風の咆哮と 叩きつけるような雨
荒々しい原始の力を見せつけながら 台風は去って行きました
シンと静まり返った野に 虫の音が戻ってきました
こんな アイヌの昔話があります
ある日 風の女神・ピカタカムイは 刺繍をする手を休め 人間の世界を覗きました
大きなアイヌの村が見え そこでは みな楽しそうに暮らしていました
悪いいたずら心が ピカタカムイに湧いてきました
刺繍した「嵐を起こす着物」に 手を通すと 空を飛び 山の頂で
風を起こす舞を 舞い始めたのです
着物の袖口から 激しい風が湧き起こり 山から海へと吹きつけました
強風は 海に大波を起こし 大波は村に襲いかかり 村を跡形もなくしてしまったのです
たった一軒残った家が 目に留まりました
「 なんと こしゃくな人間め! 」
ピカタカムイは その家も吹き飛ばし
すべてを破壊しつくそうと 酔ったように なおも舞い続けたのです
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結局 ピカタカムイは
神の国から アイヌの国へ行った オキクルミという若者に 懲らしめられ
二度と こんな悪さをしないことを 誓うのですが・・・
自然への畏怖が 伝わってくる話ですね