若(も)し衆生有りて、淫欲(いんにょく)多からんに、常に観世音菩薩を念じて恭敬(くぎょう)せば、便(すなわ)ち欲を離るることを得べし。若し瞋恚(しんに)多からんに、常に観世音菩薩を念じ恭敬せば、便ち瞋を離るることを得べし。若し愚痴多からんに、常に観世音菩薩を念じ恭敬せば、便ち痴を離るることを得べし。無尽意(菩薩)よ、観世音菩薩はかくの如き大威神力有って、饒益(にょうやく)するところ多し。 法華経「観世音菩薩普門品第二五」より
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(これはさぶろうの解釈である。正確さに欠けている。読者は読者一流の解釈を施して下さい)
淫欲が起こって制止できないときには、観世音菩薩を念じよ。そうすればそこはたちまち観世音菩薩の住居となって、己の欲への我執を断ち切ることができよう。若し瞋恚(怒り憎しみ恨み)が立ち上がって来て制止できない時にも、観世音菩薩を念じよ、そうすればそこはたちまち観世音菩薩の住居となって、己の憎悪心という我執を断ち切ることができよう。若し、愚痴暗鈍無明の迷いが生じて来て制止出来ないときには、観世音菩薩を念じよ、そうすればあなたの胸はたちまち観世音菩薩の住居となって、己への侮蔑という我執を断ち切ることができよう。無尽意菩薩(仏陀の説法を聞いている人の代表格の一人)よ、観世音菩薩はこのようにしてあなたから我執を取り除くために、大威神力を実行されるのである。それがあなたに豊かな利益を与えることになるのである。
饒益(にょうやく)=豊かな利益を与えること。
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わたしはアメリカの大統領トランプさんのスローガンに次の点で一部一致している。トランプさんはアメリカ第一主義を詠って当選された。わたしは「わたし第一主義」を旗印にして暮らしている。これがわたしの淫欲を生む。瞋恚を生む。愚痴迷妄を生む。淫欲と瞋恚と愚痴はわたしの三毒である。でも、毒とは思っていない。だからこれを立てて、王の如く奉って、絶対服従する。これがわたしへの執着である。妄執である。
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わたしを絶対としているものは観世音菩薩を念じることが出来ない。わたしに絶対の力があると信じている者は観世音菩薩を念じることが出来ない。わたしよりも低く見積もってしまうからである。それを逆転するのは甚だ難しい。
我執はわたしを絶対としている者の業である。我執に引き摺られて行くしかない。欲望をほしいままにする。怒る嫉む恨む憎悪する。苦しむ。嘆く。暗澹とする。そして行く先々で自己侮蔑の穴にも落ちる。迷う。ふらつく。中心軸から逸脱することになる。
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観世音菩薩を念じることは至難の業である。よって仏陀は観世音菩薩普門品の説法をなさった。法華経の経典が誕生した。