畠山義綱のきままな能登ブログ

畠山義綱が見てきた史跡を紹介します。
時々、経済や政治などもつぶやきます。

100兆ドル札?

2009-02-01 19:09:16 | 政治・経済
 失政により経済が破綻した国、アフリカのジンバブエ。2008年の7月の段階で最高額紙幣が1000億ジンバブエドルだった。その時点で1米ドル=約5700億ジンバブエドルというレートで、およそ1円=約64億ジンバブエドルというレートだ。つまり、1000億ジンバブエドル(2008年7月時点)あっても、日本円にして1000億ジンバブエドルは15円ほどの価値(当時)しかない。ジンバブエは経済破綻ゆえ、物価は日ごとに上昇し第一次世界大戦後のドイツなみにハイパーインフレが進行し、そのインフレ率はアメリカのシンクタンクの計算によると、年897該(がい)%にものぼると言う(単位は兆→京→該)。そこで、2008年8月、ジンバブエ政府は1/100億ジンバブエドルのデノミネーションを実行した。
 説明しようデノミネーションとは通貨の切り下げのことを意味し、1/100円のデノミといえば、現在の100円が1円となることを指す。
 しかし、一ヶ月でも数万~数百万%のインフレーション(通貨の価値下落)が起こっているジンバブエではこのデノミですら意味をなさなかった。当初こそこの10桁のデノミで生活で使うお札が「100」とか「1000」とかのいわゆる平常値になったものの、すぐにインフレ。
 そして、2009年1月にジンバブエ政府は「100兆ジンバブエドル札」の発行を行うことになった。わずか半年で100兆ジンバブエドル?
では実際のインフレ率を計算してみよう。
※2008年1月には1米ドル=200万ジンバブエドル
※2008年7月には1米ドル=5700億ジンバブエドル
※2009年1月には1米ドル=3400億新ジンバブエドル
ただし、2009年時点の為替レートは、2008年8月時点で1/100億ジンバブエドルのデノミを行ったので、旧ジンバブエドル換算にすると
※2009年1月には1米ドル=34該旧ジンバブエドル
 となる。2008年のジンバブエのインフレ率は、
34該÷200万=17兆倍のインフレとなる。
 17兆倍のインフレを日本に例えると、1円で買えた物が、翌年には17兆円になっている。100円の缶ジュースが翌年には1700兆円…。

…な・なんなんだこの計算。もう数字の遊びでしかない。日本にいるからこそ単なる数字の遊びでインフレ率を計算しているが、これはゲームでもなければ夢でもない現実のインフレ率である。当のジンバブエ国民にとってはとてもじゃない生活苦が待っている。

 2009年1月に「100兆ジンバブエドル」札が作られたというニュースが流れた。100兆ジンバブエドルで日本円にして約2万7000円程度。もっともこれもいつ1円以下の価値になるかもしれないが。ジンバブエでは、国民はジンバブエドルが銀行に入金されるとすぐに引き出し、闇ルートで外貨に両替するという。そうしないと、1日所有しただけで価値が目減りするのである。そして現在、ジンバブエ政府は政府が認めれば米ドルで取引を許可する制度を作ったそうだ。これで民間レベルで米ドルが流通し、ジンバブエドルはそう遠くないうちに駆逐されるだろう。
 経済というのは生き物みたいなもので、時に政府の施策では手遅れになってしまう場合がある。日本の国債などの残高800兆円。国民一人当たりで600万円ほどの借金を抱えていることになる。これほどの国などの借金が増えたのは実は平成以降の話で、それまでの日本の財政はほぼ健全であった。僅かここ20年間で借金が膨れ上がってしまったのだ。このままでいいはずがない。日本もジンバブエのように恐ろしいハイパーインフレが来ないことを願う。

ニュースソース
http://www.cnn.co.jp/business/CNN200901160014.html