人間の顔が実態を超えて幻影のかなたを引き寄せているような不思議に包まれる写真!写真は魂を存在のエキスを映し出してしまう怖さと共にある。写実ではないのだ。写実であって写実ではない!生きている生身の人間の総体が陽炎のように、日常を超えてまた浮き彫りになる。特に石川竜一の写真を見ると、そんな気がしてくる。
実存のおりのようなもの、すでにして実存は虚で幻のようにそこにある!
かつて人々は写真を撮られるのを怖がった。魂がぬき取られると怖れたのだ。その怖れは間違っていなかった。写真に魂が抜き取られて見せ付けられるのだ。その瞬間のマジックに驚く!君のわたしのあなたの実存がそこにゆーらゆーらとゆれている、そんな感じは何とことばに表現すればいいのだろう!