒頭の優しい主題が印象的な緩徐楽章。
第3楽章、Ziemlich Schnell (7'28")。かなり急速に、と訳すのでしょうか。ブルックナーにしては短い、スケルツォ楽章です。セルの演奏は推進力に富むもので、リズムの正確さと精緻さは特筆に値します。
第4楽章、Allegro (12'21")。全曲の大きなクライマックス。クリーヴランド管の金管セクションが全開で活躍します。第1楽章の主題が再び姿を見せるため、エンドレス演奏では違和感がないのかもしれません。

私がふだん聞いているのは、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏した、1966年1月にクリーヴランドのセヴェランス・ホールでCBSにより録音されたCD(32DC-487)です。ノヴァーク版(第3稿)によるものだそうで、ポール・マイヤースのプロデュースによるこの録音は、セルがくつろいで自らの音楽観などを語った、ポール・マイヤースとの対話との縁が深いもののようです。TONさんのサイトでは次のように紹介(*)(*2)されています。

(*): George Szell Chronology -- Szell のブルックナー(1)
(*2):George Szell Chronology -- Szell のブルックナー(2)

私には楽譜の版の専門的な違いなどはわかりませんが、セルがプロコフィエフは積極的に演奏するのに、ショスタコーヴィチは取り上げようとしなかったように思えることも含めて、音楽的な理由だけでなく、ナチやスターリンなどをひどく嫌うという理由もはたらいていた、とする説は理解できるように思います。

いやはや、30数年ぶりに木村・相良の独和辞典を取りだして引きました(^_^;)
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