帯広12時57分発。「いつもJR北海道をご利用くださいましてありがとうございます。この列車は特急スーパーおおぞら6号札幌行きです。停車駅は新得・トマム・南千歳・新札幌・終点札幌」とドア上部の流れる案内。「次は新得」という文字にはっとし、次の駅はもう降りなくちゃ!とさっき開けたばかりの9%チューハイを一気飲み。空き缶をゴミ箱に始末して、座席周辺はきれいになっているのを確認。少しずつチマチマと飲んでいたら、片手に飲みかけのまま持ち歩くのはみっともない。
特急は西帯広に運転停車。時刻表では「レ」(通過)と表示されているにもかかわらず、停車。なるほど根室本線は全線「単線」なので、すれ違いのため。
新得で降りなければならない理由は・・・
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経由が根室線・富良野線になっているため。スーパーおおぞらは札幌まで全線根室本線というわけではなく、新得で石勝線に乗り入れ、南千歳で千歳線を走行するパイパス的なもの。南千歳から夕張までは明治時代に開通されたものだが、夕張から新得間は険しい山脈が続くため、トンネルを貫通させるのに長年もの歳月をかけ、1981(昭和56)年に道東から札幌方面へのショートカット路線完成。開通する前までは、根室本線の滝川を経由していたため、道東から札幌方面へのアクセスはかなり遠回りにしていた。
芽室(めむろ)駅通過。根から芽が出る表現でまるで「根室」と「芽室」は兄弟やな・・・と思ったら、9%のアルコールの効き目が強すぎたせいか、まぶたが閉じる。閉じていれば、もうこの先は爆睡するパターン。スーパーおおぞら号の揺れがまるで「ゆりかご」のようなので、いつの間にかに夢の世界に突入~!!夢の世界を楽しんでいるさなか、いきなり、肩に指で突っつくような感じでトントントン。はっとして目覚めた。寝ぼけていたのか「誰ですか?」とあたりを見回すと、特急は駅に停車中。「あっ!!そうだったけ!新得駅で降りなければ!!」と火事のバカ力を発揮し、上の荷台に乗せてあったスーツケースを引っ張り出し、リュックを背負って、そのドア閉まるの待てー!!と飛び降り。
新得駅は釧路支社と本社の境界駅なので、ちょうど車掌さんの交代が行われ、新得駅から乗務する本社の車掌さんが指差し呼称。「しんとく」の駅名票を撮ろうとカメラを取り出そうとするが、ない!!!さっきの座席に置きっぱなしだ!!ドアが閉まる前の車掌さんに向かって両手を開いて大きく振るとかオーバーリアクションをすると、大きな赤っ恥になるし、定刻発車させるべきの特急を一時停車させるのも、迷惑がかかる。JR北海道だから何とかなる!!とここで冷静になり、ドアが閉まるのを見届け、ホームの安全を見守る車掌さんが目の前で通過。心の中で、「この車掌さんにお世話になります、よろしく頼むよ」
新得駅の改札口で途中下車小印を押印。特急券に無効印(JR北海道は北海道の地形を象ったゴム印)を押してもらって、「ありがとうございます」と切符を返したときに、「あの~相談したいんですが・・・爆睡しておりまして、私の座った席にカメラを置き忘れたんです。業務連絡でもして、確保することはできます?」私はJRに勤めているわけではなく、社内用語の「業務連絡」という言葉は使わないはず。「はい、かしこまりました。もし、見つかったら、どのようにされますか?」この言葉からにすると、札幌駅の忘れ物センターへ取りに行くか、着払いで自宅まで送ってもらうかのどちらかになりそう?と思い、「自宅まで着払いでお願いします」「はい!」と奥に引っ込み、無線でおおぞら6号の車掌さんと連絡を取り合っているのであろう。しかし、この先ずっとトンネル区間が続くけど、ちゃんと無線は届くか?と頭をよぎったけど、わずか数分後・・・「カメラは見つかりました。お客様のおっしゃるとおり着払いで対応させていただきます」「よかったです!!これからも安心して旅を続けられそうです!!」駅員さん苦笑い。
新得駅のてきぱきとした対応に感銘し、その後、御礼の手紙を出したところ、駅長さんから手紙をいただきました。今も大切にとってあります。
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根室で出会った人たちも心温まる対応、そして新得駅までも!!北海道は親切心に加え、人情厚いところなんですね。
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メインのカメラは札幌に行ってしまい、予備のカメラで撮影。それにしても、寝過ごさないため肩をトントン叩いた主は誰なのか、今でも謎です。
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新得から東鹿越までは線路流出による代行バスです。バスはJR北海道ではなく、地元のバス会社に委託。そのため、行き先を確認する改札実施。
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外国人観光客が増えているのか、多言語に翻訳された表示。
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バスの1番前の座席に座り、北海道の風景を堪能中。
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このような原風景が続くさなか・・・となりの駅、落合までなかなかたどり着かないのに気づく。次回に続く。