「 もうすぐ 閉園時間だよ 」
優しい声に ふと我に返った
バラ園の門を出ると
背後で 扉が閉められる ギィー という音
道草ばかりくっている私を
いつも 見守っていてくれるのね
「 ありがとう! 」
そう 言いながら 見上げると
あなたは・・・
あなたも・・ 薔薇???
まだ 熱があるのかも~
「 もうすぐ 閉園時間だよ 」
優しい声に ふと我に返った
バラ園の門を出ると
背後で 扉が閉められる ギィー という音
道草ばかりくっている私を
いつも 見守っていてくれるのね
「 ありがとう! 」
そう 言いながら 見上げると
あなたは・・・
あなたも・・ 薔薇???
まだ 熱があるのかも~
「 急性薔薇熱ですね 自然に治りますから 大丈夫 」
もう一度 モニター上のデータに 目を走らせるのは
理知的な横顔の 女医さんだ
「 今までも何回か 同じような症状になったことあるでしょう? 」
( そうそう・・・ )と 頷く
「 毎年5月は この病気が流行るんですよね 」
そう言えば・・・
今まで 木の刈り込みもしなかった 近所の家の庭が
突然 たくさんのバラの咲く庭に変身した
きっと 彼女は 重症の薔薇熱に罹ったのだろう
不思議なのは 塀で隔てられた 冷戦状態の隣の家の庭も
バラの庭となったこと・・・
とすると 薔薇熱は 視覚感染???
会計を済ませ
「 お大事に 」という 受付の言葉に見送られ 外に出た
熱は下がり始めたし もう大丈夫 !
ところで 何という名の 医院だったっけ?
振り向くと
「 ROSEクリニック 」という看板が 目に飛び込んできた
「 目を閉じて! 」 そう 囁くのは 誰?
目を瞑れば 頬を切るような 冷たい空気
明るく輝いていた陽の光が 陰るのを感じる
柔らかな羽毛が 微かに頬に触れた感触
そっと目を開くと ひらひらと舞い落ちるのは・・・
雪 ???
まさか・・ もう 初夏も終わろうとしているのに!
雪は 次第に激しく 視界も遮るほどに 降りしきる
と 雲間から 陽が顔をのぞかせた!
辺りは 明るくなり
降り続く雪も 急速に力を失っていった
気がつくと 目の前には つるバラが
純白の花を たわわに枝垂れさせ 咲き誇っていた
「 すっかり冷え切っている! 温めてあげましょう 」
声のする方を向くと 真紅のバラが微笑んでいた
言われるままに 指先を触れると・・・
炎のように 燃え上がる情熱が 注がれてくる
アチチ~
思わず 手を引っ込めた
*** 1枚目の写真 サマースノー、 2枚目の写真 タランガ ***
「もう少し 一緒に 居てほしいの・・・」
心細そうな声が 立ち去ろうとした 足をひき止めた
夕闇が 立ち込めてきた
そろそろ 帰らなければ・・・
美しく 華やかな人なのに
キラリ
光ったのは 涙 ?
芳しい香りが 絡みつく
幾重もの 胸元のフリルが揺れる
彼女の目が 私を見つめる
Love you !
心を震わせながら
バラが そう囁いているような 気がしませんか?
思わず 「私も・・・」と
夢中で 何枚も シャッターを切ってしまいました
Love you
それは このピンクのバラの名前なのです
ぴったり ですね
*** 神奈川県立フラワーセンター大船植物園にて ***
トウキョウ トッキョ キョカ キョク
という風に 聴こえる
ホトトギスの声
夏鳥が やって来たのだな・・・
畑のコンポストに寄って 生ゴミを捨てながら そう思った
いつの間にか オオムラサキツユクサも 咲き始めている
下の写真の左端 白いものは 何だろう?
と 思ったら・・・
もしかして モモコ???
ポピー国の なかでも
オリエンタル一族は
気性の激しさで 有名なのだ
この一族には 代々
生まれながらに 花びらの基部に 黒い班がある
人はよく 陰では 「鬼ゲシ」と呼ぶ
その中でも
ひと目見たら 忘れられないほどの
燃え上がるような 真紅の オリエンタルポピー
他の色と 同調する気など 少しもなく
激しい 情熱をたぎらせている
ヤマボウシの花も 咲いてきた
これは 1年前に撮ったものだけど
自分でも 大好きな写真なのです
風で 大きな波が うねるような ヤマボウシの枝
深い緑の海の中で
白い羽を広げ
まるで 優雅に羽ばたいているみたい
腕いっぱい 摘んだ花
真っ直ぐに 降り注ぐ 光に
青い空を 見上げる
生きる喜びに溢れた 季節なのに
心に 伝わってくるのは
いくつもの 不安や 悲しみ
この花が
あなたの許に 届けばいいと願う
そして
少しでも 心が 休まりますように