雪も一段落した日曜の午後、山響こと山形交響楽団の第298回定期演奏会に出かけました。今回のプログラムは、
というものです。当初はヴァイオリン独奏者にステラ・チェンさんを迎える予定でしたが、新型コロナウィルス禍による入国制限のために出演者変更となり、吉田南さんとの共演となりました。コロナ禍の現在、様々な予定が変更を余儀なくされるのは残念ですが、逆に考えれば国内の若い才能に接する機会となるわけで、これはむしろ貴重な機会、チャンスかもしれません。
さて、指揮者の下野竜也さんは、今から19年前に山響に初登場とのことでしたが、調べてみると、2009年4月の第196回定期演奏会、2012年3月の第219回定期演奏会、いずれも仕事のため都合が悪く、欠席をしていますので、実演に接するのは今回がたぶん初めて(*1)でしょう。西濱事務局長と下野竜也さんのプレトークでは、山響の印象として「きれいな音」、「風通しの良い」サウンドなどを「メンバーも少しずつ交代しているが変わらない美質」として挙げていました。なるほど!です。
ステージ上の楽器配置は、左から第1ヴァイオリン(8)、第2ヴァイオリン(7)、チェロ(5)、ヴィオラ(5)、その後方にコントラバス(3)の 8-7-5-5-3 の弦楽5部に、中央後方にフルート(2)とオーボエ(2)、その後方にクラリネット(2)とファゴット(2)、その右手にホルン(2)、正面最奥部にトランペット(2)、左後方にパーカッション(シンバル、スネアドラム、トライアングル、ボンゴ、ハープ) というものです。
第1曲めは外山雄三「管弦楽のためのディヴェルティメント」です。1961年の作品みたい。第1楽章:アレグロ、いきなり「ドンパン節」の迫力あるメロディから始まり、思わず「うふふ」です(^o^)/ 第2楽章:アンダンテ、このメロディは「稗つき節」かな。第3楽章:「八木節」でしょうか。明るく楽しい音楽に、思わず嬉しくなります。
2曲めは、メンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲」。ステージ上は独奏者のスペースを開けるためにヴァイオリン・セクションが少しだけ後ろ(左)に下がります。楽器編成は 8-7-5-5-3 の弦楽5部に Fl(2)-Ob(2)-Cl(2)-Fg(2)-Hrn(2)-Tp(2) と Timp. というもの。Tp はバロック・トランペットを持っているようですが、Hrn はちょいと確認できませんでした。独奏者の吉田南さんが少し緑色がかった水色のドレスで登場、プロフィールによればまだ20代の前半で国内外の各種コンクールに入賞歴あり、今回使用するのはストラディヴァリウス1716年製ヴァイオリン「ブース」だそうです。
第1楽章:アレグロ・モルト・アパッショナート、第2楽章:アンダンテ、第3楽章:アレグレット・マ・ノン・トロッポ〜アレグロ・ヴィヴァーチェ。ほんとに堂々としていてよく歌うメンデルスゾーンで、若い才能が当地の音楽ファンにあたたかく好意的に受け入れられていくのがよくわかりました。良かった〜!
15分の休憩の後、後半はドヴォルザークの「交響曲第6番」です。指揮者の下野竜也さんが演奏会プログラムに「ドヴォルザーク交響曲第6番を巡って」というエッセイを書いていましたが、出身地鹿児島のジュニアオーケストラでこの曲と出会い、レコード屋さんでレコードを買って毎日何度も聴いていたこと、ドヴォルザークのように若い作曲家がブラームスなど先輩たちの作品に影響を受けながら成長する過程を見ることができるのが楽しみ、とのことでした。
楽器編成は、Fl(2,うち1はピッコロ持ち替え)-Ob(2)-Cl(2)-Fg(2)-Hrn(4)-Tp(2)-Tb(3)-Tuba、ティンパニ、弦楽5部は 8-7-5-5-3 となっています。第1楽章:アレグロ・ノン・タント、下野さんのドヴォルザークはあまり短く切らずによく歌うのが特徴みたい。第2楽章:アダージョ、第3楽章:スケルツォ(フリアント):プレスト〜トリオ:ポコ・メノ・モッソ、おお、かなり速いテンポです。第4楽章:フィナーレ、アレグロ・コン・スピリト〜プレスト。活気ある演奏、いきいきとした表現で、心から共感し喜びを感じていることが伝わるような演奏でした。
ドヴォルザークの交響曲第6番は、1980年代後半、私がまだ30代前半の頃に、通勤の音楽としてよく聴いていた音楽(*2)でした。この曲と、同じドヴォルザークの「伝説曲」をLPから90分カセットテープに収録し、空き時間にヴィエラ・ソウクポヴァーのアルトで「わが母の教え給いし歌」を追加したものを、何度も繰り返して聴いていたものでした。片道40km近い通勤距離で、朝6時40分に家を出て夜7時半頃帰宅していた時代。祖母が存命で父の原爆症も小康状態、息子が生まれて8人家族となっていた頃。張り合いのあった時代にいちばんよく聴いていた幸福な音楽の記憶が鮮明です。
(*1): CDでは 下野竜也指揮チェコフィルでR.シュトラウス「英雄の生涯」を聴く〜「電網郊外散歩道」2012年5月
(*2): ドヴォルザークの交響曲第6番を聴く〜「電網郊外散歩道」2006年12月
- 外山雄三:管弦楽のためのディヴェルティメント
- メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64 Vn: 吉田 南
- ドヴォルザーク:交響曲 第6番 ニ長調 作品60
下野 竜也 指揮 山形交響楽団
というものです。当初はヴァイオリン独奏者にステラ・チェンさんを迎える予定でしたが、新型コロナウィルス禍による入国制限のために出演者変更となり、吉田南さんとの共演となりました。コロナ禍の現在、様々な予定が変更を余儀なくされるのは残念ですが、逆に考えれば国内の若い才能に接する機会となるわけで、これはむしろ貴重な機会、チャンスかもしれません。
さて、指揮者の下野竜也さんは、今から19年前に山響に初登場とのことでしたが、調べてみると、2009年4月の第196回定期演奏会、2012年3月の第219回定期演奏会、いずれも仕事のため都合が悪く、欠席をしていますので、実演に接するのは今回がたぶん初めて(*1)でしょう。西濱事務局長と下野竜也さんのプレトークでは、山響の印象として「きれいな音」、「風通しの良い」サウンドなどを「メンバーも少しずつ交代しているが変わらない美質」として挙げていました。なるほど!です。
ステージ上の楽器配置は、左から第1ヴァイオリン(8)、第2ヴァイオリン(7)、チェロ(5)、ヴィオラ(5)、その後方にコントラバス(3)の 8-7-5-5-3 の弦楽5部に、中央後方にフルート(2)とオーボエ(2)、その後方にクラリネット(2)とファゴット(2)、その右手にホルン(2)、正面最奥部にトランペット(2)、左後方にパーカッション(シンバル、スネアドラム、トライアングル、ボンゴ、ハープ) というものです。
第1曲めは外山雄三「管弦楽のためのディヴェルティメント」です。1961年の作品みたい。第1楽章:アレグロ、いきなり「ドンパン節」の迫力あるメロディから始まり、思わず「うふふ」です(^o^)/ 第2楽章:アンダンテ、このメロディは「稗つき節」かな。第3楽章:「八木節」でしょうか。明るく楽しい音楽に、思わず嬉しくなります。
2曲めは、メンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲」。ステージ上は独奏者のスペースを開けるためにヴァイオリン・セクションが少しだけ後ろ(左)に下がります。楽器編成は 8-7-5-5-3 の弦楽5部に Fl(2)-Ob(2)-Cl(2)-Fg(2)-Hrn(2)-Tp(2) と Timp. というもの。Tp はバロック・トランペットを持っているようですが、Hrn はちょいと確認できませんでした。独奏者の吉田南さんが少し緑色がかった水色のドレスで登場、プロフィールによればまだ20代の前半で国内外の各種コンクールに入賞歴あり、今回使用するのはストラディヴァリウス1716年製ヴァイオリン「ブース」だそうです。
第1楽章:アレグロ・モルト・アパッショナート、第2楽章:アンダンテ、第3楽章:アレグレット・マ・ノン・トロッポ〜アレグロ・ヴィヴァーチェ。ほんとに堂々としていてよく歌うメンデルスゾーンで、若い才能が当地の音楽ファンにあたたかく好意的に受け入れられていくのがよくわかりました。良かった〜!
15分の休憩の後、後半はドヴォルザークの「交響曲第6番」です。指揮者の下野竜也さんが演奏会プログラムに「ドヴォルザーク交響曲第6番を巡って」というエッセイを書いていましたが、出身地鹿児島のジュニアオーケストラでこの曲と出会い、レコード屋さんでレコードを買って毎日何度も聴いていたこと、ドヴォルザークのように若い作曲家がブラームスなど先輩たちの作品に影響を受けながら成長する過程を見ることができるのが楽しみ、とのことでした。
楽器編成は、Fl(2,うち1はピッコロ持ち替え)-Ob(2)-Cl(2)-Fg(2)-Hrn(4)-Tp(2)-Tb(3)-Tuba、ティンパニ、弦楽5部は 8-7-5-5-3 となっています。第1楽章:アレグロ・ノン・タント、下野さんのドヴォルザークはあまり短く切らずによく歌うのが特徴みたい。第2楽章:アダージョ、第3楽章:スケルツォ(フリアント):プレスト〜トリオ:ポコ・メノ・モッソ、おお、かなり速いテンポです。第4楽章:フィナーレ、アレグロ・コン・スピリト〜プレスト。活気ある演奏、いきいきとした表現で、心から共感し喜びを感じていることが伝わるような演奏でした。
ドヴォルザークの交響曲第6番は、1980年代後半、私がまだ30代前半の頃に、通勤の音楽としてよく聴いていた音楽(*2)でした。この曲と、同じドヴォルザークの「伝説曲」をLPから90分カセットテープに収録し、空き時間にヴィエラ・ソウクポヴァーのアルトで「わが母の教え給いし歌」を追加したものを、何度も繰り返して聴いていたものでした。片道40km近い通勤距離で、朝6時40分に家を出て夜7時半頃帰宅していた時代。祖母が存命で父の原爆症も小康状態、息子が生まれて8人家族となっていた頃。張り合いのあった時代にいちばんよく聴いていた幸福な音楽の記憶が鮮明です。
(*1): CDでは 下野竜也指揮チェコフィルでR.シュトラウス「英雄の生涯」を聴く〜「電網郊外散歩道」2012年5月
(*2): ドヴォルザークの交響曲第6番を聴く〜「電網郊外散歩道」2006年12月
ちょっと聞きに行けない所でのコンサート。羨ましいな。
新型コロナウィルス禍で不安な昨今ではありますが、マスク、対人間隔、換気能力の高いホールで感染防止に努めて、演奏会はしっかり楽しみたいものです。