電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ビーチャム盤でヘンデルのオラトリオ「メサイア」を聴く

2017年12月25日 06時02分09秒 | -オペラ・声楽
クリスマスの季節、ヘンデルのオラトリオ「メサイア」を聴きましょう。これまで、オーマンディ盤、ボールト盤(*2)などを聴いてきましたが、今回はすでにパブリック・ドメインとなっているビーチャム盤です。ユージン・グーセンス編曲のど派手な演奏ですが、この背景が実はおもしろい。

Wikipedia(*3)によれば、ユージン・グーセンス(1893-1962)は英国の指揮者・作曲家で、第二次大戦前はロチェスター・フィルやシンシナティ交響楽団の指揮者を務め、戦後はオーストラリアに渡り、シドニー交響楽団等を指揮しながら同地にオペラハウスの必要を訴え、後にあのシドニー・オペラハウスとなったとのことです。

(写真はシドニー・オペラハウス、Wikimedia commons より)

1956年にオーストラリアから英国に帰国した際に、空港の税関で多量のポルノ写真が見つかり、スキャンダルとなって、英国の音楽界ではすっかり「干されて」しまったのだそうな。そこは親分肌のビーチャム卿、現代楽器と近代管弦楽法を活かしたヘンデル「メサイア」の編曲を依頼、すっかりくさっていたグーセンスがこれでもか!とばかりに腕を振るい、派手な作品に仕上がった、ということらしい。で、それを堂々と演奏・録音したのが1959年、ビーチャム指揮ロイヤルフィルによるこのレコードで、今はパブリックドメインになっている、というわけです。

今年は、政治家等のセクハラ事件がいくつも報道されましたが、いくつか音楽界にも飛び火しているようです。そんな2017年のクリスマスにふさわしく、いわくつきの「メサイア」グーセンス編曲版による録音ですが、演奏はなかなか素晴らしいもので、大いに楽しめます(^o^)/

独唱も生き生きとしていて、「ハレルヤ・コーラス」もジャーンとシンバルをぶちかます冒頭から元気いっぱい。大規模興業として演奏される機会音楽として考えれば、実に効果的な編曲かも。もしヘンデルが現代に現れたなら、案外おもしろがるかもしれない、と思ってしまうような面があります(^o^)/

YouTubeにいくつか登録されていました。
Handel - Messiah - Beecham (Part 1)


Handel - Messiah - Beecham (Part 2)


Handel - Messiah - Beecham (Part 3)


こちらの冒頭に、ど派手な「ハレルヤ・コーラス」が登場(^o^)/
Handel - Messiah - Beecham (Part 4)



(*1):オーマンディのCBS録音でヘンデルの「メサイア」(ハイライト)を聴く~「電網郊外散歩道」2010年11月
(*2):ボールト指揮ロンドン響でヘンデル「メサイア」を聴く~「電網郊外散歩道」2015年11月
(*3):ユージン・グーセンス~Wikipediaの解説


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