皆さん
先日お知らせした奄美大島での琉球継承言語会のシンポジウム(3月2日−3日)に合わせて、沖縄大学主催のイヴェントがその前日3月1日の夕方に開催されることになりました。詳細は下記の通りです。シンポジウムに参加予定の方はこのイヴェントにも参加できるよう、予定を組んでもらえるとうれしいです。イヴェントはシンポジウムと同じく奄美大島の中心地、名瀬での開催です。よろしくお願いします。
原聖
【2012年度沖縄大学 移動市民大学in奄美】
タイトル「唄って 笑って うちなーぐち ~奄美・琉球諸島の唄と言葉~」
日時:平成25年3月1日(金)開場18:00 開演18:30 (終了20:30)
場所:AIAIひろば2階ホール
入場料:500円
主催:沖縄大学地域研究所
(財)奄美広域中小企業勤労者福祉サービスセンター TEL(0997)53-3366
<プログラム>
司会:比嘉光龍 (唄者)
18:30~(約10分) 会の趣旨説明 緒方修(沖縄大学地域研究所所長)
18:40~(約30分) 基調講演「世界の少数言語」 原聖(女子美術大学芸術学部教授)
19:10~(約15分) うちなー漫談 クリス・デイビス(琉球大学講師)、ハイス・ファン・デル・ルベ(琉球大学研究生)
19:25~(約60分) 「唄三線&奄美唄者とのコラボ」 比嘉光龍、皆吉恵理子(奄美の唄者)
*****************
ただ多言語社会研究会は言語学者だけの集いのように面白みに欠けますね。以前からもっと総合的に学際的に取り組むことを提案しているつもりですが、変わらないですね。方言や言語研究者が主体に頑張っていて、民族(民俗)も芸能も文学も政治も経済もはいらないのはどうもです原先生。空手をやりながらウチナーグチ研究の方もいますよ。西洋人がからむと言語アイデンティティ意識がUPですかね?
ウチナーのオジー&オバーはとてもお話が上手です。そうしたオジー、オバーに思いきってウチナーグチでお話をしてもらう場も必要です。バイロンさんの運動は、支持しますがー。西欧人の研究者が先導して状況を変えていった経緯(パトリックさんの活躍)を第三者としてみると、ドイツの言語学者の調査研究の中でユネスコが危機言語として琉球諸語を(←途中まで書きかけでした。)指摘する流れを構築した世界的な眼差し(世界なりユネスコ基準)のようなものから力を得てきた昨今の沖縄の文化の動きがあります。言語学者は何のために研究するか、とパトリックは問い、自らの生計を支える研究だとの生活レベルの話から、与那国言語を保存・継承することがいかに大事かを話していました。言語権の認識を高める文化的インパクトになったのは確かで、小さな琉球弧の言語の価値を世界規模で見直すきっかけにもなっています。それはいいね。バイロンさんがアメリカ人の西洋帝国主義者たちの表象と受け取られかねない事もないね。←に対してレス・メールがありました。3月26日、バイロンさんが帝国主義者ではないのは確かです。ありえないことです。この件に関して何しろ西洋はアジアを襲っていますからね。中国は踏みとどまっているという構図かな?ちょっと誤解を与えそうなので、たとえばユーチューブで西洋人がウチナーグチを勉強している映像などインパクトがありますね。つまり我がウチナーグチは価値があるんだと思わせます。グローバルには、やはりアメリカを中心とした西洋スタンダードがはびこっていますから、その白い仮面の方々が中心に表に出るのはある面西洋至上主義の象徴にも見えます。否定するにしろ肯定するにしてもー。(これは微妙なところで、厳しいね。つまり経験からすると、たとえばあらゆる地域にキリスト教が布教していったことと、あらゆる地域に西欧の知識人が研究名目で入り込んでいくことは、共通基盤があるのではないかと考えています。(収奪の構造が)それとバイロンさんとどんな関係があるの?と聞かれたらまた時間がかかるけれど、表象された彼の外見と中身の熱いウチナー意識と、その見え方と主体のアクションとの違い(隙間)があるのかと思ったのです。これは逆差別ではないかと言われたら、差別ではなく、沖縄に君臨した(している)表象としてのアメリカ(西欧)の顔をまた一方でうまく取り入れた運動の新たな展開のユニークさ、と、とることも可能ではないのだろうか?バイロンさんは帝国主義のアメリカを代表しないが、その仮面性をもってウチナーアイデンティティーを有している。そこに落差はないのだろうか?個人が帝国主義を代表しえません。アメリカの政治機構の権力が代表します。しかしそれを支えているアメリカ人はテロのターゲットにもなります。表象(外観)を人は逃れることができないのだろうか?逸脱は可能だと思います。そして多様性の中の可能性はいつでも大きな次の一歩です。(ちょっと論理展開をここで留めておきます。他に急いでやらないといけない課題があってー)
ウチナー内部でウチナーグチに長けたみなさんがおられるわけで、その数も少なくなっています。琉球諸語の語りに優れたみなさんのお話をもっとお聞きしたいのです。バイロンさんのお話もいいのですが、オバーの長話がもっと面白いよ!言語ヒエラルキーは痛いですね!(英語帝国主義=世界共通言語化は現在の潮流でGoogleが多言語化を支持したりもしている現象に見えるが、多様性が失われるとモノトーンで面白みのない世界になりますね)
とにかくウチナーグチの話者のオジー&オバーにたくさんユンタクする場を提供して!西洋人の研究者は世界の至るところに入っていきます。研究名目です。世界を収奪してきた手法の一つですね。宗教もそうでしたが、地元のオジー&オバーたちですよ!
確かに上の文章はかなりバイロンさんや仲間のみなさんの言語復興運動に水をさすような文面で、反省します。大いに沖縄の言語復興のためにあらゆる方法論で頑張ってほしいです。ただ「多くのウチナーのオジーオバーの語りを表に」の意見は変わりません。文字を一部修正しましたが、私自身の内的葛藤の問題としてそのままにしておきます。今ウィーグルからワシントンDCにきている女性と30分ほど話していたのですが、ウィーグルも70%はウィーグル語を話せても30%は中国語の様子です。MBAを目指す彼女のスタンスの柔らかさに、共感を覚えます。
上の文章を訂正しながら、お話を聞いていたのですが、今思うに、琉球諸語復興の目的に向かってあらゆる選択肢をとっていいと思います。原先生もご苦労さま!ウィーグルの彼女の話はとても刺激的です。トルコと同じ人種のウィーグルの歴史や文化の固有性と可能性、中国そのものの民主化とエスニックな自らの州の問題など、行為で示したいという彼女は熱いウィーグル人ですね。
*******************************
第4回 琉球継承言語シンポジウム
2012年3月2日(金)~3月3日(土)
テーマ:琉球語学の応用
会場:国立国語研究所
3月2日(金曜日)
09:30-09:45 挨拶
司会:下地理則(群馬県立女子大学)
09:45-10:10 ハインリッヒ・パトリック(獨協大学)
言語シフトの類型論と琉球諸語の維持
10:15-10:40 カーダー・ダニエル (ハダースフィールド大学)
失われた多言語使用:琉球諸島における中国語
10:40-11:00 デキキス・ジョー(関西学院大学)
コメント
ディスカッション
コーヒーブレイク
司会:松尾慎(東京女子大学)
11:15-11:40 アンダーソン・マーク(シドニー大学)
言語シフトのその後:言語復興をしない場合の琉球諸語の未来
11:45-12:10 原聖(女子美術大学)
琉球諸島における言語的文化的再活性化について
12:10-12:30 近藤健一郎(北海道大学)
コメント
ディスカッション
ランチ
司会:大角翠(東京女子大学)
14:00-14:25 杉田優子(ポツダム大学)
危機言語データの長期的な保存、アフターケア、アクセスを目指して: TLA (旧DoBeS)との連携の可能性
14:30-14:55 小川晋史(国立国語研究所)
琉球諸語維持のための正書法の役割
14:55-15:15 大原由美子(ハワイ大学ヒロ校)
コメント
ディスカッション
15:30-17:00 琉球継承言語会委員ミーティング
18:00-19:00 資金カンパの5~10kマラソン
3月3日(土曜日)
司会:ましこ・ひでのり(中京大学)
09:30-09:55 宮良信詳(琉球大学)
うちなーぐち参照文法の編纂 について
10:00-10:25 下地理則(群馬県立女子大学)
若手記述文法研究者へのトレーニング:ケーススタディー
10:25-10:45 中山俊秀(東京外国語大学AA研)
コメント
ディスカッション
コーヒーブレイク
司会:島袋盛世(琉球大学)
11:00-11:25 新永悠人(東京大学)
言語教育のための記述研究の応用:奄美大島
11:30-11:55 麻生玲子(東京外国語大学)
言語教育のための 記述研究の応用:波照間島
11:55-12:15 宮良信詳(琉球大学)
コメント
ディスカッション
ランチ
司会:前田弘毅(東京外国語大学)
13:45-14:10 白田理人
言語教育のための 記述研究の応用:喜界島
14:15-14:40 徳永晶子(一橋大学)
沖永良部島の存続性と危機度
14:40-15:00 下地理則(群馬県立女子大学)
コメント
ディスカッション
コーヒーブレイク
司会:ハインリッヒ・パトリック(獨協大学)
15:15-15:40 新垣友子(沖縄キリスト教学院大学)
琉球諸語の記述と維持
15:40-16:00 小熊英二(慶応義塾大学)
シンポジウムに関するコメント
16:00-17:00 フリーディスカッション
懇親会
問い合わせ Patrick Heinrich (獨協大学) k10002@webmail.dokkyo.ac.jp
*全体のコメントをウチナーンチュとか奄美の方(アマミンチュと云いますか?)にも参加を依頼してお話してもらうことも可能では?研究者の自己満足に終わらせないためにも!
奄美の唄者は素直に喜んでいるみたいですよ。
琉球諸語を大和諸語と別個の言語として位置づけることに、シマンチュ自身からの反応が鈍くなっているのかも知れませんね。まだ言語か方言かで揺れていますよね。
奄美の名瀬辺りでは自分達をシマッチュ、その他の地域ではシマンチュと言います。アマミンチュとは言いません。
ただそのご指摘の点はわたし自身もっと掘りたいと思います。表象と実体と虚構と現実の隙間にいるのかもしれません。