2013年の11月に太陽に大接近して太陽に飲み込まれた「アイソン彗星」は記憶されている方も多いだろう。
放物線または楕円軌道を描いて太陽に接近する彗星は沢山あるけれど、この年にやって来たアイソン彗星は他の彗星と違って、極端に太陽に近い軌道を通る事から消滅の危機も想定されていたが、その危機を脱せれば太陽に近づいた分だけ彗星の氷が溶けて大きな尾が見えるはずだった。
そんな期待の朝、まだニュースでもその情報は流れておらず、期待に胸を弾ませながら家の近くでその彗星が上がってくるべき東の空を写真に収めていた。
今は昔と違って、デジカメのため撮った写真はその場で確認できる。
明け方の彗星だから、彗星の核より尾が先に昇って来る事は天文好きな人ならだれでも知っている。
刻々と時間が過ぎ、核が昇る前からシャッターを切っていると、モニターには大きな尾が写っていた。
「おーッ!太陽に近ついた後、予想どおり凄い彗星になったなぁ~!」
なんて、独り言を云いながら夜明けを迎えた。
早速、ブログにその写真をUPしたがその後、「それって彗星の尾じゃないんじゃ・・・・」のコメント。
会社の昼休みに彗星が太陽に飲み込まれて消滅したことを知った。
・・・・・と、そんな期待と屈辱の正体は何だったのか?
ずっと気になっていたが、先日ちょっとしたきっかけから彗星の尾もどきの正体の予想が付いた。
今年の夏から東の遠くの山の山頂に明るいライトが点いた。
「何で、あんな人気の無い山頂に明るいライトが点いたんだろう」と不思議だったが、星仲間からそのライトは御亭山の山頂に設置された街灯だと言う。
そこは多くの天文ファンが星の写真を撮りに行くところとして有名なところだった。
でも、その麓には、ある照明器メーカーの工場なのか研究所なのか知らないが、電球の耐久テストらしき事をやっていて24時間凄いビームを夜空に放っているところがあるのを知っていた。
アイソン彗星の昇って来るはずだった東の遠くに見える山が「御亭山」だったとはこれまで知らなかったが、今回の山頂に点いた街灯騒ぎで、その方向と「御亭山」が始めてリンク付けできた、しかもその照明器メーカの方位と同一であろうと予測できた。
確かめるべく、昨晩マツさんと現場に行って見た。
これだ!
この会社までは、私の家から直線で約14km程度離れている。
当時、私が彗星の尾と間違えた写真はこれ。
正しく同一の光跡だ。
彗星の尾は真っ直ぐ伸びる尾と、少し角度の違った方向へ伸びる尾がハッキリ見える彗星も多い。
次の写真は1997に撮ったヘールボップ彗星だが、こんな感じになる。
あの忌まわしい彗星の尾の様な光跡は、これまでの自分の中にある情報と、巨大彗星となって見えるかも知れないとの情報、そして紛れも無く彗星が現れるはずだった方角まで合致して、迷うことなくアイソン彗星が巨大な彗星と化して、東の空に現れたものとして疑う余地を失っていた。
言い訳がましいが、そんな偶然も人生の中ではあるんだろう。
2年も経って、正体を明かす事ができた。
でも、自分の中では凄くすっきりした。