意識的に戦後、特に復帰後の沖縄芸能界の流れを見ていると、おかしな現象が見て取れる。
沖縄芝居役者の例外は真喜志康志さんと宇根伸三郎さんですね。宮城美能留さんは組踊と舞踊です。
国の重要無形文化財の第二次保持者に真喜志さんは候補にも上っていなかったという。つまり宜保栄次郎さんたちは無視したのだが、矢野輝雄さんが候補にしたのですね。芝居役者の宇根さんは七扇会の家元として舞踊界で実績を作り、現在の宮里敏子先生につないでいる。不思議なのは他にもある。
『沖縄芸能大観』月刊沖縄社が昭和58年(1983)に発行したこの大観の中の琉球舞踊系統図は意図的に詳細を排除された舞踊家の名前がある。その中で上間初枝と真喜志康忠の葵の会の弟子の氏名がまったくない。1982年の葵の会の第一回発表会には総勢およそ140人が写真に納まっている。盛況だ。だかいったいこの大きなうねりはどうしてそのまま続かなかったのだろうか?
県指定無形文化財琉球舞踊保持者に真喜志も上間も認定されなかったのである。なぜ?
沖縄芝居役者では大宜見小太郎さん、劇団乙姫の間 好子さんも認定されていない。戦後の沖縄芝居界を代表する「ときわ座」「大伸座」「劇団乙姫」の代表がこぞって舞踊の保持者認定から外されたのである。
いわゆる文化政策である。誰が主導したのか?
国の文化審議会は(2009年7月17日、新たな国の重要無形文化財に「琉球舞踊」を指定し、その保持者として合計39人を認定(総合認定)するよう塩谷立文部科学相に答申した。併せて、国選定保存技術として「組踊道具・衣裳製作修理」を選定。技術の保持団体として「組踊道具・衣裳製作修理技術保存会」を認定するよう答申した。国の重要無形文化財として総合認定を受けたのは、県内では「組踊」の1972年以来37年ぶり2件目。各個認定(人間国宝)を含めると6件目となった。
「琉球舞踊」は、「芸術上特に価値が高く、芸能史上重要な地位を占める」として指定された。琉球王国時代までの古典舞踊に加え、明治以降に庶民の風俗を取り入れた雑踊りも含めての指定。
保持者として認定されたのは舞踊14人、歌三線13人、箏7人、胡弓1人、笛2人、太鼓2人の合計39人。今後、「琉球舞踊保存会」(玉城節子代表)が保存事業に取り組んでいく。
「組踊道具・衣裳製作修理」は重要無形文化財に指定されている「組踊」の保存に欠かすことのできない技術として選定された。
「組踊道具製作」に関しては、1994年に国選定保存技術に指定されたが、唯一の技術保持者だった島袋光史氏が2006年に死去したため解除されていた。今回、衣裳の製作・修理技術を加えて新たに指定された。「組踊道具・衣裳製作修理」は国選定保存技術として県内3件目で、初の団体認定となった。
(7月18日、琉球新報朝刊紙面から引用)
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