こだわり米専門店スズノブ 西島 豊造(五ツ星お米マイスター)の豊かに造ろう

様々な現実を見つめらがらも、日々を前向きに考えて進んでゆくためのブログです

水稲栽培研修会の資料

2016年01月14日 18時16分10秒 | Weblog
昨日「島の香り隠岐藻塩米」のFacebookで「水稲栽培研修会が開催されました」という投稿があり、「島根県 島根米こだわり米部門アドバイザー」の自分としては、「内容を知らないまま」とは出来ないので、当日の資料をメールで送ってもらった。
 
そして、そこで見た、驚愕の事実。
2時間のサスペンスドラマよりも面白い内容であった。
 
JAしまね「農業戦略実践3ヶ年営農計画 ダイジェスト版 抜粋 JAしまね農業戦略・・・耕そう!!しまねの大地 実現に向けて」という資料。
 
ド素人に説明する内容だとしても酷い。
なにを言いたいのか判らない。
 
1.消費者や実需者に選ばれる「島根県産米」の生産・販売対策
まぁ、なんと薄っぺらい説明なんだろう。
これでお米が売れるのであれば、苦労はしない。
 
「多様な販売先に向けた品質確保対策として・・・」って、なんじゃい。
こんな程度と考え方で、消費者が買うはずはない。
おまけに、「特A獲得に向けた・・・」って、偉そうに書いてある。
 
「なめるな」と、怒り心頭!
 
2.品質向上に向けた品種誘導
「コシヒカリ」55%「きぬむすめ」30%「つや姫」15%だって。
さらに、「効率的作業の実践と担い手への集積、効率作業機械への更新による機能性向上」なんたらかんたら。
売れてもいないのに、どこからこんな数字が出て来たのだろうか。
 
根本的に、この考え方は「差別化ではない」。
「平均品質の大量生産」だ。
平均点を作ることが「品質向上」とはならない。
 
これで担い手の集積とは・・・。
どんな人が言ったことが文字になったんだ。。
 
3.水田フル活用の取り組み
飼料用米や加工用米、麦・大豆等地域特性を生かした品目で水田フル活用をすすめる。
多収栽培技術の向上による生産者所得向上、なんたらかんたら。
 
あーもう。
虫が増えるだけだわ。
そのために、農薬増やすのかい。
水田使えば良いっていうことでは無い。
 
おまけに、「「つや姫」にはこんなにたくさんのメリットがあります。」というページ。
関西のA卸からの「関西系量販店に島根県産つや姫を納品している・・・」というコメントと、約6500店の中食業態に納入する九州のB社からのコメントが載っている。
つまり「つや姫」は、ブランド米ではなく、業務用米にしていく予定ということだな。
 
では、石見銀山地区本部のブランド化計画は、始めから必要ないということなのではないだろうか。
テレビで紹介したことも無意味だったということ。
  
なるほど、これがJAしまねの考え方だったのだ。
であるなら、「島根県 島根米こだわり米部門アドバイザー」の自分を、島根県に呼ばない訳だわ。
自分の言っていることと、真逆だものな。
 
こりゃ駄目だ。
打つ手が無い。
3地区本部のお米だけをブラン米として育てるって考えても、島根全体が足を引っ張るのは確実。
作戦なんて、立てられるはずもない。
これで出来るとしたら、真に奇跡だわ。
 
何のための「島根県 島根米こだわり米部門アドバイザー」だったのだろう。
ため息しか出ないな。
 
今回の資料で参考になったのは、隠岐地区本部に対してのデータだけ。
これによって、「島の香り 隠岐藻塩米」のダメな部分が見えてきた。
やっぱり考えていた通り、地力は目茶苦茶だった。
これでは、「島の香り 隠岐藻塩米」の実力は出ない。
まず、地力を復活させなければ・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

隠岐から3回目

2016年01月14日 17時03分56秒 | Weblog
昨日に続き、島根県のJAしまね隠岐地区本部から、ブランドシートが届いた。
2回の修正をしたので、これで3回目となる。
でも、また修正をお願いした。

駄目なのではない。
確実に、そして明確にしてもらいたいからだ。

JAや普及員が中心になっていていたり、市役所などが中心になってブランド化をしている場合、どうしても避けられないことがある。
それは「担当者の移動」。

当たり前のこととして、「ブランド米にしよう」という旗振り役が居て、初めてブランド化計画が動き始める。
ほぼ、その旗振り役はJA・普及員・市役所などの担当者である。
ということは、数年後には移動となってしまう。

ブランド化をしていくには、スタートから3年が一番大切。
その3年の成果によって、プラス2年の計画がたてられ、実行されていく。
つまり。
ブランド化している最中に、旗振り役が居なくなってしまうのだ。

これを避けてもらうために、ブランド化している産地に対しては、ブランド化計画が安定するまで、担当者を移動させないようにとお願いをしているが、なかなかワガママは通らない。
結果、担当者の移動によって、ブランド化が頓挫してしまったという例は、数えきれないほどある。

担当者が移動になることによって起こる問題は、「ブランド化計画の原点が見えなくなってしまう」ということ。
さらに、発起人と引き継ぎの人との、「ブランド米にしたい」という、思いの温度差。
他にも、山ほど問題点はあるが、こういう事の積み重ねで、ブランド化計画は止まってしまうのだ。

それは、隠岐地区本部としても例外ではない。
なので、担当者が代わっても、同じ考え方で計画が進んでいくように、ブランド化計画は作っていかなければならない。
そして、そのベースの1つとなるのが「ブランドシート」ということになる。

だから、修正に修正を重ねてもらっているのだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「魚沼コシ」の苦悩

2016年01月14日 16時29分53秒 | Weblog
日経ビジネスONLINE2015年12月25日(金)に「最強ブランド「魚沼コシ」の苦悩 「ブランド化」と「効率化」のはざまで」という記事が出ていた。
会員にならなければ前ページを読むことは出来ないが、読むに値する記事だとは思う。

内容の一部を紹介すると
農協が集めるコメの量も、ここ数年減り続けている。
農家の数が減っているから当然、と思うかもしれないが、事情はもう少し複雑だ。
機械が壊れて農家が引退しても、その田んぼをほかの農家が引き受けているから、とくだん耕作放棄が増えているわけではない。
 
田んぼの面積は減っていないのに、出荷が減り続けているのは、天候のせいでコメの生育が悪かったからだ。
平年並みの収量だと作況指数は100。それが2013年は104で、去年は102、今年は97だった。
そう聞くと、収量が減ったのだから、農協への出荷も減るのは自然なことだと思うかもしれないが、ことはそう単純ではない。
 
コメ農家は収穫するとまず、自分と家族が食べる「飯米」を確保する。
つぎに優先するのが、親戚や知人に配る「縁故米」だ。
この2つの数量は減らさないで、作況による収量の増減は農協に出荷する量で調整する。
売り上げをかせぐための出荷は後回しにするという点に、稲作の多くが「ビジネス」に脱皮できないわけがひそんでいると考えるのはうがち過ぎだろうか。
(中略)
潮目を変えるきっかけになったのが、ゆめぴりかやつや姫などの新興ブランドの台頭だ。
担当者はその脅威を「各産地が『魚沼コシに追いつけ、追いこせ』をかけ声にがんばった」と表現する。
そして魚沼コシと言えども、コメ消費の急激な減退による米価下落のらち外にいることはできなかった。
(中略)
ここで構造的な問題に触れておこう。
家庭でご飯を食べる機会が減るなか、いま有望な市場になっているのが、大手外食チェーンやコンビニおにぎりなど業務用のコメだ。
ところが魚沼コシでこの市場を大きく獲得するのは難しい。
業務用のコメは値段の安さが求められるため、広い平地などで効率的につくる必要があるからだ。
魚沼コシにとって業務用は、ごく一部の高級料理店などを指す。
その市場はそれほど大きくない。
(中略)
その結果、農協出荷の魚沼コシは相場の影響をまともに受けることになる。
しかも、もともと値段が高く、流通量が少ないという特性があるため、価格の振幅はふつうのコメより大きくなる。
下落のリスクがある半面、上昇のチャンスもあるから問題ないと思えたのは過去の話だ。
これだけコメ離れが進むと、値段が大きく上がって翌年の注文が減ることのほうが心配になってきている。
 
打開策を尋ねると、担当者が「それがわかれば、苦労しません」と答えたのはこういう意味だ。
担当者は「いまはお歳暮やお中元などの贈答用が中心。
多少高くても、もっとふだんから食べてもらうことはできないでしょうか」と訴えた。
それがうまくいけば売り上げは劇的に増えるだろう。
だが、「ふだんの食事」と「高級ブランド」を両立させることは相当に至難のわざだ。

「顔の見えるブランド化」と「大規模経営による効率化」という二極の戦略のはざまで、魚沼コシが揺れている。
じつはこれは、値段の違いこそあれ、特徴を出しきれていないコメ農家のほとんどが直面している難題でもある。
(省略)
 
記事を読んていて感じたのは、南魚沼地域の話なのかな?ということ。
JA北魚沼でも、例外ではないが、こんな状態にはなっていないと思える。

苦悩する部分は、魚沼だけのことではなく、日本中どこも一緒。
最強ブランドと言われる「魚沼」でも同じ。

でも、記事を読んでいて、違うと思った部分がある。
それが
「ふだんの食事」と「高級ブランド」を両立させることは相当に至難のわざだ。
という1文。

どうしてこういう考えになるのだろう。
絶対に、こんなことにはなっていない。
産地側が勝手に線引きをしているだけだと思う。

消費地の現状を、もっとシッカリと把握していれば。
消費地のマーケット事情を理解していれば。
こんなイメージは出てこないと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

激古「三本の矢」

2016年01月14日 16時03分32秒 | Weblog
宮城県の「河北新報ONLINE NEWS 2015年12月24日木曜日に「多収米・高品質・新戦略 栗っこ農協「三本の矢」」という記事が出ていた。
当日記事は読んでいたのだが、あえて今頃になってコメントする。

記事内容は、以下の通り
宮城県栗原市の栗っこ農協は来年度、顧客や消費者の需要に応じ、多収米と高品質米などを生産する三つの販売部会を設置する方針を決めた。
栗っこ農協は顧客の要望に対応する「マーケットイン」を生産戦略に掲げており、コメ産地側の生産態勢強化により、全農との取引と並行しながら独自の取引先拡大を図る。
多収米に取り組む販売部会の設置は珍しいという。
「低コスト・多収生産販売部会」「高品質・良食味米生産販売部会」「米次世代戦略品目部会」を来年4月中に設置する。
生育状態の把握や情報交換を目的に市内8地区にある稲作経営部会などは併存させる。
多収部会では、多収の直播栽培用品種「萌(も)えみのり」の作付けをことしの220ヘクタールから来年は350ヘクタールに拡大する。
2017年に500ヘクタールを目指す。
多収技術を向上させ、現在の10アール当たり収量522キロを5年後に720キロに増やす。
コンビニのおにぎりや外食産業向けとして東京の米穀卸に全量を販売する。
車の両輪のもう一方に位置付けるのが、高品質部会。
富裕層や高級ホテルなどを念頭に、ひとめぼれやつや姫の高品質化を目指す。
米を選別するふるいの網目を広げ、米を大粒化させる。部会員には高い技術レベルを持つマイスターの認証を与えることを検討する。
戦略品目部会は、飼料用米を含む次期有望品種を試験栽培する。
肥料や農薬などの試験も行う。
いずれもモデル水田には、日ごとの水温や地温、気温を測定する装置「e-kakashi」を設置し、積算温度などの情報を分析する。
経験や勘に頼ってきた栽培工程をマニュアル化し、品質の均一化を図る。
農協は「環太平洋連携協定(TPP)の大筋合意、産地間競争の激化など稲作を取り巻く状況は厳しい。産地として生き残るためには、バランスの取れた品種構成、高い品質や食味の平準化が必要だ」と強調する。
部会設置を25日に栗原市内で開く集会で発表し、農家の賛同を得たい考え。

読んで直ぐに感じたのが、「お米にこだわる消費者を、JAは必要としていないんだ」ということ。

顧客の要望に対応する「マーケットイン」が生産戦略。
全農との取引と並行しながら独自の取引先拡大を図る。
ということで設置されたのが
「低コスト・多収生産販売部会」
「高品質・良食味米生産販売部会」
「米次世代戦略品目部会」

全部産地目線で、大消費地のことは考えられていない。
いや、考えているのか「コンビニのおにぎりや外食産業向け」としてだから。
産地の将来を考えていないのか。

「高品質・良食味米生産販売部会」は、富裕層や高級ホテルなどを念頭にだって。
「富裕層」ってなに?
中国人のこと?
もしかしたら、消費地に住んでいる人は全て「富裕層」とでも考えているのだろうか。
説明の中には、「米屋」の文字は一つもない。
一番大切な「消費者」の文字も出てこず、「富裕層」という、意味不明で誰も使用しない文字が・・・

消費地マーケットについては、どうでもよいという考え丸出し。
「産地が作ったものを、消費地に送り込んでしまえば、全て終わり」的な、昭和の流通が、まだ現役で動いているということだろう。

なんだ、このズレ。
呆れ返って、開いた口が塞がらないどころか、顎が外れる。

産地の限界が来ているし、日本中の産地同士で大戦争が始まっているのに。
まるで「鎖国」だ。

「生産量が多いから、フットワークが鈍い」なんて、言い訳にもならない。
「均一な品質が大切」なんて言い訳すれば、スーパーがターゲットだということは明白。

自分が産地に行って説明したことは、100%無意味だったということ。
多分「たかが米屋1件の遠吠え」程度で聞いていたのだろうな。

ブランド化計画を作るといっても、この産地意識では、ブランドシートの項目の全てを埋めることは、まず出来ないだろう。
埋めたとしても、90%以上の確率で実行できないと思う。

どうするかな。
思った以上に駄目産地というか、駄目JAだ。

助けようと、蜘蛛の糸を下しているのに、糸を掴もうともしてくれないみたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

長野にデータを伝える

2016年01月14日 14時31分11秒 | Weblog
朝一番から、長野県と普及員の訪問があった。
訪問理由は、長野県の新品種である「風さやか」の今年の品質・販売状況・消費者の反応、ブランド化していくにあたってのポイントや注意点、さらにアンテナショップなどで販売していくにあたっての販売方法などについて。
 
なので、10月31日から販売を始めてから、自分として気が付いていることの、ほぼ全てのデータを伝えた。
データ内容は、長野県の宝物なので、コメントなし。
 
長野には、長野としてのブランド計画を。
「超米屋」が動き出していることもあるし、産地同士の戦いも始まっている。
こういう事は、今迄もあったのだが、表面化していなかっただけ。
それが今年からは、当たり前のこととなっただけ。
 
だから、敵に塩を送るような情報は出さない。
 
公開できる内容としては
・「風さやか」Facebook
・全量が特栽以上
・地域性を生かした栽培指針
・生産者の登録
・販売店の登録
・販売店の把握
・販売実績の把握
・消費者の感応の把握
・おかず
・ご飯の友
・炊き方
・・・・etc
つまり、公開している部分は、どこの産地でも言っていること。
長野だからということではないのは、見てもらえば判ること。

1か所1か所、確実に前に進み始めている。
「自分の産地は、今どうなっているのか。どこまで動き出ているのか」
他人事では済まされない時代。

それでも一人でやるのか。
新しい時代を、地域として作っていくのか。

自分の産地は勝ち組なのか、負け組なのか。
結果は、しばらく待てば出る。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする