かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

どうしても破産しなければいけないの

2006-12-03 | 事例
2年前に会社は不渡りを出しました。
零細企業と云える小さい印刷・製版の会社です。前々日、社長は自殺未遂の入院中で、不渡りは必至のものでした。
全然解らないことを、弁護士の助言を得ながら母子で整理をしました。
群を抜く多額の大手仕入先が「ある時払いの催促なし」を約束してくれました。
軒数も少なかったためか、他の仕入先もすべてそれに倣ってくれました。
銀行はメイン行とその他2行です。
2行は知人の保証人が代払いをしてくれました。
当時飛び込みで相談した弁護士は、当初は破産を薦めましたが「この分ならばわざわざ破産をする必要も無いね」と今までの相談料と云って30万を受け取り、手を引きました。
こちらもお金が全然無く、入院費用も漸く払ったくらいです。弁護士の言う400万の破産費用など思いも付かず、破産はおろか、これ以上弁護士のアドバイス費用も払え無い状態でした。

それから2年経ちました。
勿論仕事は途切れております。運よく貰えるようになった年金だけが命綱でした。
担保の自宅兼会社のビルは、銀行に処分を依頼し、漸く売却出来ました。
売却すると自宅を明け渡さないとなりません。
年金だけでは家賃も払えず、知人の紹介で東北の小さな町の郊外に引っ越しました。奥さんのパートの働き口があると言うのも魅力でした。
そこにひっそりと引っ越したのです。

本人も月5万余のパートを見つけ、生活も落ち着くかと思ったのですが、此処の頃から旧債務が追いかけてきました。
先ずサービサーが3軒です。特に2行は保証人お代払いですべて精算されたと思っていましたが、保証は借入の1部でした。
のみならず、代払いをした保証人も「自分も事業が左前になってきた。少しでもよいから返済できないか。」と請求するようになったのです。
公租公課の未払いも出てきました。仕入先は何も言いませんが不気味です。

当人は此処で自己破産を決意しました。
会社は今はやっていないから保証人の債務が免責になればよいという考えです。
同時廃止の破産をすれば、自分で出来て、費用も夫婦で5万も掛からないと聞いて、決意は固いものになりました。
町の地方裁判所に行き、自分で同時破産の申請の仕方も聞いて自分で申請しました。書類の作り方も申請方法も簡単で何より裁判所は親切でした。
夫婦で36000の費用を払いました。
受け付けてさえしてくれれば先ず、破産は間違いなく認められると聞いていましたから、此処で漸く安堵したのです。

それから1月くらい経って、裁判所から封書が届きました。
中に「事務連絡」と云う書記官名の1枚の書類が有ります。
「あなたの破産申請は、あなたが代表者の会社の保証債務が殆どです。あなたの提出資料はこの会社のことについての試料が少な過ぎます。
あなたがこのまま破産手続きを進行させるためには裁判所としては管財人を選任して進行しないとなりませんら、時間も費用も掛かります。それはすべてあなたの負担になります。どうするか何時までに書面で返事をください。尚解らない時は裁判所は紹介できませんが専門家に相談することも一つの方法と思います。」と云う内容です。

要は一旦自己破産の申請を取り下げてください。
そして弁護士に依頼し、会社の破産と個人の破産を申請しなさいということです。
2年前に聞いた弁護士の400万と云う数字が鮮明に浮かんできました。

そういえば東京でも100万で個人の自己破産を請け負った弁護士が居ります。
裁判所は会社が破産をしていないからと受け付けません。
会社が自己破産をするのは費用もかかりますが、それよりそれが業界新聞に載れば第2会社まで信用を落とし、営業が出来なくなるでしょう。会社の破産は出来ません。
困り果てた弁護士は以後すべての外部からの連絡を受けて処理をしてくれます。
今はもう請求の連絡は殆どありませんが、弁護士は時効が成立するまでやってくれそうです。

結論から言いますと、これも裁判所近くで見た広告で飛び込んだ司法司法書士が
1人10万で引き受けてくれました。
今申請中ですからどうなるか解りませんが、ほっとすると同時になんと無く割り切れません。

裁判所の考えはもっともと思います。
しかし、倒産後2年もたって不動産まで全部処分し、その間に職も無かった債務者に、形は未整理の会社まで高い費用を払い自己破産をしなさいということは少し無理ではないでしょうか。

これが当人が高利の借金に追われて、自己破産を申請した。ついでに保証債務の申請もした、と云うならば通るでしょう。
こんな場合何故取り上げてくれないかと愚痴もこぼしたくなります。

400万と云った費用が今は幾らというか判りまあせんが、裁判所が言ったことは司法書士が10万で引き受けたという事です。
そんなことより、このような場合、会社の破産は無用にお願いしたいと思います。