かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

時効の失敗

2010-03-29 | 事例
「何? 国金が訴訟を起こした! 遅かったか、でも直ぐに時効の援用をやって見よう。」
公社が統合する少し前の話です。
弟の会社が倒産して、もう8年近くになります。弟は倒産後姿をくらませて居ります。
母はこの保証人で、老齢の為にTさんが母の代わりに折衝して居ります。
母も85才、認知証の気配がだんだん強くなって居ます。

Tさんは「保証人がいくら払っても、債務者の時効を妨げない。」
という原則を知って居りました。
毎月の国金の返済は必ず母の名前で振り込みです。
旧家で表通りから裏通りまで通じ居る母の家、その表通りに面した間口が
Tさんのお店です。
母は一人で此処に住み、出入りは裏口より行って居ます。

居なくなった弟の変わりに、最後の不動産を売却が終わってから、
先月で5年になります。母の代わりに待ち望んだ日でした。
一番ひやひやして居たのは時効寸前の内容証明です。
これを受け取ると6ヶ月時効が延長されて、その間に訴訟が有って、
時効が10年延びる可能性が強いです。
店の者にも絶対に、国金からの書類は受け取らぬように厳命しておりました。
幸い、内容証明は届きませんでした。
「おかしい。国金は気付いていないのかな。今度は返済を止めて援用をしよう。」

さあ、時効の援用をしようと思っていたら、裁判所から特別送達です。
心あたりは国金の訴訟しかありません。
受け取るのを2-3日ずらし、直ぐに時効の援用の内容証明を送付したのです。

裁判においてTさんは時効を主張しました。
すると国金は時効の切れる寸前に、内容証明を送ったことを主張するのです。
次回、配達証明の受取印の提出がありました。
三文判ですがTさんには覚えのあるような印です。
それにこの辺りはTさんの苗字はTさん1軒、受け取った事には間違いないでしょう。

待ち望んで居た時効が敗訴になりました。
しかしTさんは自分自身に納得できません。
絶対受け取って居ない内容証明です。店中を探しましたが出て来ません。

ふと母の部屋は見てないことに気付きました。
有ったのです。古い状差しが柱にかかって居ます。その中に封も切らずに。
認知証の母に何を聞いても無駄です。

何時も郵便は表の店で受け取ります。
この書類は母宛でしたから、事情を知って居る郵便屋がわざわざ本人に
渡さなければと思い、裏口から認知証の母に手渡したと思われます。

「裁判の進行中にこのことが解ったならば、これで、
 内容証明は有効かと争いたかったね。」
しかしもう何を言っても後の祭りです。

ちなみに裁判に負けても、その後の国金の回収は変わったところがありませんでした。

こんな例もあります。
忘れていたRCCから呼び出しがありました。信組の破綻のとき移った債権です。
もう隠居の元老社長は代表者兼保証人です。他に保証人は居りません。
すると元社長はどうしても先々月、時効になっているといって聞かないのです。
メモや記憶は曖昧ですが、兎に角払いたくないのです。
「借りた信組には必ず銀行引き落としで払っていた。最終回はこれだ。」
と見せる通帳では確かに先々月が最後になって居ります。
なんとなく、一寸やばいが信じて援用の書類を送りました。

RCCから直ちに反論が普通便で来ました。
こちらの主張の反復、其れに対する反論、こちらを教える口調の手紙でした。
親切な解りやすい文章はさすがRCCと感心した物です。

其れによると時効までは後3ヶ月あります。最終回の支払日が違って居ます。
それは通帳の引き落としですが、その後貴方は1度信組の人と有って現金で
払って居られます。
それが抜けて居りますね。

「あッ、そうだ、そんなこともあったっけ。」
いい加減な覚え方をしている人が実に多いです。
それとも払いたくない心がそうさせているかも知れません。
私の時効の援用の成功率が60-70%なのもそのせいでしょう。

「私、年金は6万円だけど、保証人として、毎月1万円づつもう11年も
 保証協会に返済して居ます。全部私の名前で振込みです。これって
 時効になると聞きました。その手続きをしてください。」
74才の女性です。

いくら都営住宅で74歳でも、6万の収入で1万を返せて居たか疑問もあります。
本当にその間、会っても居ないし、残高承認もして居ないと云うことです。
「保証協会は時効には特にガードが硬いんだがな。」

「保証協会の住所を知りたいが、何か書類はありませんか。」
こそこそ探して漸く見せてくれたのは1枚の名詞でした。
「この人が2年位前に来た時に置いていった名刺なのよ。」
確かに保証協会サービサーの名詞です。

老女は、この時に会ったことを思い出しました。
持って来た紙にサインをした事も思い出しました。
時効の援用は寸前に止まりました。

時効を主張したい人、年寄りが多いです。
それだけにその記憶に曖昧であることが多いです。



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新米の女社長、弁護士に勝つ

2010-03-26 | 事例
市の5000万の仕事。入札で落とした元請はそっくり下請に丸投げしました。
下請けはそれをさらに孫請に丸投げしたのです。
丸投げとは一括下請負と言って、自分では、その仕事をせずに、
一括して下請に出すことです。
元受を信頼した発注主の信頼を裏切って、工事に問題を生じたりするため、
建築業法で禁止事項になって居ります。

勿論、最初は、市の監督者に正当な下請けとして元受が孫請を
紹介して了承を貰って居ります。
この際下請は直接工事には関係ないと紹介して居りません。

予定通り工事は進み、中間金までの2400万はつつがなく支払いは終わりました。
ところが工事も完成し、残りの代金が市から振込みがあったにも拘わらず
元請は、下請けに支払わないのです。下請けの社長は夫が亡くなったばかり、
訳も解らぬままに後を継いでいる女社長です。
番頭の部長が営業面は全て取り仕切って居ります。

さあ、待っていた代金が入らなくて女社長は大弱り、
いくら頼んでも相手にもしません。
挙句の果てが、「孫請が実際に仕事をやったのだから、
その分は孫請に直接払います。孫請の支払明細を下さい。
それまでは工事代金の60%を払います。」と、勝手に
孫請に60%の1550万を払ったきり、後は払いません。
困り果てた女社長は訴訟をする事にしました。
しかし弁護士を依頼するお金はありません。
訴訟方法はインターネットで調べ、解らないところは裁判所に聞いて戦う決意です。

支払督促の訴訟です。書き方は裁判所で親切に教えてくれました。
これで相手から異議がないか待つ事にしました。
勿論、検査は通り、お金も入金済みですから相手は訴訟だけで、
争わずして支払うと踏んだのです。

驚きました。
締めの前日、弁護士2名の連名で準備書面が届いたのです。
準備書面には「女社長は丸投げで孫請に仕事を出した。丸投げは違法である。
ゆえに当社は本日付でこの契約を解約する。よって代金は払えない。」
弁護士の文句でしょう。最もらしい文句で裁判所の書類らしく纏まって居ます。

女社長は完全に頭にきました。
丸投げといっても、元請もうちには丸投げではないか。
其れに工事は8ヶ月もかかっており、その間に何回も顔も合わせて居る。
そんなこと1回も言っていないではないか。
それなのに、検査が合格してお金が入ってから、解約するから払えない。
そんなことあるのか。

ただ相手の弁護士はうまく纏めてあります。
でも私はこれからどうすれば良いのか。
恥も外聞もありません。
知って居そうな知り合いや裁判所に電話を掛け捲り、
こちらも準備書面を造り一人で戦う腹は固いです。

裁判の手順は何とかわかったものの、審議の方は思う通りには進みませんでした。
其れでも震える声で頑張りました。
裁判官にも心情はわかって貰えたと思って居ります。

ただ、「私が丸投げと言われるならば、被告の元請は私に対して、
もっと丸投げではありませんか」と裁判官に言ったとき、「それは本裁判とは
問題がありませんから。」と簡単に一蹴されたことが有ります。
それならば泥棒が泥棒を訴えても、自分の泥棒した事は何も追求されないでしょう。

途中で和解の打診が裁判からありましが断りました。
「こんな裁判、100万も出して終わりにするか。」
相手の社長がつぶやいたのを聞いた事が有るからです。

1月の訴訟が8月に判決になったのですから、簡単な民事では長い方だったでしょう。
全面勝訴しました。
判決文で「女社長の下請けも、工事の設計や途中の進行に合わせた
監督など抜かりなくやって居る。完全な丸投げとは思われない。」
と有ったのには嬉涙も出ました。

弁護士の面子も有るから、当然上告と思って居ましたが、
相手は何もして来ませんでした。
その間に差押さえ対策は十分に取ったみたいです。

今は何を差押さえをしても無駄でしょう。
しかし工事を取れば直ぐに解ります。10年のあいだには、
必ず何回もチャンスがあるでしょう。

仕事も裁判も全く素人の女、でも相手が、そうそうたる弁護士を
立てた訴訟に勝ちました。でも、一寸調べれば直ぐにわかる非道徳の訴訟。
そんな訴訟は受けずに毅然と断る態度。弁護士には必要ではないでしょうか。



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負の相続放棄

2010-03-22 | 事例
「会ったことのない叔父が亡くなって、叔父の借金を私に
 請求すると言うのです。こんな馬鹿な事がありますか。」
彼は一人息子です。
父親は早くに他界して、父親の方の親戚とは付き合いがないらしいです。
父親も兄弟二人だけでしたが、その弟も亡くなって、そこそこの借金が
残ったみたいです。ある信販から、「この借金は貴方に相続されて居ますから、
1度お話をしたい。」と電話があったと云うのです。
未だ若い青年でしょうか。声も震えて居ります。

「何時電話があったの?」
「3日前です。」
「貴方はその叔父から遺産を貰っていませんね。」
「勿論です。顔だって知りません。」

「では相続放棄をすれば良いです。普通の相続放棄は亡くなって
 3ヶ月以内にしなければなりませんが、借金など負の相続は自分が
 知ってから3ヶ月の間にすれば良いです。直ぐにしましょう。
 叔父さんの居住地の管轄の家庭裁判所に直ぐに電話をしましょう。」
後日、無事相続放棄が出来て信販も了承したと電話がありました。

借金の相続。いろいろ有ります。
夫の借金を知らなかった場合に慌てます。
また、夫の借金を知って居て、亡くなると、妻も子供も相続放棄を
する場合も多いです。これで後腐れは無いと思って居ると、ある日突然、
夫の兄弟が夫の借金を請求されたと大騒ぎです。
あわてて相続放棄をしますが、こんな時、裁判所も親切で相続人には優しいです。
裁判所から遠い人は、書類・電話やまたは他の兄弟に頼んでもOKです。

保証協会やRCCは債務者や保証人が亡くなった場合は、直ちに謄本を取って、
詳しく系図を調べて負の相続人を確認して居ります。
一般のサービサーは追求する所と、しないところが有りますが、保証協会や
RCCほど厳しくないみたいな感じがします。 

保証人の相続人だから、そんなに厳しくはないだろうと思って居ると、
肝を潰す事も珍しく有りません。
サラリーマンの夫が他界しました。母とともに倒産した兄の事業の保証を
して居りました。自宅がありましたがローン残と時価とは未だ殆ど同じくらいです。
死亡によりローンが消えて居ります。
つまり夫の生存中は債権者には価値がなかった自宅が急に価値が出たのです。
夫の生存中は見向きもしなかった自宅が急に光だしたのです。
母子はこの自宅にしがみ付かないと生活もおぼつきません。

債権者は厳しいものです。
明日からの生活を心配する妻に、保証人が3人、其れに保証協会も保証人だから、
保証人はみんなで4人、均等に負債を負うべき、それが求償権と、均等割りで
請求して来ました。未亡人が虎の子の死亡退職金から850万を払わさられたのは、
直ぐの事でした。

こうして負の相続にも厳しい債権者ですがたまには失敗もします。
保証協会は保証人の死後、その子供7人を連名にして内容証明を債務者と
一緒に暮らして居た長女に送りました。以後催告書を必ず連名で長女に
送って居ます。ところがこれも長女を除いて後の6人に相続放棄が、
認められちゃたのです。

「今まで書類が来ていたみたいですが、全て姉のところに行っていた為に、
 われわれは何も知りませんでした。今回、姉が払わないからと、我々の
 自宅に呼び出しが来て、初めてこの負債を知ったのです。私たちは、
 相続放棄をします。」
今までの書類は全て姉が握り潰したと、姉も含めて全員が口裏を合わせたのです。
家庭裁判所は長女以外の相続放棄を4年後に認めたのです。

今一人の人が、平成10年に他界した父の負の相続債務を
放棄しようとして居ます。この男には父の保証債務と、
保証をしなかった債務は相続債務として保証協会から請求があります。
今までは母が債務者として月に1万円づつ払っていたものですから
この男には直接の請求はなく残高通知があっただけです。
「絶対に相続放棄は認められるよ。やりなさい。
 貴方のところに来た書類は、封も切らず母親に回していたと言えば、
 家庭裁判所は通りますよ。早いほど良いでです。」
けしかける者も居るみたいです。

そんなのうまくいくものでしょうか。
彼は書類は何回も受け取って居ますが、「全部見なくて母に回していました。」
と逃げる予定です。でも保証協会から相続人としての請求が1度も来ていないのに
何で知ったと説明するのでしょうか。

家庭裁判所が認めたとしても、保証協会から異議の申し立てと
云うものはないのでしょうか。または、保証協会が「汚いことをする。」
といって、正規の保証債務に対して急激な回収がないものでしょうか。

進言しても聞かず、裁判所に申請の準備は出来たみたいです。
「どうなるだろう。」
今は半ば自分が見届けたいために興味を持って見守って居ります。



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企業再生ー不良債権より聞こえはよいが

2010-03-18 | 事例
「不良債権と云う言葉は聞こえが悪いから、何か言い方を変えましょう。」
国会で云われた亀井大臣はいとど簡単に検討を約束しました。
本当に言い方が変わるのか、未だ不明ですが、企業再生と云う言葉が
入った言い方が強そうだと新聞にはありました。

良く使われる企業再生と云う言葉。
事業再生とは余り云いません。
事業と云うと何処にでもあり、誰もが出来るのに対して、企業と云うと、
その人だけのものだからでしょう。「私の会社」と云う感じを強くし、
丁度「ふるさと」と云う言葉がその人だけが持つ、郷愁と同じ様な響きが
あるからでしょう。

企業再生と事業再生は全然違います。
企業再生と歌いながら、実際にはその企業を整理して、違う会社を造り、
そこで事業を引き継いで やっていく事、これが不良債権になった企業の
一般的の形です。今までの企業とは会社も経営者も違った会社が出来て、
其処が同じ様な事業をしていく、これを企業再生といって居るのです。
どう考えても「事業承継」であって「企業再生」と違います。

会社が違うときは、その会社の事業承継をする会社を作ることは甚だ簡単です。
いわゆる第2会社でもよいし、分社もあります。営業譲渡をする人も有れば、
なし崩しに承継会社で
同じ事業をやっている場合もあります。

ただ冷静に考えると倒産した人がこんなことに余りお金をかけるべきでないし、
事実かけられないでしょう。
それが此処で企業再生と云う聞こえの下に多額なお金を取られるのです。

公共と名乗る中小企業相手の再生協議会。
最初の相談は無料と云うけれど、此処でこの協議会が関与してからは
調査料だけで何百万も払わないとなりません。
公認会計士の調査料です。そして再生までお手伝いと、また高い毎月の
顧問料を請求されます。
だからお金の無いところでないと公共のこの機関を利用することは出来ません。
これが公共と云えるのかと思うような費用を取って居る例を何件か目撃して居ります。

ある特異なサービサーと銀行が組んで再生とやる場合があります。
500万も監査法人に払わされて勿体をつけて再生の始まりです。
こんな資料、何故経営者が作る資料ではいけないのかといいたくなります。
小さな会社、直接自分の目で見るのが一番です。
監査法人なんて、単に承認をして高い承認料を貰うところかと云いたくなります。
それから再生が始まります。
実際の仕事は事業の運営より経営者・保証人の個人資産の追及が普通です。
これが最初からの目的で、企業再生と云うと経営者資産まで調べやすいから
ではないからでしょうか。
挙句はぺんぺん草も生えない丸裸です。そして経営者の席を追われます。

こうした仕組みを最初から細かく説明して、それでやるならば文句も言えませんが、
始めてから徐々に蓋を開けます。
経営者は今までの会社が続いて、自分がまた引き続き社長が出来ると思うからこそ、
そうしたところを頼み、協力もするのです。
それを全く裸にして追い出すのですのですから、企業再生は鬼か蛇かと云うことに
なります。

中小企業は誰の物でもありません。それを作った社長のものです。
その点が大企業と大きく違います。
それがこんなに惨めになると解っていれば、最初から頼む人は居りません。
サラリーマンが集まった大企業ならば通用することでも、中小企業には
全然通用しません。

「不良債権になる中小企業の経営者は不良経営者だ。
 彼等は、何をしているのかわからない。彼等を
 甘やかすことは大きなモラルハザードだ。」
こんな考えが現在の金融界、そして政治・司法に
流れているような気がしてなりません。

中小企業の方を向いている亀井さん。
もう一歩踏み込んで実態を見て施策を徒って貰いたいと思うのです。
言葉の感覚を是正するのも一つの政策でしょうが、それで本質が直るとは
全然思って居りません。



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隠せなかった会社の預金

2010-03-14 | 事例
「何? 公庫の和解金が300万だって? 
 少し高いじゃあないの。だって規模がお宅より大きな理事達だって、
 120万が最高だったでしょう。売上が他の理事の半分以下のお宅が、
 何で300万だって?」

20年以上前、このあたりの木材業者は申し合わせたように協同組合を作りました。
補助金を貰うためです。
組合ですと規定の理事数が必要ですから、同業者がお互いになりあったのです。
まずいことに組合が、銀行から融資を受けるためには殆どの場合。
他の理事の保証を必要としました。
この地区の木材業者はお互いに保証人になり合って居ります。

一軒こければ皆こけます。融資は殆どある公社です。
保証人はダブったために、この公社は、保証した理事とその会社を、
家庭の隅々まで知ったらしいです。
保証人を解除する和解金額も驚くほど安くなっていました。

頑張っていた盆地のS林業もついに破綻です。子会社としてS組合を作って居りました。
理事もS社長のほかに3名居りました。
その3軒が、もう和解済みの2軒と、此処D木材です。
他の保証問題でよく知って居る2軒とは直ぐに和解が成立しました。
D社長は珍しく、他に保証はなく、また自分で公庫の融資も無いために、
なかなか和解まで行きません。

しかし他社との比較で、他社は120万以下だから、こちらも50万くらいだろうと
見込みをつけて居りました。
それが案に相違して300万の要求でした。

2年くらい前、S林業の破綻前です。
S社長から経営の苦しさを打ち明けられて、D社長も直ちに保全に走りました。
先ず、従業員は一人だけ、親子含めて3名の会社ですが直ちに社長を息子の譲りました。
S組合の保証には、会社と代表者の個人の両方が保証して居たのです。
自宅は結婚35年を過ぎて居ます。妻の名義にしました。
地元の人ですから田畑山林も持って居ます。息子に譲りました。
ただ一つ、会社の敷地・建物が会社名義ですが、これだけはどうしようも有りません。
しかしこんな山奥の辺鄙のところ、差押さえになっても買い戻しに200万も
あれば十分でしょう。工場の不動産を除いては、全部保全をし尽くしたのです。

預金は当然いの一番に考えました。個人預金はどうにでも出来ました。

「300万の根拠は何からだろうか。」
「当社に直ちに必要としないお金が300万あるからだそうです。業務に
 差し障る工場など差押さえはしない意向のようです。でも、300万だけ
 譲れない条件と云って居ます。」
話は続きます。
「実は最近電話があって決算書を改めて3期分送りました。
 その中に、営業に関係ない銀行にずうっと300万定期が置いてあるのです。
 それが見つかってしまいまいた。」

銀行借入は500万あります。
この預金は以前はその銀行にただ定期として預けてあったのですが、
「借りて居る銀行に預金を置くな」と聞きましたので、関係の無い銀行に
 移したらしいです。
以後そのままですが、零細企業の事、300万の動かないお金は目立ちます。

「何で。そんな預金は真っ先に隠さないとならないのに。」
「私もそう思いました。しかしどうすれば隠せるのですか。
 300万、降ろして箪笥預金にしても、現金としては帳簿に乗ります。
 人に貸した事にしても、貸付金として狙われ、その人に迷惑をかけます。
 仕入れや物品を増やせば税務署は黙っていないでしょう。
 第一そんな見え透いた粉飾は、税理士先生に注意されます。
 儂等見たいな零細企業においては月商半月分に相当する額の現預金は
 隠しようなどありませんよ。」

「でも、何もしなければ、ただ取られるだけになるよ。」
と云ったものの、具体的にどうすれば良いか私にも答えが出ません。

個人ならば何でも無いことが、会社となれば帳簿を誤魔化す以外には、
現預金を隠すことなど出来ないのです。
税理士は親切な眼で間違いが無いか見て居ります。監査があれば税務署は
必ず解るでしょう。
企業にとっては大金を隠すとは簡単のようで以外に難しいことです。
初めて認識しました。

300万は取られました。
不動産などに取った保全策は無駄でした。
しかし公庫とともに融資をして居た信金が、S社の競売も終わり、
漸く保証人にしつっこく当たってきます。
これには改めて効果を発揮しそうです。



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日繰り表に使われる社長

2010-03-11 | 事例
「銀行から何時も作っている資金繰り表で結構です。
 それも添付して頂けませんか。と云われました。
 私は、自分で作って居りますが其れでもよいですか。」
返済の元金低減をお願いに云ったら、経営改善計画と一緒に
資金繰り表も見せて下さいと云われたのです。

「私はね。自分で毎月資金繰り表を作り、月に2-3回は必ず修正をします。
 そして、日々持ち歩いて居ります。これが無いと私の行動をも
 決まらないくらいです。しかし、それだけに個人的の貸借も載って居り、
 こんな物を銀行に見せれば一遍でおかしい会社と云うことになると思います。
 見せることは出来ませんね。」

社長の言って居ることが、少しおかしいと思って詳しく聞いてみます。
案の上、「資金繰り表」の解釈に違いが有りました。
銀行の言って居る資金繰り表と、社長の思っている資金繰り表とは違います。
銀行の言う資金繰り表は、月単位で、繰越額に当月の入出金額を加減し、
残高の黒字を確かめる、それを6ヶ月から8ヶ月くらい先まで示した表です。
出る項目も細かい費目までは要求はしません。
資金の動きについて解り易い表です。

しかし一方、社長の言う資金繰り表とは、日繰り表とでも云うべきでしょうか、
毎日の入出金と残を記載して居ります。そして期間は1ヶ月だけです。
細かい物までを計上し、月中の資金状態がはっきり解ります。
渇かつの資金で回して居る企業には不可欠の表です。

1月先とか3ヶ月先の事でなく、今月の資金を教えてくれる表です。
月中の何処にも残に赤字が無い場合は、社長はこの通りになるように、頑張ります。
若し残が赤字になる時は、その解決に寝食も投げ打って奔走します。

手形は勿論のこと、個人間の調達資金は返済を1度でも狂わすと信用は
がた落ちになり、今後の資金調達も宛に出来なくなります。
毎日が氷の刃を渡っているようなもの、寸分も狂いは許されません。
それだけ、この日繰り表に間違いがあってはなりません。社長の行動は、
この表通りに資金が動くことの追求です。
社長はこれに基づいて行動を決定して居ります。
つまり、社長行動指示書にもなって居ります。

それだけにこの日繰り表を作る会社は切羽詰まって居ります。
全てを掴んで居ないと、この表は出来ません。
しかし、実際には社長が掴んで居る場合は意外に少なく、その企業の
ベテラン女事務員が作っているのが意外に多いです。
社長はその表に追われて居ますから、何のことは無い、社長は事務員に
こき使われて居るのと同じです。
「社長さん。この日にいくら不足です。これをお願いします。」
なんて会話が生じて居ります。

ただ女事務員ですから、決まって居る入出金には漏れはありませんが、
予測は出来ません。したがって来月の表は作ることは出来ません。

事務員も入れて4名の会社でしたが、事務員と社長が喧嘩して、
事務員が急に辞めてしまいました。
あわてて社長の奥さんが代わりに勤めましたが、他の仕事は全て出来ますが、
この日繰り表だけは、出来ませんでした。

税理士に頼んで見ましたが完全に失敗しました。
税理士は伝票の集計から読めることは出来ますが、この日繰り表だけは
仕事の知識より、その会社の事情を知って居ないと出来ないからです。
特にこの会社は社長の知人何人からも援助を受けて居りました。
事務員を頼りきりにして居る社長には、どうしても事務員と同じ様には、
出来ませんでした。「今までに実績を見れは出来る。」そう思って居ましたが、
事実はもう少し複雑見たいです。

社長が資金繰りに目クラ盲になったことは直ぐに影響が出ました。
これが基でこの会社は整理まで追い込まれました。
資金表作りで任しているベテラン事務員。間違っても疎かにしてはなりません。

日繰り表は大切な表です。
中小零細企業の90%以上が利用していると思います。
月単位野資金繰り表は10%も利用していないと思います。
しかし日繰り表だけならば、目先の資金解決には必要ですが、
もっと先を見たいときは役立たず、片チンバになりがちです。
大きく長く見るには月ごとの資金繰り表が必要です。

銀行が要請した資金繰り表は6-8ヶ月先迄の資金の状態を見る表です。
これにより長期の計画や方針を作ることが出来ます。

決して難しい表ではありません。
企業の責任者は、この資金繰り表も是非とも作って行きたい物です。



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経営改善計画が出来ない

2010-03-06 | 事例
「ショックでした。若い銀行の担当で、比較的、ズケズケと云う男ですが、
 はっきり今のままではこのホテル潰れますと云いました。
 私がこれほど懸命になってやって居るのに。」
悔し涙が浮かんでいるみたいです。

「社長、私も最近お邪魔したばかりですが行員の
 云おうとすることは、何かわかるような気がします。」
つい、私も口から出てしまいました。
月に1度、お邪魔していろいろと話し合って、まだ3回目。
そろそろ社長の性格も見えるようになった頃です。

「資金が全然不足しているから、兎に角借入返済は金利だけにお願いしなさい。
 その時に経営改善計画の提出を言われるから、それは直ぐに提出しますと
 約束して先に元金低減だけは認めて貰いましょう。」
これが、最初のアドバイスでした。
以後、月に1度顔を出すようになったのです。

「経営改善計画ってわかりますか?
 以前の利益計画に似て居りますが、お手伝いしましょうか。」

「大体解ります。自分で出来るでしょう。やって見ます。」

その後注意していましたが、何も銀行に提出した気配は見えません。
たまりかねて銀行の担当者が来てその話の最中に出た言葉みたいです。

未だ2-3回だけですが社長には癖があります。
話をしていると何時の間にか、話題は社長に知人の話しになって居ます。
「先月の売上は?」と云う話が有名なマジシャンの話に変わっていたり、
「銀行借入は?」と言う話が、県警の幹部の話に変わっているなど、
こちらの質問が、はぐされた感じになってしまうのです。

しかし、質問に答えられないわけではありません。結構数字は見て居ります。
特に今月の数字は日々の売上など正確に頭に入って居ります。
しかし利益に関することは云いたくないのでしょう。
理由はそれをはっきり云うと毎月の赤字を自分で尚も認識することになります。
これが堪らないらしいです。

家族がやっているホテル、社長は自らトイレ掃除までをやり、
体を張って守って居ます。それだけ頑張っても赤字と云うことは
耐え切れないでしょう。赤字は仕入れの繰り延べと親戚からの
借金で回して居ります。

そんなですから特に将来の数字は云いません。
「今月はどのくらいの見込みですか。」

「そうですね。昨日でいくらいって居ます。」
と云った調子です。

今月の見通しも口にしない人が、来月の売上見込み、今期の業績、
ましてや来期以降の見込みなど自ら言うわけがありません。
「そんな、改善案も無く、出たとこ勝負ではこのホテルは長いことがありません。」
これが行員の真意でした。

「社長、先ず現状を掴みましょう。現状の売上と仕入れと経費を教えてください。」
過去の数字はつかんで居りますから簡単です。
「大幅な改善にはならなくても、そう合理化でよいですから黒字要素を
 延ばすことを考えましょうや。」
するとサザエのようになってしまいます。外部から見る意気込みとは裏腹に
本当の内心では社長が手を上げているのが解ります。

そんな社長と二人だけ、漸く何とか現状の合理化を考えます。
専門の営繕係と部屋係を辞めさせる。
人のつながりと云う理由で方々に払っている会費もなくす。
など比較的簡単に出来そうな案を造ると、何とか黒字になりそうです。

「ほら御覧なさい。お金を使わずに黒字体制になりますよ。
 しかしこれでは一旦何かあれば直ぐに赤字。第一返済が出来ません。
 今度は3年5年計画でこのホテルの特徴を作って行きましょう。
 そのPRをどうするか。も考えましょう。」

「そしたら無理と思っても自分でやると云う目標を立てて進みましょう。
 それが出来なかったときは万歳も覚悟です。」

今まで赤字の事しか頭に無く、日常の簡単な改善すらしなく、
将来を考えるのが怖かったホテルの社長に考え方がわかり、
希望すら湧いてきたのです。

こんな経営者が未だ多く居ます。
目の前が赤字で資金が回らずそれで動転して結局何もしない人です。
その人たちは、自分の会社の現状を知り、改善のアイディアを数字に
置き換えて目標を持ってやることを忘れてしまいました。
難しいことではありません。
自分でやっていくと悲観が希望に変わっていきます。

そんな人が多くなることを祈って居ます。



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借金取立人の居座り

2010-03-03 | 事例
「儂、今、出先だけれど会社から緊急電話が入りました。
 借金取りが、ある政党の市会議員を連れて乗り込んで来て、
 社長を出せと騒いで居るとの事です。こんな場合どうしたらよいでしょうか。」
時計が10年前に戻ったみたいな電話です。

「お前のとこ、もう貸金業からも借りて居ないだろう。
 いや借りて居ても、ヤーサンが絡んだ話でなければ、
 今頃乗り込んできて、居座ると云う事など無いよ。
 何かの間違いじゃあない?」

「いや仕入先です。それも2年ほど前の工賃仕事です。
 200万位払って無いのです。しつっこい奴で、
 二月か三月に1度は催促の電話がありましたが、
 うちも全然払えないから放ってあるのです。
 そしたら今日、市会議員を連れて乗り込んで来て
 喚いているみたいです。残っているのはパートの
 叔母ちゃんばかり、女房が何とか相手をしているみたいですが。」

「そんな場合、あんたが逃げているのが一番悪いよ。
 直ぐに帰れば2時間もあれば帰れるだろう。それを云って2時間後に会えよ。
 それで払えるようになる迄、待ってくれと礼を尽くして頼むより無いと思うよ。」

「従業員の給料ですら、未払い分が半年分以上あります。
 どんなことをしても払えませんよ。」

「それならそれで払えないことを云えよ。いずれにせよ放っておくことが一番悪い。」

「でも今日は相手も頭に来ているから、うまくないでしょう。
 日を改めるとして、今日、帰らすにはどうすれば良いですか。」

「奥さんに帰って下さいと言ってもらうんだ。其れでも帰らないときは
 警察に電話をしますと通告してから電話をしろよ。警察は必ず来るよ。」

10年前を思い出します。
郊外のワークショップ。
「貸金業者が来て店の前に車を止めてエンジンをかけて居るが、
 全然動かない。どうすれば良いか。」
と云う電話を貰って、直ちに警察に通報させたことがあります。
警察はすぐ来たが、直ぐに帰ってしまったらしいです。
道交法も緩やかな時代でした。
エンジンを吹かせながら停車している車を追い払う手立ては、
無いと云うことらしいです。しかも10mくらいを進んだり
戻ったりしているために、停車ではなく、道交法にも触れていない。
何か危害をかけない限り、取り締まり方法はないと帰ったのです。

さあ、そうなればまさに相手は怖いものなし、居座りに本腰を入れたみたい。
店も十分に開けれないしと再度の電話で困りきった様子です。
「警察まで見放されれば終わりか。」と思った時に浮かんだアイディア。
県の貸金業課を調べて其処に電話をさせたのです。
ものの10分も経たないうちに車は去りました。
おそらく県は直ちに本社に電話をし、本社から指示を出させたのでしょう。
「携帯電話を持って居たんだ。良かった。」

さあ、今回の警察はどう動くでしょうか。
其れでも駄目のときは政党の地区本部に電話をさせようか。
弁護士資格は持っていない筈です。勝手に債権者と一緒に
取り立て行動をしてもよいものだろうか。

しかしこの時は、警察に電話をするまでも無く、帰りました。
女房の顔付きを見て本当に電話をする、と見たのでしょう。
債権者は「呼ぶならば呼べ」と云う態度でしたが、議員が宥めて、
「また電話します」と云って帰ったみたいです。

今度は道路に居たのではなく、一応玄関先にです。
警察がどうするか知りたかったですが、叶いませんでした。

貸金業の場合でも今は乗り込んでくるということは殆ど無いと思います。
昨年はシステム金融に何件も拘わったのっですが、乗り込んで来たのは
内1軒だけです。後は全て電話だけで解決して居ります。

逆にこうした取立ては、こうしたことに疎い、業者、
特に小さな職人肌の下請けなど残っているくらいです。
この人たちには時効も通用しません。

しかし、ただひとつ通用するものがあります。
銀行やサービサーでは通用しな「誠意」です。

此処の場合も社長が日ごろから誠意を持って接していれば相手は、
必ずわかってくれた筈です。ましてや義理人情の職人の世界です。

「誠意」、ともすると忘れがちです。



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