かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

情け容赦あり、国税の徴収②

2007-07-31 | 事例
売掛金に戻る前に、何故不動産が競売にならないのかを説明します。
会社は1番が地元信金と保証協会の担保。2番が担保でないけれど権利は国税の差押えです。
3番の権利者は政府銀行の担保です。

ただ会社は全部借地です。しかも建物は古く、且つ消防法違反のために1Fしか使えません。
今までに競売に2回かかっています。
最初は14年に信金が競売をやってきました。その時は2600万の
競売最低価格でしたが落ちませんでした。
2回目は3番の政府銀行がやってきましたが競売基準価格は560万と信じられない安さになって居ます。無剰余で取下げになりました。
恐らく幾らであっても、更地にする費用の方が高く、不動産はお金にはならないと思います。

後は売掛金くらいしか お金になる物はありません。
だから差押えてきたのでしょう。

売掛金全部を差押えられた時、頼みになる相談相手は誰も居ませんでした。
自己破産を薦める弁護士、自己破産をするくらいならば、
平成12年の不渡り2度発行の時にして居ますと叫びたいです。
少しでも可能性がある知人の言葉が頼りになりました。

この時の知人の言葉は、他の人と違いました。
「このままでは会社は潰れる。先ず、潰れることを覚悟して下さい。
その腹を作ったら、今後の折衝をやりなさい。
先ず、今後毎月払って行きましょう。
その場合、払える最大限の金額は幾らですか。その額を決めてください。
其れを決めたら1ヶ月分を持参して国税局まで行きましょう。
電話では駄目です。面談に限ります。誠意を持って先方へお伺いしましょう。
そして持参した金額をその場で払いましょう。此れが肝要です。
そして今後、毎月其の額を払うから、今回の差押えの解除を
お願いしましょう。」

払える額と云っても毎月50万も払えません。頑張りに頑張っても20万です。
毎月続くか自信はありません。
その20万としても完納まで52年掛かります。そんな事を承知をするとは
思われません。

「3500万差押えたと言っても、差押えて現金を手にしたわけではないですよ。
実際に販売会社がそれだけ払えるお金はあるの。無いでしょう。
ただ数字上差押えたと言って居るだけで、実際に幾ら入るか国税も
解からないでしょう。そのくらいならば、此れが最高額と思われるような額を
毎月払ってくれる方が国税としても良いと思うよ。駄目ならば、
当初の決心の通りに会社は潰れればよいことだ。手をこまねいていても
同じことだ。やって見よう。」
其の一言で私の心は決まりました。
又其れしかやる方法がありませんでした。

毎月20万は痛い。
でも最低でもこのくらいでしょう。
20万を持って、電話をして国税に出かけました。
「売掛金は手付かずであるでしょう。」
「其れが、通知が来た時は既に回収済みにのものが多く、
又、不良も含まれていて あると云っても無いような状態でして。」
しろどもろどです。それでも毎月20万の支払いで、売掛金の差押えは
解除してくれるように懸命に頼みました。

「よく解からないが、売掛金は確かにあるが、この分は販売会社で直ぐには
払えないと解釈してよいかな。販売会社は、毎月20万づつ会社に払う。
其れをそのまま収めてくれるという事と思ってよいかな。」

暫く担当官も考えて居ました。
「仕方無いな。では次の書類を送ってください。それでお宅の言う通りに
しましょう。一つは会社と販売会社との間でと取交わした売掛金はあるが
毎月20万しか払えないという覚書、ただし当初は20万でも良いが、事情の
好転とともに増額すると言う一筆をつける。」
後2通、計3通の書類を要求されましたが難しい書類はなく、
簡単に認めていただきました。

様は売掛金の差押えの解除はしないが、この分だけ販売会社は
自社の都合で月20万しか払えない。会社は払ってもらうと全額納入すると
いうことにしたのです。

18年7月の事です。

その後、国税から2度くらい電話がありました。
様子伺いと云う感じでした。
7月に増額の話があったのを丁重にお断りをして漸く済んだ処です。

銀行債務   12億8000万
仕入れ債務   3億4000万
公租公課滞納  1億8000万
給料遅配     8200万
従業員       47名で売上月商3000万くらい。
当面は回っていきます。
第2会社にする事は国税から釘を刺されています。
破産は出来ません。

ただ一つ怖かった国税とも話が付きましたが、明日の希望がない企業です。
一体これからどうなって行くのでしょうか。






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情け容赦あり、国税の徴収

2007-07-30 | 事例
私どもの会社は食品加工をして居ります。
販売は販売会社一社に納入し、其処が広くスーパーなどに納めております。

管轄の国税局に其の販社に対する売掛金3,500を全額差押さえられたのは
昨年の6月でした。頭の中は真っ白に、目の前は真っ暗になりました。
しかし結果、1年後の今日も変わらぬ事業を継続して居ります。
其の経緯を書いてみようかと思います。

18年の2月に国税の調査がありました。
当時は、国税だけで本税7500万、その他の延滞税などが5000万、
計1億2,500万の延滞でした。
こうなる前に、国税は、本社工場を平成12年に6000万で、更に17年に
1億1000万に増額の差押をして居ます。

其れだけに調査は徹底しておりました。
2月から6月まで何回訪問があったでしょうか。しかも片道3時間は
たっぷり掛かる場所です。
私は国税の態度を見て一つの腹構えをしました。
其れは会社中、「絶対嘘をつくな。」と「聞かれたらなんでも正直に言え。」の
2点です。此れさえ守ってくれれば話の矛盾は出て来ません。
おかしい処が出ても全て私に集約されます。
私は帳簿一つ、隠したり曲げたりしておりません。
この嘘は言って居ないということは信頼され、其れが後日良い影響をして居ると思います。

調査は厳しかったです。
しかし、その間、200万位、どうしても駄目ならば100万、
一括して払えないか、と云う要請は何回もありました。
払いたくても出来る相談では有りません。
「今後、毎月幾ら払えるか。」と言う質問にも「良くて3万が払えるかと
云うところです。」と答えるのが背一杯です。

調査の最後の日です。
調査が終わって再度念を押されました。
「本日、少しは払えないか。」
「残念ながら全然ありません。」
急に態度が代わりました。
「ただ今から捜索に入ります。」と宣言したのです。
(捜索と言うのは違う文句で聞き違えかも知れません。)
そして家捜しを始めたのです。
しかし金目のものは金庫に有った2万3000円のみ。
何時もこんな額しか有りません。
其れを差押と云う事でなく、自発的の納税として処理されました。

そして、本当の最後に言われました。
「今後毎月幾ら払えるか1週間以内に返事を下さい。
それによって今後の方針を決めます。」
正直に3万と言っては怒るだろうと思いましたが嘘は言えません。
「どうしても3万くらいしか払えません。1年後に再度検討するとしても当座は
此れでお願いします。」
と、2日後に文書で答えています。

その10日後に同じ場所にある販売会社に第三債務者として買掛金の
差し押さえ通知が届いたのです。

まさか売掛金の差押があるとは思っても居ませんでした。
「税務署は倒産すると直ちに売掛の差押えはするが、
生きて居る会社の売掛は差押しない。直ちに倒産と結びつくことまではしない。」と聞いて居たからです。
ましてや販売会社と言っても、内実は当社と同体です。
税務署も同一会社と位置付けて居ました。
調査の時に全部同じように調べております。捜索もしました。
それで何もなかった会社です。其の会社に対しての売掛を差押えるとは
予想だにして居ませんでした。

回収してきたお金は全て当社にそのまま回します。
自社で手形などを切り、其れを仕入れ代金として回すことは有りません。

国税は販売店から回収したら、そのまま国税に回せと言うのか、それとも其の回収金を自社で整理してから、自社の金を納税せよと言う事か良くわかりません。
どっちでも同じことです。この中から少しで抜かれると、会社は本当に回っていきません。

私は未だ良くても、7ヶ月分給料遅配の47名の社員はどうなりますか。それでも此処に勤め口がある人は良い方ですよ。やめるともう勤め口はありません。其の人たちの生活まで国税は奪ってしまうのですよ。何回の調査で充分に知っている筈です。

弁護士に聞きました。
「国税が差押えたらもう最後だな。破産の準備までするか。」
中小零細企業を助けるというある団体にも聞きました。
「こんなことは経験無い。収めるよりほか無いと思うよ。」と尻込みするだけです。

ただ一人、全く違う意見を言ってくれる人が居りました。
平成12年当社が不渡り手形を2度発行して法的整理をせず、さりとて普通の
任意整理もせず、今まで営業を続けてきていますが、其の随所に的確な
アドバイスをしてくれる知人が居ました。その人だけは、違う意見を
言ってくれたのです。

20年くらい前から、組とつく団体の不動産関係を担当し、当地に住み着いた人です。
10年くらい前から組を引退して居りますが、会社不渡りを出したときから、酒1升の手土産でいろいろの問題解決を教えてもらっております。

先生と呼んでいますが、その先生の言葉に従って税務署と交渉をしました。


以下は明日に回します。






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相続遺産を守るための自己破産

2007-07-28 | 事例
さる大手企業の営業マンです。
相当な腕利きらしいと聞いて居ります。
其の営業マンが、世間に知られぬように、そうっと自己破産を計画して居ます。
一人其れを知った義兄は躍起になって止め様として居ますが、なんせ、妻の実家が家中で計画している義弟の破産、効果は有りません。

Aさんは、奥さんの弟、義弟に若干のお金も貸し、又弟の借金の保証もして居ります。
義弟は大会社に勤めながら、株と不動産に手を出して居たらしいです。
資金の面倒を見たのは丁度、景気が下り坂で、株も不動産も急落する一寸前でした。
義弟はたちまち返済できなくなりました。

一方Aさんも収益物件のビルを持っていますが、ビルだけならば採算が取れておりますが、これも投機に失敗して居ります。ビルの維持が出来るかどうかの瀬戸際です。

そんな義弟が90歳少し前の伯母のところに養子縁組が急に決まったのです。
伯母は義弟の父親と、もう一人の弟と3人兄弟です。そのほかは身寄りは居りません。早くに離縁してそのまま一人で過ごして来ました。
この一族は昔からの土地を持っており、伯母の資産も相当なものです。
義弟は子供頃から伯母に可愛がられて居たのです。
義弟の養子縁組も義弟の父親が自分のこと以上に一生懸命でした。

ところが養子縁組が決まると直ぐに義弟は自己破産を計画しました。
今まで破産など考えたことなく、給料の差押があるかとびくびくしながら、返済の言い訳を頑張って来たのに何故?
そう、伯母はもう長くありません。万一の時は莫大な遺産が入ってきます。
借金があれば遺産も取られてしまいますが、今のうちに破産で債務を切り捨てれば大丈夫です。

義弟の本当の目的は此れだったろうと思います。
しかも恐らく勤務先でも自己破産を気付かないでょう。官報チェック者は居りません。
よしんば気付いたとしても、其れを理由に馘首にする事も出来ません。
今の世間的体裁は守れるでしょう。

自己破産は認められ免責も居りました。
Aさんは異議を申し立てております。近くに債務以上の相続が予想されるのに全て
免責になるとはおかしいと言うわけです。保証人は求償権を有しても良いではないかと云う訴えです。
其れは論外のことの一言で却下です。

さあ、Aさんの苦行が始まりました。
義弟に貸してあるお金が戻らないどころか、保証人として請求を受けだしたのです。
自分の借入の返済が漸くと云うのに、義弟の分まで被さってきたのです。

Aさんは妻にはこぼしませんでした。妻に弟の悪口を云っても、妻にはどうしようも出来ません。心配を助長するだけです。
しかし妻は鬱症状がでてきました。のみならずAさんにも胃に悪性の腫瘍が発見されたのです。

Aさんは闘病生活の結果、よくなりましたが、胃は殆ど除去したために無理も出来ません。
Aさんは此処で破産をしましたが、義弟騒ぎが無くても同じ結果になっていたかも知れません。

妻は実家の助けでマンションを買いました。
借金にも追われない日々が送れます。
鬱症状がよくなってきたような気がします

最近伯母は床から離れません。
もう90才をいくつか過ぎています。
弟の財産になるのは間近でしょう。

弟に投機癖が戻って来そうです。






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勇気出せば

2007-07-27 | 事例
A君
大分悩んでいるようだね。
君は200万しか出来ないと言って居るのに、サービサーは600万の線を譲らないのですね。
最後は「では1時金で200万を払いなさい。後は毎月10万づつ分割で払えばよい。」との案を切り出してきたのですね。

A君、君は200万ですら全額を借りないと出来ないと云って居ましたね。サービサーと和解後は先ず其の返済からして行かないとなりません。其れすらきついのですから、その他毎月10万の返済が出来る筈が有りません。
そうでなくても、今の零細企業で毎月10万も利益が出る会社などありっこないですよ。
サービサーの言うことは全然無理の話です。

A君、君の場合、特にサービサーと揉めているね。
と云うより、サービサーが君を捕まえて放さない様に感じるが違っていますか。
同じサービサーでもすんなり和解が出来る人も居ますよ。
この違いは、A君、君の態度にあると思うよ。
君の態度を変えると、少なくても今のように絶えずサービサーに電話を強制される様なことはなくなるでしょう。

君の弱点は、君がサービサーを怖がっていると云う事だ。差押と聞くと顔色が直ぐ変わるでしょう。此れがサービサーに良く解かっているんだ。
だからサービサーは君の弱点を上手く攻めて来る。と云う方式に負けている。
今のように、サービサーの言う通り、何時も同じような連絡を取って居ると、何時かは必ずサービサーの言う通りになります。
だから、サービサーも連絡を途絶えさせないために、電話の最後に必ず宿題的のことを言うでしょう。
「何時までに此れを検討しておいて下さい。そして電話を下さい。」
貴方は其れを守っている。だから連絡は途切れず、続いています。

A君、もうこんな事、止めましょう。
君が毅然とした態度で、しかし言葉使いは気をつけて、払える額を言えば良い。
相手が幾ら怒っても、それ以上は無理の事をはっきり言いましょう。
一旦言ったら、相手の言葉に釣られて、言葉を変えるような事はしないこと。
相手が何時までに、増やす検討をして下さいと言っても、検討しても同じですからと断る。こうした態度に切り替えよう。

サービサーは怒り、では法的処置を取らざるを得ませんと云ったら、其れはお宅の方で判断すべきこと、私の方ではなんとも言えません。と平然と答えましょう。
此れでサービサーは困ります。

サービサーは、言うことを聞かなくなったA君相手に、裁判所に訴状を申請する可能性は大きいね。
この裁判は陳述書を出しても、公判に出席しても、必ず負けますから、徹底的に放っておきましょう。すると敗訴します。

「支払いなさい。支払わないときは差押えの申請があれば許可します。」
必ず、こう言う判決になります。
此れにより相手に差押え許可証との言うべき「債務名義」と云うものが与えられます。
此れで何時でサービサーはA君を差押できるわけです。

この後サービサーはいろいろな方法で差押しますと脅してきます。
しかし差押されるものが無いと平気です。
家財道具を皆持っていかれると心配しますが、普通の家庭では家財なんて差押になりません。

差押で一番対象となるのは、預貯金だけです。
此れとて、遠いところに預けておくとか、名義が自分以外であれば家族の誰で有っても平気です。

差押対策は追って詳しく説明しますが、事実何もないから相手もどうしようもありません。預貯金さえ気をつければ後は何もしないでも平気でしょう。

サービサーはこれ以上の事は何も出来ませんから、怖がることはありません。
一旦出した線は、なんと言われても変えないことです。

その後、預貯金の差押が有るかも知れませんが、それに空振りをすればサービサーもA君の出した線を承諾するより他無いでしょう。

最初自分の出来る線を出す。そしてなんと言われても其れを曲げない。
その間に裁判があっても差押が有っても平気。自分も出した線を曲げない。
次にサービサーが何か言って来たら、そうしましょう。

必ずA君の望む線で和解が成立します。






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おべっか使いのアドバイス

2007-07-25 | 事例
Y子は東京近郊の大きな料亭の女将です。
単なる女将でなくて、親からの引継ぎで、其の不動産ごとY子の名義です。
今時、料亭など流行らず何処も経営不振で、此処も永年のY子の顔で
何とか持っては居ます。が、リスケこそやっていませんが、銀行返済も
滞りがちです。

Y子の主人はY子とは別に土建業者です。此れも、同業者が続けて
倒れる中で頑張っています。ただ銀行借入の時、5億の根抵当に料亭を
入れて居ます。Y子は保証人にもなって居ます。
料亭自体はほんの僅かな借金が有り、其処が担保順位は1番です。

Y子が主人から寝物語で土建会社の倒産のことを聞いたのは今ら1年半くらい前のことです。
Y子は思わず布団の上で飛び上がりました。
「料亭が取られる。親の代からの料亭が取られる。」ただそれだけでした。

自己破産をすると云う事で弁護士を依頼しました。
弁護士介入通知は仕入先を静かにしました。
しかしこの弁護士とは不動産処理、特に料亭の処分のことで意見が別れ、弁護士は「では勝手に不動産は処理してください。処理し終わったところで私の方に引継ぎましょう。破産はそれからです。」と云う事になりました。
当分の間は銀行折衝、特に不動産処分だけです。

銀行は4行。担保処理も着々と済んでおります。
しかし最大手の地元銀行のメイン担保は料亭です。
銀行はY子に債務を弁済するか、そうでない時は料亭を処分するように何回も言って来るようになりました。

Y子は主人から主人の会社が危ないと聞いた翌日から、弁護士や
コンサルタントを尋ね回ったり、料亭にも呼びました。
何とか親の代からの料亭を守り抜きたかったのです。

いろいろの意見がありました。でも大略すると殆どY子に長期でも良いから返済の能力がない限り、料亭は取られる。と云う意見でした。
其れを前提にいろいろ考えましょうと言うわけです。

主人も薦めます。
「今の料亭には余分なものを払っていく力は全然ない。むしろ営業を止めた方が良いくらいだ。料亭を売ろうではないか。更地にする仕事を引き受ければ4-5千万は握れ、二人の住居費ぐらい出る。」
Y子には、主人の言葉でも料亭が無くなる意見ではどうしても同意できません。

Y子の意を読んで、ついにはこんなことを言う人も出ました。
「今の第一担保は、枠だけは、時価に近い根抵当権がついている。
女将の顔で枠一杯借りていると云う証言を、其の銀行に頼みましょう。
競売も出来なくなる かも知れませんよ。」
しかし銀行は「銀行は嘘の証言は出来ません。」と素っ気ない返事が戻ってくるだけでした。

次第にインチキっぽいアドバイスが出てきます。
無責任でも、おべっか使いの方が金になると踏んだアドバイサーです。
「この不動産は車庫も、それどころか離れまで担保になっていません。しかし固定資産税は払っていますから建物です。簡単に競売が出来ません。」

「スポンサーを見つけることです。競売阻止のために任売を一旦承知しましょう。3ヶ月は銀行は待ちます。3ヶ月経ったら又お願いしてもう3ヶ月延ばすのです。幸いご主人は不動産をやって居ましたから上手くやってくれるでしょう。この間にスポンサーを探しましょう。お宅のブランドならば必ずスポンサーは見つかります。その間は私どもでお手伝いします。」
何ヶ月かは顧問料が欲しい下心の助言です。

冷静に判断すればおかしい助言でも、Y子は料亭が残るという意見以外は取り上げ無いようになっていました。
そして、何時の間にか、料亭は守れると信じる様になって居たのです。

そうしたアドバイスのある毎に、Y子は救われたと思い込み、主人相手に
燃えたものです。
苦しさの中での光明、其れを見出したY子が最高に幸せを感じた時かも知れません。

しかし、Y子の目論みは自分だけの満足です。世間で通用することではありません。
不動産が競売になったのはそれから直ぐです。
今までのおべっかアドバイスは何の役にも立ちません。
場所も良かったために大手ゼネコンに落札されました。
後は分譲かマンションでしょう。

Y子は強制執行されても立ち退かないと息巻いておりましたが、さすがに其の寸前には立ち退きました。

料亭を続けることが第一ですから、少しでもあまった金は返済に回し、手元には残っておりません。
勿論、主人の希望した整地料も入りません。

近所の人は何処に引っ越したか知りません。
保証債務が直接の原因なんて誰も思いません。
有名な料亭も時代の波に負けただけだと思っています。

隣町のスーパーで買い物をして居るY子の姿を見かけたという噂もあります。






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野菜を買うにも楽しんで

2007-07-22 | 事例
「キャベツを買うときは、白い葉の重いキャベツよりも、青い葉をつけて全体が軽いキャベツの方が旨い。
 きゅうりは太くて長いのより、未だ棘が有って余り太くない方がおいしいよ。
 其の方が芯に穴の開いたのも無いしね。」
彼はスーパーの買い物が好きです。奥さんが店番をして彼が毎日の
買い物役です。でも其れが崩れだしました。
そう、あの交通事故で奥さんが足を痛めてからです。

地方都市の中心街で、唯一の化粧品屋を古くから開いて居ります。
奥さんが顧客のカルテを作り、美容相談をして居ることも繁盛の原因でした。
しかし、最近は人の流れが多い、駐車もしやすい、駅通りに移りつつあるよう
です。
売上の停滞気味のことが気になって居りました。
この他に川向こうのスーパーに出店を持っていますが万年赤字です。
スーパー自体赤字で撤退も決定しており、もう直ぐです。

こんな頃奥さんが交通事故に有ったのです。半年くらいで何とか又お店に戻れるようになりました。
しかしながら、今は、店番や炊事仕事など出来ますが、一寸距離のあるところの歩行は困難です。

お店は奥さんの接客で売上を維持して来ました。其の奥さんが店に
立てなかったのですから当然その間の売上は大きなダメージがあります。
尚今後も奥さんが昔とおりの相談者となって売上に貢献できるか心配です。

彼は積極的に今までの奥さんの仕事も手伝うようになったのです。
しかし若い娘の美容相談は奥さんでなければなりませんでした。

こんな彼の店の状態を見ていたのは、やはり取引のある地元銀行と
信金でした。ともに借入は大幅に保証協会の保証があります。

メインの地元銀行は露骨に貸金の引き上げをする様になりました。
何回ものリスケの依頼を承諾しないどころか、事あれば大学教授をして居る保証人の弟に連絡を取りたがります。
又、自宅兼店舗は銀行の担保です。1番は保証協会ですが、銀行分も無剰余ではありません。競売をちらつかせつつ回収です。

脅しをまともに受けて、彼は返済にいそしみました。奥さんの交通事故の慰謝料がなくなるのは簡単でした。
こうなると銀行返済のために商売を続けているようなものです。
化粧業界は、特に代金決済の条件が厳しいです。仕入れに大きな影響が
出る様になり、売上は尚悪くなると云う悪循環を繰り返すようになりました。
それでも銀行の追及は止みません。手形借入の切り替えもせずに直ちに
返せと迫ってきます。
ついにスーパー引き上げの敷金を返済することを約束されました。
熾烈を極めるとはこの事です。

このままでは どうしようも無いと云う時、彼は税理士の紹介で一人の男と
会いました。其の男のアドバイスで、方針をガラリ変えたのです。
このままでも、男の云う通りにやって失敗しても、銀行に潰されるのは同じさと云う思いがありました。

先ず返済を金利プラス1万円にしました。銀行はイエスと云う筈がありません。
そこで其の額を振込、その旨をFSXで連絡しました。
おりしもスーパーの敷金の返済があります。これは銀行に返済する約束でした。
其れを破り、他の銀行に振り込ませたのです。
其処から仕入れに必要なお金を抜き取り、余りを返済しました。

敷金全部返済すればプロパーの借入は消えたかも知れませんが、少し残りました。
銀行はものすごく怒りました。そして保証協会に全てを代位弁済をしたのです。

場合によったら競売があるかと思って居ましたが有りませんでした。
不動産の下落で、銀行の持分の担保が無剰余でないとは言い切れず、競売するには保証金を積ま無いとならないために、競売は諦めたらしいです。
もう1000万をきった貸出。質の良い保証人も居るし、3年も見れば、充分回収できると踏んだらしいです。

一方其の頃信金とは、銀行が揉めているならば、肩代わりをしようと云う話が持ち上がっていました。銀行が代位弁済したと知ってから、急に態度を変えて、此れも代位弁済してしまいました。

しかしこうなると逆にやりやすくなります。
今までの金利以下の返済で銀行と信金、メインの保証協会と話がつきました。
いざとなれば弟からの借金で銀行プロパーは解決できます。自宅は守れます。

妻の相談も復活し又固定客が増えつつあります。

「玉蜀黍は毛が枯れて居ないとまだ若く、茹でて冷えればしわしわになって
しまうよ。又外国産のカボチャは何故煮えないだろうか。」
彼の買い物は、品物の選別が始まっています。

最近まで、そんな気持ちの余裕はありませんでした。取り戻したようです。






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相続方法を変えた姉妹の確執②

2007-07-21 | 事例
I子はS子を恨みました。
自分だけ相続でよい思いをして、相続をしない私が自分の借りた債務でない父の借金のために虎の子のマンションを差押えられるなんてと思うと平穏な気持ちでは居られません。
今でしたら、家賃も直ちに差押えられるでしょうが当時の銀行は其処までしませんでした。落札になるまで差押えられたマンションの家賃が入ったのがまだ救いです。

しかし此れだけでは有りませんでした。
自宅は、建物は夫名義ですが土地はI子の名義です。此れを任売で売りなさいと要求です。
マンションは父親から譲られたものですからまだ良いとしても、この土地は父の借金とは関係ない土地です。
銀行も当初は見逃そうとした感じがあります。しかし裁判までしたI子を見逃すわけには行かなくなったのだと思います。
此れも強制競売となって、最初の競売価格が出て、それにほんの少し上乗せをして夫が漸く買戻しをしました。
以後銀行からの請求は一切ありません。

その間のS子はどうなっていたでしょうか。
全ての店子の振込先を変えようと思いましたが、そうすれば全部の家賃が差押えになるから、我慢しようと云う執事の言葉を尊重しました。

しかも其れも1年くらいの間でした。I子のマンションが差押えになると殆ど同時に全ての担保が競売開始になったのです。又家賃も全て差押えになりました。

それでもS子は執事と相談をしつつ無駄の抵抗を続けています。
いわゆる執行妨害です。
無駄で有っても空き室に占有者を入れようとか、マンションの片隅に自転車置き場の建物を作るとか、「蟷螂斧に向かう」の蟷螂以下の抵抗です。
何れも競売阻止にはならず、難なく競売は実施されました。

S子は其の中の一つに住んで居ましたが、立ち退きの強制執行に会って居ます。
哀れの姿でした。

貸家にに移ったS子は、間もなく執事と陰惨な喧嘩をして居ます。
第一に父が扱っていた株券が意外と少ないのです。執事は此れで全部と云っていますが、信用できません。
それに、自分が回収した家賃もどうも少ないように思われるのです。
調べられる限りにおいては正しいですが、全部を調べられる訳でなし、執事をいろいろと問い詰めましたが、ついに解からずしまいです。

此れで半同棲だったS子と執事の間の仲は切れて、S子は誰にも
連絡取らずに姿を消しました。
平成15年の話です。

I子はその間いろいろと変化がありました。先ず夫が癌で先立ったことです。
当然夫が買い戻した自宅は相続になります。
残債務はまだありサービサーが回収に来たら困るというので、名義は変更しませんでした。無くなった夫のまま、時効になるのを待ち、時効になったら正式に名義変更をする予定です。

ところが時効になる半年前に、急にサービサーから通知が来ました。
残債務のことで話し合いたいという通知です。
I子は思い切って出かけました。良い担当者で30万で残債務を放棄する和解をする事になりました。
ただし此れはI子の分だけ。S子は知っていれば同じでよいですから連絡してください。今がチャンスですよと盛んに薦められましたが、本当にS子の居場所は解かりません。
しかしI子は長く苦しめられた保証債務と別れ本当にほっとしたのです。

最近I子は幼い頃良く行ったデパートに足を向けました。
空いて居る和服売り場を見ていると偶然S子と会ったのです。

会った瞬間今までの憎しみは消えて懐かしさが一杯です。S子も同じで会ったと思います。
S子はその後、都心近くマンションを買い、其処にほっそりと生活しているらしいです。仕事は何もせず、食いつぶしていますが年金の入る宛てもありません。
ただ、鍼を勉強し、それで何とか生活の目鼻はつきそうと云うことです。

あの父が残した資産を独り占めにして、借金を払わずにすべてを残そうとした頃の覇気は消えて居ます。

しかし、一旦手にした資産を守りぬこうとした努力は何たいていなものではなかったと思います。其れが一つづつ離れていくつらさは言葉には表されなっかたでしょう。
執事に騙されたと言う子持ちももう浄化されています。
艶が消えた顔色が何より其れを物語っていました。

遺産を放棄した姉も、全て相続した妹も今は同じような境遇です。
いや全てを放棄した姉の方が今の境遇は勝っているでしょう。

お二人とももう60歳に近いです。
これからの幸せを心から祈ります。






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相続方法を変えた姉妹の確執

2007-07-20 | 事例
賀状以来便りのないI子さんから、写真入の便りを頂きました。
「妹のS子との仲も昔通りの仲になりました。」
相続・続く銀行との争い、もう10年以上没交渉の二人でした。

I子は資産家と言われた父親が他界した時に、直ぐに相続放棄を決めていました。多額な家賃収入を全てつぎ込んでも、銀行返済に苦しんで居る父親の姿を何年となく見ていたからです。
妹のS子にも其のことを話して、姉妹しての放棄を考えて居ました。

しかし案に相違してS子は放棄せずに、姉が放棄するならば、全部を相続すると云いだしたのです。「其の方が姉さんも借金の請求が無くて助かるでしょう。」
と云うのです。「銀行なんかに返済しませんよ。家賃だって皆持っていかれるのはもったいない。」と息巻いています。

まだ40歳を一寸過ぎた執事とも云える男がこの家の全てを取り仕切っておりましたが、其の男から吹き込まれた知識らしいです。
I子は結婚して二人の子供が二人居ますがS子は30を半ば過ぎてもまだ一人、この家に父親と住んでいました。

I子は全額相続放棄、S子が全て相続して相続問題は終わりました。
相続放棄をしたから、何も無いと思っていたI子が銀行に呼ばれ、「保証人としてI子さんに請求します。」と云われたのはそれから1年後です。
「お父様の負債は12億です。毎月、合わせると400万ほど賃料が上がる収益物件が担保ですが、此れとてどう高く処分されても4億とはなりません。
ご相続の物件処分では全然不足です。貴方とS子さんは保証人です。それでも本来ですと担保を処分してから保証人にご請求すべきですが、S子さんはどう連絡しても会ってくれません。のみならず、担保物件に何か工作をしようとしている気配が見受けられます。
そのために、近く法的処理を全てにします。
其れが終われば、I子さん。貴方にもご請求が行きますが、その前に貴方の方から弁済計画を出して頂ければ、当行もある程度其の線に協力できます。自発的に弁済計画をお出し願えないでしょうか。」

「私はこうなることが嫌で相続放棄をしたのですが。」
「いや相続人のI子さんでなく保証人としてご請求しているのです。」
銀行はそこで相続放棄をしても保証をしていればその分は弁済してもらうことになりますとの説明です。何のことはない全て相続放棄したI子と、全て相続をしたS子は同じ様に父親の12億の債務を弁済しなければならないと云うわけです。

其れも先ず払うべきS子から上手く回収出来ないから、とばっちりがI子にかかってきそうです。
それにしても家賃振込みは借りた銀行になるようにして居りますが、
父の頃から入居者が変わるごとに違う銀行に振り込ませて居りました。
其れは差押えられては居りません。
S子の収入になって居ます。
どのくらいか解かりませんがかなりの額と思います。

そんなS子はそのままで、放棄した私が払うなんて、そんな馬鹿な事ってあるかと思い、何とかならないかと弁護士を訪問しました。
ところが話を途中まで聞い他弁護士は叫びました。
「I子さん。貴方は保証人ではありませんよ。銀行の口車に乗せられて署名捺印させられたのです。闘いましょう。勝ちます。」
つまり良く世間も知らない良家の娘が二人、銀行に騙されたと言うのです。
そう云えば執事に呼ばれ病床の父のところに言ったとき、銀行員が居ました。
「決してご損はお掛けしません。」と云って居ました。
こちらは訳が解からないが父親のためと思って書類など見なくて署名捺印したことがあります。今考えると其れが全ての保証をする保証書だったのです。

裁判は負けました。
I子は証人として、捺印の時の銀行員を呼びましたが、
銀行員はけろっとした顔で
「そんなことを云った覚えは有りません。保証人としての義務などをご説明しました。」と証言したのです。
全てが嫌になったI 子は弁護士が高裁を主張したのに控訴しませんでした。

I子はこの間もS子に連絡しました。
「相続放棄をしても保証人だったら弁済義務があるなんて知らなかった。
 知っていれば放棄はしなかった。
 差押えになるまで家賃入るのでしょう。半分とは云わないからせめて
3分の1くらい家賃を下さい。其のうちに私も全て無くなるのですから。」
勿論、返事はNOです。
「貴方が銀行と話し合ってくれれば、私の方に来るのも緩やかになりそう。
 早く銀行と話し合って、弁済出来るものは弁済してください。」とI子。
「私、最初から銀行なんかに素直に返すなんて云ってません。嫌です。
其れより姉さんも銀行の云う事など聞かずに一切払わなければ良いでしょう。」
取り付くしまもありません。

しかしこうしたやり取りは二人の仲を悪くしていくだけです。
S子が相続したものは何一つ競売になって居ないのに、I子が結婚した時に父親から貰った毎月60万をあげる賃貸マンションが差押になった時には完全に二人の仲も壊れたのです。
I子が敗訴した時、債務名義も渡っていました。

少し長くなります。この続きは明日にさせてください。






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税務署の判断②

2007-07-16 | 事例
税務署から最初其の話があった時、Sさんはうろたえました。どうしてよいか解からなかったのです。
この時先ず出たのが税務署に対する非難の言葉です。
「何でそんな税金をかけるのか。税務署は中小企業を潰すつもりか。」
と今の論議とは関係ない課税に対する非難です。

担当者は此れで相当感情を害したみたいです。
次のようにもSさんを脅して居ります。
「Sさん。この配分はSさんが約2億、他の人が3500万づつになって居ますが、正しくは均等で無いといけないのです。この場合、Sさんから贈与としてさらに税金が掛かりますよ。Sさんがこの判定にどうしても不服の時は我々も其処から訂正して頂きます。」
と最初から脅しの文句が入ってしまったのです。

Sさんは次の反論もしました。
「Mさんが貸したといっているのは、理事長であり決定者の私にでしょう。
会社は単なる一保証人に過ぎず、この件には関係ない筈です。
ですから、会社の売掛を引かれたと云う事は、どうしても強制値引きです。」

いろいろのやり取りがありましたが、結局次のような言い渡しがありました。
「税務署としては、本件を値引きとは認められない。
故に最初にさかのぼり課税します。そして規定通りの付帯する税金も掛かります。」
其れが2000万です。

税務署の説明は次のような事でした。
 第一に、Sさんの主張する販売奨励金のようなリベートの件は約束した事実が無く、税務署とすれば認められません。
 次にM会社は最初からSさんに貸付処理をして居ります。一旦銀行に代行弁済をして居りますが、其れを損失処理もしておりません。
 一貫性があり、税務署もこの考え方は正しいと判断します。
 尚、此れはS会社に貸したものでなく、Sさん個人に貸したものと判断されま  す。
 Sさんも云うとおり、会社は単なる保証人の一人で、決定はSさんで無いと
出来ません。
 其れを何故S会社から相殺したか、税務署は其処まで関与しません。
 SさんはM会社に返還を求めてよいでしょう。M会社は其れを返還して改めてSさんから回収すればよいでしょう。」

云う事を聞かないと、最初の配分に戻り、不均等な額に対し、贈与税をかけますよと云う態度が口の端に現れて居ます。

税務署は、今回Sさんから2000万の追徴を決めました。
それに本来ですと3500万の損失が発生しますから、其の分は税金は安くなる筈ですが、其れも個人の物と判断したために発生もしません。
それに、SさんとMさんとの、3500万の貸借の煩わしいことは、当事者同士で話し合いなさいとして居ります。

それに対し、Sさんは、2000万の税金は被るし、組合決議で決めた配分は否定されて一人分のの3500万はかぶらなければなりません。しかも其れも損失処理も出来ません。

こうなったのも、SさんがMさんと比較して、答弁など、一貫性のあるしっかりしたものでなかったためと、見ております。
事態の進行に比して言い方が変わってきています。
其の時其の時に合わせて有利のような言い方をして居るのが裏目に出ているでしょう。
それに担当者の気分を害していることも大きいと踏みます。

最初にきちんと話し合いをつけなかった事が一番の原因です。
そのために5500万損をしました。

税務署の判断の是非はわかりません。
しかし、一般の企業間においてはこんな決定をしてもしても回収できずに
無駄の決定になるでしょう。

力は正義なりと云う文句を思い浮かべます。






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税務署の判断

2007-07-15 | 事例
何年ぶりかで税務署の調査が入りました。
おかしな事は何もして居ません。むしろ無理をして利益を出して居る位ですから、追徴になるような事は間違っても無いでしょう。

しかし思いがけなく脱税と判断されることが起こりました。
その結果、年商1億2000万のS社に、重加算税、十何%かの延滞税も含めて2000万以上の追徴が掛かってきたのです。

S社の社長は同業者3名とかって協同組合を設立しました。不動産を扱うためです。S社の社長が理事長となって運営することになって居ました。
銀行借入も理事4名とそれに各々の会社まで保証をして居りました。

当初景気が良く配当も充分に有った組合もバブルの崩壊とともに経営は悪化、ついに倒産しかありません。
ところが各理事とも自分の会社は大丈夫ですから、倒産して自分や会社がとばっちりを受ける事は困ります。
約3億の負債を全員で負担しようと云う事になりました。

大分揉めましたが、S社の社長を除き、1人3500万、後の債務ほぼ2億をS社、または会社で負担することにして組合の倒産騒ぎは終わりました。

ところがS社の納入先でもある理事、M社の社長はこの事に強く反対です。
いやいやお金を出して組合の債務は処理したものの、S社の社長に云いました。
「私はあくまで組合の決議に賛同は出来ません。本来この組合はSさんの
ためにあるような会社です。今回もSさんが全額負担すべきと思います。
そのため、私は一応お金は出して借金を処理しますが、此れはあくまで
Sさんに貸したお金として処理をします。Sさんは責任を持って私に返して頂きたい。」

云っただけならば良かったですが、当時、S社はM社に月商3000万以上を売っていたのです。当時の売上は月商2億位でしたから。15%のダントツの売上でした。其の支払いをストップしたのです。

Sさんは慌てました。漸く毎月50万の相殺でお願いする事になったのです。
契約書も何もなく、毎月50万を支払いから相殺すると決まったのです。
M社の言い分は貸した3000万が戻るまでと、はっきりしているのに対し、Sさんが言っていることは「利上げが1000万以上の時に50万を払う」とか「約3000万くらいになるまで支払う」とか何となく語調がはっきりしていません。

様子を見て、思い切って取引をやめればよかったですが、最大手の得意さん、今納入ストップなど考えられません。
最近では少なくなって1000万くらいになったのですがそれでもダントツには間違いなく50万は其の販促費です。

もう5年くらい其の状態が過ぎて残は1200万くらい。其の間にもSさんは
何回もリベートの廃止を申し入れました。
すると承知をしないどころか直ぐに支払いを止める素振りをします。

折も折、SさんはM社の高級材料を使う仕事を、自分は中に入らずに全てM社直接に結びつけました。利益は500万以上あります。
結びつけた後、Sさんは50万の廃止を申し入れたのです。
最初から条件に出すよりこの方が効果があると思って居たのです。

しかし案に相違してMさんは拒否、500万の利益は唯やり損です。
さすがに人の良いSさんも此処で完全に頭にきて、売上が押さえられないように調整し、売上をストップしたのです。完全に喧嘩状態になりました。

税務署の監査が入ったのは、丁度こんな時でした。

調査は淡々と進み何処にも問題は出ませんでしたが、売上値引きの調査でこの50万が出てきました。
Sさんが「1000万以上の時は50万の奨励金を払うことになって居ます。」とでもさらりと説明をしておけば、あるいは何もなく通って居たかも知れませんが、Mさんの仕打ちに頭にきているSさんは、こうなった経緯を延々と説明したのです。

税務署員はM社まで調べに行ったらしいです。
その結果、思いもかけない事が起こりました。
「M社はこの金はM社が貸したお金の返金と云っている。
帳簿処理もそうなっている。この金はS社が借りたお金の返済であり、
値引きではない。其れを何年間も続けている。経費処理をして居るから一種の脱税です。さかのぼり正しい処理にします。」
と云って追徴が2000万以上決定されたのです。

税務署は何故この様な決定をしたか、税務署の説明とSさんの対応は明日書きたいと思います。






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