初台リハビリテーション病院は今年の春まで、K先生が院長だった。
その、K先生が
診察の度に「家事は立派なリハビリですよ」と言い
「どんな事でも、リハビリになるんですよ」と、言っていた。
歩いたり、自転車漕ぎをしなくても、
家事をするだけで立派な自主トレになると、いつも患者の後押しをしてくれたように思う。
リハビリに行くのも楽しみだったけど、診察も楽しみ……
K先生と話すのが、女同士という事もあり、色々と細かい事が分かり易かった。
家事の中で私がやる、って決めているのは、三つだけ。
朝食……簡単なものだけど、用意したり、後片付けも、今は私の仕事に決めている。
洗濯……洗うのは洗濯機だけど、干すのは、ハンガーに掛けたり、小物干しに掛けたりして、
お風呂場に干す…乾いたら、勿論取り込んで、畳んでしまう。
掃除……掃除機をかけるだけだけど、終わると気持がいい。
どれも、時間をかけて楽しみながら、左手だけで、最後まで、やる。
時々、利き手の右手が大丈夫なら……どんなに楽かと思うけど、左利きの人もいる。
要は、どちらが使えなくても、関係ない事かもしれない。
Kは、私が「手伝って」と言わない限り、口出しも、手だしもしない!
そうやって、少しづつ出来る事を増やしているけど……
どれも、麻痺手の右手のリハビリには、ほど遠い!
利き手の右手は相変わらず、熱く、熱ーーくなって自己主張だけはしている。
夜だけではなく、四六時中……右肩から右腕、右手まで、熱い。
Kに言って、そこを触ってもらっても、冷たいだけ……不思議な事?!?
