かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

総量規制が自宅を処分させた

2010-11-29 | 事例
「本当ですか。このあたりの相場ならば高くても3000万ですよ。4500万なんて絶対に有りませんよ。」
「そんなこと云ったって君、現に4500万で欲しいという人が居るんだ。売るか売らないかは
 此方の意思で直ぐに決まるんだ。」

信じられないことを強く言い切ります。
最近まで小さい印刷屋の社長。78歳と云っても呆けても居ません。

彼は自宅を担保に金融業者からお金を借りて居ます。
期限が来ると切り替えて居ます。
ところが今までの切り替えが総量規制で出来なりました。
したがって、期限までに全額返して下さい。
さも無いと抵当権の実行をせざるを得なくなりますと云われたのです。
検討しましたが売らざるを得ないです。
でもね、此処を売って一人暮らしの息子と住み、ローン残や借金を整理すれば1200万ほど余ります。
之を元手に近日会社を辞める息子と居酒屋をやりたい。これは息子の強い希望です。
それをしても、十分にお釣りが来ます、と云うのです。
家の相場は、不動産屋に聞いたらしいです。

「本当ならば売りましょう。売って、他のマンションを買っても良いですよ。
 それから不動産屋に頼むとき、相手は媒介契約書に捺印をお願いに来ますが、この時に
 一般媒介契約書にしてください。専任とか、専属とか有りますがこれは絶対に避けましょう。これらの
 契約書には捺印しては駄目ですよ。」 

彼は、昨年までは大手出版社の専用印刷会社でした。不景気で解約されたのです。
78歳の老齢でしたが、年金だけでは、住宅ローンと、若干ある貸金業の借金が
払えないと焼き鳥屋を始めたのです。
自宅は親子リレーローンで残が2700万有ります。
業者の借金は300万ほどでした。

息子は最近離婚して独り身です。
かって彼の家だった所に住んで居ます。会社が左前で退社が決まって居ます。

彼は、会社を畳んで、彼は資金も掛からず、経験も不要な焼き鳥屋を選びました。
でも少しは資金も必要です。
自宅を第2抵当にして、ある業者から600万借りました。息子は保証人です。
これで今迄の貸金業者の分も清算出来ました。

貸金業者の条件は緩やかでした。例月は金利だけ払ってください。元金は期限一括で良いです。
返済期限の切り替えは何時でもしますと云うのです。彼も既に1回切り替えて延長して居ます。
当分は延長せざるを得ないでしょう。

しかしこう思って居た矢先、業者から連絡が有りました。
「貸金方の改正で総量規制が出来無くなりました。貴方の期間延長は出来ません。
 期限までに全額返済願います。
 出来ない場合は抵当権の実行をさせていただきます。」
これが二人の居酒屋に対する意思を固めたのです。

しかしながら、今の焼き鳥屋も とんとんか赤字です。
これが居酒屋なんてうまく行くものでしょうか。
でも二人の気持ちは昂ぶる一方です。
そうこうして居るうちに息子は退職、二人は居酒屋計画に走りだしました。

先ず手始めが焼き鳥屋の店舗の賃貸契約解除です。3ヶ月前には云わないとなりません。

次は自宅の売買を依頼です。4500万と云った不動産屋と契約です。
ところが4500万なんて、彼が以前「そのくらいで売れないかね。」「はい努力します。」
の会話が有っただけです。それを彼は買い手が決まっていると信じてしまったのです
しかも結んだのは専任専属契約、販売準備も今からです。

一方貸金業者の方は不動産の売買を自分を通せば売れるまでは利息も無いも取りませんと云いましたが、
今の不動産屋と3ヶ月は契約変更はできません。
では期限がきたら、当社は遅延損害金を頂きますと云うことです。確か29%です。

名の知れた大手の不動産屋ですが、そんなに物件は動きません。
ましてや山の手と云ってもこのあたりは小さな家が密集、其の路地の行き止まりです。
4500万は愚か3000万でも買い手が現れません。
借金すら返せません。

結局3ヶ月内に売れずにこの扱いは貸金業者の不動産部に移って居ます。
何とか手数料や遅延損害金を引いてローンを返し、業者には300万返しただけです。
息子は連帯債務者となり、其の自宅が又担保になりました。

さあ、居酒屋資金が出て来ません。
焼き鳥屋を暫く続けるしか有りません。
しかし、此方は解約申し込みをした後直ぐに後口がきったからどうしようも無いという返事です。
自宅はなくし、今までの仕事は失い、今後の仕事は駄目になり、借金は残る、実に最悪な
ことになったのです。

事の発端は貸金業者の総量規制です。此処から事件は伸展しました。
しかし今となっては慰めようも有りません。



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一人で戦った初めての訴訟

2010-11-26 | 事例
訴訟ってくわしいことは知りません。
しかし彼女は訴訟をすると、Kもびっくりして払ってくれると思ったのです。争いになるとは思っていません。
自分はどう考えても間違ったことはして居ない。一方的に払わないKがおかしいと思って居ました。

市の土木工事、Kが元受け、彼女がその下請けです。
彼女も更に孫請にこの工事を依頼したのです。
設計の線引きから毎日の進行、それに検査に通る様に監督だけは抜かり無くやって居ります。
が実際の工事は全て孫請です。人が見れば工事現場に殆ど居ない彼女を丸投げと思ったかも知れません。
丸投げは禁止事項です。

前途金・中間金はつつが無く貰えて工事は順調に進みました。
漸く工事も終わり、本検査です。
これに通れば彼女はKから2500万回収でき、其のうち1600万を孫請に渡さば良いのです。
今迄頂いた分は100%孫請に先に回して居ります。

狭い市のこと。支払日は直ぐに解ります。
彼女は直ちに集金に行きました。孫請に払うばかりでなく、自分の支払にも必要です。

ところがKは留守です。奥さんと二人の企業です。くれぐれも伝言して帰りましたが次の日も留守です。
携帯にも出ません。
しかし漸く彼女の会社の部長がKを捉まえ、支払をお願いしました。
その時にKは次のようなことを云ったのです。

「お前んとこ、孫請に丸投げではないか、丸投げは違法だよ。そんな金払えないよ。
 ただし孫請には払うから孫請に幾ら払えばよいか教えてくれ、お前のところは百万払ってやるよ。」
昔ダンプの運転手。そのままの口の利き方です。
部長は彼女に報告しました。

彼女は考えました。
此処で喧嘩になっても、絶対に折れるKではない。むしろ一寸耳にしたことのある、裁判所に訴訟と云う
ものをやって見よう。弁護士を頼む費用も無いから、自分でやろう。裁判所にやり方を聞けばよい。
訴訟を決意しました。
勿論顧問には相談して居ります。非常勤の顧問が比較的こうしたことに詳しい事も励みになって居ます。

簡易裁判所は親切でした。
書類の書き方など詳しく教えてくれました。何も知らなくても一人で支払督促の訴えは出来たのです。
Kもこれで払うだろうとの思惑は、飛び込んで来た「支払い督促異議申立書」で、見事に狂いました。
払ってくれると思って居たKが弁護士を依頼し、反論してきたのです。
「彼女は丸投げだ。丸投げは違法だ。故にこの書面をもって契約を解除する。支払は出来ない。」
と云うのが反論の趣旨でした。

管轄は地方裁判所に移り、しかも直接の相手は弁護士です。
彼女はどうしてよいかわかりません。
とりあえず、丸投げが問題の焦点だから、これに反論しようとして懸命です。
案の上、第1回の公判では自分ながら勝ち味のないように思われたのです。

「そんな、相手の戦術に乗っては駄目です。」
相談した顧問が切り出しました。
「検査が通り、お金を貰ってから、契約解除と云うのは全くの難癖ですよ。世間は通りません。
 それに工事が始まってから1年近くなって居ます。その間、Kは何も云って居ないでしょう。
 幾らでも丸投げと云って注意が出来た筈です。それも何もしないで難癖とはほどが過ぎます。
 それを重点に押してください。
 そして工事の事ですが、設計をし、検査も受けて居ますから、ポイントは全てやって居り、
 決して丸投げでは有りません。 スコップを持つことが工事の全てでは有りません。」
戦術を変えて顧問の教えるような論旨の準備書面に切り替え、法廷で争ったのです。

結果は一方的の勝訴でした。
当然控訴されると思って居ましたがそれも有りませんでした。
相手も予期していたかも知れません。この間に不動産の名義など全て換えて居ます。
詐害行為で争う方法など知りません。

しかし結果としては、この争いが終った後、Kが取った工事代金を差押えて居ます。

Kの難癖であって、本来が勝つべき事件だったかも知れません。
しかし今迄遠いことだった裁判所の事で、かつ相手は弁護士、それを女手1つで争い、勝って居ります。
このことが、その後の彼女を大きく変えて居ます。
急に一回りも二周りも大きくなったような気がします。

「正しいんだ。やるのだ。」と決めたからには、何も知らないことでも敢然と
 飛び込み、自分の意志を貫くことは、非常に重要なことと思います。


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破産くらい思うようにしたい。

2010-11-23 | 事例
其の手紙の差出人は裁判所の女性書記官でした。
私信として、担当書記官が、破産申立人に送った手紙を見たのは始めてです。
丁重で親切な手紙でした。

「裁判所は貴方方夫婦の破産申立てを受理いたしました。しかし内容をみますと
 会社の代表者が会社の保証債務が払えないから、代表者の個人破産の申請と
 解りました。本件は会社の破綻が原因のために、先ず会社の破産も申請して
 頂いて居ります。万一、会社の破産を申請しない場合は裁判所はそれを
 調べなければなりません。莫大な日数と費用がかかります。これは全て貴方の
 負担になります。それよりも一旦、今回の申し立てを取り下げて、改めて会社も
 同時に申請することをお薦めいたします。」

彼の会社は倒産しました。
自宅兼会社のビルが競売で落とされ、東北のある町に都落ち、
夫婦だけでひっそり暮らして居りましたが、1年以上経つと
債権者が追いかけてきました。
特に、特に代払いをした保証人から、それを請求されるのが何より辛かったのです。

「個人だけ、破産をすればよいさ。もう会社は事実上無いし、
 何をされても平気でしょう。個人だけ破産をしましょう。
 費用だって格段に安いし、早く処理が出来、人に知られる
 事も有りません。同時破産と云います。普通は会社の破産も
 申請しないと、個人の申請書は受け付けて貰えません。
 しかし申請しましょう。受け付けてくれれば先ず其の申請は通ります。」
知人の助言で其の通りにしたのです。

確かに其の通りでした。
1回目はそれが原因かどうかわかりません。書類の不備で戻されたのです。
その時に、不備の点を教えながら、「会社の保証債務は会社も破産申請しないと
難しいですね。」と係員がそれと無く呟いたのを覚えて居ります。
彼は、会社の破産申請をしないことが個人の破産申請に影響していると
思い込んだのです。

「会社が倒産して、2年以上経つと個人だけでも受け付けますよ。
 もう暫く我慢して申請しましょう。」
これも知人の助言です。

2年が過ぎました。
この頃から東京時代の各租税の未払いまで請求に加わりました。
彼は待って居たかの様に再申請したのです。
書類に不備は無く、すんなり受け付けられました。
「良かった。後は呼び出しのままに2回ほど裁判所にいけば破産になる。」
彼は胸をなでおろしたのです。

其処に書記官からの手紙でした。

「裁判所がそう云うならば一旦取り下げよう。
 しかしお宅もこれ以上待てないでしょう。裁判所の近くに弁護士や
 司法書士の事務所が有りますから其処に相談をしてください。
 彼等だったらこのままで破産が出来るかも知れません。
 または会社を加えても安く出来るかも知れません。」

確かに帰り道、気をつけると裁判所の近くに「破産」の文字が入った看板が有ります。
一番小さいところに飛び込んだのです。
「書類を造り直します。夫婦二人で手数料から裁判所の費用を
 一切含めて20万でよいです。」
今までですと夫婦二人の申請料が5万くらいです。
若干かかりますが依頼しました。
二人はその後1度も裁判所に顔を出さないで破産は終了しました。

「依頼したのは司法書士?弁護士?
 それで其の費用内で会社も破産出来たの?」
「どちらか解りません。会社も破産したか聞いてありませんが、
 後で裁判所から送られた書類には会社の名前も入っていたと記憶して居ます。」
何かはっきりしませんでしたが、目的を達して良かったと思いました。

ところが偶然同じ裁判所です。
ある企業主がこれも個人だけ破産申請をしたのです。
第2会社が予想以上にうまく行っており、彼は1日も早く復帰したいのです。
会社が破産をすれば忽ち業界に知れ、第2会社に影響するから会社は破産が出来ません。
彼だけが破産をしたい、それも管財人が入らない同時破産です。

一方まだ倒産して1年あまりを過ぎただけ、担保不動産は売れずに残って居ります。
こんな同時破産の申請は通るはずがないと私は思って居ました。

ところが受理されたのです。
弁護士・司法書士それと彼でこの破産の申請について度々打ち合わせて
居たのは知って居ます。
これが受理されてからの進行については彼は口を閉ざしてしまったのです。
しかし第2会社の社長に復帰して居りますから恐らく免責まで進んだと思って居ります。

小額管財の破産は確かに小企業が時間的にも費用的にもやりやすくなって居ます。
しかし、業界紙などから、破産が世間に知れて、仕事が出来なくなることが一番困ります。

個人が本当に助かる、個人だけの同時破産、もう少しやり易いものに見直して貰いたいと思います。


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破産をしなくて、追われる期間

2010-11-20 | 事例
久しぶりに彼から呼び出しです。
第2会社で9年間続けた企業が、もうどうしても成り立たない。
工場を閉めたい。ついてはまだ片のついていない旧債があるが、
これが又ぶり返さないか検討して置きたいとの事です。

彼と知り合ってからもう11年はゆうに経ちます。
大手ばかりの下請けで100名くらいの企業で、都市銀行7行から40億借りて居ました。
ところが流行の不動産投資に失敗し、かつ本業が落ちてきたのです。
当時は、リスケとか返済猶予なんて言葉もありません。
危険を察知して私の事務所に訪れたのです。

この会社は、結局駄目でした。自宅も競売です。
その時に彼は知り合いの不動産屋に依頼して郵便受けだけあるところに
自分だけの住民票を移して居ます。今後各銀行と争うだろう。
その時に実態の無い住所のほうが争いやすいと考えたからです。
以後連絡は全て携帯電話でした。

そして男の心根か、破産は絶対に嫌だ。
それに企業は最後の最後まで続けるという彼の言葉を尊重、それから
長い借金闘争が始まったのです。
お会いしてから3年目には会社は完全に無くなって、
奥さんが経営する第2会社に移行して居ます。
しかし彼自身は、不動産の任売・競売、訴訟など殆ど全てを経験しました。

「長かったね。ところで今、何社残っていたっけ。」
「正式に和解したところが2軒。時効の内容証明を書いたのが2軒。
 それにD銀行の支店長は、自宅の競売の時、後は銀行が放棄すると
 囁いてくれました。と言うことは保証協会と、信金とあの煩い
 サービサーの計3軒だけです。」

「信金はもう大丈夫です。サービサー譲渡の内容証明も来ないし訴訟も
 無かったですよね。サービサー譲渡が騒がれる前だから自社で放棄を
 してあるでしょう。万一何か言ってきたら、直ちに時効の援用をしましょう。
 それと煩いサービサーは今のままで放って置きましょう。
 相手は此方を捕まえようもありませんし、大分静かになったでしょう。
 もう直ぐ時効になりますし、訴訟も無いでしょう。
 問題は保証協会ですが此処は、保証人の名前で月2000円を払い出してから
 もう7年になりますね。今の振込用紙が終ったら返済をストップしましょう。
 文句を言ってきたらその時に対処を考えればよいです。」

兎に角、住民票まで誤魔化しても、11年借金に追われて来て、未だに終止符を
打てないのです。破産をすればとっくに終って居ますが、彼の場合は、破産は
しなくて正解だったでしょう。
高い費用を払い、第2会社も出来なくなります。男としての面子がすっ飛びます。
そのくらいだったら、ゲーム感覚で相手と争って居た方がはるかに良かったです。

でもこんな例もあります。
自分は県営住宅に住みながら、小遣稼ぎのためにマンションを購入、
そして失敗した老夫婦が居ます。
銀行は2行、残った借金は2300万です。
弁護士に破産を聞きに云ったら当時全てで300万と聞いてびっくりしました。
それに破産をすると僅かに溜めた老後のお金までが全て取られると思い込んで居ます。
私が薦めても破産はしませんでした。
債権は2軒のサービサーに行き、其処はたいした事無く、しかしそれが又他の
サービサーにたらい回しをしたのです。
今まではたいした事がありませんでしたが、今度は違いました。
訴訟や差押さえが続いたのです。
この最後の差押えは返済を止めてから9年目でした。
その間この老夫婦は怯え続けて居たのです。

この時、私は和解より破産のほうが安くつくと思って破産を説得、二人は了承しました。

2軒に電話をさせました。
ひょっとすると破産のお金で和解が出来るかも知れないと思ったからです。
案の上、破産のお金で和解が決まったのです。
サービサーも少しでも取った方が得でしょう。

破産をしないで債権問題を解決するのは非常に時間がかかります。
債権者が1-2行ならば和解も早いですが
5-6行の場合は、1軒ごとは安くても、総額が掛かり、和解が出来ません。
と云って10年もこのために怯えて居てはたまったものではありません。

会社の整理のとき、どうしても破産を出来ない人は多いです。
保証人に迷惑をかけない、僅かな資産を隠し終えていない、それに破産をすると
信頼を落とし、仕事の続行ができないなどです。
又費用も、会社も同時にしなければならないために高いです。

私は2-3年経って同時破産が出来るようになったら破産を薦めて居ります。
この時期になると、色々なリスクが殆ど整理されており、費用も安く、破産も人に知られず簡単に成るからです。

債権に追われて怯えることはつまらないです。
逃げ切りや、和解・破産をうまく組み合わせて短くしたいものです。


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最近の電話相談から

2010-11-17 | 事例
消え入るような声です。
「弟にはすっかり迷惑をかけて居ります。借り入れの保証人には
 なって貰って居りますし、其の上お金まで借りて居ります。
 しかし其れでも足りないために、つい業者から借りてしまいました。」

趣旨は公務員の弟には非常に迷惑をかけるが、自分は破産しかない。
自分の口から弟には言えない。
ただしコンサルタントが破産しかないと言えば、其の言葉を弟には言いやすい。
事実破産しかないと思いますが、それを認めえて頂けませんか。
と云うお門違いの電話です。
ただ本人の話し方からも相当苦しんだ挙句の電話と思います。
勿論住所氏名は名乗って居りません。

「それで貴方、今の現状は弟さんは大体掴んで居りますか。」
「言ってはありません。しかし何回もお金を借りて居りますし、
 信金からも電話が入っている様子です。推測は就いてでしょう。
 しかし、破産と云う事は話し合ったことはありません。」

この種の電話はちょいちょいあります。
「自分が破産することによって恩人に大きな迷惑をかけるが、仕方ないですね。
 私は、保証人のことは一番考えての行動ですね。」
と専門家の相談員の同意が欲しいのです。
それによって自分はぐんと気が楽になります。
私に電話をする前に直接本人に打ち明け、謝ったという人は居りません。

この場合は、先ず弟に打ち明け、謝らせました。
弟は保証人になった後、直ぐに自宅を購入して居ります。
虫の知らせか、之を同じ共稼ぎの奥さんの名義にしてあったので助かりました。

弟は同時破産が出来ました。気付いた者は誰も居りませんでした。

「2年前に先生に名前を言わずに、電話相談をした者です。この時、保証人は責任を
 認め、お願いすると、保証協会の返済は、小額でも認めると教えて頂きましたが、
 今回5000円でお願いしたら、自宅を処分しろと言われました。」

今回は、氏名と電話を名乗っております。
確か2年くらい前にO市の名乗らない方から電話を頂いたのを覚えて居ります。
こんな聞き方で大丈夫かなと思ったから、頭の片隅に残っていたのでしょう。

氏名を名乗らず事情をろくに説明せず、結論を知りたがる方は実に多いです。
決して「冷やかし」ではありません。
これは自分の事は知られたく無いと言う気持ちと、コンサルタントに
内容を詳しく説明すると、債権者にもれて、自分には悪い結果になると
思って居るのです。

どうしても喋らない人には「一般的のことですから、貴方にあてはまるとは
限りません。ご注意ください。」と前置きし答えて居りますが、其れでも
聞いた人は自分に当てはめるのです。

案の上この場合も詳しく聞いてみますと、結構保証協会を刺激することを
言って居ます。無くて払わないのでなく、口とは裏腹に、あるけれど払いたく
無いと言う態度が見え見えです。
だから保証協会に一発かまされたのでしょう。

何とか保証協会を宥めることは出来ましたが、最初からこの方が氏名を名乗り、
自分の立場を説明して保証人としての保証協会に対する心構えを聞いて来たならば、
それに合ったアドバイスが出来た筈です。
どうせ聞くならば身になる聞き方をしたいものです。
でもそうでない人は実に多いです。

「無料でなくても普通の相談規定はお支払します。ですから細かいことでも
 徹底して教えてください。それからお支払は月末振込みで、料金は普通の
 相談料の2万でよいでしょうか。」
こんな相談者が最近3人続きました。

無料相談に比較して、小額でも有料の方が、相談する者も真剣です。
此方も何回も丁寧に説明し、尚、解釈違いや聞き漏らしなど無い様に、
喋ったことを文章にまとめ、メールやFAXで送ってあげます。
何回質問があっても丁寧に教えます。

ところが、月末が来たのに振込みはありません。
電話で聞きますと「入金が狂ったからもう少し待って頂戴。」
2回目の期日が過ぎて、また電話です。
「私は、この借りを何より気にして居ます。しかし今はどうしようもありません。
 払える様になったら必ず払いますから、もう催促の電話は止めてください。」
最初からこのつもりだったか、または実際に払えなくなったか解りません。
此方はもう催促もする気はありません。
最初からお金がないと言ってくれれば何のこともないですが、相談者から
有料と持ちかけられただけに後味は非常に悪いです。
以前と云っても1年前まではこんなこと1度もありません、残念な気がします。

無料相談の電話は私どもにとっても貴重な情報源です。
決しておろそかな返事はしません。
お電話をお待ちして居ります。


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生き延びる 零細企業

2010-11-14 | 事例
以前は相談と言えば必ず面談でした。
電話でも相談は答えが決まりきったことしかありませんでした。
ところが最近は面談希望は少なく、電話相談に偏って居ります。
「会社続行がよいか。破産がよいか。」
初めての電話の人に聞かれても答えられる筈が有りません。
会うのが嫌ではなく、相談料の2万円が大変らしいです。
「会って相談すべきだ。」私が言うまでも無く、相手が承知をして居ります。
零細企業は其処まで追い込まれて居ります。

統計的な数字はどうなっているか知りません。
売上に行き詰っている多くの零細企業の方の言い方は殆ど一致して居ります。
「昨年の秋頃から売上が更に落ち込んでどうしようも無い。」

モラトリアムのタイミングはギリギリ良かったと思います。
同じやるならば1年早ければ尚よかったでしょう。
施行時には銀行に依頼しても、元金低減など絶対に無理だと
信じている零細企業の主が多かったのです。
以前一寸打診したが断られたというような人も多かったです。
それがなんに抵抗も無く受け入れられたのですから零細企業は助かりました。

しかし其れでもまだ依頼しない中小企業もありました。
「一旦これをすればもう銀行は融資をしなくなる。そうなればわが社は終わりだ。」
何のことはない。そんな明日の事を言う前に今の足元が崩れ落ちて万歳です。
そんな人とも何人も会って居ります。

そんな中で返済融資法で一時は零細企業の資金も助かったかに思いました。
今までの出金の中では一番大きな定額定時払いが無くなるのです。
特に実施したばかりの月は今までの苦労に比して格段の相違です。
「助かった」と思ったのですが、一方では売上は以前より全然よくなりません。
下がる一方です。銀行に払わなくなっても、以前より金詰まりがひどいのです。
今までは10万20万のお金に困っていたのが1万2万のお金も自由にならなくなったところが多いです。
電話相談になる理由がわかります。話をして居て、お金が無い実感が伝わってきます。

これからの生活の宛てさえあれば、事業を止めたい人が多いです。
「以前は止めようと思った時は、2-3ヶ月の生活費は何とか手元に残すことは出来た。
 今は以前より人様に迷惑をかけて、其の上に全然残すことができない。」
このボヤキが何よりの真実と思います。

「各銀行の中間決算は不良債権処理が少なく無くなったからよくなった。」新聞にありました。
元々零細企業の倒産は、倒産のデーターに載らないのが多かったのです。
それにしても零細企業も整理も出来ず、何とかやっています。
人に迷惑を掛ける事が出来る間は生き延びることは可能です。

モラトリアムは会社の延命はしました。
しかし本業は予想に反して尚も悪くなる一方です。
会社を持たせるだけ続かしたいのですがそれさえ出来ず、万歳をする人が増えて来そうな感触です。

これが今現在の零細企業に対する感触です。
14年間、零細企業の資金繰りに直面して来ましたら先ず確かな感触と思って居ます。

でもこんな時こそ気持ちを強くもち事が必要です。
第1は
所謂、街金、詰まりアウトローの借金は絶対にしないことです。
破産をすれば勘弁するようなところならばまだ良いですが普通はやってはなりません。
どんなことをしても救われません。
第2は
破産をして生活のあてがある人はタイミングが必要ですが、破産をしても生活に
自信の無い人はどんなに苦しくても破産をすべきではありません。
破産をすれば借金は楽になりますが、その後の生活が成り立ちません。
仕事も失います。仕事の足掛かりだけは残して置きたいです。
第3は
当然支払が出来なくなります。
生活をするには仕入先は一番最後まで支払が必要です。
金融機関を払わなくて、其の場所で仕事が出来なくなるのは、それから2年後です。
ましてや借家ならば、家賃を払っている限り、その場所でも仕事は出来ます。
この時期、差押さえを恐れる人が多いですが、差押えは恐れません。

以上のようなテクニックは電話を頂けばアドバイス可能です。

恐れなくて敢然と立ち向かえば必ず仕事は続きます。
それで売上粗利が出る限り仕事は継続すべきです。
こうして立ち直った企業もまた多くあります。


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求償権を使った保証協会の回収

2010-11-11 | 事例
保証協会サービサーと名乗る男が突然彼の前に現れた時は本当にドキッとしました。

会社だけを破産してもう4年以上経ちます。
銀行プロパーは不動産を処分して綺麗になり、結局保証協会だけが2800万が残りました。
保証人は社長の彼と母と弟の3名です。直ちに呼ばれました。
彼だけが出向き、「破産したばかりで身内はがたがたです。
1年据え置き、1年経ったら話し合いましょう。」と別れたのです。
1年経っても呼び出しも無く、2年経ってもありませんでした。
もう何も無いかなと思っていた矢先に保証協会サービサーと
名乗る人間が尋ねてきたのです。

「何とか払えないか、そうで無ければお母様や弟さんに請求せざるを得ません。」
男は落ち着いた声で彼に言います。
「母は、今兄のところに引き取られて年金だけです。払えって言われても払えません。
 それに弟は最近病死しまして、奥さんがパートで漸く生活をしていて、
 払うどころでは有りません。」
「でも、お二人とも不動産を持って居ますね。兄さんの自宅の土地は
 お母様の土地ですね。200坪ありますから莫大の資産です。
 それに弟さんですが自宅は全て奥様が相続なさって居りますね。
 これも40坪ですから大きな資産です。お二人とも何とかならないでしょうかね。」
男は良く調べて居ます。

彼の家は資産家で、両親は結構不動産をもって居りました。
父の他界の時は殆ど兄が相続をして居りますが、彼も結構手にして居ます。
其の不動産は会社の破産で全て取られました。
サラリーマンだった弟は不動産は貰わずお金で済ましたみたいです。
したがって弟の自宅は勤め先に近く、自分で買って居ります。

資産のあった家ですから、母は兄の自宅の土地だけでなく、
そのほかにもまだ持って居ります。
保証協会は気がついて居ないでしょうが、資産証明の提出を求められると
一発で解ってしまいます。
弟嫁のほうは保証協会がいろいろ言っても自宅しかありません。
この家を取られると住むところも、パートも失い、一家は悲惨の目にあいます。

保証協会サービサーの取立てをこの二人に直接向けさせると弱い婦女子の身です。
忽ち身ぐるみ剥がれてしまうでしょう。

彼は懸命に男に頼みました。
「この二人は私が無理やり頼んで保証になったものです。
 特に弟嫁はこの保証問題は天から降った災難です。
 しかし保証人である事には間違いがありませんから、
 必ず幾らかは払わせます。そして残債は私が分割で払います。
 それを認めて、二人の責任額を決めていただけませんか。」
詰まり二人は一定額を払ったら保証人を解除してくれと云うことです。

一旦帰った男が正式にもってきた返事は、変わっていました。
「保証協会も銀行に対しては保証人です。この保証人が一括して
 債務者に払いました。だから払って無い保証人に対して、
 貴方の責任額を払ってくださいと請求する権利があります。
 求償権と言います。私等はこの行使をお願いしているだけです。

 前回のように貴方がはっきりそれを主張するならば、債務は2800万、
 保証人は保証協会まで含めて4人ですから1人700万です。保証協会も
 保証協会の責任額を負います。これを皆さん確実に払って頂ければ
 私どもはそれで結構です。尚これは口約束ですが、支払を完了した方には
 保証人解除の書類は差し上げます。」

自分はどうにでも頑張れる。
しかし母や弟嫁には出来なく、かつ目に見える資産がある。
すぐに2800万を取られると思っていた彼は直ちにこの話に乗ったのです。
母と弟嫁の二人が保証人から解除されて後には彼一人が残りました。

今迄途切れていた残高通知がまた半年に1度届いて居ります。
電話もありせん。彼はその後は全然払って居りません。
何とか時効になるまで頑張りたいと思って居ります。

時効の中断時の訴訟などのときは保証協会は、請求額をぐんと安くして訴訟を起します。
しかし日常においては正規に和解などで損切りをした事を見た事がありません。
また求償権と云う言葉を良く耳にしますが、これも回収実務の中で実際に
使われた例を知りません。

彼の例にぶっつかった時は、この方法が今後の保証協会の回収の
テクニックとして使われるのかなと思ったのですが、これもただの1回だけです。
しかし考えさせる回収でした。

保証協会も今の様に単に全額にこだわるのでなく、割り切った債務債務カットを
考えるべきでしょう。
また求償権と云う言葉を解りやすく説明する義務はあるでしょう。


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運が良かった人(参考にはなりません。)

2010-11-08 | 事例
「運がいい」とはこの事でしょうか。
彼に盆と正月が一緒に舞い込んだみたいです。

彼は電気工事専門の孫請です。
中堅どころのゼネコンが下請けに発注し、其処から電気工事に関して注文を
貰って居るのです。殆ど丸投げです。
今時噂の無いゼネコンなど無いでしょうが、幸いこのゼネコンの評判は悪くありません。

しかし、仕事がある割合には彼は楽で葉ありません。
下請けからの条件は厳しい物です。
納期を守り、検査は必ず1発で通らないとなりません。
そのために足が出るようなことも少なく有りません。
しかし、今時、安定して仕事をくれるところなんてありません。
彼は文句も言わずに、云われた仕事は精一杯こなして居たのです。

この他に彼には泣き所がありました。古い借金を背負っているのです。
以前、薦められてマンション投資に手を出したのが、3箇所全部が失敗しているのです。
結局は全部サービサーに渡り、サービサーと和解をして居りますが、こうした交渉に
慣れていない彼は1件につき10万を5年間の払いの条件です。
それでも1億くらいの借金が1800万に減額されたと喜んだものですが、この30万、
意外に負担が重く、今の彼には悩みの種です。
あえて言えば後2年くらいで終わりなのが希望です。

「手形だけは切るまい。」と思って居ましたが、つい手形にも手を出して居ります。
それでも、いざと云うとき助けてくれそうな2軒以外は切って居りません。
何とかそんなことで毎月綱渡りをして居りますが、表面的には何事も無く過ぎて行きます。

最近下請けの様子がおかしいのです。工事を以前より値切ってくるのです。
それと支払いも残を残す事が出てきました。
彼にも値切ってきますが彼には応じることが出来ません。

このためか解りませんが、ついに、新規の注文は他に流れるようになったのです。
「出ないな」と思っている彼が知ったのはそれから間近くです。

このときに彼は、倒産を覚悟したのです。
マンション購入のときの保証人、本家や兄弟には打ち明け、
保証人対策する様に依頼して居ります。
くそみそに云われました。それも耐えました。

最後の仕事が終りました。
このときに下請けが倒産をしてしまったのです。
若いやり手の経営者でしたが何か投機に手を出したのでしょう。

「売掛も入ってこない、これで終わりか。」
天を仰いで長嘆息。
その時にゼネコンから電話があったのです。

思いがけない言葉でした。
ゼネコンは下請けに工事代金の未払いがある。これは孫請に払います。
その意味では安心して欲しい。助かった、それも下請けに払うお金ですから、
下請から貰いお金より多いのです。
下請けも入金されたら直ぐに孫請に払っていましたから、
彼は回収漏れなど生じて居りません。

しかも次に思いかけない言葉が出たのです。
「お宅の仕事はかねてより眼をつけて居ました。何時も良い仕事で助かって居ます。
 今後は直接やりましょう。」と云うのです。
それだけでも有り難いのに、価格が孫請から下請けの価格になるのです。
平均15%以上上がって居ます。
これで、今後の心配はありません。

しかし話はこれだけではありませんでした。
人のよい彼は、倒産を覚悟した時、サービサーにも電話をして居ます。
「払えなくなる。出来たら破産したいが其の破産も出来ないかも知れない。」
という電話です。
どうなったかとサービサーからの電話です。
いつもの彼ならば事態の好転を報告し、今度の支払を約束するでしょうが、なんとなく
この時は珍しく「からかってやれ」と云う気持ちが湧いたのです。
「近いうちに破産の申請を出すでしょう。」
「幾らかかりますか。」
「90万だそうだ。」
「それで当社と和解しませんか。」
「それじゃあ他のサービサーが困るから和解でも1社30万だね。
 仕入先が残るが、此方は何時までも待ってくれるから。」
結局は1社30万で和解が成立したのです。
本家が黙って貸してくれました。

人は今までの努力が報われたのだといいます。
彼は今迄の自分の努力が報われたとは思って居ません。
宝籤に当たるような1つの運と思って居ます。
其の運が回ってきただけと思って居ます。


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モラトリアムでも効果が無かった人

2010-11-05 | 事例
Aさんは会社の再生について次のようなことを言って居ます。
「良く会社分割とか第2会社とか言われて居ます。
 要は会社のよいところだけを抜き出して、それだけをやって行こうという考えです。
 しかし今の中小零細企業の主で、之をやって居ない人など居ませんよ。
 自分で最も効率的の悪い仕事は切り捨て、良い仕事ばかりをやっている人が
 殆どです。今更第2会社や会社分割をしても、効率は上がりません。
 だから今の仕事を少しでも続けるか、仕事を止めるかのどちらかです。」

会社再生はリストラ・合理化の余地のある企業が出来る事で、
今の行き詰った零細企業にその余地は、残って居ないと云うわけです。
再生計画も出来ない企業は、どんな法律でも適用の仕様がありません。
こうした企業をどうするか、適切に方向を説いた人を知りません。

Bさんは会社の整理に付き、次のように云って居ります。
「仕事がどんと入れば、其の入金を待って万歳をするのが一番良いと思って居ます。
 今のままでは、会社を畳んでも、生活費の2月分を掴んで止めることは
 難しいでしょう。と云っても仕事が出来なくなる日が近いとも思います
 その時は、破産が一番でしょうが、其の費用もありませんし、
 第一破産すれば其の後の生活が直ちに困ります。ですから一人になっても、
 続くところまで続けて、出来なくなっても、そのままですね。
 そうしようと腹は決まって居ます。

 現在はまだ粗利だけは若干ありますが、経費を満足に払う余裕がありません。
 銀行は金利だけになって居ますが、これも最近は払ったり、払わなかったりして
 居ります。」

こんな人は意外に多いのです。
やるだけはやった。もう売上を増やすことしか解決策がない。
それが出来ないから、ひたすら景気の回復と云う僥倖を祈って居るより
仕方無いというのです。

この人には、会社整理の方法をアドバイスしようとする人は一杯居りますが、
ではその後についてアドバイス出来る人は見たことがありません。

AさんもBさんも自分の考えは世間に受け入れられるかが心配です。
彼等は勉強会に出かけます。

「勉強会」、こう言って居ます。
コンサルタントなどが中心となり、経営に不安をもっている人や、
倒産に直面している人たちを集め、其の体験談から、今後の解決策を
見出して行こうとする集まりです。安い会費でやりますから以前は
人も集まりましたが、最近は何処も集まりが悪いみたいです。
猶予法のお陰で、当面は倒産を避けれる人が増えてきたのと、
勉強会にマンネリの兆しが見えて来たからでしょう。

この日も相談者は3名しか集まりませんでした。
誰もが同じ問題でした。
議題は、2-3年以前のように、銀行対策とか会社再生方法ではありません。
詰まり、結局は本業の問題なんです。

3名のうち1名は、他の勉強会に行ったが、同じ様なものだと云って居ましたから、
今は何処も本業の事、企業として最も基本の事が問題です。

返済猶予が出来たときは助かったと思いました。
しかし続く売上の減少で、もっと困った事態になりそうです。
それは、余裕が少なくなっているのです。
以前に手を上げていれば、残りましたが、今となっては明日食べるお金も
残るか解らないのです。

このモラトリアム法案、景気が維持されて居る時か、上り坂になって居る時は
効果はものすごいと思いますが反対に下り坂だと、悲惨になると思います。
企業は結局は倒産を免れず、余裕金も完全に失います。
勿論、貸してある銀行も、それだけ不良率が増えて来る事を忘れてはなりません。
1年延長の声もありますが、やってはならないと思います。

AさんもBさんも一時は悩んだでしょうが今は平然として居ります。
悩んだ挙句、割り切って落ち着いたのでしょうか。
改めて生きる道を探す余裕も生まれたみたいです。

人間って最後なっても希望は湧いてくるのだな、と心強くなります。


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失敗した自宅の買戻し

2010-11-02 | 事例
静岡から1時間、県下の中堅都市から山間に向かって車で20分。
買い物や医者などにも不便と思わせる寂れた、其の一角に彼の家はありました。

変わった家です。椚流の石垣に白塀でなく渋いタイルの塀です。
平屋つくりが基本ですが、1部2階になった和風に近い造りです。

主はタイル屋。10年ほど前までは飛ぶような景気でした。
その時に金を惜しむところ無く、贅を尽くして建てました。
「考えられる事は全て取り入れた。」
彼が豪語する通り、機能性も優れたものでした。
当時、田舎のこの土地で建築費が2億数千万かかったと云います。
生まれ育った地に築いた彼の御殿でした。

彼の自慢はもう1つ車がありました。マニアがよだれを出す年代物のあのFLです。
同タイプは県下にも後1台しかないのです。2000万で手に入れました。
彼は休日これで東海地区を乗り回すのが無上の楽しみでした。

そんな彼にも不景気が押し寄せています。
販路が東京だったために、不景気は同業者より遅く、
あわ良くば乗り切れるかとも思ったのですが、
及ばず銀行返済が出来なくなったのです。

銀行はこの返済の猶予に対しては冷たかったです。
贅沢な自宅につぎ込んだお金だからです。愛車の事も聞いて居ます。
これも当然処分すると思っていたのが処分はしてないからです。

彼はそんな銀行の気持ちが解ってくるに従って、不安が沸いてきました。
余程の事業の好転が無い限り、借金が返せないことは解りきって居ます。
自宅と車は取られるのでしょうか。

彼は万一の事を考え、さまざまな執行妨害と思われることを始めて居ります。
自宅は玄関先の広場に件外建物を建てて、しかもそれの賃貸借を手がけて居ります。
こうしておけば、たとえ競売になっても、買い手は付かないから、
安く買い戻せるという魂胆です。

車は、担保ではありません。
彼は他の場所に移し、所有者名義を変えました。

彼のこうした動きを察知したように、銀行はリスケを認めず、
条件として自宅と車の処分を迫ったのです。
車が見えなくなった事は、銀行の気分を大きく壊しました。

ついに、彼は金利すら払え無くなり、自宅は簡単に競売になったのです。
唯、車については、遠回しの追及がひどかったですが、彼を之を全部いなして、
何とか守り抜いて居ります。

普通の不動産ならば時価で5-6000万と評価されるでしょうが、
さすがに彼の自宅は競売基準価格で7000万でした。
「幾らこの家が良くても、この田舎で、この家に7000万を出す人は居ないだろう。」
彼は特別売却で最低の価格で子供に買わせる算段でした。

ところが彼に言わせるとそれを買う馬鹿が居たのです。買値が7400万。
彼が、予定していた売却可能価格とは相当違います。

彼は大慌てです。直ぐに買い手と買戻しの交渉です。
買い手は1億を主張します。漸く折れてきて8000万です。
後で冷静に考えると、買い手は彼に買い戻されるつもりで落としたとも考えられます。
そうでないとこんな物件、彼以外に売れる筈が無いからです。

このときにあの車が6000万で買い手があったのです。
彼にまだ運が残っていたのでしょう。
子供の名前で買い戻しました。

自宅は何とか守り通し増したが、肝心の本業のタイルの方は、厳しきなる一方です。
注文は激減どころか、無いと同じです。
ひとまず操業を休まないとならない状態までになって居りました。

最近彼は悩んで居ります。
自慢の家が持ち難くて仕方ありません。
維持費が掛かるのです。
建物が高いだけに固定資産税が大変です。
それに庭木の手入れだけでも、年間150万は必要でしょう。

広い家の空調だけでも大変ですし、水周り・お湯周り、
それに殆ど自動ですから大変です。エレベーターも不要でした。
残債を請求するサービサーは何とかしますが、この維持には弱り込んで居ます。

建ててから13-14年になります。
今までは無かった点検・修理箇所が現れてきます。
会社が動いている間は会社の経費で全て落とせましたが
それが出来なくなったのが、何より骨身に堪えて居ります。

内々、不動産の処分価格を調べました。
「3000万くらいと思いますが、それでも売れないでしょう。
 考えられるのは老人施設くらいしかありません。
 普通の人は此処にはすみませんよ。」 
不動産屋も冷たいものです。

最終、どんな形で決着をつけるか、彼の泣き顔が眼に浮かびます。


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