日曜日、午前中はまずまずのお天気でしたので、寺の役員会の資料を準備してから桃の摘果作業を実施、午後の山響定期演奏会に備えて早目に切り上げ、昼食を済ませました。ところが、そこで痛恨のミス! いつもだと昼食後は鼻詰まりの治療にカルボシステイン錠だけを服用するのですが、たまたま1錠だけ残っていたフェキソフェナジン錠も一緒に飲んでしまったのです。朝と晩に1錠ずつ服用することになっていますので、朝と昼では通常の血中濃度よりもかなり高くなったためでしょうか、運転中にも強烈な眠気に襲われました。ああそうだ、はじめはアレルギー性鼻炎の治療にジルテック錠を用いていたのですが、通勤時の運転が眠気で危険を感じてアレグラへ、後にフェキソフェナジンに変更してもらったのでした。なんとか山形テルサにたどり着き、座席に座ってあとは眠っても大丈夫な体制で開演を待ちました。
プレトークは西濱事務局長と阪哲朗さん。定期会員と協賛企業の増加が報告され、山響の経営危機の頃に定期演奏会を1回2公演から1回1公演に減らしたことがあり、それをもとに戻す最初の回にワルター・アウアーさんが出演(*1)してチケットが完売したのだそうな。それは記憶にあります。もう一つ、阪哲朗+山響のベートーヴェン交響曲シリーズDVDは、今回の第3番の収録であとは第9番を残すのみとなりましたが、やっぱり選集と全集では意味合いが違いますので、来年の夏頃に県民ホールで第9番をやりたいとのことでした。眠気にぼーっとしていますが、それは楽しみです。
さて、第1曲はモーツァルト「アンダンテ」ハ長調、K.315 です。楽器編成はぐっとこじんまりしていて、指揮台の左脇にソリスト(フルート)が立ち、それを取り囲むように、左から第1ヴァイオリン(6)、チェロ(3)、ヴィオラ(4)、第2ヴァイオリン(5)、コントラバス(2)はチェロの左後方に位置します。正面後方にはオーボエ(2)、ホルン(2)という配置です。山響の優しく穏やかな弦楽合奏に管がそっと合いの手を入れる中でフルートの旋律が奏でられます。フルート協奏曲の緩徐楽章として書かれたらしいのですが、まるでオペラのプリマドンナのアリアのようで、これはもうフルート奏者の見せ場です。最後のカデンツァの見事さ!
2曲めはライネッケのフルート協奏曲です。ライネッケという人はロマン派の作曲家で、ブルッフやグリーグの先生でもあるという程度の認識で、作品のCDは持っていませんし、実演はもちろん、TVやFM等の放送でもたぶん接したことはないと思います。その意味では、予習のために「Reinecke flute concerto」で検索してなんどか聴いた YouTube 動画が初めての体験でしょう。
楽器編成は、独奏フルートに加え、Fl(2)-Ob(2)-Cl(2)-Fg(2)-Hrn(4)-Tp(2)、Timp,Triangle に 8-7-5-5-3 の対向配置の弦楽5部というものです。先のモーツァルトと比べるとコントラバスが3本になった影響か、オーケストラのズシンと来る響きが印象的です。第1楽章:アレグロ・モデラート。第2楽章:レント・エ・メスト。第3楽章:フィナーレ、モデラート。ティンパニがバロックティンパニでないことに気づき、よくよく解説を見たら、この作品は作曲者の最晩年にあたる1908年、84歳のときの作品なのだそうで、意外なほどロマン派しているなあと驚きました。ステキないい曲です。CDがほしいなあと思うほどに、素人音楽愛好家にとっては思いがけず未知の分野が拓けたような感覚があります(^o^)/
ブラヴォー!の掛け声が飛び、聴衆の拍手に応えてアンコールはドビュッシーの「シランクス」でした。無伴奏フルートの神秘的な響きに魅了されました。
しかし、いつも感じますが、このアンコールの曲名を知らせてくれる手書きの文字、とても読みやすくおしゃれな書体で、いいなあと感じます。こういうところも、山響の関係者の皆さんの努力の現れなのかも。
後半はベートーヴェンの交響曲第3番変ホ長調、泣く子も黙る名曲中の名曲「エロイカ」です。楽器編成は、Fl(2)-Ob(2)-Cl(2)-Fg(2)-Hrn(3)-Tp(2) に Timp. そして 8-7-5-5-3 の弦楽5部です。作曲当時の楽器の状況に合わせて、Hrn と Tp はもちろんナチュラルタイプで Timp もバロック・ティンパニです。こういうふうに、古楽器だけでなく古楽奏法も取り入れて作曲当時に近づけた演奏をするのが山響の特色あるスタイルです。そしてその効果は、冒頭のティンパニの強打でも明らかです。快適なテンポで、柔らかさのある若々しいベートーヴェン。一時代前の、重々しく遅めのテンポで英雄の巨大さを表そうとしたものとは一線を画する、歌心ゆたかな現代のベートーヴェンと言うべきでしょう。ナチュラルブラスの響きで聴く「エロイカ」は、突出しない good balance で、木管や弦楽の魅力も引き立たせていました。指揮の阪哲朗さん、コンサートマスターの犬伏亜里さん、山響の皆さん、素晴らしい演奏をありがとうございました。
◯
ここからは余談ですが、速めのテンポで躍動する第4楽章で、例の演歌みたいな旋律が歌い始めるところ、レガートっぽく演奏されるといかにも演歌みたいで個人的に違和感がある箇所なのですが、あそこも力強く区切るように演奏され、演歌っぽくなくて良かった(^o^)/
間違えて飲んでしまった抗アレルギー薬の眠気効果にも負けずに頑張った第309回定期、今回もほんとに良い演奏会でした。良かった〜(^o^)/
写真は、休憩時に購入したアウアーさんのCD。これから農作業の合間に楽しみに聴きましょう。
そうそう、来年夏の第九で完結するという阪哲朗+山響のベートーヴェン交響曲全集DVD、ぜひ欲しいです。今から楽しみです。
(*1): 山形交響楽団第252回定期演奏会で西村朗、モーツァルト、ベートーヴェンを聴く(1), (2)〜「電網郊外散歩道」2016年5月
おまけ。山形テルサの入り口付近です。若葉の季節が目に鮮やかで、ひそかにヒッチコック監督しています(^o^)/
プレトークは西濱事務局長と阪哲朗さん。定期会員と協賛企業の増加が報告され、山響の経営危機の頃に定期演奏会を1回2公演から1回1公演に減らしたことがあり、それをもとに戻す最初の回にワルター・アウアーさんが出演(*1)してチケットが完売したのだそうな。それは記憶にあります。もう一つ、阪哲朗+山響のベートーヴェン交響曲シリーズDVDは、今回の第3番の収録であとは第9番を残すのみとなりましたが、やっぱり選集と全集では意味合いが違いますので、来年の夏頃に県民ホールで第9番をやりたいとのことでした。眠気にぼーっとしていますが、それは楽しみです。
さて、第1曲はモーツァルト「アンダンテ」ハ長調、K.315 です。楽器編成はぐっとこじんまりしていて、指揮台の左脇にソリスト(フルート)が立ち、それを取り囲むように、左から第1ヴァイオリン(6)、チェロ(3)、ヴィオラ(4)、第2ヴァイオリン(5)、コントラバス(2)はチェロの左後方に位置します。正面後方にはオーボエ(2)、ホルン(2)という配置です。山響の優しく穏やかな弦楽合奏に管がそっと合いの手を入れる中でフルートの旋律が奏でられます。フルート協奏曲の緩徐楽章として書かれたらしいのですが、まるでオペラのプリマドンナのアリアのようで、これはもうフルート奏者の見せ場です。最後のカデンツァの見事さ!
2曲めはライネッケのフルート協奏曲です。ライネッケという人はロマン派の作曲家で、ブルッフやグリーグの先生でもあるという程度の認識で、作品のCDは持っていませんし、実演はもちろん、TVやFM等の放送でもたぶん接したことはないと思います。その意味では、予習のために「Reinecke flute concerto」で検索してなんどか聴いた YouTube 動画が初めての体験でしょう。
楽器編成は、独奏フルートに加え、Fl(2)-Ob(2)-Cl(2)-Fg(2)-Hrn(4)-Tp(2)、Timp,Triangle に 8-7-5-5-3 の対向配置の弦楽5部というものです。先のモーツァルトと比べるとコントラバスが3本になった影響か、オーケストラのズシンと来る響きが印象的です。第1楽章:アレグロ・モデラート。第2楽章:レント・エ・メスト。第3楽章:フィナーレ、モデラート。ティンパニがバロックティンパニでないことに気づき、よくよく解説を見たら、この作品は作曲者の最晩年にあたる1908年、84歳のときの作品なのだそうで、意外なほどロマン派しているなあと驚きました。ステキないい曲です。CDがほしいなあと思うほどに、素人音楽愛好家にとっては思いがけず未知の分野が拓けたような感覚があります(^o^)/
ブラヴォー!の掛け声が飛び、聴衆の拍手に応えてアンコールはドビュッシーの「シランクス」でした。無伴奏フルートの神秘的な響きに魅了されました。
しかし、いつも感じますが、このアンコールの曲名を知らせてくれる手書きの文字、とても読みやすくおしゃれな書体で、いいなあと感じます。こういうところも、山響の関係者の皆さんの努力の現れなのかも。
後半はベートーヴェンの交響曲第3番変ホ長調、泣く子も黙る名曲中の名曲「エロイカ」です。楽器編成は、Fl(2)-Ob(2)-Cl(2)-Fg(2)-Hrn(3)-Tp(2) に Timp. そして 8-7-5-5-3 の弦楽5部です。作曲当時の楽器の状況に合わせて、Hrn と Tp はもちろんナチュラルタイプで Timp もバロック・ティンパニです。こういうふうに、古楽器だけでなく古楽奏法も取り入れて作曲当時に近づけた演奏をするのが山響の特色あるスタイルです。そしてその効果は、冒頭のティンパニの強打でも明らかです。快適なテンポで、柔らかさのある若々しいベートーヴェン。一時代前の、重々しく遅めのテンポで英雄の巨大さを表そうとしたものとは一線を画する、歌心ゆたかな現代のベートーヴェンと言うべきでしょう。ナチュラルブラスの響きで聴く「エロイカ」は、突出しない good balance で、木管や弦楽の魅力も引き立たせていました。指揮の阪哲朗さん、コンサートマスターの犬伏亜里さん、山響の皆さん、素晴らしい演奏をありがとうございました。
◯
ここからは余談ですが、速めのテンポで躍動する第4楽章で、例の演歌みたいな旋律が歌い始めるところ、レガートっぽく演奏されるといかにも演歌みたいで個人的に違和感がある箇所なのですが、あそこも力強く区切るように演奏され、演歌っぽくなくて良かった(^o^)/
間違えて飲んでしまった抗アレルギー薬の眠気効果にも負けずに頑張った第309回定期、今回もほんとに良い演奏会でした。良かった〜(^o^)/
写真は、休憩時に購入したアウアーさんのCD。これから農作業の合間に楽しみに聴きましょう。
そうそう、来年夏の第九で完結するという阪哲朗+山響のベートーヴェン交響曲全集DVD、ぜひ欲しいです。今から楽しみです。
(*1): 山形交響楽団第252回定期演奏会で西村朗、モーツァルト、ベートーヴェンを聴く(1), (2)〜「電網郊外散歩道」2016年5月
おまけ。山形テルサの入り口付近です。若葉の季節が目に鮮やかで、ひそかにヒッチコック監督しています(^o^)/
また山響を聴きに行きたいです。
第九の合唱団はどうするんですかね?🤔