かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

騙された保証人

2011-03-30 | 事例

「何だ?」
近くにある信金から心当たりの無い内容証明です。
早速封を開けました。 「通知書」と云うタイトルになっていました。
「貴方の保証するKの貸金残、2300万は期限の利益の喪失と成りました。
 つきましては早急にお支払い下さるようにご通知申し上げます。」

彼は18年前に夫婦住み込みの社員、Kが自宅を買うというので
信金の住宅ローンの保証人になったことが有ります。
300万頭金が溜まったから、2300万の自宅を買います。
つきましては2000万の住宅ローンの保証人になってくださいと云う話で、
Kは承知をし、保証契約に捺印した覚えが有ります。

1年後Kは退社を申し出て来ました。彼は保証人を抜く事を条件に之を認めたのです。
そして、抜けるまで退職金を預かって置くことにしました。
此の保証はKの新雇い主が引き受けを快諾し、保証人交代は無事に済んだのです。
この時に信金の担当は親身になって動いてくれて、「新雇い主が正式に保証人に
決まりました。」と飛んできて伝えてくれたのです。
彼は預かっていた退職金を払い、全員が満足でした。

此の件しか心当たりは有りません。
「保証人は既に代わっている。それに金額もおかしい。
 あれからもう18年も過ぎている。借りたのが2000万だから
 幾ら何でも1000万くらいにはなって居るだろう。それが2300万とはおかしい。」
彼は直ぐに電話を取り上げて担当を呼びました。
勿論担当はもう転勤して居ります。
代わって出た融資課長に詳細を説明し電話を切ったのです。

22年10月下旬の事でした。

それから約1ヵ月後、再度彼に内容証明が届きました。同じ信金です。
タイトルは「保証履行通知」となって居ります。
中身は前回と同じような文章ですがもっときつくなって居ります。
「早急にお支い払ください。万一お支払無き時は法的手段を
 持ってご請求申し上げます。」

彼は直ちに支店長宛に文章で反論し、担当にも問い合わせる様に依頼しました。
やがて年も明け、支店長が融資課長と二人して訪問をしてきました。

違う支店に居る担当にも聞いたそうです。
「担当は貴方が仰るような事は何も知らないと言って居ます。
 此の件は、保証人交代で保証して居る全信連に申請したところ、
 不可で戻って居るのです。担当には此の交代によって損得も有りませんし、
 嘘をつく理由も有りません。担当の言う事に間違いはないと判断して居ります。」

本当に保証人の交代をしたのであれば、契約書の差し替えか、
原契約書の彼の署名を抹消する筈ですが、・。何もして有りません。
それならば新雇い主は認められなかったと連絡有りそうなものですが、
彼もKも知らなかったのです。

「だって担当の其の言葉から私は退職金をKに払ったのですよ。」
「それは当行には関係ないように思いますが。」
平行線です。

「それに私の保証したのは2000万です。それが何で未だ2300万もあるのですか。」
「契約書のコピーを持参しました。」
頂いた契約書には保証額3700万となって居ます。
「Kさんがお買いになった物件は4000万でした。契約書を拝見しても間違い有りません。」
「しかし私が保証したのは2000万で、そう云えばあの時は何も書いてない契約書で先にサインを
 したのです。」
「でも此の数字の筆跡はKさまの筆跡で、後で私の方が勝手に記入したと言う事は有りません。」
「話している時に私は何回も2000万と云っているが、此の時にKは勿論、御行の担当も何も言いませんでした よ。」

此の件については、Kは彼に謝って居ります。
実際には借りたのは3700万であること。
したがって毎月の返済が18万にもなり、とても生活できなかった。
だから転職しました。
其処も4年前に倒産して、その後自立をして居ますが、如何せん、
払いきれなかったと云うのです。
事情は解かりましたが、その時、銀行の担当はおかしいと解かる筈だ。
それが何も言っていない事に不満です。

自分には間違いは無い。銀行が訴訟をしてくるならば受けて立とう。
彼は支店長に伝えて物別れです。

しかし彼には証拠は1つも無く、保証金額などは契約書に数字が入って居ります。
そうでなくとも、銀行相手の裁判は必ず負けると聞いて居ます。

「そうだ。担保の不動産、支店長は任売で1000万に売れればよいと云って居たが、
 私の関連で買って、一寸手を加えれば、1500万は硬いだろう。
 何とかあの物件を、今のうちに1000万で手に入れておこう。
 そして裁判に負けたら、サービサーに譲渡されるのを待とう。
 サービサーとは、此の500万で和解を狙おう。」

大まかな対応策も決まりました。
後は実行あるのみです。

今後彼は、重要な事は、裏づけを取り保管し、白紙欄が有る場合は署名捺印はしないでしょう。


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決算は赤字か

2011-03-24 | 事例
* うちは今迄赤字決算ってやったことが無いんです。
  其れでも、昨年暮より借りることは出来ません。
  思い切って返済猶予をお願いする積もりです。
  それならば、此の決算は赤字、それも出来るだけ大幅な赤字にしようと思って居ります。
  今までの税金を少しでも還付されたいと思って居ります。

  こんな人が意外に多く居ります。
  もう銀行は貸してはくれない。
  でも返済猶予をお願いしよう。法の裏づけがあるから100%可能だ。むしろ借りて返すより
  この方がよい。
  それならば思い切って赤字にして税金還付を狙おう。
  と云うのです。

  今迄落としたい不良資産も抱きかかえて黒字にして、税金を払ってきた企業主、
  今は其の必要が無くなった。
  少しでも税金が戻れば有り難い。
  
  こんな考えを事業主に持たせて、よいのですかね。

* 今迄依頼していた税理士は、重箱の隅をつつくような整理をして、ぐんと赤字を出すことに反対して
  居ります。
  売掛金や在庫を、評価を変えたり除却することなど慎重です。
  これが企業主の間に触って居ます。
  「此のくらいやってくれてもよいじゃあないか。」

  ついに決算前に契約解除です。
  今の時代、顧問先が1軒減ることは税理士にとっては大変なことです。
  其れでも税理士は自分の信念を通しました。

  一方解約した企業主は、決算整理や申告業務まで出来ません。
  自分の意のとおりやってくれる税理士を探さないと成りません。
  こんなに急に代わりが見つかるかしら。
  
  大丈夫。
  この不景気で、税理士も得意先が減って居ます。
  心配しなくてもよいよ。
  でも、万一調査が有れば、全て自分で対応するように成りますよ。

* 昨年の年商7000万の会社、今年は6000万くらいに成りそう。
  1億3000万の債務超過。
  信金の借入が1億4000万有って、うち2000万がプロパー。
  3年前は債務超過が1億以下で、プロパーは5000万だったね。
  銀行の担当が入りびたりで、保証協会をうまく使って、プロパーをぐんと減らし、赤字補填まで
  保証協会から借りたね。

  しかしもう保証協会は利用できない。
  銀行は担保で保全は出来た。
  もうこれ以上立ち入って面倒見る必要も無い。
  こう決めた見たいです。

  今年の決算の業績如何では態度を決めるらしい。

  担当から、今期の決算で銀行の態度を決めると聞いた主人はどうしても黒字にしたいです。
  業績は良くならないし、自分で出来るやりくりは減価償却をしないことだけです。
  これ以上は、銀行の担当が目を光らせて居りますから粉飾も出来ません。

  何とか成らないかと相談に来ました。
  
  社長、腹を決めましょう。
  正直に数字は出しましょう。
  その結果、赤字で、かつ当分赤字が続きそうならば、金利も払うのは止めましょう。
  廃業して新規の会社で出直しをしましょう。
  大丈夫。担保の工場だって、競売で引き渡すとしても、今から2年間は使えますよ。
  その間に工場の事は、考えましょう。

  腹さえ決めれば、赤字決算も怖く有りません。

* 第2会社を造ったが、これでは仕入先が応援しません。今までの社長ならば部材を出荷しましょうと
  云うわけです。
  仕方なく、元の会社で社長もそのまま。そこが仕入れて、それをそのまま第2会社に販売しています。
  詰まり、前の会社は存在し、絶えず第2会社に売掛金を発生して居ります。

  国税が之の売掛金を差押えました。
  本当は第2会社の売り先を差押えたいのですが、これには手順が必要です。
  此方も、それを差押えられると一発で駄目に成ってしまいますが、第2会社で助かりました。
  直ぐに国税に行きました。
  「あの売掛金は今月来月に集金できるお金でなく、回収するまで99年間かかります。
   ですから99年間、このまま放置して下さい。その代わり毎月20万づつお支払します。」
  約束し、書面にサインをしてひとまず済ましました。

  こんな会社だから、元の会社も第2会社も税務申告なんて滅茶苦茶です。
  最寄の税務署からは兎に角深刻はしなさいと指導が有ります。
  此の辺りの税理士は、手数料を貰えないだけでなくて、此の会社のやり方に呆れて、誰もが近寄りも
  しません。
  
  いや凄い決算書です。
  仮払いの残は5億です。残明細は勿論わかりません。其れでも債務超過が1億あります。
  貸付金も多額です。営業に無関係な費目が並んで居ます。
  今年は仮払金で調整し、とんとんにすると頑張って居ます。

  申告書類は、自分で適当に書くそうです。

  此処までくれば、どんなやり方でも、税務署は認めるのでしょうか。
  要はどんなものでも、申告さえしてくれれば、後は放っておくものでしょうか。


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タイミングと経過時間

2011-03-19 | 事例
「家内に贈与した自宅が詐害行為で訴えられました。何かよい方法が無いでしょうか。」
彼は兄の会社の常務です。在京の社長に代わり、此処、工場の責任者として製造を
一手に引き受けて居ます。

常務になる時に兄は1つだけ注意しました。
「今は心配ないが、此の不景気続きではどうなるかわからない。
 お前にも銀行の保証をお願いするようになる。その時に儂の
 気がかりはお前の自宅だ。今の内に奥さんに贈与しておきなさい。
 奥さん名義ならば問題が発生しても安泰だからな。」
まさかそんな時は来ないだろうと思って居ましたがそれから5年、
会社の危機がやってきました。

コンサルタントは第2会社を薦めました。
幸い仕入れ業者も販売業者も繋がりそうです。
「ただし担保は取らます。担保以外の不動産を教えてください。」
と担保以外の不動産に言及しました。
「私は保証人だけで、担保は何も入れていません。自宅が有りますが、
5年前、常務に成る時の兄の教えで、家内に贈与しました。自宅は大丈夫です。」

「そうですか。5年前に兄さんに教わっているのですか。
 間違いないですね。それは良かったですよ。
 今から奥さんの名義にすればかえって危ないですよ。
 今から守るとすれば、お金を借りて無剰余にする方法も有りますが、
 これも整合性の証明が難しくて。あえて言えば、只1つ実際に売却することです。
 文句ぐらいは云われますが、売却したお金は隠しておけば大丈夫です。」

「私は以前に贈与して居ますから。」
此の会話からも2年が過ぎました。
第2会社は成功です。常務の自宅も大丈夫と信じていたのです。

でも、此の会話の自宅が、詐害行為になったのです。

コンサルトは争うつもりで念のために謄本を取り寄せました。
そして驚きました。
奥さんに譲渡は、コンサルトと会う8ヶ月前です。
会社が金利も払えなくなる頃でした。常務に成った頃と全然違います。
直ちに常務に問い詰めました。

「そうです。私は5年前に教えて貰ったことを覚えていて、
 会社が危なくなった頃やりました。どこがいけないのですか。」
少なくとも、やってよいタイミングと、やってから必要の時間を無視して居ります。
「云われた事は余り間近で無ければ何時やってもよい。」
と勝手に自分で信じていたのです。

だから説明も5W1Hを明確にせず、自分は正しいからやった事だけを
報告すればよいと思って居たのです。それを聞く方も「では完璧にやってあるな。」
と念を推さずに聞いていたのです。

裁判に負けて、此の物件はその後正式に差押に成りました。
説明を受けたときに「何時贈与しましたか。」の一口が有れば全然違った展開に
なって居たでしょう。
少なくとも形は変わっても彼に残った筈です。
一方はタイミングと時間の経過を無視し、一方は明確な確認をしなかったのです。
残念です。

お金が返済出来なく成る時もそうです。
此のタイミングと経過時間が大きく影響します。
借りて直ぐリスケを依頼するのは、悪意が有ったと思われても仕方無いでしょう。

保証協会付で借りた人が翌月民事再生を申請しました。
全債権者が同意しましたが、一番の大口債権者の保証協会がどうしても賛成しません。
「詐欺と同じだ。」と云うのです。
結局は破産となり。社長ばかりか弟の自宅まで競売に成りました。

これも仮に借りてから3ヵ月後に民事再生の申請でしたら、恐らく保証協会も
同意したでしょう。

今、返済猶予の依頼者が多いですが、之を依頼するときもそうです。
するほうは返済日の2-3日前に言ってその月から返済を猶予して貰いたいですし、
受けるほうは申し出のあった翌月からにしたいのです。
どっちもどっちと思う時が多いですが、どんな場合もタイミングと経過時間は必要です。

殆どの場合が債務者側の自分中心の考えが強いのが普通と見受けられます。
「此のくらいは常識で相手もわかっているだろう。」
と思って居ることが非常に多いのす。

特に不景気になり、返済もまま成らなくなります。
円満に話をつけ、自分を守る為にも此のタイミングと必要な経過時間を頭に入れて置きましょう。


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震災の影響

2011-03-15 | 事例
今回の震災は余りにも悲惨で規模が大き過ぎました。
犠牲に成った方々には心から哀悼の意を表し、
罹災者の方々にはお見舞い申し上げます。

「うち、東は東京に1軒問屋さんがあるだけです。
 しかし商量は当社の40%を占めて居ます。
 其の得意先が今月は一切支払い不能を言ってきました。
 東北地方の土産屋が得意先に多い見たいです。
 今回の震災で今の受注分は殆どキャンセルらしいです。
 東北に多いことは知っていましたが、現実にこうなると大打撃です。
 大阪にいて、東北の地震が影響するとは思っても居ませんでした。
 今は途方に呉れるだけです。」
観光地の土産屋にお菓子を卸している小さなお菓子のメーカーです。
ラベルなど其の店専用ですから他では使えません。
そうでなくても行き詰って居る会社、3月の集金が半分近く集まらないと
すれば深刻な問題です。会社は「持たない」かも知れません。
いや、そう判断する方が妥当でしょう。

スーパーに卸しているラーメン工場に勤めて居る女性が、
今朝家内と話をして居ました。
14日、月曜日の朝、取引のあるスーパー全部から、
いつもの3倍くらいの急ぐ注文が入ったのです。
全員夜10時まで、フル稼働。男性の人の中には徹夜組も有った見たいです。
15日も同じだそうです。早出してかつ残業みたいです。

事実13日以後15日まではどのスーパーも売れに売れました。
当初は災害に関係ある物だけかなと思って居ると飛んでも無い間違いでした。

納豆や豆腐まで棚に並べると瞬く間に空になる有様です。
15日も夕方に成るとさすがに若干は残ったみたいですが、
どのスーパーも同じだった見たいです。

テレビで被災者の食料不足ヲ見ていると、まるで自分の明日が
そうなる様な気持ちに成ったのでしょう。
売れたのです。
スーパーやコンビに・パン屋など思いもかけない増収でした。

災害が来た時には、直接の被害者には、官も民も、
周りは出来るだけ手を差し伸べて居ります。
災害救助法や義援物資、助け合いの心からです。
基本的には個人が対象ですが、お店や町工場など
小さな企業にも手を差し伸べて居ます。

例えば今回も、お金に関しても政府・日銀や銀行は次の様なことを呼びかけて居ます。

先ずは預金を下ろす時の便宜をして居ります。
免許証など、本人確認ができれば、通帳や印鑑を紛失しても下ろせますよ。
と呼びかけて居ります。

又、中小企業にとって一番の心配ことは手形の扱いです。
此の場合も「支払手形は不渡りに成らない様配慮すること」
と政府・日銀は銀行に要請して居ります。
此の場合の配慮と云う言葉はどう解釈すべきでしょうか。
私は災害で止まった交換所や該当銀行支店が再開して
何日後までに決済の事と云う意味だろうと解釈して居ります。

又受手も取り立て期日が過ぎていても、銀行間で話し合って、
取立てが出来るようにしなさい。となって居ます。

融資についても今回各銀行で2000万、あるいは3000万の融資を呼びかけて居ます。
しかし此の融資は全部保証協会付です。
保証協会枠は今時残っている企業など有りませんから単に呼びかけをしたと
云うだけかも知れません。

今回の様な大災害の場合、たとい自宅や自社・店舗が無事残って居る人でも、
周りが全部やられていれば被災者と見ても当然でしょう。生活にも仕事にも
多大の影響を蒙っていることは解かるからです。
範囲を少し広く見て、同じ地方ならば十分に配慮もされて当然と思います。

しかし、冒頭の例のように大阪の人が、直接東北と取引が無いのに社命を
左右するような事が起こればどうなるでしょうか。
倒産して、「今回の東北災害が原因です。」と云って人は解かってくれるでしょうか。

そんなことが、今回色々なところで出なければ良いと思って居ます。
網の目の様な経済網、どこがどう響くかわかりません。
こんな時、あらゆるところまで注意をしましょう。


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信金の太っ腹

2011-03-08 | 事例
「此の産業は地場産業として育てるのが我々の任務の様な気がするな。」
誰と無く呟く様に云った専務の一言がその後の彼の会社を決定つけました。

山国です。木を伐採し山から下ろして製材する材木業。減ったとは云え、
まだまだ昔からの家業の人が居ります。
外材に追われるようになったのは平成になってからです。
今までの材木屋も伐採は止めて材木の仕入れ卸に代わって行きました。

そんな中、彼の義父は、国産材をこよなく愛した人でした。
経営上、外材輸入はせざるを得ませんでしたが
国産材育成を叫んで居たのです。
義父は、社内に別会社をつくり、国産材には力を入れて来ました。
別会社は補助金の関係で組合組織にしましたが、子会社と変わりは有りません。

木材業の不況は平成10年代になってから一段と拍車がかかりました。
倒産が随所で現れました。
義父も同じです。不動産の切り売りも山林が多ければ何の役にも立ちません。
信金も大口債権者の義父の会社に日参し、信金の債権保全より、
義父の会社の資金繰りを検討しましたが、ついに倒産を覚悟したのです。

いかに軟着陸をするか、銀行と最後の打ち合わせ会議の時に本店から
専務も見えたのです。その時に専務が呟いた一言が冒頭の言葉でした。

事情が一変しました。
会社の整理とともに事業の継続が持ち上がったのです。
今の会社は整理せざるを得ないだろう。任意整理で行こう。
幸い組合が有る。義父は経営から手を引いて、組合で全部の事業を引き継ごう。

唯、工場は当分今の工場を使うことになる。
他の銀行は売却を遅らせることに同意してくれるだろうか。
メガ銀と地銀、それに公庫が2軒あります。
「儂からも一寸挨拶しておくよ。」

信金の中でも大口債権額でしょう。それが泡と化す事は何も云わずに、
今後の事業の継続を言う専務に彼は手を合わせました。
幸い、組合は同じ屋根の下であっても別会計。
規模はまだまだ小さいですが、若干の黒字でした。
しかし余裕のお金は有りません。
専務は、こんな場合だから融資も出来ないが、特別にと1500万の枠と
手形割引枠も作ってくれたのです。
その代わりに信金は何時でも実地に調査も出来ますし、会議など出席も出来ます。

娘婿の彼も組合長と云う職が急に降りかかってきたのです。
潰れると思って居たのが、嬉しい誤算でした。
平成17年の夏でした。

旧会社の整理は弁護士主催の1回の債権者会議で終りました。
仕入先は多額のカットが有りましが若干の配当で承認です。
銀行筋も直ちに競売はやらない方針です。
売っても大して金にはならない山あいの工場、あるいは専務の口利きで
競売を待ってくれたのかも知れません。

その後の彼は必至でした。
寸暇も惜しました。
信金も会議には勿論、絶えず実地にアドバイスなど懸命でした。

時期が悪かったです。その後幾ら頑張っても売上は下がる一方でした。
こんな時に信金と彼との間で1つだけ大きな意見の相違が有りました。
「大幅なリストラが必要です。」
と云うのに対し、彼は折角移籍した員であり、
此の体制でないと売上が伸びた時に困るから
と云って40名の社員を減らそうとしないのです。
自然減が妥協線でした。

結果的にこれが大きなマイナスでした。
しかも特殊作業で社会保険は相当な高率です。
1年くらいは何とか出来ましたが、以後は赤字です。

赤字は何かを減らさないと解決できません。給料にも響きます。
40名はそれから1年半を過ぎると20名までに減りましたが、
計画的に減ったのではありません。
それが仕事の手順に影響し、業績に表れます。
信金も段々様子見の態度に変わって行きます。

不味い事に専務は定年で居なくなりました。
そして組合は、借りたお金の金利すら返済が難しくなりました。
又前の会社の競売を控えていたいた他行は競売を実行してきました。
幸い信金だけは仕掛けて来ませんでしたから、信金担保の部分に工場を集結しました。

何時しか従業員は自分家族を含めて8名になっていました。

此の2月末、信金は提案をしてきました。
「金利も1年近く頂いて居りません。1部は保証協会付で、元来は保証料は
 前払いですがこれも半年分を2回頂いて居りません。何とか3月中に
 これだけは綺麗にお願いします。そして又新たに進みましょう。」

今までの信金の好意。今回の提案は何としなければ成りません。
しかし出来ないのです。どう転んでも半分の半分だって払えません。

払わなくて不良債権に成っても、信金は直ちに競売はやってこないでしょう。
売り先は全部知って居ますが、其の差押えもないと思います。
本来ならば、行って頭を下げるべきですが、どうしても出来ません。
此のまま払わず、返事もせず、信金の出方を見ます。

不況は人間性までむしばんで居ります。


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決まらない資金円滑化法の延長

2011-03-04 | 事例
彼は非常に不安です。
例の資金円滑活化法、これが1年間延長が決まったと聞いてほっとして居たのです。
ところが今の政情不安でまだ国会が通って居ないらしいです。
通らないとどうなるでしょうか。

昨年、4月に返済猶予を申し込みましたから、1年の期間が来月来ます。
此の間は、「返済が無くなると楽に成る。傾きだした会社も何とか成る。」
と思って居たのですが、本業は
逆に苦しくなるばかりです。
余裕なんて出来ません。

まさか「期限が来たから返済を元通り」とは言わないでしょうが、
若干でも返済を要求さされると、尚苦しくなる事は予想して居たのです。
それが昨年12月、もう1年、延長決定と聞いて、喜んでいたら、
今の国会でまだ審議もされて居ない。
今の調子ではどうなるか解からないと聞いたのです。

予算案もまだ通って居ないみたいですから、此のままと言う事は無い、
最終には通ると思いますが其れでも決定しないと4月からどうなるか不安です。

彼の場合、4月には期限が来ますから、今3月末までには銀行に
何かお願いに行かなければなりません。法案が延長されても、
されなくても、彼は1年延長をお願いするだけです。
延長されれば良いですが、されない場合は銀行はないか注文をつけるでしょう。
でもこんな時、政治が悪いから彼も影響を受けたなんて怒ることも出来ないでしょう。

彼は景気が上向きに成らない限り、此の円滑化法もほんの一時の
効果しかないと考えて居ります。自分の経験からです。
返済が始まる事は新たにそれだけの出費が増えるのと同じです。
今は返済どころか本業だけで食べていくのに苦しいのです。

昨年来、仲間内でも廃業が増えて居ます。
細々とやってきた連中です。
年金生活に切り替えが出来るのは、まだよい連中。
殆どは食べる宛ては無いけれど、やっても赤字だからです。
今ならば仕入れや同業者にはさして迷惑をかけません。
金融機関だけには返済しきれないと云うのが多いのです。
いずれにせよ自宅や会社は処分しなければ成りません。
シャッター店が1軒増えるだけです。

彼は考えます。
金融機関が1年の延長を認めて呉れれば、彼も仕入先に
迷惑を掛けそうに成るまで続ければよい。
そして続けられなくなった時、または最初から延長を
認めないときは自分も廃業をすればよい。
どちらかといえば廃業に成る見込みが大きいから、資金円滑化法が
延長に成ろうが成るまいが同じ事では無いか。

認めてくれれば単に延命が出来たまで。
仕事だけは自分で造らないとで増えません。
こんな景気だったら駄目の可能性が強い。
破産はしたくない。とすれば廃業に成る公算が強いことを感じるのです。

彼の不安は段々と腹が据わることに変わっていきます。
手形を切って居ませんから、不渡り騒ぎは起きません。倒産は有りません。
「仕入先には事情を話し、負けれるだけ負けてもらおう。弁護士や裁判所に
 持っていかれるより、負けて少しでも多く回収をしたほうがよいだろう。
 任意整理のときは20%回答が有るとみんな破産より此の配当を選ぶと
 聞いているから、せめて50%くらいに成らないだろうか。駄目元で交渉は
 此処から初めてみよう。」

彼は今迄、銀行に返済が出来ないときは銀行が来て、帳面から通帳まで調べて、
根こそぎ持っていくと聞いた居りました。
廃業の経験者に聞くと、「銀行ばかりでなく何処も捜査権なんて無く、
調べられないよ。」と一笑に付せられました。
とすれば、少しでも残したお金は、少し遠い銀行に出来たら自分以外の
名前で預ければ大丈夫の様です。

「モラトリアム、延長になるか、今は断言できない。」
此の言葉を聴いて一軒の企業は半ば廃業までを考え検討するようになりました。

政治の争いは守るべき民の仕事も奪っていくみたいです。


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