「貴方、この会社簡単に破産など出来ませんよ。
そりゃ近い将来貴方の会社は何億か損をするでしょう。
払い切れなくなるでしょう。しかしそれは成るだろうと
云うことで決定ではないのですよ。それなのに貴方の会社は、
今、現預金は4000万位ですが、香港の別会社には150万ドルも
貸金が、あるではないですか。破産をするなら、これを全部
使い終わってからですよ。」
彼が聞いた人は必ずこうした返事をします。
「しかし、弁護士は破産しかないと言っていました。今のように
月1000万近くも銀行に払っていれば後2-3ヶ月しか持たない。
破産を申請するまで余り時間も無いが、至急貸し金の整理をして
おきましょうと言われました。しかし、破産となれば管財人に
通帳から帳簿まで調べられるでしょう。簡単にこれだけのお金を
使うことも隠すことも出来ません。どうすればよいか思案中です。
弁護士はこのお金を全額為替清算に使用し、払いきれない額を
確定して破産と言う筋書きを書いているらしいです。」
輸入で実績を上げている会社です。本業はずうっと黒字です。
輸入ですから仕入れる毎に円をドルに代えて支払って居ます。
このレートが110円のときに銀行から薦められて5年間100円で
買えるようにしたのです。
しかもレバレッジとか云って投資額の3倍の効果が上がるような為替でした。
円は値上がりしました。しかし100円までは良かったです。
仕入れ代金は安くなるし、そればかりでなく為替の差益も入って来ます。
銀行には感謝しましたが、やがて100円以下になると大変なことになりました。
毎月毎月莫大なお金を銀行に払わなければなりません。
眠れませんでした。
銀行に打診すると今解約すると5億5000万の損失で、
即銀行に払わないといけないようです。
年額4000万の利益では返しきれるものではないし、
第一、それだけの現金はなんとしても揃いません。
弁護士事務所に駆け込みました。
「為替のお金は本業のお金と違って多分リスケはしません。
とすると破産は必至です。しかも小額管財の破産も難しいでしょう。
当職が全て良いように指導しますからとりあえず400万を払ってください。」
普通だたら簡単に払いません。
何時倒産になるか、見えぬ幻影に怯えている最中のために云われるままに
払ったのです。
しかし弁護士は具体的なことを指示するでもなく、「貸金さえ整理が付いたら、
破産申請をしましょう。なんならこのままで破産をしても管財人が債権者に
分配するから、このままでも破産は出来ますがね。」と他人ごとです。
この時に「400万は早かったかな」と言う思いが頭を掠めました。
今はお金はあるが、もう直ぐ無くなって、破産をしなければならない。
そうなると私は家も職も失う。
毎日、こんな想いで居ればたまらないのです。
最近破産をした先輩に打ち明けました。
「馬鹿な、破産など絶対にしてはいけないよ。全て持っていかれるよ。
それより其の香港のお金は返してもらって、どこかに隠せよ。
破産さえしなければ誰も帳面も調べないし解りっこないよ。
万一聞かれたときは個人的な借金を返しましたと言っていればよいよ。
それより絶対返すから其のお金、3000万ほど貸してくれないかな。」
弁護士の言う事と正反対です。
非常に気になって方々から意見を集めるとどうも先輩の言う通りです。
また、万一銀行と喧嘩をしても差押さえ以上の事は無い。
其の差押さえだって、いくらも対策を取る事は出来ると解ったのです。
「為替は全て解約してください。ただし債務が確定しても当社は
現在全然払うことが出来ません。当社が立ち直り、払えるように
なるまで待ってください。また本業でお借りしたお金も当分金利だけに
してください。為替差損が無ければ今でも立派な黒字です。
為替の方にお金を回したのが悪かったですが早急に回復させます。
為替の方が待てない場合は当社も倒産になります。それは覚悟は
出来て居りますが、出来ましたら希望通り、お願いいたします。」
本業には絶対に自身のある彼が、散々考えた末の筋書きです。
どうやら銀行は承諾しそうの雰囲気です。
しかし爆弾を背負うことにはなりますが、彼はまた青年実業家として
敏腕を振るうことが出来ます。
あの弁護士、何のためにお金を振り込んだのでしょうか。
契約も何もありませんし、弁護士に教えてもらったことも有りません。
「若干でも返してくれるかな。」彼はだめもとを承知で申し込む予定です。
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