かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

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別れた亡夫の遺産

2011-02-25 | 事例
元の夫の死に顔は安らかでした。
彼女の気持ちなど微塵も疑って居りません。
自分の子供は何処に居るやら、一言も口に出さず、
別れた妻の手を握ってあの世に旅立ちました。

バツイチ同志の結婚。彼女は一人息子を連れて、
夫の方は3人子供が居るらしいですが、女の方が引き取って
生活して居ります。彼女の息子は夫と養子縁組をして居りません。
籍は夫とは無縁です。夫は小さな町工場を経営し、息子はそれを手伝った居ます。
今の自宅は彼女が前夫と別れた時に財産分けしたもので、最初から彼女の名義です。

結婚してから二人は、近所に収益物件を手にし、半々の共有名義にして居ります。
後は目につく資産は有りません。

彼女は夫の会社の帳簿をつけ、資金繰りをして居ります。
工場は20キロ位離れて居りますが、帳簿付けは自宅、銀行も自宅の近くです。

会社は低調です。夫は元気が有りません。
そんな夫を見ているうちに夫に嫌気が差してきました。
「別れたい。」と思うようになったのです。
「あの収益物件を頂いて別れよう。息子は夫の工場に居れば、
 やがて工場は息子のものに成る。」

考えれば早いです。
銀行借入の保証は夫だけです。返済猶予をした後、夫をそそのかします。
「ひょっとすると工場、危ないかもね。自宅は私名義だから安全だが、
 あのアパートは共有物件だから無くなる可能性が多いわね。
 之を今のうちに守って置きましょう。」

彼女は夫と偽装離婚をしたのです。
先ずは別居です。夫は会社の近くにアパートを借り、実際に移り住みました。
「暫くの間よ。こうしないと本当の離婚と信じて貰えないから。」
そして今迄は夫が運んだ伝票を息子に運ばせて、会社の資金繰りだけは
握って居たのです。
収益物件は彼女のものに成りました。

会社は、返済猶予をしても、受注減は之を上回り、ますます悪化を辿ります。
急に独身生活になり、しかも気苦労の夫は「背中」の痛みをこぼすようになりました。
別居を始めて4ヶ月目に夫はたまらなくなり病院に行きました。
膵臓癌、しかも癌は体の各部に転移して居ますとの事です。
医者から「後3-4ヶ月でしょう。」と囁かれました。

彼女にはそれを聞いても悲しみは有りませんでした。
「息子の承継が自然に早くなった。」内心はほっとしたのです。
でも今の工場は夫の借金があるこれを息子に引き継ぐことは出来ない。
「それには第2会社をつくば良いと聞いている。」
第2会社は難しくは有りません。
しかし、いざ検討をすると、返済などしなくてもどうやっても赤字。
息子が引き継いでも駄目です。そこで考えたのが破産です。
1日も早く破産させたほうが残ります。

工場と夫が破産するのに50万で良いという弁護士が居りました。
弁護士に一任する事です。
入院中の夫に話して同意を取り付け、弁護士にも病院に出向いて頂き、
破産申請を正式に依頼しました。
これで次回の支手は不渡りです。

弁護士には会社個人とも通帳と印鑑とを渡しました。
不明の点が有れば、彼女と息子に聞いてくれと夫に頼んでもらいました。

此のときに彼女は、今ある最後のものを全部貰いたいと考えておりました、

回収した手形が有りました。
息子が乗っていた車は欲しいです。
機械類は若干のお金になるかも知れませんがこれには未練を残しません。
個人でかけていた生命保険や医療保険はどうなるのでしょうか。

手形は裏書をして隠して居ましたが、弁護士に聞かれました。
「夫が何か使ったでしょう。身辺に色々有ったみたいですから。」
弁護士はそれ以上追及しませんでした。
保険の事は此方から有ると云いませんし、聞かれもしませんでした。
車は評価が安かったでしょう。これも息子のものになったみたいです。
機械類は仕入れ業者の方が処分したらしいです。

破産は無事終りました。
それを聞いて夫は安心したかの様に他界したのです。
彼女の手を握って。

野辺の送りを済ませると保険の請求です。
大誤算が発生しました。
彼女も息子も相続人では有りません。
受取人が本人となっていれば相続人でないと駄目だそうです。
夫の元の妻の子供を捜さないと駄目との事です。
医療保険のほうも同じです。病院には立て替えて払って居ます。

それでがたがたして居る時、ともに仮差押に成ったのです。保証協会です。
偶然に会社を訪問し、残務整理をしている息子と会いました。
何も知らない息子はべらべらと社長の死や、雑談として保険の事も喋ったみたいです。
後で知っても間に合いません。
保証協会は之を差押えると借金の殆どは解決します。

手形だけは何とか現金に成りました。
息子は職探し、若いけれど無いみたいです。

最後に大魚は釣り落としましたが、私の資産獲得、まずまずだったと思って居ります。


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1 コメント

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ご無沙汰しております (うなぎ屋譽兵衛)
2011-02-28 12:28:48
何とも世知辛い話ですね。
旦那さんが死んだこと、本人がしらない事だけが救いでしょうか。
さて為替の件ですが銀行は返済猶予や融資等で対応しているようですが、他社に聞いて恐ろしいなと思ったのは「更に為替予約を買わせている」事です。
これ以上円高(80円以下)には行かないからとのことで追加で契約させているようです。そうすれば総契約金額上では
負債は圧縮されますので。でも80円割れした時にはどうするのでしょうかね。。
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