目取真俊の『眼の奥の森』はインパクトの強い小説だが、米須さんの修士論文は興味深い。読んだ時は感極まって小説を読んでいた。分析されて提示されると、見逃していた箇所にスポットが当てられたように思えた。作品論を書くつもりで読んではいないのでー、しかし、目取真の作品論と作家論はどんどん書かれていくのだろう。わたしなりの作品論や作家論を書いてみたいとひそかに思ってはいるがー。記憶の視点で捉えている。パフォーマンスの視点から捉えてみたいと思っていたりする。劇的空間に翻案してみるとまた新たな世界になっていくのだろうか、とも考える。小夜子と盛治の対の姿は痛みをもった者たちの虹の架け橋のように在り続ける。