かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

へそくり

2010-10-30 | 事例
7-8年か前の話です。
親子4名で私の事務所に駆け込んできた一家があります。
親父があらゆる金融会社から借りめぐり、妻と二人の子供が其の
返済を助けるために保証したり自分が借りて居るのです。
勿論いずれも返すために借金で自分等の遊びや生活のためでは居りません。
しかし誰もが矢の催促になりました。
特に狙われたのが娘と息子です。まあまあの企業に勤めて居ります。

娘が勤務の帰りにこのうちの一軒に捕まり事務所に引っ張りこまれたのです。
折も折、息子にも電話がありました。
「明朝、早くにお伺いする。幾許かは必ず返して頂きたい。」
 もう来るだろうから、どうしてよいか解らない。
 前に先生の本を呼んだことがあるから堪らなくなって駆け込みました。」
声が、がちがちに堅くなって居ります。

「話を聴いたところ破産が一番良いと思いますが、
 弁護士に相談したことがありますか。」
「ええ、しかし会社の破産しますから、どうしても200万は必要らしいです。
 2軒で同じ答えでしたから、本当だと思います。有れば有ります。
 お恥ずかしいですが今其のお金すらありません。」

知り合いの弁護士に直ちに電話をしました。
「相談料ももらえない人だ。今直ちに伺わせるから、費用を考えてくれ。」
「個人企業でも会社が有るから、幾ら安くても80万が限度ですね。」

其の80万も無理だろうと思いながら、その旨を4人に伝えました。
案の状落胆の色が浮かんだとき、今迄黙っていた母親が口を開きました。
「先生お金は私が何とかしますから、今から其の弁護士を訪問します。
 よろしくお願いします、」

額は解りませんが、母親はこの苦しい中、夫や子供に黙ってへそくりを
隠し持って居たのです。いざと云う時は投げ出すつもりだったでしょう。
200万以下だったと思います。

いずれにせよ一家は助かりました。
このときに私が受けた印象は家族4名の強い絆と、こんなになるまで、
隠し持って居た母親のへそくりでした。

この後何回もへそくりについてお目にかかって居ります。

不渡りを出しましたが、債権者会議も開かず、商売を続けた人が居ります。
そんなでしたから資金繰りは容易では有りません。
材料を供給してくれるところは限られて居ます。
仕入先に一寸でも迷惑をかければもう会社は続きません。
借地で競売でも売れない建物でしたから、出来たのです。

商売に、あるいは旧債に追われる日が何年も続きました。
そんな大ストレスのせいか、ある日、彼は仕事中に稼動している
機械の前でふらふらと気を失ってしまったのです。
近くの従業員が気がつき、直ちにスイッチを切ったために
大事には至りませんでしたが、小指一本を失って居ます。
直ぐに近くの救急病院に運ばれましたが、そうなった原因は心臓にあると、
100キロ離れた大阪の病院に直ちに入院処置をとってくれました。

手術は、無事終わり1ヶ月くらいで退院です。
高額療養で戻ってはきますが80万余、此処で立て替えて払わないとなりません。

会社の方は彼が倒れたと仕入先が知れば、解れば直ちに原材料は
入らなくなり工場は閉鎖です。支払が滞っても同じです。
通常の態度が必要です。
パートの給料を半分以上未払いで、仕入れ先には払いました。
80万の余裕などありません。

この場合も奥さんが何とかしております。
親戚も少ないし、外部から借りたと云う事は考えられません。
奥さんのへそくりしか考えられないのです。

倒産して一家悲惨の生活でも、子供が有名私立に入学した話など良く有ります。
公庫からの借金で回して居ると考えますが、それだけでは済まない筈です。
こうした「どう考えても解らないお金」が結構世の中に出回って居ます。

最近の不景気は、家族承知の蓄えなどはとっくに吐き出させました。
資金の欠乏度は今までと桁が違います。
ですから最近はへそくりまでの余裕はない、有っても、
へそくりも使い果たしただろうと思って居ました。
しかし最近でも同じように「へそくりがあったんだ。」と驚いた経験があります。

へそくり、それは危機管理の第1歩で、最も必要なものだと考えることも出来ます。
之を作ることも難しいですし、人に隠して居る事はもっと難しいものです。
其の価値は使い方で決まります。

そんなへそくり、皆に持って頂きたいと思って居ります。


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モラトリアムでも生き残れない人

2010-10-26 | 事例
「貴方のところは、既に半分返済額を減らして居ります。
 これ以上は簡単ではありませんが、どうしてもと仰るならば、
 当行も金利だけを暫くの間、考慮いたします。
 ただ、之をすると其の期間中は新たなご融資が出来ないどころか、
 貴社の会社の格も1ランクも 2ランクも落ちます。
 今後の長い目で見れば決してお得ではありません。
 でき得れば、今の返済を続ける方をお薦めいたします。」

昨年の初め、どうしようも無くなって、銀行に再リスケを
お願いに行った時の言葉です。現在半分お願いしているが、
出来れば当分金利だけにして貰おうと思ったのです。
しかし、この時、彼は其の行員の言葉を頭から信じたのです。

「俺だって、こんな催事商売から抜け出したいよ。
 近いうちに必ず店を持つさ。その時は銀行に融資を
 お願いするようになるからな。」
彼の夢です。
其の夢のために銀行が快く思わないことは絶対にやってはならないのです。

彼の商売は万年赤字です。
安物のバッグ類をスーパーの軒先を借りての商売です。
一人でやって居ますから、月に300万も売れば、借入返済も
仕入れ支払も済ませ、立派にやっていけます。
それが200万を切ったのはもう大分前からです。

奥さんもパートで頑張って居りますが所詮足りません。
彼がカードを利用するようになったのはなるべくしてなったのです。
借り入れは確実に微増して居りました。

そんな彼が慌てたのは、金融業者から借りるのに、
総量規制が儲けられたときからです。
宛てにしていた借入が不可能になっただけでなく、
当分借りられなくなったのです。

「破産か」
覚悟はよいが、破産に必要なお金がありません。
返済は金利までなくなりますから、資金的には何とか回ると思いますが、
自宅の事を考えると癪に障ります。
現在の倉庫代わりのスペースと駐車場など考えると、
今のローンよりぐんと持ち出しが増えます。

こんな時、昔の催事屋仲間の一人が先生と云っている一人の男を
紹介してくれました。コンサルタントです。
男は直ぐに結論を出しました。
「先ず銀行を金利だけにしましょう。これは現在法律もあり直ぐに出来ます。
 そしたら次にカードと住宅ローンを交渉しましょう。
 喋ること全てをアドバイスしますが、交渉は貴方がやってください。
 資料の要求があった時は、勿論お手伝いします。
 それに今の商品が弱いみたいです。
 商品を変えることも検討しましょう。
 それから、私に対する報酬は最高片手以内ですから、振込願います。」

男の云う通りにやって、銀行は簡単に成功しました。
資料は用紙をくれたために男に見せると全部作ってくれました。

しかしこれだけではまだ不足です。
カードとローンの払いを減らし、売上も増やさないとなりません。

「恐らく催事向きだよ。」男が紹介してくれた商品はシーツ類でした。
試験的に仕入れてやってみました。手ごたえが鞄とは全然違う感じです。
勘として今の鞄から変わりそうです。

カードやローンも先ず電話でぶっつかればよいんだ。
彼が今回の体験で得た解決方法です。
どん底だった彼に希望が湧いてきました。

彼は此処で男に電話をして居ります。
「今回お世話になった件のお礼ですが、いま、ものすごく商売も
 不振でとても支払えそうもありません。此方に都合が出来るまで
 待って頂けないでしょうか。」
「そうですか。無いものは仕方ありませんね。
 今後私のほうから請求は一切しませんから。」
「カードやローンは自分でやってみます。
 それから紹介して頂いた寝具屋には決して御迷惑をお掛けしません。」

しかし、その後、カードもローンも簡単に難しいと云われて、
彼は粘らずに簡単に諦めたらしいです。
そしてあの男が「必ず出来ます」と云っていた事は嘘だと思って居ます。

新規商品は3割くらいをいきなり返品して居ります。
残額は振り込みましたが、この対応で仕入先は大きく
気分を害しております。
今後は前金で願いますと彼に申し込んだ様子です。

何のことはない、モラトリアムを除いて、彼は、
「他は全部駄目」と諦めちゃったのです。

「銀行だってカードだって払えなくなってから差押さえまでには
 半年以上掛かるみたい。ローンだって競売で明け渡すには、
 払わなくなってから1年以上はあるみたい。
 その間にいろいろ対策も出来るよ。」

折角の返済融資法も他の借金と本業の稼ぎから見て失敗です。
それとも助っ人を途中で見捨てたのがいけなかったのでしょうか。


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失敗した会社分割

2010-10-23 | 事例
講演会の説明では、会社分割は今の彼の会社にぴったりです。
唯一の取引先、官公庁とは変わらぬ取引を続け、借金だけは別にして
処理することが出来ると云うのです。
口座の継続には営業譲渡は効きません。
今迄第2会社など随分検討しましたが、この入札資格で引っかかって
居たのです。

分割は始めてから、完成まで6ヶ月以上はかかりそうです。
今ならば、モラトリアムで返済の猶予が有りますから、
何とか資金繰りを持たせる事も可能です。
この時期を利用しない手はありません。

「会社を二つに分けて、一方は今後も仕事をやっていく新会社、
 もう借金とは関係ありません。そして今までの原会社が借金を
 全部引き受ける会社になります。此方は借金を処理する事だけに徹します。」
「借金だけを残した会社など、当然返済出来ないでしょう。
 新会社に返せと云って来ませんか。」
「其の通りです。本来ですと債権者の同意が無ければ、
 両方とも債務を負わないといけません。債権者の同意が必要ですが、
 債権者には黙って居ます。その代わり官報に公告します。
 これで6ヶ月の間に異議が何処からも起こらなければ、債権者の
 同意があったものと認められるのです。それを利用します。」
「大丈夫ですか?」
「大口のところは事前に直接同意を得ることになって居ますが、
 それもできないでしょう。でも、第2会社でも詐害行為で
 訴えられたと云う事は聞かないでしょう。どんな債権者も、
 再建を邪魔する様な事はしません。ご心配は不必要です。」

彼は安からぬ報酬の顧問契約をして会社分割に踏み切ったのです。

分割の手筈は着々進みました。
6ヶ月経ち、異議も無く、会社登記は終わり、県や市に分割による業務の
引継ぎも終わり、順調に計画通りです。
しかも運よく、新会社は設立と同時に大きな市の仕事が回ってきたのです。
大っぴらに出来ます。順風万帆とはこのことでしょう。

しかし、原会社の返済は順調ではありません。金利すら返済が難しいです。
新会社が出来ると同時に返済は全て止めました。
「もう、この商売やっていけません。お手上げです。」
新会社のことは何も言いません。
彼はそれで後は信金に預けたつもりです。信金の出方により対応するつもりです。

晴天の霹靂とはこのことでしょうか。
新会社の新規受注も流れに乗って検査も間近になった時に、
突然裁判所から特別送達を貰いました。
「何?」心当たりが無いままに受け取って開くと、1通の訴状でした。
原告は信金です。内容は「会社分割を認めない」と言うものです。
ずば抜けた一番の大口債権者、これに一言も相談も通知も無く、
官報に掲載したからと分割するのは違法行為である。
合併前の姿に戻すようにと訴状です。所謂、詐害行為取り消しの訴状でしょう。
「新会社で債務を責任を持て。」より厳しい訴状です。

普通はこの時に仮差押などがありますが何もして居りません。
しかし信金は役所の発注と支払などはしっかり把握しております。
この工事も、もう直ぐ、役所で検査とともに、支払額を確定する筈です。
その時は直ちに仮差があると覚悟しなければなら無いでしょう。
今更、それをどこかに払うような譲渡をしても、また詐害行為の訴訟が
あることは解りきって居ます。

あの堅い信金の訴訟、勝つと云う裏付けがあったのでしょう。
また、調べてみますと、1時はよい方法と持て囃された会社分割も、
その後あちこちで問題が発生して居る様です。
そんなに未払い債権に対して甘くありません。

しかしこのままでは完全に彼は再起不能になります。
不利を覚悟に和解を成立させないとなりません。

でも其の構想は、いろいろ有るような気もして居ります。


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倒産後の仕事

2010-10-20 | 事例
もう1度印刷の仕事をやっても駄目だと判断しております。
20台から飛び込んだ印刷の仕事、未練が無いと云えば嘘になります。
自分でやりだしてから40年近く、ある大手出版社の印刷の1部を
請け負ってきました。

発注の打ち切りの引導を渡された時、「ついに来たか。」と云う感じでした。
此処10年の業界の動き、最近の出版社の凋落を見ていると、
文句も言えませんでした。

79才、妻は77です。しかし遊んでいるわけには行きません。
会社の借入の保証をして居ります。内800万は自宅が担保です。
保証は全部で1200万ですから、頑張れば自宅を処分しなくて弁済できそうです。

元気な彼は今後も働くことを決意しました。
妻も大賛成です。其のほうが健康にも良い事でしょう。

出来るならば印刷をやりたいです。
伝手をたどって印刷の仕事にたどり着けばよいですが、
まだ生き残っている仲間は、どこも一人でも減らしたいのです。
無論ハローワークには、79歳の彼に斡旋する仕事は無いでしょう。

先ず、フランチャイズが頭に浮かびます。
しかし何の業種でも相当な開店資金が必要です。
それにフランチャイズって傍から見ると良いが中に入ると
期待はずれが大きいと聞いても居ます。
どの業種を聞いても、開店出来そうもありません。
第一資金と体力がついて行かないでしょう。

彼は居酒屋には良く行って居ました。
最近つまみながら仲間に愚痴ったことがあります。
「おい、最近の焼き鳥、少し小さくなって硬くなったんじゃあない?」
「そうだよなあ、確かに小さくなったかな。自分で焼かなきゃ駄目だよ。」
これが大きなヒントでした。

「そうだ。焼き鳥屋をやろう。
 家を離れてやるのだから、面子や自尊心など関係ないだろう。
 焼く職人を一人入れれば後は年寄りでも出来る仕事さ。
 日に4万でも売れれば上出来さ。」

こんな事から彼は79才にして初めて職変えをしたのです。
年金は夫婦で35万、これで焼き鳥で20万も入れば、自宅を手放さなくても済みます。
場所は山手線から私鉄で二つ目の駅、其の駅前通りの外れに15万で借りました。

結果は失敗です。
売上が月に70万くらいしかなりませんでした。しかし考えようによれば、
宣伝1つしない彼が、これだけ売って居るのは、あるいは成功かも知れません。
特に未だ初めて10ヶ月ですが、固定客がついてきたのも嬉しいです。

しかしこの間、借入金は減っていません。逆に銀行以外が百万増えて居ます。
だから傍目では失敗と烙印を押したのですが。

彼は失敗とは考えて居ませんでした。やれば出来るという自信を得たのです。

彼は一本幾らの焼き鳥屋では儲からないことを実感して居ます。
しかしやれば出来ると云う自信は今の商売を元にしての、
更なる発展を計画させたのです。幸か不幸かその時、丁度50才に
なる独身の次男が勤め先の倒産で仕事を探していたのです。
次男も焼き鳥屋に目をつけて、やり様では伸びると考えて居ました。
酒好きな次男は居酒屋を結びつけたのです。

「親父の自宅を売却し、若干残るからそれを元手に居酒屋をやろう。
 焼き鳥一本だから元手は殆ど要らない。親父たちは俺の家に来ればよい。」
次男は倒産でローンで3ヶ月ほど払ってありません。生活費も滞って居ります。
親父がこの話に乗れば、自分の仕事もかねてすべてが解決します。

親は、GOをかけました。
大手不動産会社と自宅の売却に関して「専属専任媒介契約」を結びました。
後戻りは出来ません。

自立や職替えをする人に良くお会いします。
しかし、フランチャイズなどで華やかにやろうとする人は、
うまく行っていない例を良く見ます。
しかし、元手が無いからとエアコンクリーニングや
ハウスクリーニングなど、見栄を捨てて家族で
頑張るような人はうまく行って居ます。
邪心が無く、ただ生きることに懸命な方たちです。

彼の場合、次男が親を利用してという気持ちが一寸気になります。
しかしこれからです。
うまくいくことを祈って居ます。


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税務署の判断

2010-10-16 | 事例
何年ぶりかの税務調査です。
補助金を貰ったり、銀行の手前、無理に黒字を出して居りますから
脱税などある筈が有りません。
ところが何年にも渡って申告漏れがあったと、本税や追徴金を含めて
2000万もの追加課税があったのです。

もう5年くらい前になりましょうか、彼はMと共同して、ある保証債務を
弁済した事があります。
均等が建前ですが、実質は彼が7000万、Mは3000万でした。
この返済には銀行や、弁護士も立ち会っており、和解書もきちんと作りました。
Mはこの時なかなか同意しませんでした。しかし之を弁済しないと彼もMも
銀行取引も出来なくなって、各々本業に影響すると、銀行に脅されて弁済をしたのです。

Mは清算が済んだ後、彼に囁いたのです。
「俺は貴方に誘われて、いやいや保証人になったんだ。
 取引面でよいことがあると聞かされて居たが、何も無くこの始末さ。
 貴方はまだ取引も有って、自分の子会社のように使っていたから良かったが、
 俺には何の利益も無かったね。だから今回の弁済は、貴方が全額負担すべきと
 思うよ。俺は一時的に1部を建替えてやったと云う事ね。そう思って下さい。
 だから貴方から返して頂きます。」

彼は云っている意味が解らず、生半可の返事をしたと思います。

Mは彼のところで大口の得意先でした。
翌月Mは彼からの買掛金支払を予告無くストップしたのです。
慌てた彼は、Mに当分毎月50万の値引きをする事で話をつけ、回収をしました。
税理士と相談して、引かれた分は、以後売上値引きで処理をする事にしました。

曖昧な口約束で何のための値引きか、何時まで続くか細かいことは決めて居りません。
勿論書類にもなって居りません。
彼は税理士と相談して以後売上値引きで処理をする様に決めて居ります。

税務署は先にMを調査したしたみたいです。
帳簿に彼のところに貸付金が3千万計上されて居り、
以後毎月50万づつ返済されております。
業者同士で、こんな貸し借りが有るものかと思った署員は念のため、
同じ管轄内ですから彼の決算書を見たらしいです。
ところが彼の方には借り入れが無かったのです。

これが今回の税務署の急な立ち入り検査になったのです。

他の調査は異論無く全て直ぐに済みました。
この毎月の50万の値引きがけが引っかかったのです。
「値引きでなく借入の返済だ。相手の帳簿はそうなっている。」署員の主張です。

彼は驚きました。事の経緯を説明しました。税務署は納得しません。
「Mさんが自分も負担し、後で其の分の補填を貴方にお願いするならば、
 一旦は経費で3千万落として毎月の入金は利益に計上すれば良いことです。
 ところがMさんは当初から貴方が払うのを建替えただけだと主張して居ります。
 後の入金処理にも間違いがありません。」

口下手な彼は次第に言葉も荒くなります。これも署員の気分を害したらしいです。
署員の態度は次第に高圧的になってきました。

「どうしても我々の見解を認めて頂けない時は、この保証人の負担金の配分から
 調べさせて頂きます。本来は均等の筈ですが、実際には均等では有りません。
 と云う事は、その間に相互の贈与が有ったとも考えられます。我々は其処から
 調べないとなりません。」
何を調べても、古い話。それに一番怖い税務署の取調べです。
税務署の不利になるような発言は誰にでも望めません。

それに、この頃になると、依頼している税理士も立ち会わなくなっていました。

「ではこの和解書のことはどうなるのですか?」
「されは私どもにはわかりません。第一保証と云うのは個人がやって
 会社がする事は先ずないでしょう。和解書も個人名です。
 あなたのように会社で毎月50万を保証の立替とするのは筋が通りません。」

結局は今迄払っていた毎月の50万を売上値引きで処理するのは全部否認されたのです。

延滞税や重加算税など全部加えると2000万でした。

私が彼と同じ立場であったら恐らく彼と同じ処理をしていたでしょう。
会社と個人を一緒にして、損失だから経費処理をしようと云う気になります。
会社と個人を分けるなんて思いもつきません。
しかしそれが後に大きなペナルティとなって現れたのです。

不注意と云うより災難と云われるようなことです。
日常、相当な注意が必要となって居ます。


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社長の使い込み

2010-10-13 | 事例
「社長、もう社長の持ち出しが7000万です。その他落とせない交際費などを
 入れると仮払金が全部で9000万です。もう直ぐ決算ですがこのままにして
 おいてよいでしょうか。」

従業員は20人くらいの建設販売の会社。評判が良く不景気と云うのに仕事は多いです。
娘が経理と資金を受け持って居ります。
ある日の娘と父親の会話でした。

社長が先物株に狂ったのです。
会社でも、社長室で一人コンピューターを弄って居ます。
何の事はない相場の研究です。
2年ほど前に証券会社のセールスの飛び込み訪問がありました。
その時、丁度玄関先に居た社長と声を交わすことになったのです。
それが始まりでした。

社長が自ら営業一線で采配を振るって居た会社です。
方々が赤字で倒産や撤退を続ける中、一人気炎が上がっていたのですが、
社長の変化に黙って居ても社員は気付きます。
時世通りの売上になり、社員を叱咤激励する社長の声も減りました。
それでも社長の持ち出しは続いたのです。

2年目に娘は未成工事支出金として、仮払金から振り替えたのです。
勿論架空です。仮払金は消えましたが架空の売掛金が増えただけです。

社長が狂った会社、
長く続く筈がありません。
社長の使い込みを相まって、この会社はついに倒産です。

でも倒産の少し前に別会社を作って娘を社長にして、
営業だけは守る手配をしたのです。
幸い新会社は順調に滑り出して居りました。

前の会社の整理に、破産が出来ません。破産すれば管財人が乗り込んで来ます。
一寸調査をすれば社長の使い込みなど直ぐに解ります。

そこで、弁護士を依頼して任意整理をしようとしました。

こんなご時勢です。
殆ど仕入れ業者は納得しました。
債権額の15%を払うなんて、今時の倒産会社ではありません。
法的整理ならば、配当は0でしょう。はるかに良いです。
全てがうまく行くかと思われました。

しかし世の中、そんなに思うようになるものでは有りません。
最大手の仕入先が真正面から反対をしたのです。
「あれだけダンピングもせず、営業をして居た会社が急に倒産なんておかしい。
 帳面を見せて頂けないか。それで納得すれば、当社も協力します。」
見せれるものではありません。

依頼した弁護士は、詳しい事情をしりません。社長に見せる事を薦めます。
「あの仕入先の言い分は最もです。見せましょう。
 それで任意整理を終らした方が得策です。」
社長は困り果てて、どうしても落としたいお金を4000万ばかり
最近処理したと、金額を誤魔化しながら、打ち明けます。
未成工事ですから調べると直ぐ解り、発見も簡単です。

さすが弁護士、それらを見て、何か察したらしいです。
「若し、社長が故意に違った処理をしたとすれば、社長の所得に
 戻されて莫大な所得税と追徴が来ますよ。それに、社長の使い込みで
 まごまごすれば刑事問題で手が回ります。そんな事件が絡んでいるならば、
 私とも、契約料を上げて頂くようになります。」

泣きっ面に蜂です。第一そんな弁護士追加料もありません。

大手下請けは迫ってきます。
「それならば新会社で債務を全て継承し、普通通り払って頂けないでしょうか。
 全て、私どもの要求が駄目の時は、私どもの方から債権者破産を検討します。」

「溺れるものわらをも掴む。」そんな時にたまたま本屋で
 知ったコンサルタントに電話をしたのです。
「計画通り15%を払ってお終いにしましょう。賭けになりますが、
 私は債権者破産の申請はないと思って居ります。
 経費が自己破産より高くつきますし、それに相応した配分があるかは解りません。
 何もないのが普通です。
 此方も破産に反対して裁判で争いますから決着までに時間も掛かり、
 相手にとって何の争いかわからなくなります。企業ですから正義感だけでは
 動かないでしょう。ただ、社長は早速相手を訪問し、今までの様に
 弁護士任せではなく、心から謝ってくださいよ。
 真正面から謝られると人間って弱いものです。
 しかしそう云っても、負けることもありますから、その時の腹だけは
 しっかり持ってください。」

事態は好転しそうです。
大手下請けは和解に応じそうです。
新会社の業績も何とか黒字にはなりそうです。

さすがに社長の株も止まって居ります。
そう云えばあの証券会社のセールスが本当に久しぶりに訪ねてきました。
また吹き返せねば良いがと思って居ります。、


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下請け代金、未払いの復讐

2010-10-10 | 事例
昨日、市役所から工事代金は支払われた筈です。
彼女は早速元請に集金に伺いました。留守です。用意もされていません。
前途金や中間金は元請の取り分20%を引いて頂いて居ります。
約半額それが工事検査完了後直ちにと云う条件だったのです。
一寸嫌な感じです。

彼女の感じは本物でした。元受は払わないのです。
そして一軒だけの孫請を呼び、孫請に直接払った見たいです。
詰まり彼女の取り分は丸々元請に入ったままでした。
挙句の果てが「後50万払うからそれで勘弁してくれ。」などと云う始末です。
孫請には払ってありますから業者を泣かせることはありませんが、この1年の労役がふいになり、
あてにしていた入金がなくなり資金的にも大ピンチです。

彼女は訴えました。
訴えれば相手も恐れをなして払ってくれるだろうと云う算段です。
しかし相手は弁護士を立てて受けてきました。
「彼女は孫請に丸投げをして居る。丸投げは違法行為だ。
 だからこの書類をもって彼女との契約を解除する。
 したがって払う義務もない。」
と云うのが元請の根拠でした。

彼女には弁護士を依頼する費用もありません。
インターネットで調べ、裁判所に聞きながら応戦です。準備書面と云う文句を知ったのもこの時でした。
「丸投げではありません。図面は全部引き、日々の管理を徹底して行い、検査にも合格させました。
 確かに肉体労働はして居りませんがそれ以外は全てやって居ります。
 それより1年に渡った工事ですから、問題や不満が有れば途中何時でも注意が出来た筈ですが、
 1度の頂いて居りません。第一検査に合格して発注先から代金が出てから解約など、
 許される行為ではありません。」

早く片つくと思った裁判も途中で裁判官が変わったりして、意外に長く、9ヶ月も掛かりました。
一方的な勝訴でした。
しかも金額は、直接孫請に払ったという金額も支払命令の中に載っていたのです。
「直接の支払者に断りもなく、一方的に孫請に払ったと云って居るが、これは契約以外の事と認める。」
と云う趣旨でした。
当然上告すると思っていましたがそれもなく判決は確定しました。

債務名義を貰ったものの、差押え出来る材料は何もありません。不動産は寸前に名義を変えて居ます。
これが本に書いてある詐害行為と云うことだろうと思っても、女手1つで戦い方を知りません。

「相手は何時かはまた入札工事を取るわ。その時まで待とう。」
入札の指名業者には名前を変えることは出来ません。

それから2年目、相手は工事を取ったのです。期間も3ヶ月くらい、
金額も彼女の未集金より大きい工事です。万機到来です。

1度知らない業者から訪問を受けて居ます。
今度の工事の下請けらしいです。
「お宅が差押さえをすると当方に影響がありますから、そのことで話し合いたい。」と云う趣旨です。
「心配しないで下さい。私は人様に後指を指されるような真似はしません。万一出来たとしても、
 私だけの取り分ならば、残工事代金の15%だけですよ。」
相手はそのまま引き下がりました。

工事が完了し検査も合格したとニュースを掴んだために、いち早く工事代金を差押さえしました。
勿論孫請が直接貰った代金も一緒です。

あの新しい下請けがやってきて文句を言いましたが聞き入れません。
下請けは直ちに工事代金を仮差押をしました。
対等の権利をもっているから、下請け方が取り分は多くなると云うのです。

しかしこれは裁判所から却下されました。
彼女の方の差し押さえが全て決定し、処理が終ってからでは仮差をしても権利はないと云うのです。

約1ヶ月後ですが、彼女は漸く下請けに払うお金を含めて全て手にしました。
差押えた額の約75%は下請けのものです。下請けは之を貰って、以前直接元請に
貰った金額を返済すればよいのです。

しかし、この差押えの前に、彼女と孫請との間で話が出来て居ります。
「俺はもう元受から全額貰って居るから、これ以上貰う権利はないよ。
 でも出来たら500万だけ頂戴よ。後は全額貴方が取っても、俺が貰ったことにします。
 実はね、俺んとこ、どうしようもないから、破産を内々薦めて居るのさ。
 其の費用がなくて弱って居たが、これで破産は出来るしね。」
彼女はもともとの自分の取り分より1500万は余分に入ってきます。

孫請けから領収書を貰って完全にして置きます。
それが、下請けに払わなかった元請に対する天誅と思って居ります。


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気の合わない銀行担当者

2010-10-07 | 事例
公庫が合併する少し前の事です。
Rは債務者の父親の代わりにK公庫とリスケの交渉をしようとしました。
父親は67歳、公庫の借入残が2000万近くあります。
3年ほど前に返済元金を18万にするリスケをお願いました。
75才までに返済が終了するように、公庫は快く応じたのです。

事業に失敗した父親は、今は車持込の運搬業をやって居ます。
母親もパートで働いて居ます。
しかし、不景気で、父親の収入が大きな見込み違いです。
近くに済むRが返済を助けてきましたが、自分の方も生活が厳しいです。
何とか父親の自宅を売却して借金が消えればよいですが、
自宅の時価は1000万くらいです。
元気な両親にもう10年くらい頑張って貰い、父の自宅の時価と借金が
見合いになった時に売却をするのが一番良いと考えたのです。

それには公庫に今の返済を毎月10万にして貰えばよいのです。

「駄目ですよ。そんな返済額ならば、完済は後20年かかります。
 最後は自宅を手放す覚悟ならば、今売ったらどうですか。
 残? それは保証人のあなたが払って下さい。」
最初から担当者は相手にしませんでした。

ただ「出来ません」と云うのとちと違います。言葉になんとなく棘を感じます。
以後どう説明しても受け付けません。
挙句の果てが「これほど云っても解らないのでしたら直ちに競売の手続きをします。」
と言い出す始末です。
上司に会わせてくれと頼んでも「私が全責任を負って交渉させて頂いて居ります。」
と云うだけ。

Rは覚悟しました。
今のままでは返済は続行出来ません。家の売却しなければならないでしょう。
すると残は当然Rに請求があります。
之を10年返済くらいにしてもらえば何とか返済の目処が立ちます。
が、しかし、Rの自宅は他の銀行の担保になって居ますが、
何か嫌がらせがありそうです。

そんなある日、担当者が突然に父親の自宅に来たのです。
父も母も仕事に出ていて留守でしたが、丁度母の兄が遊びに来て一人で居ました。
其の兄と父親と間違えたらしいです。
「近く競売処置を取から早く引っ越してくれ。」と云ったのです。
大騒ぎになりました。

これがRに決断をさせました。
Rは総裁宛に書留便を送ったのです。
今までの理不尽を報告し、双方に一番最良と思われる自分の希望を、
出来るだけ要領よく書いて送ったのです。

1週間後に効果が現れました。支店の違う人から電話があったのです。
自分が担当になったことを告げて、早急に会いたいと云う連絡です。
Rの希望が通って事は云うまでも有りません。

銀行の担当者に困って居る方は意外と多いのです。
堅い。云う事を聞かない渡云うのでなく、何を言って居るか解らない、
無茶ばかり云って居ると云うのです。
此方は担当者の機嫌を損じては大変ですから、出来るだけ、
其の指示に従おうと思っても、とてもやり切れず
段々其の仲が疎遠になって来ます。
こうした場合は99%担当者に非があります。

大きな問題でなく、日常の事でそれが起こってくるのです。
例えば書類1つ出すにも2ヶ月くらい掛かったところもあります。

前の担当者はどなたも言って居りました。
「書式は御社の書式で結構ですよ。それをお手数でも
 持参願えれば有り難いですが。直ぐに解らないところは
 説明願えますし、FAXやメールより、秘密保持になります。」
それが当たり前と思って居たのです。今度の担当は違います。
「ご要望のリスケの書き換には依存ありません。
 しかし提出書類が今の書き方では本部に通らないでしょう。」
先ず、解るように、銀行に似たフォームのある書類は必ず其のフォームで統一する事。
添付の文章は出来るだけ長く書くこと、から始まり一々ケチをつけます。
それも1度でなく1つづつですから時間がかかります。
挙句の果てに「書類は必ずメールで願います。それに関して解らないところは
解る人を探して下さい。」
渡云う始末。
2月前から行っていた書き換えが、期限が来そうです。
「早くしていただかないと期限が来ます。そうなれば通常の返済を
 していただかないとなりません。」

これに近い場合が一番多いです。
妥協できるところは我慢して妥協しましょう。
しかし、何時までも我慢は禁物です。
自分の命取りになることも少なくないからです。

こんな時は上司に云って担当を代えて貰うしかないと思います。
此方の言い分が最もだと解れば、上司は先ず代えてくれます。


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零細企業の生き伸びる手段

2010-10-04 | 事例
どうやっても今月から支払が順調に出来ません。
彼は、資金が此処まで回らなくなったのは、3月の引っかかりが原因と思って居ます。
それまでこの鉄鋼場、潤沢ではありませんが、資金繰りはそんなに逼迫したことはありません。
手形は発行して居りません。しかし回収手形は割って居ります。

3月、弁護士から1通の通知がありました。用心もしなかった得意先が破産です。
さあ、5日後の支払ができません。今時、支払が少しでも狂うと其の日のうちに評判となり
仕入れなど出来なくなります。どうしても払わないとなりません。
銀行も不渡手形の買戻しをうまくしないと、今後手形を割らなくなります。

彼はこの時に徹底した無理をしました。
預貯金は勿論、保険も解約です。社長給料も下げました。それでも未だ不足、
結局は絶対に借りまいと思っていたビジネスローンも借りたのです。
それで何とか凌ぎましたが、これらは後に響いてきます。
ビジネスローンは年利15%で返済も直ちに始まります。
しかも仕事は3月過ぎに1段と悪くなって居りました。
輪に輪が重なった感じです。

今月来月を乗り切れば、後は元に復するだろうと云う計画が、
細かく立てるとそうなりません。逆に不足額が増えていきます。
この時に彼は初めて、引っ掛かりがなくても今まで赤字だったことを痛感したのです。
税理士任せで損益や貸借の数字など見ても居りませんし、たたき上げの彼には見ても解りません。
今迄、借入金が絶えず手元に残っていたから資金が回っていたのです。
それを黒字と勘違いして居たのです。
本当は赤字です。そのために今後どうやっても うまく行かないのです。

彼は破産を考えました。
しかし破産しても今の仕事で食べていくよりありません。
しかし、現金で無いと仕入れは出来ませんし、第1今後仕事が回ってくるか、
また有っても利益が出せません。
今の仕事から逃げて、他に生活 出来る仕事がある場合のみしか、
破産はしても無駄になります。

今の借金と今後の差押さえを逃れるために第2会社をつくり、そちらに移行を考えました。
得意先の方の口座つくりは自信があります。しかし工場が問題です。
これも今後商売を続けるのは今の仕入先に不義理をする事が出来ません。
またそうしても赤字体質は直りません。
この方法は、やがては工場も取られますが、そんなことは今は問題外です。

結局、今の工場を続ける以外ありません。
それが為には今の資金不足をどうするか、
それに赤字体質をどうするかと2つのクリアが必要です。

資金不足については次を考えました。
金融機関の返済は金利を含めて全部ストップします。
債権額は小さいが返済額が大きいビジネスローンもストップです。
いずれは担保の工場は取られる覚悟ですが、全部保証協会付きですから、
此処とうまく折衝すれば、競売などなく何年間も使用できると出来ると考えます。
後の差し押さえ対策は売掛金ですが、比較的細かい上に、はっきりした売り先を何処も知りません。
差押えはない方に賭けます。

今月の資金は、彼の唯一の贅沢品の車を売ります。これでゴルフ接待などして居ましたがが両方
無くなれば一挙両得です。
代わりの車はオークション専門店に30万くらいの車をお願いします。
急いで処分しても、これで不足額の200万は揃うでしょう。

これで恐らく乗り切れると思って居ります。
最悪の場合は仕入先1軒には話そうとも思って居ますが、
今までも噂で仕入れが出来なくなったところを知って居ますから、
まだ踏ん切りがついて居りません。

それでも赤字体制は直って居りません。債務超過が身に浸みます。

「旋盤がなくて何が鉄鋼場だ。旋盤こそ命ではないか。」
この思いが少し変わったのです。精密な仕事も安く上げるのが彼の売り文句でした。
しかし、その代わり粗利は少ないです。工員が3名居りますから恐らく赤字の元凶です。
鉄板だけにしたらどうなるか。今迄細かく分析して居りませんが黒字に転換しそうです。

今迄リストラをやる尽くしてもうこれ以上できないと思って居ました。
「仕事がある限り、改善・改革の余地はあるし、出来るんだな。」
彼の感想です。

女房が笑いながらゴルフバックに封印をしました。
会員権も手放す予定です。


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監督官庁の威力

2010-10-01 | 事例
次長代理も課長も急に黙りこんで終いました。
気まずい沈黙が暫く続いた後、二人は「当行も今後の処理をもう1度検討します。」
と逃げるように帰ったのです。

話の経緯は、1年前に彼に銀行の本店営業部から「融資取引はなし。残高 0。」
と云う残高証明を頂いて居ります。
「不良債権を放棄してもらったんだ。」彼は随分喜んだ物です。

しかし1年後、急に請求がありました。彼はびっくりして電話で苦情を申し込んだのです。
いろいろ話したが双方とも納得せず、今日銀行からの訪問です。
彼の予想より偉い人が来ました。

「確かに銀行は内部的には償却して居りますが、貴方に対しては償却して居りません。
 第一、貴方も債務を払った覚えはないでしょう。」
此方が老人のせいか言いたいことを言って居ます。挙句の果てが次の台詞でした。
「当行はサービサーに譲渡しますから、後はサービサーと交渉してください。」

このときに彼は毅然として言い返したのです。
「残高0の債権を他人に譲渡してよいかは知りませんが、譲渡する事は御行の自由です。
 私が口を出すことはできないでしょう。
 しかし、万一私のところに請求があった場合は、参考意見として、
 私は先ず金融庁に私の考えが正しいかお伺いをします。」
こういった途端です。二人とも黙り込んだのは。
今までは裁判も辞さないような口ぶりでしたが今度は唖になったのです。

もうサービサーには譲渡は無いと思います。
どうも態度から見て銀行にとっては、金融庁は裁判所より怖いところでしょうか。

監督官庁の威力と云えば、大蔵省に威力を感じたのが最初でした。
経営がおかしくなると、担保でない定期預金が良く拘束されて、
債務者が泣いたことがあります。何を言っても解除してくれません。
泣く泣く銀行に取られたものです。

しかし、之を大蔵省に直訴すると銀行は解除してくれると云う噂が流れたのです。
この時に、3000万を拘束された一人の田舎町の社長を知って居ります。

どうお願いしても銀行は解かないために彼はわざわざ上京して大蔵省に駆け込んだのです。
対応してくれたのは、理財課長でした。
社長の話を聴いた後その場で銀行の支店長に電話をして呉れたのです。
課長は「明日帰ると引き出せます」と助言してくれたのです。

翌日、銀行に定期の解約手続きをすると、何の抵抗もなく、すらすらでした。
社長は改めて監督官庁の偉大さを感じたのです。

しかしこの話は続きがあります。
仲のよい違う銀行の担当が其の日の内に尋ねてきたのです。
「頑張ったらしいね。近隣の銀行は昨日中に全部知って居ますよ。
 今後は難しくなりますよ。」
事実それを期に、今までの取引銀行は彼のところを急激に避け始めたのです。
新規の銀行を狙っても銀行は相手にもしません。
彼は間もなく倒産したのです。

私はこの他、2軒知って居ります。確かに大蔵省は助けてくれました。
しかし、いずれもその後銀行との間が急に悪くなり、2軒とも直ぐの倒産になって居ます。
私は、この後大蔵省に直訴は、止めて居りますが、其の威力は十分に解りました。

金融庁に代わった最初のころは、争いごとで電話をしても「民事不介入」
と云って相談の受付すらなかったように思います。

次に電話では良く相手もしてくれましたが、結論が出難いこともありました。
「富士銀行と第一勧銀が合併した時です。両方の銀行から借りて居る人がいました。
 ところが保証人の一人が富士だけを保証していて、第一勧銀は保証していませんでした。
 新たに第一勧銀分を保証に加える事は嫌だと言い張りました。銀行は保証しないと
 不良債権にすると強硬です。」
銀行の言い分がおかしいのではないかと金融庁に聞いたことがあります。
「金融庁はこの問題については各銀行に一任して結論はもっていません。」
銀行に遠慮したような返事でした。

しかし、こうした、銀行に遠慮が見えるかの感があった金融庁も
随分変わってきていると思います。権威を感じます。
其の金融庁が中小企業寄りの事を云っているのも嬉しいことです。

我々は官庁に威圧なんて感じません。銀行は感じているみたいです。
何か利用出来ることはうまく利用したいです。


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