廃藩置県以前からそこにあるのだろう亀甲墓は古びて痛々しい。跡継ぎが定かではない風情の中でこの300坪もある墓地には二つの墓がある。先祖の土地や墓が跡取りが不在で消えていくことも多々ある沖縄かもしれない。墓の前にくちなしの花が咲き、椎の木の幹が目を惹いた。擬態の大きな目をつけた小さな蝶が切られたアダン葉の上に止まった。それらを写真に撮った。清明祭の賑やかさは子供たちの賑やかである。「たくさんこどもを生みたい」と学生結婚で可愛い女の子のお母さんになった姪が言った。4人は子供を産みたいと。墓地の辺りでは人の訪れがないような墓があったり、大勢でにぎわったりしている。子供が多いお墓こそ幸せの象徴のような清明祭。小さいころグラジオラスやユリの花を摘みながら海岸端まで歩いた日々が懐かしい。 . . . 本文を読む
朝の帰り際、君たちを見た。その前に5階のトイレの小さな窓から中庭を見たら君がいた。なぜかうれしかった。中庭から響いてくる澄んだ音色をいつでも求めるようになっている。聞こえてこないとどうしたのだろう、と思ったりしている。でも君と彼女にあった。 . . . 本文を読む