電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

シューマン「ピアノ五重奏曲」を聞く

2006年07月29日 18時00分20秒 | -室内楽
いささかくたびれた週末、午前中の気温は肌寒いくらいでしたが、日中は湿度が高く気温も上がり、梅雨の中休みのようなお天気です。今日はローベルト・シューマンの命日だそうで、自宅でゆっくりとシューマンのピアノ五重奏曲を聞きました。演奏は、ジャン・ユボーのピアノとヴィア・ノヴァ四重奏団で、1978年から79年にかけて、パリのノートルダム・リバン教会でのエラート録音(WPCS-1137/8)です。

第1楽章、アレグロ・ブリランテ。ピアノが活躍しますが、その中でもはじめに出てくるチェロの旋律がとってもすてきです。
第2楽章、イン・モード・ドゥナ・マルチア、ウン・ポーコ・ラルガメンテ。始まりは暗く重苦しい嘆きの音楽。やがて優しい曲調にかわりますが、それも哀しみの音楽のようです。再び重苦しい嘆き節のあと、激しさを増します。
第3楽章、スケルツォ、モルト・ヴィヴァーチェ。一転してピアノと弦楽によるテンポの速いスケルツォ。
第4楽章、アレグロ・マ・ノン・トロッポ。前半の楽章と同じ旋律が何度も登場しますが、ずっと活力のあるものになっています。曲が終わった後に、充実した音楽を聞いたあとの満足感を感じます。

これまで一番なじんできたヴィア・ノヴァ四重奏団の演奏は、全体としてやや速めのテンポで緊張感や焦燥感を出しているように感じます。しかし第2楽章はゆったりと葬送行進曲ふうであり、スメタナ四重奏団の演奏との一番の違いになっています。

スメタナ四重奏団の演奏は、あまり大きくテンポを変えないで、落ち着いたペースで進みます。にもかかわらず、音楽の姿がくっきりと浮かびあがるのは不思議です。シューマンの若々しさは後退しますが、むしろ作曲当時の落ち着きが感じられるようです。ピアニストのヤン・パネンカは、この頃腕の故障でしばらく演奏活動を停止していたはず。それが、ようやく復帰した最初の録音だったのではないかと思います。1986年秋、プラハの「芸術家の家」ドヴォルザーク・ホールでのデンオンによるデジタル録音(COCO-70741)です。

ローベルト・シューマンが32歳の1842年、三曲の弦楽四重奏曲とピアノ四重奏曲などを産んだ、いわゆる「室内楽の年」に完成されました。この曲は、オーケストラのような大音量で聞くには不向きで、どちらかといえば抑え目の音量で、ピアノと弦楽カルテットの響きのバランスを楽しむものでしょう。スピーカーとの距離も、あまり遠過ぎず、ほどよく近付いた位置の方がよいようです。

参考までに、演奏データを示します。
■ジャン・ユボー(Pf)、ヴィア・ノヴァ四重奏団
I=8'42" II=9'03" III=4'26" IV=6'43" total=28'54"
■ヤン・パネンカ(Pf)、スメタナ四重奏団
I=8'54" II=8'39" III=4'49" IV=7'09" total=29'31"

写真は、自分で焼いた陶器のペン立てのつもりだったのですが、いつのまにかCDスタンドと一輪ざしになってしまいました。しかも、間違ってピアノ四重奏曲のCDになっている(^_^;)>poripori
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