Sは、ほっとして居ります。
此れでこの不況も乗り切って行けそうです。
と云うのはかねてから懸案の駐車場が売れたのです。
6億の借入金が4億を割ります。
残金については支店長も当分期間、リスケを約束して居ります。
苦しいとはいえ、本業はここ数年はトントンであり、唯銀行返済が
出来なかっただけです。
「後はリスケの手続きだけだ。」
Sは、銀行に事前の打ち合わせに出かけたのです。
しかし、何と無く雰囲気が違います。
支店長が間の悪い顔をしてSに言いました。
「ほら、私が後でよいと言ったお宅の貸地な。
あれも処分して貰えないだろうか。本社が無条件の
リスケには応じない態度で、私も苦しいんです。」
そんな話、最近出たことも有りません。
資産家のSは不景気の為に不動産を売却しては返済をして居ります。
現在まで残って居たのが自宅と工場と駐車場でした。それに何十年と
貸して居る宅地が有ります。
5軒ほど家を建てて居りますが、此れを立ち退かせての売却は大変の事です。
且、実収入も少ないでしょう。
其の物件まで急に「売れ」と云ってきたのです。
其れがリスケの条件とは。
「いや、処分も大変でお金にならないことも解っているが、
そうかと云って、今自宅を処分してくれとは言えませんからね。」
冗談ではない。そんな事まで銀行は考えて居たのか。
先ず外堀の一番の不動産が売れたから今度は中堀・内堀まで
埋めて銀行は私のところを潰しに入っているのか。
頭にきたSはそのまま帰ってしまいました。
まだ1ヶ月の日にちが有ります。
その間に話が付かなければ返済はストップします。
社運をかける決意です。
Sは銀行の豹変が気に食わず、面識のある県会議員に相談しました。
県議は、県会の商工方面の担当です。
県議にも何故銀行が口約束ながら約束破りをして、
そんな態度を取ったのか解りません。
本業の実績も、借入の返済が出来ない事を除けば、今時立派なものです。
不動産処分は、10年来の懸案でSは良く協力もして居ります。
そんな企業までに、この態度とは 県議が考えても,
ここで銀行がリスケを断わり 一気に自宅や工場の競売も
ある様な気もしてきます。
県議は他の銀行の幹部と会った時に、こんな事も今の銀行は
するのか聞いてみました。
「A銀行さんですね。県議さんからだけでなく、
最近急に方々で同じような話を聞きます。すると
間接的には私どもにも影響がありますから私どもも
弱って居ります。そら、あの銀行さんもあの信金さんも、
最近のA銀行さんに対して同じようなことを云って居ます。」
「何故?
此れも貸し剥がしでは有りませんか。
今時急に何故そんな事を始めたのですか。」
「解りません。
唯これはモラトリアム構想が出てから始まったみたいです。
Aさんはしっかりして居りますから、万一此れが施行されたときの
弊害を考えてやって居るとしか思われないんですよ。」
県議が他の銀行と話しても、何処も同じ様なことを云っていました。
地銀の中でも群を抜くA銀行。周りの銀行は何も言えないのでしょう。
モラトリアム 弱者を助けるよい法案と思っていたが、こんな弊害が
あるとは夢にも思っていませんでした。
どの銀行も、自衛策として貸し剥がしの必要性を説明してくれます。
「よい法案でも其れが施行される前に力の
無い企業はお手上げになるではないか。」
保証協会のことならば今まで県会の問題にしたことがある県議ですが、
1企業に絞っての攻撃は確証も無いですし、さすがに出来ません。
県議はSにどう説明しようか悩んでおります。
幸い決算が、今期は前期より僅かながらよさそうです。
其の実績を買って銀行でも貸地の売却は見送ってくれそうです。
しかし、若しこの法案の為に何件か借地を明け渡さなければ
ならなくなったとしたら、法の立案者はどう思うでしょうか。
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此れでこの不況も乗り切って行けそうです。
と云うのはかねてから懸案の駐車場が売れたのです。
6億の借入金が4億を割ります。
残金については支店長も当分期間、リスケを約束して居ります。
苦しいとはいえ、本業はここ数年はトントンであり、唯銀行返済が
出来なかっただけです。
「後はリスケの手続きだけだ。」
Sは、銀行に事前の打ち合わせに出かけたのです。
しかし、何と無く雰囲気が違います。
支店長が間の悪い顔をしてSに言いました。
「ほら、私が後でよいと言ったお宅の貸地な。
あれも処分して貰えないだろうか。本社が無条件の
リスケには応じない態度で、私も苦しいんです。」
そんな話、最近出たことも有りません。
資産家のSは不景気の為に不動産を売却しては返済をして居ります。
現在まで残って居たのが自宅と工場と駐車場でした。それに何十年と
貸して居る宅地が有ります。
5軒ほど家を建てて居りますが、此れを立ち退かせての売却は大変の事です。
且、実収入も少ないでしょう。
其の物件まで急に「売れ」と云ってきたのです。
其れがリスケの条件とは。
「いや、処分も大変でお金にならないことも解っているが、
そうかと云って、今自宅を処分してくれとは言えませんからね。」
冗談ではない。そんな事まで銀行は考えて居たのか。
先ず外堀の一番の不動産が売れたから今度は中堀・内堀まで
埋めて銀行は私のところを潰しに入っているのか。
頭にきたSはそのまま帰ってしまいました。
まだ1ヶ月の日にちが有ります。
その間に話が付かなければ返済はストップします。
社運をかける決意です。
Sは銀行の豹変が気に食わず、面識のある県会議員に相談しました。
県議は、県会の商工方面の担当です。
県議にも何故銀行が口約束ながら約束破りをして、
そんな態度を取ったのか解りません。
本業の実績も、借入の返済が出来ない事を除けば、今時立派なものです。
不動産処分は、10年来の懸案でSは良く協力もして居ります。
そんな企業までに、この態度とは 県議が考えても,
ここで銀行がリスケを断わり 一気に自宅や工場の競売も
ある様な気もしてきます。
県議は他の銀行の幹部と会った時に、こんな事も今の銀行は
するのか聞いてみました。
「A銀行さんですね。県議さんからだけでなく、
最近急に方々で同じような話を聞きます。すると
間接的には私どもにも影響がありますから私どもも
弱って居ります。そら、あの銀行さんもあの信金さんも、
最近のA銀行さんに対して同じようなことを云って居ます。」
「何故?
此れも貸し剥がしでは有りませんか。
今時急に何故そんな事を始めたのですか。」
「解りません。
唯これはモラトリアム構想が出てから始まったみたいです。
Aさんはしっかりして居りますから、万一此れが施行されたときの
弊害を考えてやって居るとしか思われないんですよ。」
県議が他の銀行と話しても、何処も同じ様なことを云っていました。
地銀の中でも群を抜くA銀行。周りの銀行は何も言えないのでしょう。
モラトリアム 弱者を助けるよい法案と思っていたが、こんな弊害が
あるとは夢にも思っていませんでした。
どの銀行も、自衛策として貸し剥がしの必要性を説明してくれます。
「よい法案でも其れが施行される前に力の
無い企業はお手上げになるではないか。」
保証協会のことならば今まで県会の問題にしたことがある県議ですが、
1企業に絞っての攻撃は確証も無いですし、さすがに出来ません。
県議はSにどう説明しようか悩んでおります。
幸い決算が、今期は前期より僅かながらよさそうです。
其の実績を買って銀行でも貸地の売却は見送ってくれそうです。
しかし、若しこの法案の為に何件か借地を明け渡さなければ
ならなくなったとしたら、法の立案者はどう思うでしょうか。
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