![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/ca/4ea8d64d582059194fd2da3f19f129e1.jpg)
≪家族サミット≫はつまり34・5歳になっている長男の嫁さがしであり、オジ―、オバーにとっては孫を求める切実さ、という事になる。日本の出資率が1・5を切り、沖縄も1・9台である。つまり日本国の人口が限りなく減少している。その中のアトホームな金城家の婚活作戦会議が昔懐かしい現代沖縄芝居もどきの舞台になった。木戸がある現代沖縄芝居である。語りは日本語で、ウチナーヤマトグチで、少しウチナーグチでの雰囲気、幾分写実的な演技に少しオーバーリアリズムとゆっくりずむが重なる。懐かしさが、等身大の舞台の良さだ。こんな現代沖縄芝居があったのだね。団長の当山 彰一さんが登場する現代劇や沖縄芝居、オペラと見たことがあったが、彼が主宰する「おとな団」を見たのは今回初めてで、1500円の安い料金で提供している。
まさに大衆芸能で、昨今の大衆芸能は高いので、大衆から離れつつある。その点で大学生の若者と論じたのだが、大衆芸能が恵まれた階層の物になりつつあるねとのことだった。歌舞伎もお能も狂言も文楽も1万円前後のチケットで、組踊は3500円前後で、家元の琉球舞踊では5000円が相場、現代劇は2500円が相場で、沖縄芝居は3000円前後で推移している。オペラとなると7000円もする。これだと大衆芸能ではなくなるね。安くて見れるのはINTERNETの芸能や音楽ということになる。2000円までは県のサポートを受けたマグネットコンテンツ舞台などがあるが、一律2000円では提供する側も何ら収益がないだろうが、高いチケットは格差社会の象徴で、つまり日々の生活(アパート代や税金を含め)に必死な層にはとうてい出せない金額でありつづける。それでもライブコンサートなど5000円から1万円は普通である!お能が大衆芸能と言えるか、式楽の古典芸能であるという点では歌舞伎も狂言も文楽も古典芸能であり、組踊も古典芸能で、上演回数は少なかった。沖縄芝居は近代以降の商業演劇で大衆娯楽の中心を占めていたのが戦前の姿である。現在は多様な娯楽が楽しめる時代で、ダンスにもストリートダンスや、ヒップホップやラップなど、マーチングダンス、ジャズダンスも含め多様で、そこにバレーや琉球舞踊、創作ダンスもある。多様である。先日京都の南座で観た「聞得大君誕生」の舞台はいい席で14000円だった。イギリスのシェイクスピアの生誕地にある劇場RSC: Royal Shekespeare Company で上演されている舞台は45£から55£とやはり1万円前後だ。一般大衆の娯楽からかけ離れていく傾向にあり、RSCにしても世界からやってくる観光客(ゆとりのある層)が観客動員の主体なのだろう。
沖縄の組踊や新作組踊、沖縄芝居、琉球舞踊、エイサー、を見るためにわざわざ日本本土から、世界から沖縄に観光とセットでやってくる層がどれだけいるか、がポイントだが、きらびやかな群舞はその目玉になり得るのだろう。昨今の新しい演出による見せ方も、斬新さがあるのはあるが、じっくりいい作品を見せる工夫が欠けているようにも見える。90分あるいは2時間以内に飽きさせることのない舞台の質が問われている。面白い舞台はあるのである。この間上演された中から選択する手もある。また観光用の娯楽性(エンターテイメント)だけを求める方向性も問題はあるのだろう。この問題は実際のデーターに基づいて論じたいが、今それができないので印象に留めておきたい。
さておとな団の「家族サミット」も「60年」も面白かった。ほのぼのとした人間の痛み、過去の回想が良かった。素朴な戦後沖縄のあの時、この時の素顔が物語になる。人の生と死、回想、愛と死でもいい。思いや出会いや再会のドラマだった。
おとな団が目指している演劇が古き良き沖縄の人情なのか、人間の生きる哀感なのか、この間の舞台を全部観ていないので何とも言えないが、身近なドラマだということは確かだね。ソーセージのライブ音楽・主題歌も良かった。舞台効果としては花火などもっときれいに見せられたら効果抜群だったかもしれない。それには、少し音響、照明の技術スタッフのプロにより割高になるのかもしれない。
低額で一般大衆の感性によりそう演劇集団の登場ということかもしれない。その路線は支持したい。大げさなことは登場しないが、日常の延長線にある人間の優しさ、宿命、可能性、信頼、希望などなどが込められているのがこの劇団の特徴かもしれない。んんん。謝!木戸にびっくりでした!CDを買った。