【東アジア共同体研究所(EACI) News Weekly Vol.011 「石垣島の観光」】
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EACI News Weekly 第11号(3月20日号)
東アジア共同体研究所(East Asian Community Institute )
http://eaci.or.jp/
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「いいね!」で、東アジア共同体研究所の最新情報をお届けします。
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【目次】
【1】《今週のニュース 3/14-3/20》
政治(2)、経済(1)、国際(2)、社会(2)
【2】《UIチャンネル放送予告 No.095》
3月23日(月)20時 鳩山友紀夫×首藤信彦対談
「TPP交渉の現状と課題」
http://live.nicovideo.jp/watch/lv214256444
【3】《EACIレポート》
〈再掲〉いよいよ来週開催 3月29日に石川県で高野孟氏が登壇
3月市民講演会「2015年の日本を展望する」開催
【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「石垣島の観光」
【5】《EACI会員からの投稿》
小島正憲
(株式会社小島衣料オーナー、アジア・アパレルものづくりネットワーク代表理事)
「アジア読書録 vol.3『カンボジアに村をつくった日本人』
(森本喜久男著、白水社、2015、2)」
【6】《連載》検証・フテンマ(琉球新報より)
第2部 米国の深層 vol.11「妨害の始まり」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【1】《今週のニュース 3/14-3/20》
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【政治】
■集団的自衛権行使 反対・注文 101議会
(東京新聞 2015.3.20)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015032002000120.html
■日中韓首脳会談:中国「時期、首相談話で判断」 夏以降か
(毎日新聞 2015.3.17)
http://mainichi.jp/select/news/20150317k0000m030141000c.html
【経済】
■中国主導のAIIBで亀裂生まれる米同盟
(日本経済新聞/Financial Times 2015.3.17 )
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO84481330X10C15A3000000/
【国際】
■ミャンマー全国停戦協定、半年ぶりに正式交渉を再開
(朝日新聞 2015.3.17)
http://www.asahi.com/articles/ASH3K513NH3KUHBI013.html
■バヌアツ、サイクロンの被害状況 徐々に判明 食料不足に懸念
(AFP 2015.3.18)
http://www.afpbb.com/articles/-/3042775
【社会】
■環境監視委員会・東副委員長が辞意に支持の声
(琉球朝日放送 2015.3.17)
http://www.qab.co.jp/news/2015031764135.html
■辺野古動画流出 在沖海兵隊高官を更迭
(琉球新報 2015.3.20)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-240600-storytopic-271.html
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【2】《UIチャンネル放送予告 No.095》
3月23日(月)20時 鳩山友紀夫×首藤信彦対談
「TPP交渉の現状と課題」
http://live.nicovideo.jp/watch/lv214256444
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
3月23日(月)20時からの第95回UIチャンネル放送は、元衆議院議員で
国際政治学者の首藤信彦氏をお招きして、鳩山友紀夫×首藤信彦対談
「TPP交渉の現状と課題」お送り致します。
首藤信彦氏プロフィール
1945年旧満州大連市出身。
慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了。伊藤忠商事株式会社勤
務。その後、東海大学教授、米国ジョンズホプキンス大学SAIS客員
研究員、フランスINSEAD客員研究員等。国際NGO「インターバ
ンド」を創設し、紛争地の平和構築にとりくむほか、各国の選挙監視活
動等を行う。専門は、危機管理、国際政治経済、市民社会論。2000年夏
から衆議院議員として政治活動をスタート、三期つとめる。181回国
会では、外務委員会、災害対策特別委員会筆頭理事、沖縄及び北方問題
に関する特別委員会、憲法調査会に所属。
首藤信彦オフィシャルサイト
http://sutoband.net/
すとう信彦&his band
http://blog.goo.ne.jp/sutoband
※会員(月額324円)の方は全編視聴できます。非会員の方は有料
(150pt)となります。(会員になるには携帯キャリア決済、カード決
済が可能です。個別映像を視聴する場合は、ログイン後、ニコニコポイ
ント150ptにてチケット購入してください)
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【3】《EACIレポート》
〈再掲〉いよいよ来週開催 3月29日に石川県で高野孟氏が登壇
3月市民講演会「2015年の日本を展望する」開催
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
東アジア共同体研究所の高野孟氏が石川県で開催される市民講座に登壇
します。(以下、HPを参考に掲載)
▽ ▼ ▽
石川県のNPO法人「未来塾・大人の学び」は3月29日、研究員の高野孟氏
を講師に、「2015年の日本を展望する」と題して、憲法論議、集団
的自衛権、沖縄・辺野古、原発再稼働、TPPなどをテーマにした講演
会を開催します。
<トークイベント概要>
日時:2015年3月29日 (日) 13:30~(開場15:30)
会場:金沢市・石川県地場産業振興センター(本館3階・第5研修室)
参加費:1,000円
申し込み:不要
講演者:高野孟(たかの・はじめ)
■申込先等、詳細は以下のリンクより(リンクページ最下部に掲載)
http://otonanomanabi.org/lecture_2014.html
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「石垣島の観光」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
今回はちょっとさかのぼって1月末の新聞記事から始める。この記事の後、石垣島をふくむスカイマークの離島路線撤退(3月末)が発表された。入域客は少し減るかもしれない。
沖縄の観光
琉球新報の1月24日(土)の5面に、「観光客705万人」とある。県文化観光スポーツ部が発表した昨年の入域観光者の数だ。前年比10.0%増、705万6200人と初めて700万人を突破した。外国人が62.2%増の89万3500人、国内客が5.1%増の616万2700人。外国人の内訳は台湾が34万4100人、韓国が15万5100人、香港が12万3000人、中国本土が11万3400人など。つまり中国語をしゃべる人達が58万人を超す。国際通りやスーパーマーケットで中国系のカップルや集団が目立つ。なるほど60万近くも中国系の人が来ているのならモノレールもショッピングモールも中国語があふれるのは当然だ。
石垣島の観光について座談会を開いた(1.17に収録)話の続き。石垣島には日航、全日空二つの大手航空会社系のホテルがある。新石垣国際空港開港以来、JALもANAも「それゆけ石垣島」のキャンペーン、それにLCC、さらには大型クルーズの寄港で入域客は110万人を超し、観光客は100万人に近づいている。そこでホテル業界などの方々にお集まりいただき現状や問題点などを語ってもらおうという企画・・のはずだった。
前日になって風邪、当日はドタキャン、が続きホテル業界は全員欠席。しかしなにごともなかったかのように約束の時間にはゲストが5人そろった。離島航路が専門のH観光・清楚な社長O氏、レンタカーステーション執行役員M氏、かまぼこ屋社長で商工会青年部「石垣島特産品拡めたい」隊長K氏、スナックママ・日本歌手協会会員のSさん。それに市のK企画部長。ドタキャンの反対のドタOKとでも言うべき「瞬間的なんくるないさ(なんとかなるさ)」が実現した。突然電話が来て何のことか分からず来た人もいた。もっとも前回のテーマ「スポーツ」の時も打ち合わせはまったくなしで集まり、私が勝手に番組の趣旨を話してスタートした。ディレクターにせめてゲストの名前くらいは机の前に垂らしておけ、と指示するのだが、「テ
ロップ入れるから大丈夫です」って、それはお前の都合だろ。司会役としてはゲストの名刺を並んだ順番に目の前に置いて、名前と仕事を確認しながら進めるしかない。
石垣島の名産の紹介などめったにないと思うので「食通旅巡・石垣島」食べつくせ!石垣島!!という68ページのパンフレットからピックアップする。この冊子は台湾で10万部作成され、毎回クルーザーで運ばれる。つまり台湾からの観光客はこの本の中国語・英語版を全員が手にし、航海中に内容を脳細胞に染み込ませてから石垣上陸となる。八重山そば、石垣牛、日本一早い新米、泡盛、ヒバーチ・ピパーツ・ピパーチ・ヒハツモドキなんでも良いがつまり島の香辛料、島のぽん酢、黒糖、もろみ豚、ハム・ソーセージ・・・と山のように石垣島の特産品が載っている。スタンプラリー、指さし確認イラスト集も付いている。おかわりをください、取り分ける小皿をください、とカメカメー(じゃんじゃん食べなさい)攻撃が続く�€
�以下は石垣市の資料に基づきながら・・。
石垣島の観光
那覇から飛行機で1時間弱、石垣島には昨年、110万以上が訪れた。人口約5万人の島に20倍ものお客様!。最初は宿泊施設の手配などで混乱したが、いまは全員収容できるらしい。一人一泊としても3000人が毎日宿泊している計算だ。昨年の1月17日のニューヨークタイムスで「今年行くべき52の場所」という特集があった。日本からは二つ選ばれている。18位が石垣島、40位くらいに野沢温泉。アジアでは世界遺産にもなっているベトナムの洞窟が8位、台北が13位だった。石垣島が選ばれた大きな理由は、ピーチ航空などのLCC乗り入れによる航空運賃の超安値実現がある。
私も毎月往復するのに約1万3千円の航空運賃で済む。2か月前から予約すると往復で8800円だ。石垣島の港からフェリーで10分のところに赤瓦の家並みと白砂の道、水牛観光で有名な竹富島がある。人口365人の島だが、自転車が3000台もある。一桁違うのではないか、と疑っていたが、ぐるりと島内を一回りしてみると数百台単位の駐輪場があちこちにある。修学旅行や団体が何十チーム来ようが対応できる。
台湾からのクルーズ船は週2回寄港する。この数87949人。1500人~2000人が一度に降りて半日以内に買い物や観光に駆け回る。市内の大きなスーパーは定期的に台湾人に占拠される。市民はクルーズの寄港日を知っていて、その日は買い物を控えるそうだ。
石垣市民の7つの夢実現
K部長によれば沖縄が本土復帰(1972年5月15日)後、石垣市民の永年の7つの夢が全て実現した。番組でも紹介した。
1 石垣島から世界チャンピオン 1976年10月10日 具志堅用高氏
WBA世界Jrフライ級王座獲得
*この試合の模様は具志堅用高記念館で見ることが出来る。サンドバッグと小さな リングの向こうにテレビ受像機がありヴィデオを流している。4年半、13回の防 衛戦のハイライトを約40分間にわたって一人で観戦した。
2 石垣島から紅白歌合戦へ 2002年 BEGINと夏川りみが初出場
3 石垣島から甲子園へ 2006年 八重山商工野球部春夏連続出場
4 石垣島プロ野球キャンプとオープン戦の開幕 2008年2月1日(今年で7年目)
千葉ロッテマリーンズ 春季キャンプ
2014年2月16日 千葉ロッテマリーンズVSオリックスバッファローズ
5 石垣島からオリンピックへ 2012年7月28日
ロンドンオリンピックへ自転車ロードレース 新城幸也選手
6 新石垣島国際空港開港 2013年3月7日 37年間の悲願
台湾から定期便の就航実現
7 石垣島から首都圏へ直行便 2013年
東京・成田・名古屋・大阪・神戸・福岡から就航
今、新たなる7つの夢を実現し実現に向けた勇躍前進の船出を!
日本で一番早い海開き
石垣市の観光客の推計&人口推計 という表を見る。数字だけでなく一番右に社会情勢が記されている。沖縄ブームの始まり(昭和46年)から現在(平成25年)まで32項目が記されている。
昭和46年、南沙織デビューで沖縄ブーム
昭和47年、本土復帰・離島ブーム。日中国交回復。に始まり平成25年の新石垣空港開催まで。なかでも私が記憶に残っている最高のPRは昭和55年の第一回日本一早い海開き開催だ。(現在では八重山の石垣市、竹富町、与那国町の3市町が毎年ローテーションで順に開催する。竹富町は島が沢山あるので開催するビーチが変わる)私がNHKの全国ニュースで見た映像は昭和55年か翌年くらいだった。3月の下旬、東京には珍しく大雪が降り、山手線はストップ、都内の道路も大渋滞の日だった。あたかもその時、南国の石垣島では青空が広がり、真っ白な砂浜に地元青年団がぱらぱらと集まっている。カメラの先には二人のビキニの美女!!JALとANAのその年のキャンペーンガールが登場し浜辺に走る。海に入ってもOK。石垣島の3月の海中の平å
��気温は21度を超す。「行った人から夏になる!」というキャンペーンもあった。私は3月ともなれば花粉症に襲われ、鼻はぐすぐす、目は赤くなり、くしゃみ連発、急に熱っぽくなり汗をかいてすぐにぞくぞく、と完全な病気にかかっている。うつろな眼でテレビを見れば、青い空と青い海、ビキニの美女がそろって海開きだ。インフォマーシャル(インフォメーション+コマーシャル)の完璧な例として記憶している。この年(昭和55年)の入域客は357910人(観光客は推定211244人)、22年後、平成14年のNHK朝ドラ「ちゅらさん」効果で沖縄・石垣ブームが起きた。この年の入域客は752830人(観光客は推定613362人)。3倍に増えている。そして現在は1102534人(観光客は推定937024人)と、石垣を訪れる観光客は沖縄観光の約7分の1を占める
ようになった。
今年の日本一早い海開きは3月22日(日)与那国島で開催される。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【5】《EACI会員からの投稿》
小島正憲
(株式会社小島衣料オーナー、アジア・アパレルものづくりネットワーク代表理事)
「アジア読書録 vol.3『カンボジアに村をつくった日本人』
(森本喜久男著、白水社、2015、2)」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
この本は、森本氏の自叙伝のような趣の書である。京都の友禅職人であり、工房の経営者でもあった森本氏が、カンボジアの伝統絹織物に魅せられ、艱難辛苦を乗り越え、観光地シェムリアップの近くに、伝統絹織物の村を築き上げていく過程が書き込まれている。染色技術などの専門的な解説などもあって、若干、回りくどい面もあるが、それを除けば、森本氏の思想と30年余の軌跡がよくわかる好著である。
森本氏は自らの立ち位置を、「援助とは、モノをあげることではない。貧しい人たちの自立を助けると言いながら、物資やお金をもらえて当たり前とばかりに口を開けて待っているだけの村びとを増やしていては意味がない。人間の“欲”は大切である。それは、モチベーションそのもの、やる気につながる。しかし、貧しいことを理由に、手を動かさず口を開けて待っているだけの欲は、人間をダメにする。NGOなどが主催するセミナーや講習会のなかには、主催団体が参加者に参加費を払うケースもある。しかし、それは参加者を多く集めるだけのことに思える。多くのプロジェクトは、そのプロジェクトの実施期間が過ぎると、消えてなくなることが多い。それとも関係するように思えるのだが、いったい誰のためのセミナー�
�のか、誰のためのプロジェクトなのか。わたしたちは、小さな種を提供する。ときには、その種を植えるために必要な鍬も。しかし、そのあとは村びと自身の努力が基本。だから、本当にやる気のある村びとと出会うことが大切だと考えている」と、説明している。私もまったく同意見である。
森本氏はシェムリアップで織物工房を開き、多くのカンボジア人と共に働いている。しかし本書の中では、労働者や従業員という字句はいっさい出てこない。すべて「研修生」という字句で統一されている。森本氏には、工房が会社であるという意識はなく、したがって氏自身も経営者であるという意識はない。否、経営者という立場が嫌いなのだろう。それでもその工房の資金繰りは、いっさい森本氏の双肩にかかっており、工房は幾度となく財政ピンチに見舞われている。またスタッフに裏切られたり、出入り業者に騙されたり、経営者同様の苦労を重ねている。それらの苦難をはねのけ、森本氏は立派に村という共同体を作り上げた。その思想的根拠を、本文中に見出すことができる。
森本氏は1948年生まれ、つまり団塊の世代である。しかも反体制意識の強い京都生まれである。森本氏は、「十代のころ、わたしは油絵描きを目指していた。アンディ・ウォホールの複製画は、色あせながらも今もわたしの部屋にかかっている。どうしても使いたい色の絵の具を買うために、食事代を削っていた記憶もある。当時のわたしはいわゆるマセガキだった。定時制高校に通いながら、アルバイト先で知り合った自称“詩人”や絵描きの卵、3~4歳年上の大学生たちの議論の輪に加わり、“マルクス=エンゲルスの芸術論”やヘーゲルの“美学講義”などを繰り返し読んでもいた」と書いている。つまり森本氏は、当時の京都の革新的雰囲気に育まれたのである。
先日読んだ『カンボジアで出会いたい100人』の中でも、森本氏は紹介されている。そこで森本氏は、「世界一と言われるような布を作り続ける」と決意を表明している。同時に、「先日、医者から癌だと宣告されました。そしてあと2年の命だと伝えられています。でも、治療を受ける気はないです。自然とともに自然に死ねるように、そう考えています。一日一日、日々大切に生きる。人間は賞味期限がある生き物です。今日できることは今日やって、自分が伝えられることは、勿体つけずに伝えていきます。そうやって時代は変わっていくのですから」と書いている。潔い決意であり、私もこの森本氏の姿勢に学びたいと思っている。
―――――――――――――――――――――――――――
【6】《連載》検証・フテンマ(琉球新報より)
第2部 米国の深層 vol.11「妨害の始まり」
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2009年8月の衆院選を約1カ月半後に控えた同年7月19日。民主党公認
候補(当時)の玉城デニーの応援演説をするため、沖縄市民会館で登壇
した党代表・鳩山由紀夫(当時)は、ホールを埋め尽くした聴衆を前
に、県民の大きな期待を感じていた。熱気と高揚感が会場を包んでい
た。米軍普天間飛行場の返還・移設問題について触れた。
「県民の気持ちが一つならば、最低でも県外の方向で、われわれも積
極的に行動を起こさなければならない」。さらりと出た言葉だったが、
県民の心をつかむには十分だった。
民主党が勢いを増す象徴的な場面だった。同党は衆院選で県内4選挙区
中、玉城を含む公認2候補を当選させる。普天間移設の「最低でも県外」
は、多くの国民から事実上の公約として捉えられた。
鳩山の発言から約1カ月後。衆院選を10日後に控えた8月20日早朝の米
首都ワシントン。古典的なドーム型建築が特徴的な国会議事堂周辺レス
トランに、米民主、共和両党の議員秘書ら約10人が集まった。在米日本
大使館の職員が呼び掛けた説明会に出席するためだ。米政府にも影響力
がある民主党の著名なベテラン議員秘書らの顔が見える。秘書の中でも
上級の「チーフ」も参加している。
大使館職員2人のうち「後輩」が、衆院選を前にした日本国内の政治情
勢について一般的な説明を始めた。
政権を担っている自民党と野党の議席数、自民党のそれまでの政策、
来る衆院選に関する国内メディアの世論調査状況と民主党勝利の予測、
選挙後の与野党の議席見通しなどについて述べた。
秘書らは食事を取りながら聞き入った。今度は大使館の「先輩」が説
明を代わった。
その内容は次期政権を担う民主党のマニフェスト(政権公約)に対す
る批判だった。
「We negotiated so hard(私たちは激しい交渉をした)」
日米両政府が長い時間をかけ、辺野古移設などの在日米軍再編に合意
したと強調する言葉だった。そして先輩は、民主党が普天間を含む米軍
再編の見直しを公約に掲げていることを挙げ、「米政府の立場を変える
のは難しいだろう」「日本政府の立場は一貫性がある必要がある」と、
持論を展開する。
日米合意した辺野古移設計画を変えるべきではない-。そんなメッセ
ージだった。さらに先輩は民主党関係者に会ったら合意変更は難しいと
伝えるよう、米議員の秘書らに促した。
総選挙での国民の審判を経て政権の座に就こうとする公党の公約に、
外務官僚が反対の立場から他国関係者に働きを掛けていた。日本の事情
をあまり知らない秘書らは淡々と説明を聞いていたという。
ことし10月、その場にいた1人の男性が取材に応じ、「大使館職員は
Presumptuous(せんえつ、出しゃばり)だった。(日本政府に対す
る)”逆外圧”であり、信じられなかった」と振り返った。
政権の誕生前から、「最低でも県外」に対する逆風が政府内で吹き始
めていた。(敬称略)(「日米廻り舞台」取材班)
◇ ◇
米側に在沖海兵隊の駐留や普天間飛行場の県内移設の必然性を疑問視す
る意見がある中、県外・国外移設の検討はなぜ頓挫したのか。阻んだの
は何か。軍事的な所要でなく、政治的理由から過重な基地負担を強いら
れる背景を探る。(琉球新報提供)
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【1】《今週のニュース 3/14-3/20》
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3月23日(月)20時 鳩山友紀夫×首藤信彦対談
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〈再掲〉いよいよ来週開催 3月29日に石川県で高野孟氏が登壇
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【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
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小島正憲
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(森本喜久男著、白水社、2015、2)」
【6】《連載》検証・フテンマ(琉球新報より)
第2部 米国の深層 vol.11「妨害の始まり」
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■集団的自衛権行使 反対・注文 101議会
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■中国主導のAIIBで亀裂生まれる米同盟
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【国際】
■ミャンマー全国停戦協定、半年ぶりに正式交渉を再開
(朝日新聞 2015.3.17)
http://www.asahi.com/articles/ASH3K513NH3KUHBI013.html
■バヌアツ、サイクロンの被害状況 徐々に判明 食料不足に懸念
(AFP 2015.3.18)
http://www.afpbb.com/articles/-/3042775
【社会】
■環境監視委員会・東副委員長が辞意に支持の声
(琉球朝日放送 2015.3.17)
http://www.qab.co.jp/news/2015031764135.html
■辺野古動画流出 在沖海兵隊高官を更迭
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会では、外務委員会、災害対策特別委員会筆頭理事、沖縄及び北方問題
に関する特別委員会、憲法調査会に所属。
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【3】《EACIレポート》
〈再掲〉いよいよ来週開催 3月29日に石川県で高野孟氏が登壇
3月市民講演会「2015年の日本を展望する」開催
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東アジア共同体研究所の高野孟氏が石川県で開催される市民講座に登壇
します。(以下、HPを参考に掲載)
▽ ▼ ▽
石川県のNPO法人「未来塾・大人の学び」は3月29日、研究員の高野孟氏
を講師に、「2015年の日本を展望する」と題して、憲法論議、集団
的自衛権、沖縄・辺野古、原発再稼働、TPPなどをテーマにした講演
会を開催します。
<トークイベント概要>
日時:2015年3月29日 (日) 13:30~(開場15:30)
会場:金沢市・石川県地場産業振興センター(本館3階・第5研修室)
参加費:1,000円
申し込み:不要
講演者:高野孟(たかの・はじめ)
■申込先等、詳細は以下のリンクより(リンクページ最下部に掲載)
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【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「石垣島の観光」
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今回はちょっとさかのぼって1月末の新聞記事から始める。この記事の後、石垣島をふくむスカイマークの離島路線撤退(3月末)が発表された。入域客は少し減るかもしれない。
沖縄の観光
琉球新報の1月24日(土)の5面に、「観光客705万人」とある。県文化観光スポーツ部が発表した昨年の入域観光者の数だ。前年比10.0%増、705万6200人と初めて700万人を突破した。外国人が62.2%増の89万3500人、国内客が5.1%増の616万2700人。外国人の内訳は台湾が34万4100人、韓国が15万5100人、香港が12万3000人、中国本土が11万3400人など。つまり中国語をしゃべる人達が58万人を超す。国際通りやスーパーマーケットで中国系のカップルや集団が目立つ。なるほど60万近くも中国系の人が来ているのならモノレールもショッピングモールも中国語があふれるのは当然だ。
石垣島の観光について座談会を開いた(1.17に収録)話の続き。石垣島には日航、全日空二つの大手航空会社系のホテルがある。新石垣国際空港開港以来、JALもANAも「それゆけ石垣島」のキャンペーン、それにLCC、さらには大型クルーズの寄港で入域客は110万人を超し、観光客は100万人に近づいている。そこでホテル業界などの方々にお集まりいただき現状や問題点などを語ってもらおうという企画・・のはずだった。
前日になって風邪、当日はドタキャン、が続きホテル業界は全員欠席。しかしなにごともなかったかのように約束の時間にはゲストが5人そろった。離島航路が専門のH観光・清楚な社長O氏、レンタカーステーション執行役員M氏、かまぼこ屋社長で商工会青年部「石垣島特産品拡めたい」隊長K氏、スナックママ・日本歌手協会会員のSさん。それに市のK企画部長。ドタキャンの反対のドタOKとでも言うべき「瞬間的なんくるないさ(なんとかなるさ)」が実現した。突然電話が来て何のことか分からず来た人もいた。もっとも前回のテーマ「スポーツ」の時も打ち合わせはまったくなしで集まり、私が勝手に番組の趣旨を話してスタートした。ディレクターにせめてゲストの名前くらいは机の前に垂らしておけ、と指示するのだが、「テ
ロップ入れるから大丈夫です」って、それはお前の都合だろ。司会役としてはゲストの名刺を並んだ順番に目の前に置いて、名前と仕事を確認しながら進めるしかない。
石垣島の名産の紹介などめったにないと思うので「食通旅巡・石垣島」食べつくせ!石垣島!!という68ページのパンフレットからピックアップする。この冊子は台湾で10万部作成され、毎回クルーザーで運ばれる。つまり台湾からの観光客はこの本の中国語・英語版を全員が手にし、航海中に内容を脳細胞に染み込ませてから石垣上陸となる。八重山そば、石垣牛、日本一早い新米、泡盛、ヒバーチ・ピパーツ・ピパーチ・ヒハツモドキなんでも良いがつまり島の香辛料、島のぽん酢、黒糖、もろみ豚、ハム・ソーセージ・・・と山のように石垣島の特産品が載っている。スタンプラリー、指さし確認イラスト集も付いている。おかわりをください、取り分ける小皿をください、とカメカメー(じゃんじゃん食べなさい)攻撃が続く�€
�以下は石垣市の資料に基づきながら・・。
石垣島の観光
那覇から飛行機で1時間弱、石垣島には昨年、110万以上が訪れた。人口約5万人の島に20倍ものお客様!。最初は宿泊施設の手配などで混乱したが、いまは全員収容できるらしい。一人一泊としても3000人が毎日宿泊している計算だ。昨年の1月17日のニューヨークタイムスで「今年行くべき52の場所」という特集があった。日本からは二つ選ばれている。18位が石垣島、40位くらいに野沢温泉。アジアでは世界遺産にもなっているベトナムの洞窟が8位、台北が13位だった。石垣島が選ばれた大きな理由は、ピーチ航空などのLCC乗り入れによる航空運賃の超安値実現がある。
私も毎月往復するのに約1万3千円の航空運賃で済む。2か月前から予約すると往復で8800円だ。石垣島の港からフェリーで10分のところに赤瓦の家並みと白砂の道、水牛観光で有名な竹富島がある。人口365人の島だが、自転車が3000台もある。一桁違うのではないか、と疑っていたが、ぐるりと島内を一回りしてみると数百台単位の駐輪場があちこちにある。修学旅行や団体が何十チーム来ようが対応できる。
台湾からのクルーズ船は週2回寄港する。この数87949人。1500人~2000人が一度に降りて半日以内に買い物や観光に駆け回る。市内の大きなスーパーは定期的に台湾人に占拠される。市民はクルーズの寄港日を知っていて、その日は買い物を控えるそうだ。
石垣市民の7つの夢実現
K部長によれば沖縄が本土復帰(1972年5月15日)後、石垣市民の永年の7つの夢が全て実現した。番組でも紹介した。
1 石垣島から世界チャンピオン 1976年10月10日 具志堅用高氏
WBA世界Jrフライ級王座獲得
*この試合の模様は具志堅用高記念館で見ることが出来る。サンドバッグと小さな リングの向こうにテレビ受像機がありヴィデオを流している。4年半、13回の防 衛戦のハイライトを約40分間にわたって一人で観戦した。
2 石垣島から紅白歌合戦へ 2002年 BEGINと夏川りみが初出場
3 石垣島から甲子園へ 2006年 八重山商工野球部春夏連続出場
4 石垣島プロ野球キャンプとオープン戦の開幕 2008年2月1日(今年で7年目)
千葉ロッテマリーンズ 春季キャンプ
2014年2月16日 千葉ロッテマリーンズVSオリックスバッファローズ
5 石垣島からオリンピックへ 2012年7月28日
ロンドンオリンピックへ自転車ロードレース 新城幸也選手
6 新石垣島国際空港開港 2013年3月7日 37年間の悲願
台湾から定期便の就航実現
7 石垣島から首都圏へ直行便 2013年
東京・成田・名古屋・大阪・神戸・福岡から就航
今、新たなる7つの夢を実現し実現に向けた勇躍前進の船出を!
日本で一番早い海開き
石垣市の観光客の推計&人口推計 という表を見る。数字だけでなく一番右に社会情勢が記されている。沖縄ブームの始まり(昭和46年)から現在(平成25年)まで32項目が記されている。
昭和46年、南沙織デビューで沖縄ブーム
昭和47年、本土復帰・離島ブーム。日中国交回復。に始まり平成25年の新石垣空港開催まで。なかでも私が記憶に残っている最高のPRは昭和55年の第一回日本一早い海開き開催だ。(現在では八重山の石垣市、竹富町、与那国町の3市町が毎年ローテーションで順に開催する。竹富町は島が沢山あるので開催するビーチが変わる)私がNHKの全国ニュースで見た映像は昭和55年か翌年くらいだった。3月の下旬、東京には珍しく大雪が降り、山手線はストップ、都内の道路も大渋滞の日だった。あたかもその時、南国の石垣島では青空が広がり、真っ白な砂浜に地元青年団がぱらぱらと集まっている。カメラの先には二人のビキニの美女!!JALとANAのその年のキャンペーンガールが登場し浜辺に走る。海に入ってもOK。石垣島の3月の海中の平å
��気温は21度を超す。「行った人から夏になる!」というキャンペーンもあった。私は3月ともなれば花粉症に襲われ、鼻はぐすぐす、目は赤くなり、くしゃみ連発、急に熱っぽくなり汗をかいてすぐにぞくぞく、と完全な病気にかかっている。うつろな眼でテレビを見れば、青い空と青い海、ビキニの美女がそろって海開きだ。インフォマーシャル(インフォメーション+コマーシャル)の完璧な例として記憶している。この年(昭和55年)の入域客は357910人(観光客は推定211244人)、22年後、平成14年のNHK朝ドラ「ちゅらさん」効果で沖縄・石垣ブームが起きた。この年の入域客は752830人(観光客は推定613362人)。3倍に増えている。そして現在は1102534人(観光客は推定937024人)と、石垣を訪れる観光客は沖縄観光の約7分の1を占める
ようになった。
今年の日本一早い海開きは3月22日(日)与那国島で開催される。
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【5】《EACI会員からの投稿》
小島正憲
(株式会社小島衣料オーナー、アジア・アパレルものづくりネットワーク代表理事)
「アジア読書録 vol.3『カンボジアに村をつくった日本人』
(森本喜久男著、白水社、2015、2)」
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この本は、森本氏の自叙伝のような趣の書である。京都の友禅職人であり、工房の経営者でもあった森本氏が、カンボジアの伝統絹織物に魅せられ、艱難辛苦を乗り越え、観光地シェムリアップの近くに、伝統絹織物の村を築き上げていく過程が書き込まれている。染色技術などの専門的な解説などもあって、若干、回りくどい面もあるが、それを除けば、森本氏の思想と30年余の軌跡がよくわかる好著である。
森本氏は自らの立ち位置を、「援助とは、モノをあげることではない。貧しい人たちの自立を助けると言いながら、物資やお金をもらえて当たり前とばかりに口を開けて待っているだけの村びとを増やしていては意味がない。人間の“欲”は大切である。それは、モチベーションそのもの、やる気につながる。しかし、貧しいことを理由に、手を動かさず口を開けて待っているだけの欲は、人間をダメにする。NGOなどが主催するセミナーや講習会のなかには、主催団体が参加者に参加費を払うケースもある。しかし、それは参加者を多く集めるだけのことに思える。多くのプロジェクトは、そのプロジェクトの実施期間が過ぎると、消えてなくなることが多い。それとも関係するように思えるのだが、いったい誰のためのセミナー�
�のか、誰のためのプロジェクトなのか。わたしたちは、小さな種を提供する。ときには、その種を植えるために必要な鍬も。しかし、そのあとは村びと自身の努力が基本。だから、本当にやる気のある村びとと出会うことが大切だと考えている」と、説明している。私もまったく同意見である。
森本氏はシェムリアップで織物工房を開き、多くのカンボジア人と共に働いている。しかし本書の中では、労働者や従業員という字句はいっさい出てこない。すべて「研修生」という字句で統一されている。森本氏には、工房が会社であるという意識はなく、したがって氏自身も経営者であるという意識はない。否、経営者という立場が嫌いなのだろう。それでもその工房の資金繰りは、いっさい森本氏の双肩にかかっており、工房は幾度となく財政ピンチに見舞われている。またスタッフに裏切られたり、出入り業者に騙されたり、経営者同様の苦労を重ねている。それらの苦難をはねのけ、森本氏は立派に村という共同体を作り上げた。その思想的根拠を、本文中に見出すことができる。
森本氏は1948年生まれ、つまり団塊の世代である。しかも反体制意識の強い京都生まれである。森本氏は、「十代のころ、わたしは油絵描きを目指していた。アンディ・ウォホールの複製画は、色あせながらも今もわたしの部屋にかかっている。どうしても使いたい色の絵の具を買うために、食事代を削っていた記憶もある。当時のわたしはいわゆるマセガキだった。定時制高校に通いながら、アルバイト先で知り合った自称“詩人”や絵描きの卵、3~4歳年上の大学生たちの議論の輪に加わり、“マルクス=エンゲルスの芸術論”やヘーゲルの“美学講義”などを繰り返し読んでもいた」と書いている。つまり森本氏は、当時の京都の革新的雰囲気に育まれたのである。
先日読んだ『カンボジアで出会いたい100人』の中でも、森本氏は紹介されている。そこで森本氏は、「世界一と言われるような布を作り続ける」と決意を表明している。同時に、「先日、医者から癌だと宣告されました。そしてあと2年の命だと伝えられています。でも、治療を受ける気はないです。自然とともに自然に死ねるように、そう考えています。一日一日、日々大切に生きる。人間は賞味期限がある生き物です。今日できることは今日やって、自分が伝えられることは、勿体つけずに伝えていきます。そうやって時代は変わっていくのですから」と書いている。潔い決意であり、私もこの森本氏の姿勢に学びたいと思っている。
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【6】《連載》検証・フテンマ(琉球新報より)
第2部 米国の深層 vol.11「妨害の始まり」
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2009年8月の衆院選を約1カ月半後に控えた同年7月19日。民主党公認
候補(当時)の玉城デニーの応援演説をするため、沖縄市民会館で登壇
した党代表・鳩山由紀夫(当時)は、ホールを埋め尽くした聴衆を前
に、県民の大きな期待を感じていた。熱気と高揚感が会場を包んでい
た。米軍普天間飛行場の返還・移設問題について触れた。
「県民の気持ちが一つならば、最低でも県外の方向で、われわれも積
極的に行動を起こさなければならない」。さらりと出た言葉だったが、
県民の心をつかむには十分だった。
民主党が勢いを増す象徴的な場面だった。同党は衆院選で県内4選挙区
中、玉城を含む公認2候補を当選させる。普天間移設の「最低でも県外」
は、多くの国民から事実上の公約として捉えられた。
鳩山の発言から約1カ月後。衆院選を10日後に控えた8月20日早朝の米
首都ワシントン。古典的なドーム型建築が特徴的な国会議事堂周辺レス
トランに、米民主、共和両党の議員秘書ら約10人が集まった。在米日本
大使館の職員が呼び掛けた説明会に出席するためだ。米政府にも影響力
がある民主党の著名なベテラン議員秘書らの顔が見える。秘書の中でも
上級の「チーフ」も参加している。
大使館職員2人のうち「後輩」が、衆院選を前にした日本国内の政治情
勢について一般的な説明を始めた。
政権を担っている自民党と野党の議席数、自民党のそれまでの政策、
来る衆院選に関する国内メディアの世論調査状況と民主党勝利の予測、
選挙後の与野党の議席見通しなどについて述べた。
秘書らは食事を取りながら聞き入った。今度は大使館の「先輩」が説
明を代わった。
その内容は次期政権を担う民主党のマニフェスト(政権公約)に対す
る批判だった。
「We negotiated so hard(私たちは激しい交渉をした)」
日米両政府が長い時間をかけ、辺野古移設などの在日米軍再編に合意
したと強調する言葉だった。そして先輩は、民主党が普天間を含む米軍
再編の見直しを公約に掲げていることを挙げ、「米政府の立場を変える
のは難しいだろう」「日本政府の立場は一貫性がある必要がある」と、
持論を展開する。
日米合意した辺野古移設計画を変えるべきではない-。そんなメッセ
ージだった。さらに先輩は民主党関係者に会ったら合意変更は難しいと
伝えるよう、米議員の秘書らに促した。
総選挙での国民の審判を経て政権の座に就こうとする公党の公約に、
外務官僚が反対の立場から他国関係者に働きを掛けていた。日本の事情
をあまり知らない秘書らは淡々と説明を聞いていたという。
ことし10月、その場にいた1人の男性が取材に応じ、「大使館職員は
Presumptuous(せんえつ、出しゃばり)だった。(日本政府に対す
る)”逆外圧”であり、信じられなかった」と振り返った。
政権の誕生前から、「最低でも県外」に対する逆風が政府内で吹き始
めていた。(敬称略)(「日米廻り舞台」取材班)
◇ ◇
米側に在沖海兵隊の駐留や普天間飛行場の県内移設の必然性を疑問視す
る意見がある中、県外・国外移設の検討はなぜ頓挫したのか。阻んだの
は何か。軍事的な所要でなく、政治的理由から過重な基地負担を強いら
れる背景を探る。(琉球新報提供)
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