《新垣松含の伊野波節(古典女踊)》
印刷もギリギリ間に合うかですが、PCを使われない宜保先生の息子さんからメールが届いた。女性が圧倒的に多かった戦前の箏曲の世界についてのお話は最も興味深い!
圧倒的に辻の芸妓の中でお筝の女性たちが多い。歌三線の古典音楽の大家とお筝の女性たちとのラブロマンスも聞こえてくる。何組かの大物のカップルが浮かぶ。幸地亀千代、ナヘ御夫婦、城間正悟、城間千鶴先生、興陽会の初代会長仲里陽史子先生も辻で育った方である。一般の女性たちは芸事から阻害された社会だったゆえに、その不可視の世界で花開いた芸能の凄さ、濃さは、戦後の女性たちの想像をはるかに超えるに違いない。日夜の歓待、夜の御伽のために芸を披露する空間が繰り広げられたのである。性の悦楽がその中心にあった。日常の「規範を超えて営まれた特別な境界」、そこから沖縄を代表する芸能者たちが巣立っていった。
新垣松含先生と琉球舞踊の指導に関しては耳に挟んでいたが、今回、宜保先生が実証されるということで、とても楽しみだ。昭和になって沖縄芝居役者がかなり辻の芸事に関わっていったことは紙面からも伺えるが、大物の方々の辻との関わりはとても興味深いですね。80代の宜保先生が研究者として対象化されてきた芸能のまた一筋の歴史が浮かび上がってくることを期待したい。