かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

和解されるまで

2007-01-30 | 事例
今日サービサーの担当から電話がありました。
「先日の金額で稟議が下りました。この線で進めましょう。今日私の方から捺印した契約書を2部送ります。」
そして和解の事務手続きの話に移って行きます。

早くから、自宅と会社以外の不動産は売却されました。任意売却ですが応じないと競売です。そして会社が競売になりました。遂に自宅までも競売。母は嫁いだ娘のところに移り、私は風呂もないアパートに移りました。

借金を返すために、相続で引き継いだ資産まですべて失い、完全に無一文になったから、これで終わったと思って居ました。銀行もそんな口ぶりでした。
ところが譲渡通知が届いたのです。
聞くと、私の借金はサービサーに譲渡されて、以前の銀行とは関係が無くなったそうです。銀行が「これで終わりですね。」と云う筈です。

サービサーとは話し合いました。要求される資料もすべて提出しました。話し合ったと云っても最初に訪問しただけで後は電話です。
最初は言葉も出ないような多額の残金を請求されませたが、話し合っているうちに何百万の単位になりました。
以前の私ならばともかく、それでも今の私には想いも付かない金額です。

破産をしたかったですが、父の代からの借金ですから、10年前に嫁いだ二人の姉が相続で保証人になって居ます。私が破産をすると、この姉たちに直ちに請求が回ります。姉たちはこれに対する交渉は出来ません。姉たちの自己破産もそれぞれ社会的地位のある夫の事を考えると出来ません。
どうしてもサービサーと和解をするより他ありません。

「本当にお金がないところから、回収しようとは思いません。
しかし皆様無いと云いながら幾ばくかのお金は殆どの人が持っています。今までに調査をしますと、負債以上のお金を持っていた人も何人も居りました。」さも、こちらが持って居ると云うばかりの口調です。
「ご商売を止めたと云っても、何か商売がぶら下がって居り、それなりきのお金の流れが有るものです。干上がった川からは、柄杓一杯の水も汲めませんが、流れてさえ居れば、バケツ一杯を汲んでも何の影響はありません。」
こちらが第2会社でも作って隆々とやっているようなことを考えています。

私は二人の義兄から借りることを想定して、その金額をサービサーにぶっつけ、和解を望みました。不可ならばどうにでもしてくださいと云う態度がにじんでいます。
ここまで云うのに要した時間は本当に長かったです。
銀行に返済が出来なくなってから3年くらい経ております。その間、気が休まる時はありませんでした。
鏡を見ることが嫌でした。顔つきの違う人相の悪い私が鏡の中に居たからです。

和解になるまでが長すぎました。
徳政令の再来と思われるほど債務カットされますから、相手も慎重なことは解ります。
しかし長くなるなる理由はただ一つ、「債務者は資産を隠しているのではないか。」と云う疑いだけです。
それならば自分が腰を上げ2-3回訪問をすれば殆どが解ります。
そのほうがサービサーも実務的・合理的のはずです。
時間を掛けるのはただ一つ、「時間さえ掛けていれば、隠し持って居る債務者は
何時かはボロを出すのではないか。」と云う人を無視した期待からです。

「余り簡単に解決するとモラルハザードだ」と決め付ける人は、借金に負われる人の気持ちが解ってはいない人です。
時間を長く掛け、債務者だけでなく回収する人の心も蝕んでいることを知らない人です。

不良債権の回収、もう一考願いたいものです。











講演会の様子

2007-01-29 | 事例


講演中の様子です。

テーマ:「かっ飛ばせ借金、打ち勝て倒産」
     ‐自分で守る自分の会社‐


☆講演は、下記の内容です。

1)資金問題と取り組むのに必要な経営者の心掛け
2)資金繰り表の必要性
3)返済停止時の心得・準備
4)差し押さえ対策の基本(預金・不動産・家賃・売掛金・年金等)
5)会社整理(法的整理・任意整理のポイント・サービサーとの対応)
6)事業の再生(分社と営業譲渡・中小企業再生支援等)
7)質疑応答










 

期限の利益の喪失

2007-01-24 | 用語集
銀行借り入れ返済や、ローンで物販を購入したときなどは、何回も分割で
時間をかけて返済する権利を与えられます。この権利を期限の利益という。
しかし、支払い者が約束通りに払わない場合や、確実に払わなくなるとわかった場合は、
債権者はもう分割で長く払うことは認めない。一括で払いなさいということに
変更されます。これを「期限の利益の喪失」という。この言葉が通知された時、
債権は不良債権となり、債権者は、担保の競売や、保証人に対して請求もできます。











追い詰められた人

2007-01-18 | 事例
今日の相談者もそうでした。
コンピューターソフトの仕事を5人くらいでたっていましたが、今では一人でやっています。51歳、転職が出来ないことも原因して居ます。
しかしそれも駄目で今は多重債務者です。それすら都合が付かなくなりました。

街金など、質の悪い借り先は無いため、整理は余り難しくありません。
ただ返済できるお金も、弁護士依頼のお金も無いため、暫くは騒ぎが続きそうです。しかし何とかなります。家族には打ち明けましょう。

以前、第2会社とかリストラと云う言葉が流行っていた頃は自信を持って今後の再生案を提示することが出来ました。
具体的で即効性がある案です。
しかし、最近の相談では、それが出来るところが少なくなって居ます。

第一にリストラは自分なりきに実施済みで、もうその余地が有りません。
ですから第2会社を作っても、採算の見込める計画がどうしても立ちません。
リストラをしても駄目、ましてや別会社を作っても全然見込めないというところが圧倒的にお増えております。
売上見込みが立たないからです。

多重債務になった零細企業の遠因は殆どが売上不振からです。
「頑張れ」「アイディアを出せ」と励ましたところで、単なるエールだけに終わります。
今後どう動いていくか解りません。
こんなときの相談が一番辛いです。

直ぐに同時廃止の破産が出来るような人ならば、返済だけは直ちに解決できますが
以外に少ないのです。
調停も僅かでも毎月払えるお金の都合が付きません。
保証人のこと、自宅のこと、仕事のことなどでその準備をするまでの時間が必要です。
ただ少し煩くなりますが、家族の協力さえあれば、暫くは全然払わなくて解決の道を探していけます。

生活のほうはそうは行きません。

「奥様のパート、息子さんが休学して1年アルバイトで働いてくれたら、貴方の売上を現在の半分以下に見ても生活だけは繋がるでしょう。それを基にして考えましょう。」
今の事務所は取り払います。自宅の場所が有ります。
ローン代は賃借よりはるかに安い。続けます。延滞は5ヶ月以内。
大学2年の息子には事情を打ち明け、1年休学をお願いします。
そして自分は顔の効く得意先を直ちに回ります。先ず営業に力を入れます。

そして「駄目元を覚悟でこことここを当たってみましょう。200万でも借りれれば助かります。」

借金の対応とともに気が付いたことを全部アドバイスします。

失敗すれば生活保護しかないが、今のアドバイスの50%でも直ちに出来れば生活だけは出来ると頭の中で考えております。

ただここまで追い詰められた人が多くなって居るのが非常に気になります。
破産も出来ないような人、どうアドバイスしていくのが一番良いでしょうか。











サービサーの拷問

2007-01-10 | 事例
暮れに2年ぶりでサービサーから電話がありました。
債務者は既に破産をしており、電話は保証人に対してです。3,000万の住宅ローンの保証債務の返済の打診です。
この保証人も4年前、会社は破綻しており、借りた3LDKの古いマンションが親子4人の自宅と、保証人の仕事場になって居ます。

2年前は「800万払え」と電話で言われました。払える道理がなく、所得証明、収入・資産・負債の明細を持って訪れました。
「分割で払うと云っても今の収入から1万円も払えない。しかし知人に理由を話せば30万くらいは借りれると思う。それで和解をお願いできないか。」と云う主旨で話に行ったのです。
しかしサービサーはこちらの現状を聞くと書類には見向きもしませんっでした。

「検討して4-5日で返事をします。」といった返事は翌日携帯にありました。
「今までの800万と云う当社の希望は、あなた様のご事情も理解し、300万に訂正いたします。これが限度です。これで出来ない場合は不本意ながら法的回収に
移らざるを得ないと思います。」

「残念ながらそんな大金はありませんし、都合が付きません。法的回収とはどんなことか解りませんが、そうなっても止むを得ません。
こうした会話からもう2年経っているのです。
その間、腹は決まっていると云うものの、突然何も知らない何かがあるだろうと思えば、たまらない圧迫された気持ちになって居りました。
何もしなくて精神の拷問を受けているようなものでした。
しかしそれでも払う金は溜まりませんでした。

詳しいやり取りは省略します。携帯の会話ですから極簡単に話が決まりました。
30万を主張しましたが結局50万で妥協しました。
払えるかどうか解りませんが、私は精神の拷問から逃げたかったのです
後は1週間以内に私が金策が出来れば和解です。

こんな簡単なことで和解が出来るならば、2年前にもで来た筈です。
2年間の私の悩みは解決されていたはずです。
何をしても駄目だと自堕落の気持ちにもならずに済んだでしょう。

サービサーは、2年の間にこちらが立ち直り、もっと払える様になるかも知れないと様子を見て居たかも知れませんが、一旦失敗した人間が、今時、そんなに簡単に借金を払えるほど復活は出来ないのが普通でしょう。

サービサーが電話ばかりでなく、1-2回債務者を訪問して現場を見れば直ちに債務者の生活はわかります。
破綻者は明日の生活のためにお金を持って会社が破綻したと思っているかも知れません。
もしそれがために、脅しをかけ、2年も放っておくことは、限りない債務者の人権無視と思います。

債務者だけで集まって立ち直りを勉強する会があります。
それで話を聞いても、「300万以上は払えません。それならば会社を閉めます。」
と電話を切ると翌朝360万で和解を言ってきたとか、900万で平行線だった和解額が
訴訟を恐れずにむしろそれを受け、今までの回収態度が正しいか、表面化しようとしていると解ったとき、300万で和解が出来たとかいろいろの報告があります。

ただ云えることは債務者側の和解額は最初から和解まで殆ど変わっていませんが
サービサーの和解額は滝のように落ちております。

無駄に時間を掛け、その間債務者を苦しませ、最後は債務者の言う和解額に近い
額で和解をする、そんな構図はそろそろ止めてもらいたいと思います。











賀状にやっと現れた債務者の言葉 

2007-01-07 | 事例
雨の1日、年賀状をもう1度見直しておりました。ある一つのことに気付きました。
「おかげさまで今年は本当のすっきりした正月になりました。今年こそ再起に全力を尽くします。」
こうした文句の賀状が何通もあったことです。

サービサーも無い6-7年前までは私のアドバイスは不動産さえなくなれば、もう銀行は回収には見えないよ。債務は無くなったも同じです。」と云うアドバイスが殆どでした。
事実其の通りでしたが、債務者とすれば「銀行は放棄をした」と決まったわけでなし、何時銀行が回収に見えるかと疑惑の念がとれず、薄氷の思いの日々でした。
ましてやサービサーが出来てからはもっと其の思いは強くなるばかりでした。

当時の賀状の文句は
「おかげさまで債務のことは殆ど解決しました。これが完全になるまでの、後2-3年は私もおとなしく暮らします。」と云うような文句が圧倒的でした。

平成16年秋ごろから、サービサーの回収方法が変わり、一段ときつくなったように思います。その時の交渉中の債務ばかりでなく、「3年前、4年前のもう忘れただろうと思っている債務まで」ある日突然請求されるというようなことが続出しました。
「もう暫く」と我慢していた人たちの想いが一気に崩れ落ちた時期です。

「差押さえさえ、手を打ってあれば借金なんて平気さ。」とよく言われます。
不良債権になるか、ならないか、の戦いをしている時ならば其の通りですが、其の戦いも一段落した後、平和が訪れて居る時は違います。
相手が様子伺いに来ただけで、債務者の心は差押えされているのと同じです。当時勇気を持って闘った人も戦線恐々とした日々を過ごしているのです。

一昨年からアドバイスの方針も変え、絶対に問題が起こらない、後顧の憂いは無いと云うところまで、処理をするようにしました。
今までもそうしたかったのですが、お金が無かったのと、第一債務者の方がこの問題からもう逃げたかったのです。
其の債務者を励まし、いかに債務者の懐を圧迫しないようにすることが問題でした。
またお金ばかりでなく、面子も絡んだ時もありました。
この人ならば同時破産もできる。それが一番簡単と思っても、「最後に残した男の面子だけは大切におとっておきたい。」と云う人には違う方法が必要です。
そんなことを踏み越えて来た皆さんの賀状でした。


冒頭の賀状の文句は一般の人にとっては、ごく当たり前のことです。
しかし、債務に負われた人におとっては、漸く手に入れた実感のこもった言葉だったのです。


もう第一線復帰。皆様の今年の活躍をお祈りいたします。











再生?破綻?其の足跡を追う。

2007-01-05 | 事例
明けましておめでとう御座います。

この言葉を聞くと、暖かいうららかなイメージが湧いてきます。
しかし世の中にはこんな新年でも針の筵に座っている感じの人も多いみたいです。

5日の朝電話が鳴りました。
岐阜の方です。
其の方の近くで以前相談して人が居りますが、其の紹介で電話をしてとの事です。

83歳の其の方の息子さんが商工ローンからお金を借り、返済が出来なくなって昨年9月雲隠れをしたらしいです。
相談の父親は、借りるとき、連帯保証人になって、無担保の自宅を担保提供しました。
毎月7万を返済しなければならず、元金は其のうち、1万2千円しかならず、後は金利との事です。

年金収入しかなく、1-2回は無理して返済したものの、暮れの返済は出来ず、1月4日から催促の電話がりました。
後、1ヶ月、遅れると担保を競売すると云われました。

元金残は330万。
家を取られるしか方法は無いだろうか。と云う事です。

ありふれた相談ですが、83歳の何も知らない老人にいきなり特定調停の話をしても無理です。
さりとて普通に弁護士依頼の費用もありません。
其の人に今からの動きを簡単に指示します。それで解決しないときは、特定調停に持ち込みます。
1週間経てば結果を報告してください。と長い電話が終わります。

そんな中、メールが入っておりました。
ビジネスローンのリスケです。
ビジネスローンのリスケは一時流行った一般のリスケとは銀行対応が違います。
きつい銀行の要求をのむと6ヶ月は応じてくれます。
問題はその後です。
1月其の6ヶ月が切れます。
それに付いた年末打ち合わせをしましたが、其の提出書類についてです。

今まで私はこうした事件が終わると、簡単意まとめてブログで紹介してきました。
今年は少し趣向を変え進行中のものも一緒に追いかけてみようと思っています。

解決案が出なかったり、稚拙なときは是非とも助太刀を願います。