遠く浜辺から花火のドスンと響く音、遠くに花火、そして中庭の中から澄んだイソヒヨドリの鳴き声、それが話しかけているように聞こえている。なぜいっしょにいてくれないの?と訴えているように聞こえる。吹き抜けの庭の上に住んでいるのだろう。毎夜、毎朝、ひときわ澄んだ鳴き声が響いている。ひびきが痛々しい。何を求めて鳴いているのだろうか? . . . 本文を読む
寝袋が友達になって久しいので名護までもいけない切羽詰まった時が来て、また半年日延べした論稿に向き合っているゆえにゆとりがあるようには思えるが、あれもこれも、欲が出て、深めるために時は情け容赦なく過ぎていく。追いつくことはできない。ただ流の中で形にする能力の問題でもあるのだろう。生きている間、論をこれだと確と提示できない不完全さと共にある。前置きはそこまでで、それで名護からまた京都に向かうカップルを空港まで見送ってあげてもいいなーと思っている。 . . . 本文を読む
一匹の老猫が丘の上で佇んでいる。身動きせず土になじんでいる。足の辺りの毛の色が他の色と異なる。動かない猫を被写体にしばしの春の声に耳を澄ますと目白が盛んに囀っている。自然の中で春の愛が微笑んでいる。いいね、自然の優しさは、いつでもいい。勿論残酷さも醜さも包みこんで時は流れている。ただこのひと時通り過ぎる至福は確かなものなのだ。 . . . 本文を読む