かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

いさかいは するな

2006-10-26 | 事例
融資課長のほかに次長も同席したせいか、担当者は少し張り切って声を大きくして居ます。
「だって6ヶ月のリスケ(元金の返済を少なくする)を認めて貰うと、その間に自宅を親戚に買って頂いて、其のお金で借金はすべて精算出来ます。と約束したではないですか。それが土壇場に来て出来ない。リスケをもう半年認めてくれと云っても当行は出来ませんよ。」
どうやら債務者はリスケをする条件に自宅を売るという約束をしたらしいです。

「私も自宅がもう少し高く売れれば約束を果たしたいですが、今は融資残の半分の額しか売れません。それならば自宅を売っても残は残るし、売るメリットもありません。何時売っても同じでしょう。ならばもう少し様子を見たいです。
その間の返済は、とても正常には出来ないから、リスケを続けさせてくださいとお願いしているわけです。」

債務者の声も次第に高くなります。
「自宅を売っても、借金が消える額では売れないことは、最初から解っていたことではないですか。リスケを依頼するような者が、不足分を出して、借金をきれいにすることなんか、とても不可能と最初から解っていた筈です。全額きれいにするなんて云った覚えはありませんよ。何かの言葉尻ではないですか。そんな言葉尻を捕まえていろいろ言われたのでは私の方もたまらないですよ。」
「言葉尻なんて捕まえて言っていませんよ。」
次長の目配せで担当は黙りましたが胸のうちが納まっては居ない様子です。
真っ赤な顔が物語っています。

「私どもはぜひご協力をさせていただきたいと考えています。自宅売却がどうしても無理ですと、リスケを協力は、経営の改善で解決できるでしょうか。
それならば其の計画を示して頂き、私どもも理解すれば協力させて頂きます。
計画書を見せて頂けませんか。
次長は話題を変えて違うところから責めます。

「勘弁してくださいよ。リストラで減った分までやらなければならないというのに、資料ばかり作っていればそれだけで倒産ですよ。」
債務者はまたも食いついています。

「まあ、こんなことで言い争っても仕方ありません。検討してください。」と次長は席を立ちます。
債務者は少なくても短時間に二人の敵を作ったみたいです。

銀行はこの企業は近いうちに破綻すると見て居たらしいです。
金融機関だけでも取引銀行が6行あります。
万一のことがあって、各銀行が一斉に動くより、一足先に整理をしておこうという魂胆です。

半年後この債務者は倒産しました。
普通ならば倒産する企業ではありません。
原因はあの言い争った銀行にあります。
銀行は条件より少ない返済を一切認めませんでした。

先ず保証協会を代位弁済したのです。
後はプロパーが期限の利益を喪失して不動産は任売を認めず競売になりました。

あの言い争ってからの担当者の態度は、当初の条件緩和することは一切協力をしないと云う、頑なものでした。
そんな担当者の態度も行内で咎められることはありませんでした。
簡単に1軒の不良債権を作ったのです。













第2会社で逃げれるの

2006-10-23 | 事例
政府やマスコミは慎重ですが不景気は終わったかの様な表現をしております。
事実、雇用問題その他いろいろな数字も良い方向に向かっているようです。

然し、零細企業で景気が回復してきたという事業主は先ず居りません。
それどころか地方にいたっては中小企業すら経営の危機を感じている企業がたくさんあります。
これらの企業はどこも景気の回復など信頼しておりません。

負債だらけでどうしようも無い会社が、第2会社を作り、そちらに業務を移して再起したいという相談がよく舞い込みます。
小泉政権の不良債権処理で一気に周知されるようになった会社再建の手法です。

規模は小さくなっても、黒字部分だけを踏襲し会社を別にすれば、其の会社は
黒字で、かつ無借金の会社となります。売掛金や預貯金の差押えの心配も不要です。
今までよりずうっと気分も楽になって経営が出来ます。

然し最近の零細企業の相談は、この第2会社をつくりそちらに自然に移行を考えても、どうしても上手く行きません。
黒字にならないのです。移転費用など考えなくても黒字になりません。作った端から潰れる会社になってしまいます。
仮に仕入代金を何ヶ月も据え置きしても、上手く行きません。

この会社も5年ほど前には、今より売上も多く、黒字部分が多かったですが、5年の歳月の間に企業を包む環境が大きく変わっていたのです。

こうした会社の今後どうするべきかと云う相談は難しいです。
借金を切るだけならば自己破産が一番解り易いです。
然し自己破産をすると費用がかかります。
3-4ヶ月の生活費に相当します。第一今、そんなお金はありませんし、今後も入ってくる見込みもありません。
それに、自己破産は、何も知らない保証人に、直ちに請求が行くのも困ります。
保証人対策として、何か和らげる手段も検討してからにしたいです。

第2会社も簡単ではありません。
絶対の条件は、得意先が口座を作ってくれる事です。其の売上の範囲で黒字が見込めることです。これも相談に来た時は当たっている企業はありません。
それに、代表者になる人も居りません。奥様と思ったが、奥様も今の保証人です。

直近だけを考えれば、何もせずに、このまま仕事を続けていくのが一番よさそうです。
続ければ続けるほど、人に迷惑をかける恐れもあります。然し今黙って仕事を止めるより、大至急次の仕事を準備して止めれば、其のほうが良いとも云えます。
今は無策だから、第2会社も駄目だといっているがそれまでに、何か加工をすれば
第2会社も可能になるかも知れない。
されを探そう。そうで無ければ人にお迷惑をかけるだけでなく、自分には飢え死にが待っているだけです。

今の仕事は従業員が10名以上居てリストラなど考えない時と同じやり方ではないか。今の体制に合わせたやり方は無いのか、本業を突つきます。
得意先は会社を変えても付き合ってくれるか打診します。
返済などの出金は最大限無理を言います。そのために不良債権になっても良いです。
担保不動産はにんばいをすべきか、それとも長く占有できる競売を選ぶか決めます。
そんな中で第2会社に移行する事を考えます。

以上は零細企業を対象に考えたことです。
その他、ビジネスローンが返済が出来なくなって居る企業も増えています。
政府系の銀行統廃合の持って行きかたによれば、不良債権の暴発も考えられます。
こんなとき第2会社に切り替えられる会社がどのくらいあるでしょうか。

















お気に召すアドバイス

2006-10-19 | 事例
破綻寸前の方が相談に見えます。
破綻とはどんなことかを説明し、今後の対策をアドバイスします。
何も解らないだろうと思って、やさしく丁寧に説明しますと、うなずきながら聞いています。
説明し終わって「さあ頑張ってください。」と激励しますと「それで、私は今からどうすれば良いでしょうか。」と云う質問が戻ってくることも珍しくありません。
こちらはやるべきことを順序立てて話したのにと、思いつつもう1度説明をします。
結果は同じことです。こちらの説明は何一つ解っていないのです。
いや説明を受け付けようとして居ないのです。

自分の期待することと違う、不利のことを云われたので、説明を受け付けない相談者が多いです。
「債権者に責められる。担保を失う。差押さえまで覚悟をしなければならない。」
と云うような、自分が嫌だと思っていることは何回説明されても、受け付けないのです。
ですから説明を受けている時は「もっと良い方法がある筈だ」と頭の中は凝り固まっています。自分が都合の悪いことは頭に残らず、自分に都合のよいところだけは、前後の話に関係なく覚えて居ます。

どんな結末になればよいか自分でも答えられません。
会社整理をすると何か自分に大きな不利になることが起こりそうだと云うことだけは解っています。
然し何が起こるか解らず、それを知りたいのですが、自分に都合の良いことを云ってくれる人を探しています。
たとえば「自宅は取られなくて済みますよ。」と云う人、「仕事は今まで通りできます。」と云ってくれる人を探しているのです。
自分が望むものとは何かと云うことに対しては、確固たる考えが無く、人が言ってくれる都合の良い事だけを集めたのが自分の目的になります。

こうした相談者は、相談員を探して梯子をします。
弁護士のところに行き、自己破産を薦められ、それが嫌でコンサルタントのところに行くと、自分が主体となってやる任意整理を薦められました。
それも債権者に責められそうだから、また他のコンサルタントを尋ねます。
結局何もしないうちにXデェイを迎えます。

自分では何も解らず、もっと良い方法がある筈だとあちこち駆け回っている人は
結局上手く整理が出来ない様子です。
時間にも追われていますから、専門家の意見は2-3人聞けば十分と思います。
そして直ぐに行動を起こすことが大切です。

会社破綻で、自分は安泰のアドバイスを求めていても、なかなかありません。
無いのが普通でしょう。
笑って債権を放棄してくれる債権者などありません。

こんな人に取り入るのが上手い相談員も居ります。
出来るだけ相談者の気にいるようなことを云って取り入り、その間に相談者の気持を変えさせようとします。
変わればよいですが、変わらない時は破綻前に相談員は相談者から離れます。

専門家の意見を聞いて、早くから自分で目的を定め、対応する人は会社整理も上手くいきますが、自分の気に要る意見を述べる人を待って居ては、救いは来ないと思っています。










再起出来るか、零細企業

2006-10-18 | 事例
これ以上、今の会社を続けることは出来ないと覚悟しました。
2ヵ月後は完全に資金は枯渇します。
世間で景気が戻ってきたと騒いでいるらしいですが、景気の復活など感じたことはありません。

手形は切っておりません。
ですから不渡り手形を出して倒産と云うことはありません。

大きな問題が二つあります。
一つは今の負債をどうするか。
もう一つは、今後の生活です。
ともに検討がつきません。

弁護士とか、再生支援協議会とか、経営コンサルタントとか4-5箇所聞きました。
その結果わかったことは「現在の負債に対する処理」は皆様、方針をお持ちです。
法的整理か任意整理か等の若干の違いはあっても、立派な見識を述べてくれます。
「それでその後私はどうして生活を立てるのでしょうか」と聞くと俄然トーンが下がります。

「それは貴方が考えることです。」と弁護士は言い切っておりました。
「旧債務を背負っていれば再起など出来ません。自己破産でその旧債務を取り除きましょう。そうすれば再起は簡単です。」
と弁護士が薦めてくれますが、再起をする具体案は一切出ません。
自己破産をする高い費用だけが頭に焼き付けられます。
その費用があれば仕入先とは、すべて話がつきますと叫びたくなります。

「第2会社を作って、そちらでやるのですよ。」とコンサルタントは教えてくれます。
「会社が違いますから差押えは出来ません。売掛金や預金を何時差押えられるか、びくびくしながら会社を続けるよりはるかに宜しいです。」
「良いところだけを第2会社に移しても黒字でやれる自信はありません。」と云うと怒り出してしまいます。
「あなたの思考は何でも否定してやる前から出来ないと決めて居る。
ネガティブ人間になってはいけません。
やってみなければわからないでしょう。」

第2会社で出来るくらいならば、今の会社でも借金さえ別にすれば出来る筈です。
リストラを何回も重ね、良いとこ取りをしても結果は営業利益すら赤字でした。
零細企業の経営をもっと勉強してくれと私の方からコンサルタントに怒鳴りたい
くらいです。

規模の小さい零細企業は仕事を選り取りして黒字部分だけを抜き取る事など出来ないのです。
今はどんな仕事をしても赤字に成るのです。
第2会社を薦めるコンサルタントは中小企業も零細企業も同じに見て、仕事を更に分別出来ると思っています。

2ヵ月後は資金は枯渇します。
それまでに何かしないといけないでしょう。
自己破産が楽で完璧と思いますが、問題点が幾つもあります。
第2会社を作っても黒字化の自信はありません。
今の中小企業・零細企業ででこの様な状態になって居るところは多いと思います。

私はどう考え、どう進むべきでしょうか。











零細でも会社を続けたい

2006-10-13 | 事例
「弁護士2軒に聞きましたが、自己破産より方法は無いとの事です。
一人の先生は民事再生ならば可能性はあると言っていました。
でも、そうなると私は食べていけません。
せめて前倒年金の出る、後2年間は会社を続けたいです。」

社長も容れて4名の小さな会社です。写真を主にした製版業です。
もっとも斜陽の産業の一つでしょう。
今月は銀行返済は勿論、外注先にも全額は払えないとの事です。

然し訪問して資料を見ながら説明を聞くと、今後も当分、柱となる得意先の注文は続きそうです。その他確実に利益が取れる得意先が3軒ほど有ります。
7月8月の想定外の売上の落ち込みに、資金が9月で枯渇しました。
然し10-11月と持ち越す事が出来れば、1名を解雇し、銀行借入返済を金利だけにすると、当分資金はつながります。

手形は切っていません。
大手外注先に今月は3割繰り延べにして貰いましょう。それを12月から、5ヶ月分割で払いましょう。外注先も自己破産ならば何も入らないが、これならば必ず承諾します。
銀行は50%のリスケ中ですが、まず、10月11月は金利の半分しか払えない事を伝えてください。
それから以後は、元金1万円で再リスケをお願いしましょう。会社を倒産させないためにはこれしか有りませんとお願いしかありません。

その交渉の仕方、半分の金利の納め方など詳しく説明しました。

1月や2月、返済が無くても、銀行が直ちに不良債権にすることは有りません。
ましてや、担保の競売は別として、差押えもありません。
あるいは、3-4ヶ月後に、保証協会が代位弁済になるかも知れませんが、今も銀行からは一切借りれませんから、代位弁済は平気です。
逆に営業を続行している限り、保証協会は返済額を相談に乗ってくれますから、
資金は楽になるでしょう。

自宅は唯一の資産ですが、担保で一杯です。
今は自宅のローン代ですら払えません。
近く売却する予定でしたから、競売でも、任売でも平気です。
今はローン残より物件価値の方が高いと思いますが、手元には残りません。
プロパーが不良債権になっても、銀行に出来ることは自宅処分だけです。

代位弁済になっても、また銀行が不良債権と言っても、現在の仕事はそのまま続けましょう。
借り事務所ですが、銀行は追い出すことは出来ません。
差し押さえ対策さえとって居れば、ずうっと仕事が出来ます。

第2会社を作って、そちらに業務を移す事は駄目です。
弁護士が言った民事再生も駄目です。
この両方とも今の得意先は、口座を設けてくれないでしょう。
売掛金などの差押さえに注意して、今の会社を続けるより他、有りません。

続けることは出来ます。
続けるべきです。
いまさら他に仕事もありません。
債務がやがてサービサーに譲渡されてもない袖は振れません。
自分にできるだけのことをすれば良いのです。

会社が続かないような方は、以上述べた様なことは、皆様誰もが知っていると思っていました。
然しまだまだ何も知らない人も多いです。
そんな人の目に留まることを願いつつ、書きました。