かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

相続

2007-05-31 | 事例
突然舞い込んだ1通の手紙、彼はどうしてよいか解りませんでした。
あるサービサーからの手紙でした。
「貴方の叔父様はこの度他界をなされました。貴方は其の相続人になっております。
 一方叔父様は当社からの借入債務を保証し、この債務は残念ながら現在、
 弁済しなければならない事態となっております。当社は叔父様の相続人である
 貴方にこの債務の弁済を求めますが、ご異議のある場合は一報下さい。」
と云う主旨です。

40歳を超えたばかりの彼ですが、既に両親は他界して居ります。一人息子でした。
親戚付き合いも殆どありません。
手紙にある、亡くなった叔父様とは亡父の弟でした。3人兄弟の真ん中の人で、手広く事業をやって居ると言う事を誰かに聞いた事があります。
お葬式には顔を出しましたが、其の時にもう一人の叔父が「兄貴も商売が余り上手く行かずに悩んでいたらしいよ。そんなのが尚寿命を縮めて居たんだな」と云って居たのを思い出します。

「何で私が相続人?奥さんや子供も二人居るんではないか。
 又実の兄弟の叔父さんも居るのに、何で私が?」
訳の解からないままに、故人の息子、つまり従兄弟に電話をしました。
「父は会社の全借入の保証をして居りました。其の会社は倒産となりました。
 自宅はじめ父のものは全て担保に入っておりますから、私たちも間近く明け渡しを
 しなければなりません。それでも不足らしいですから、母も私たちも全員が相続放棄をしました。其れなのに何故、貴方に相続だからと言って行ったか解かりません。」
と云う返事です。

少し解かってきました。
実の子供が相続放棄をして居るから、何か彼のところにお鉢が回ってきたらしいです。
故人の弟の叔父に電話をしました。
「うん。俺のところにも来たよ。どうやら俺とお前が相続人になって居るらしな。
本当の相続人が相続放棄をしたから兄弟や甥のお前にも来ただろうが、
どうすればよいだろうか。以前一寸聞いた事があるが、相続放棄は故人が
他界して3ヶ月以内でないと出来 ないらしいが、もう3ヶ月は過ぎているし、困 ったよ。
弁護士に相談しようかと思って居たんだ。」

「おじさん。相続の関係は家庭裁判所と聞いていますから、こんな場合どうすればよいか先ず
裁判所に聞いてみますよ。弁護士を依頼するならば、其れからにしましょうよ。」

家庭裁判所は親切でした。
相続には第1順位か第3順位までの相続人が居り、上位の順位者に誰も相続をする人が居なければ下位の順位者が相続する様になること。相続放棄と云うのは、其の相続人が最初から居ないと同じ事。借金も保証債務も相続しなければならないこと。
等を簡単に説明した後、
「借金とか保証債務などは他界した時からでなく、知った時から3ヶ月以内でよいのですよ。貴方も、資産の相続もしてなく、今回初めてそんな負債があり、自分が相続義務のあることを知ったならば、直ぐに其の手続きをすれば間に合いますよ。」
と手にとるように教えてくれました。

彼は難を逃れましたが釈然としません。
おそらく負債以上の資産が有れば自分のところまで相続騒ぎが回ってくることがなかったでしょう。自分のところまでこの騒ぎが回ってくるようならば、必ず相続放棄が出来る筈です。
こんな騒ぎは、サービサーが人に不愉快な思いをさせて、無駄な費用と時間を作らせるだけだ。こんな騒ぎを起す、サービサーに損害賠償が出来ても良い筈だ、と思っています。

しかしその後こんな例がありました。
事業家の父がなくなった時に、お嫁に行っていた主婦は1000万の現金を相続したのです。
後は母親が預金など。その他の資産は父の後を継いでいる弟が全て相続し他のです。会社は勿論弟が社長になって今後の経営をしていきます。
それから5年後に、この会社が倒産したのです。
たった1000万貰っただけですが、保証債務の法廷相続分、つまり何億かが主婦の
保証債務として掛かってきたのです。
主婦には勿論資産はありませんが主婦の夫は有名会社の役員です。
其れを暗に見越してサービサーは揺さぶってきます。

自己破産をしようが、または差押されようが、主婦だけならば平気ですが、其れが
近所のばれたり、主人の務めにわかり、主人の立場に傷が付くようでは何より困ります。

この件はケリがついて居りません。
しかしこんなことまで相続人として責任を負わないとならないでしょうか。
嫁に行った子供が形見分けの代わりに、少しの遺産を相続し、其れがために其の何十倍の保証債務の責任を負わなければならないとは、如何なものでしょうか。






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どちらが勝手な評価

2007-05-28 | 事例
彼には銀行が意地悪をして居るとしか思われませんでした。
3000万で担保に入っている土地が5500万で売れます。勿論3000万はその場で返却します。
当然自分は2500万を使えると思ったのです。
しかし銀行の返事はNOでした。
其れ全部を頂かないと担保は解除できません。と云うことです。

理由は全体の取引から考えないとなりません。
彼はこの他に、この銀行から更に4000を借りています。この担保には別の不動産が第一順位で担保です。
其処は4回建てのビルが立っている、本社不動産です。
33坪しかありませんが、土地は第2のバブルでこの辺りでも200万はして居るらしいです。
不動産屋は此処を賃貸ビルに建てかえると家賃は60万以上は硬いと太鼓判を押しております。4000万の担保価値は充分にあります。
此れがもう一つの不動産の売却の足を引っ張っているとは思われません。

彼は5000万で買うと言ったお客を放したくありません。
この価格のお客を逃がせば次にこんな価格で売れるか疑問です。
銀行の言い分は余りにも酷だ。
何とか口説けると思って売買契約を取り交わしました。

しかし銀行はあくまでこの不動産の売買代金を返済に回さないと担保解除しませんと強気です。
理由は今までの担保不足です。
今は土地が上がったとは云え、無担保を計算すると何とか融資残高と担保が見合う様になりました。その無担保の土地の売却代金を、そのまま引き上げられれば銀行としても本社に言い訳も出来ません。正常の状態にしてくださいと支店長の言葉です。

そんなことは無いだろうと、いろいろ説明しますがどうしても納得しません。
逆にいろいろ説明を受けましたが其れは当方が納得出来ませんでした。

この土地が200万と云っても、3月の公示価格もまだ120万ですよ。
全部で4000万弱。此れが更地ならば良いですが、お宅の不動産には古い4階の鉄筋が建って居るのですよ。
ビルは古く、買った人は建て直さないとなりません。
私どもはこのままでしたら2000万に売れるとも思っておりません。
不動産鑑定士に見て頂いて下さいよ。
その上更に、銀行はその何掛けかが担保になります。
全部頂いてもまだ残に対する担保は少ないと思います。

この勝負、結局は負けました。
銀行に頼みこんで、せめて1000万をこちらに回してもらうのが背一杯でした。






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見せ掛けの体裁

2007-05-27 | 事例
決算書。
企業の顔ですから誰でも体裁を飾りたいのです。
粉飾決済と云う言葉がありますが、1回だけならば誰でも粉飾も出来ますが、此れを長く続ける事は至難の技です。

M工業の社長は青息吐息です。
大した金額ではありませんが、毎月赤字です。
其れを何とか黒字に見せかけます。
安く現金で仕入れるB勘仕入れや、自分が使う経費など、全て仮払処理にして、利益を出す操作をして居ります。

此れがため、仮払金はどんどん増えていきます。仮払金だけが非常に多くかつ増えていく会社など、どの銀行も用心して、貸してくれません。
M工業は直ぐにでも参りそうなものですが、救いがありました。
同郷人で作っている組織です。
この組織が貸してくれるのでなく、この組員が助け合いのため、融通をしあうわけです。
社長はこの組織の実態をつぶさに教えてはくれませんが、「私は2億までならば、この仲間から借りることが出来る。」と豪語して居ります。
特に社長は、その組織のためには懸命な協力をして、中心的な存在です。其れも手助けしてくれて居るでしょう。

此処から借りるお金、仮受金で処理をして居ますが此れも仮払いが増えるとほぼ同額でうなぎのぼりに増えていきます。
当初此れを正直に試算表に計上していましたが、銀行からは絶えずこの明細を要求されます。社長は困り果ててしまいました。

この同郷人の会に、各会社の困った時の為の相談役が居ります。社長はこの相談役と相談をしたのです。
しかし実情は言わず、一過性の仮払いと仮受金と云うことで此れを何とか決算書から消す方法はないかと尋ねました。
相談役は簡単です。「一過性の物ならば、直ぐにこの費目は消えるだろうから、銀行などに提出する場合は、仮払いと仮受を、両方を相殺しなさい。決算書は非常に良くなりますよ。」とアドバイスしたのです。

本当です。
すっきりした決算書に生まれ変わりました。
ただ仮払金と仮受金とが、決算書からなくなっただけでこうも違うでしょうか。
社長はこの言葉を基にして一歩処理を進めたのです。

其れからは従来のB勘や社長の持ち出しは今まで通り仮払い金で処理をし、仲間融資も借りると仮払いの戻しとして処理を進めたのです。
B勘も社長の持ち出しも仲間融資の明細も全て社長仮払い一本になり、中身がどんなに変わろうが表面的には極平穏に過ぎて行きました。

このやり方は、取引をしていない銀行には効果がありました。
お金を貸してくれるのです。
今までの銀行にはリスケもして居りません。
利益も毎年出しています。過去の決算書を提出するときは仮払いと仮受金とを相殺すればよいのです。
一見優良企業です。

しかし内部は大変でした。
貸してくれる人は、人によって違いますが、300万から2000万くらいです。
当初3-5人で済んだお金の都合がたちまち膨れ上がりました。
貸手を増やし、転がすよりありません。
高利貸しから借りているのと同じです。

世間の景気は次第に上向いてきました。
会社の業績も上向き、B勘は正規の仕入れ計上が出来るようになりました。10万だった社長も給料も増やしました。
会社の月次もかろうじて黒字を計上するようになりましたから、少しでも返済が出来るようになりました。

ところが此処で困ったことになったのです。
今までは借りたお金は、仮払金で処理をし、帳面には一切出て来ません。返したくても、何処をどう処理をしてよいか解らないのです。今までと同じ処理をすれば仮払金が増えるだけであって、つまり新たに会社から貸したという処理しか出来ません。

此処でただ一人、何もかも打ち明けて此れを処理してきた年取った女事務員が退職をしました。
金策の手伝いと、処理の難しさに音を上げたのです。
医者は直ちに静養しなさいと薦めるほどのノイローゼになってしまったのです。

社長は、新しい事務員をこのために採用、育てようとして居ます。出来るまでは
自分でやらないといけません。
人一倍やせた社長の体が持つか心配です。

其れより仲間融資が最近はスムーズではありません。
一旦途切れるとこの会社は終わりです。
折角今まで持ちこたえた会社、先が明るくなった時に不幸が訪れ様として居ります。






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気にいった言葉

2007-05-24 | 事例
気にいった言葉。
「好きな言葉」とは違います。「お世辞」でもありません。
M子の思っている事を言ってくれる言葉です。

サービサーに対する返事は明日が期限です。
相手は1200万を要求して居ます。
逆立ちしてもそんなお金はありません。貸してくれるところもありません。

M子の主人は他界して居ります。嫁入り先の祖父の代からの店を潰したくない。嫁として守り抜きたい。M子は意地の亡者になって居ます。
銀行返済が出来なくなった頃、主人は他界しました。
困り果てたM子に、この頃知り合った先生が、いろいろアドバイスをしてくれました。
おかげで保証人は義母だけ、後は誰も保証人になっておりません。
自宅と会社は名義こそ違え、買戻しをしました。
先生は此処で懸命に廃業を薦めましたが、M子は会社の再生を志して社長になって居ます。

しかし業績はどうしても上がりません。
M子の虎の子は減って行きます。
この頃からM子は、特に先生に頼っています。
M子が考えて居ることをズバリ言い、その解決案を何とか示してくれるからです。
お世辞も言わない人ですが、的確に悩みを言ってくれます。そして解決の言葉をくれます。
M子が気にいった言葉をくれます。

しかし、それでも業績は上がりません。
その上、其処にひょっこり現れたのがサービサーでした。
「私どもは銀行から債権譲渡を受けました。残債がまだ2億近くあります。返済して頂きたい。」と飛んでも無いことを言ってきたのです。

1度は訪問しましたが後は電話で交渉です。
サービサーは満額から少しづつ下げてきています。
こちらは出来ると思われる最高額の300万を提示、後は変えたことがありません。

2回目を会いました。
M子は会って話せば何とかなるかも知れないと淡い希望を持って申し込んだのです。
しかしその際、サービサーは最終通告と云ってM子に言い渡しました。
「1200万です。揃わない場合は、当初現金で300万、後は5年位の分割でも検討します。それ以下にはどうしても出来ません。話が纏まらないとき、やむなく売掛金など法的回収をせざるを得ません。この月末までに是非のご返事を願います。」

今まで先生は「300万でも揃うか解らないのに、それ以上増やすな。」
の一転張りです。
今回は少し妥協して、且つ、出来そうな案を示してくれると思っていたが
相変わらず同じです。
「できない事をいっても仕方無い。かえってまずい結果になる。
本当の事を言おう。今までの答えが其れだ。それで差押えになったら会社を止めよう。その方が貴方には良いと思うよ。」

一生懸命、先生がアドバイスをしてると云うのに、その言葉の端から、M子ははめいております。
「困ったな、困ったな。これからどうすればよいんだろう。良い知恵がないかな。」
自分に気に入った言葉でないと受け入れる予知はありません。

翌日、相手から電話がありました。
M子は今までの300万を少し吊り上げ、毎月の返済を承諾しようと思いましたが、出来ないことは自分でもよく解って居ます。
先生の教えてくれた通りを答えました。
喋っている自分の声は他人の言葉のように聞こえました。

「解りました。私の方もやむなく法的回収を取らせて頂きます。」
サービサーの言葉はM子の予想の通りです。
「お宅様が其れを折れないとこは、私共が廃業します。明日から取り掛かります。其れと、申し訳ありませんが、300万揃うと云った件も揃わなくなります。よろしく願います、」
電話が切れました。
これほどM子の気に入らない電話は、初めてです。

「廃業します。」先生に報告です。
「よく言ったね。すっきりしただろう。
しかし、事態はこれからもっと変わると思うよ。廃業するかしないかは1ヶ月後に決めよう。其れまで普通に仕事を続けよう。」
先生は又違ったことを言います。

翌日、サービサーの上司から電話がありました。
部下の非礼を詫び、360万で和解の申し入れです。

M子は初めて痛感しました。
「自分の気に行った言葉だけが言葉じゃない。嫌な言葉でも、勇気を出して云えば助けてくれる。」と。






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中小企業に景気は戻らない

2007-05-21 | 事例
新聞の一面の見出しです。「企業の業績は5年連続で右肩上がり。」とあります。
本当に景気は良くなったのでしょうか。

通りの和菓子屋さんが言っていました。
「毎日5時頃には売り切れるように作っています。しかし最近は売り切れる時間が早くなったように思います。」
本当に景気は良くなったのでしょうか。
和菓子屋さんは付け加えます。
「と云ってまだ作る数を増やすのは怖いわね。」

60才過ぎの定年で退職したと思われるご主人がご近所にお二人居ました。
1年以上ぶらぶらしていたが、此処でお二人とも仕事に出かけている様子。
一人は毎日ネクタイまでつけています。
働き口が多くなったのでしょうか。そういえばパートの常連さんも今皆さん仕事があるみたい。
やはり景気は復活してきたみたい。信じていいのでしょうか。

皆働ければ景気は良くなります。
此れも町内に交通事故で知能障害を起したご主人が居ます。
3年くらい治療して2年くらい前から職を探していました。
漸く最近に勤めに出ている様子です。
9時ごろ出て、4時頃戻します。
適当な軽作業は体にも良いでしょう。
その上、安くてもお金になれば言うことが無いでしょう。

地方の中小企業です。
社員を皆解雇して不足分をパートで補っています。
最近、近くの大手工場が皆パートをさらっていきます。
常駐で無ければパートも集まりません。
大企業は本当に景気が復活しました。

でも中小企業、特に零細企業に本当に景気は訪れているのでしょうか。
1-2年前の相談者から、又電話を頂く事が多いです。
良くなった近況報告は殆どありません。
頑張ったがと前置きし、殆どが整理の相談に変わって居ます。

地方の人は皆言っています。
東京は景気が良くなって居るらしいが、地方はまだまだです。逆に持ちきれなくなって居ます。

けれど、その東京も、通りを歩いてみると、店じまいの数は変わっていないと云う気がします。
いや増えて居るくらいに感じています。しかしスーパーなど大型店はどうでしょうか。
4月以降、レジなど急に若い者に変わっています。研修中だということが解ります。
明らかに新人が増えています。大手はやっぱり回復してきたのでしょうか。

漠然と感じています。
景気はやはり良くなって居るな。
しかし其れは全て大手企業だけにいえることでって、昔ながらの中小零細企業
には、まだ景気回復なんて関係がない。
むしろ、この人たちには永久に来ないのでは無いだろうか。
これからの中小・零細企業は何か、違った形のものに生まれ変わるのでは、無いだろうか。

日本と云う国が、大きく構造変化をして今までの中小零細企業を切り捨てるように
動いているんだ。
やがて新しくできる中小企業を配下に据えるでしょう。

まだまだ今までの中小零細企業の受難期は続くような気がします。
受難に会う人は、回りは良くなって来て居るだけに、本当に辛い思いをします。






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引っ掛かる企業再生と云う言葉

2007-05-19 | 事例
会社の資金が続かない、倒産と覚悟した時、頭に浮かぶ事は次の二つです。
今の会社の現状をどう整理すればよいか。いわゆる会社整理です。
今後どうして生活をすればようだろうか。いわゆる再生です。
殆どの人が未経験で、どうしてよいか解りません。

専門家に相談に行きます。殆どの専門家も自分の得意分野を持って居ます。
しかし其れは、今後の生活でなく、今の会社の整理についてです。
全てを説明し、絞り込むので無く、最初から自分の得意分野を薦めます。
実は会社整理とその後の会社再建はうらはらで大きな関係があります。

一旦会社を整理しても、又自分が同じ会社を守り興すことが出来るのだと信じて
その通りに行かなく、後日後悔している人も少なくありません。

会社が倒産する人。その殆どの人が明日の糧を今までの仕事に求めます。
それに合った会社整理が出来れば一番望ましいです。
会社整理も決めるときは、そうして再生まで視野に入れて決めたいと思います。

今、第2会社と云う言葉がもてはやされています。
第2会社に差押えは出来ませんから、安心して事業に没頭できます。
でも第二会社にすれば次のようなことがあります。

第2会社にすれば、官公庁の入札業者は今までの資格が無くなります。入札業者としては一から出直しです。官公庁受注では、最近いろいろは批判があるようですが、それでも此れで食べていくには資格は必要です。其れが一からになります。

第2会社にすれば、大企業や量販店の納入業者は口座が無くなります。
今は新口座を作ってもらうことは、不可能に近いでしょう。
折角、新規蒔き直しで出直そうと思っても、売上ルートが無くなれば、
成功はおぼつかなくなります。大手企業に今までの顔が通用しなくなります。

商店の場合でも、新規の商品と、宣伝が伴えば新店にしても良いですが、
今までと変わらない状態で、単に看板を変えただけでは、お客も寄り付かないでしょう。
無い様でもあった今までの暖簾を有り難く思い浮かべます。

一方では企業の整理と云う面から、企業の再生を見て見ましょう。

よく自己破産とか特別精算と云う言葉を耳にします。裁判所が後ろ盾になってやる
法的整理です。共に会社を解散します。今の会社を残すことはしません。ただ一つ、
民事再生は会社も社長も今まで通りで良く、会社は続行出来る再建です。
しかし破綻会社として衆知されますから、肝心の売り先は取引を拒みます。
上手く目的に合いません。

法的整理が上手く行かないならば任意整理を検討しましょう。
大手サービサーや銀行が企業再建と騒いだことがあります。
確かに会社は残りました。しかし肝心の経営者は徹底的に個人財産を洗われ、
丸裸にされました。
経営者責任と云って社長の椅子ばかりか職場までほっぽり出されました。
なんの為の再建かわかりません。社長にとっては銀行の企業再生と云う言葉に
あや釣られただけです。

任意整理で仕入先とは話をつけました。
銀行債務だけならば、サービサーに譲渡されるのを待とう。サービサーと和解だ。
そう思って実行した人も何人か居ります。
しかし特に最近のサービサーは強い態度です。
再生なんて考えて居ません。「もてる資産は全て払いなさい、」と云う態度です。
それで「払えなくなったら、自己破産を。」という態度です。
売掛差押をちらつかされつつでは、破綻会社の再建はなかなか難しいです。

事業再生は出来ます。
しかし企業再生は非常にむずかしい事と思います。

今、第2会社を詐害行為などと云う人は殆ど居りません。
場合により税務署が第2次納税義務者だなんて云うくらいです。
第2会社が、入札業者の地位継承が出来たならば、又、大企業との取引口座の引継ぎが出来たならば、会社を破綻する多数の人が、即時立ち直れることだけは間違いありません。

それにしても、サービサーに今のような回収を許す法律を作った人、本当に困った人の気持ちが解らない人でしょう。
いわゆる政界・財界の皆様、中小企業とは、やっぱり別世界の人です。






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信じそして愛せる人

2007-05-16 | 事例
軽食喫茶で失敗し、サラ金数社に手を出してしまいました。
「この会社を精算し今後はハウスクリーニングの仕事をやりたい。」と
相談に見えた夫婦が居ます。
自己破産を薦めましたが、面談しながら気になった事があります。
ご主人は普通の身なりでしたが、奥さんはブランド物で固まっているのです。
服装も素人目にも良い物と解ります。
「此れでハウスクリーニングが出来るかな」と云うのがその時の感想でした。
しかし杞憂でした。
この夫婦の息はぴったり合っていました。
借金の言い訳、弁護士との交渉、それて何より大切な新規の仕事の開拓です。
少しお調子者ですが奥さんが仕事を見つけて来ます。
主人は其れをこなしながら、債務の処理もやっています。
半年経たない内に、ハウスクリーニングの仕事は完全に起動に乗ったのです。
自己破産は弁護士がまだ申請しておりません。
しかし夫婦と会社の破産を100万円で請け負っています。債権者からの電話は
全て引き受けてくれています。
次に会った時、奥さんの身なりは以前と同じでしたが、手から赤いマニキュアが消え、
若干荒れているのが印象にのこっています。


「妻と別れます。今後もこの人に全てを打ち明け、相談しながらやっていきます。」
会社の整理と今後のやり方を相談していた時です。
社長が女子事務員を立てながら言ったとき、私は腹の中で舌打ちをしました。
「良い年をしてー。こんなことだからこうなるんだ。」
此れも杞憂でした。
社長は債権者に内緒で無担保の家を持っています。
此れを奥さんに与え綺麗に別れました。
それから事務員と二人で、今までより一層の奮闘が始まっています。
事務員は債務保証までして居ます。
されに、社長は心臓が少し悪いです。
二人ともブラックリストに載ったために、マンションすら自由に借りれません。
そんな中で相手を思いやりながらが頑張っていました。
債務は全て和解も終わりました。
今では、新しく作った会社は以前より大きな会社に育っています。
社長は相変わらず持病持ち、そばに新しい奥さんが、ぴたりと付いています。

「女房が1000万もって逃げた。」深夜12時の電話です。
「捕まえれば良いではないか。」
「其れが捕まらないんだ。」
会社整理の時は、その整理費用やその後の生活費のために、1000くらい持って居たい。
と、聞いて居たものですから、ビジネスローンで借りたとき、1000万を抜いて自宅の押入れに隠したそうです。預貯金の差押えの用心をしました。
3日間の無断外泊後、帰宅すると女房が見えず、1000万も消えて居たと云う事です。
勿論1000万の事は女房にも黙っていました。
「奥さんが捕まらないって、実家に戻っているだろうや。直ぐに実家に連絡とって見たら。」
「其れが実家がわからないんだ。」
「そんな馬鹿な。」
聞いてみると、奥さんとはとっくに別居していたらしいです。世間の皆には云わなかっただけです。
飲み屋で知り合った中国娘。何時の間にか家に寝泊りをしていました。
「私立派な奥さんになる。」といわれて有頂天です。
其れがこの有様。中国の実家のことは住所すら知りません。ただ電話番号は教えて
貰って居ます。
その女は、次の日、電話で捕まりました。
しかし、1000万のことなど全然知らないの1点張りです。
「貴方が黙って2日も帰って来ないから、私寂しくて故郷に戻って来たの。暫く居て、又帰ります。」
軽くあしらわれるだけです。
飛んで行きたいが、四川省としか解りません。
これから間もなく、街金まで手を出した彼は、ベトナムに逃げています。
従業員には一言も断らず、机の上は相変わらず、散らかっていました。

「余分な心配をかけたくない。この事は妻には内緒にしておきます。」
中小企業と云うより零細企業の社長で。整理の時にこう言う人は多いです。
そして其れを守るために電話や手紙の受取に非常な努力をして居ます。
最も打ち明ける人、最も頼れる人、最も勇気を与えてくれる人、この人が、最も力になってくれるどころか、このために余分な労力を費やしています。
こうした場合、殆どが「はっきり言ったときより悪かった」だろうと云う結果になって居ます。

特に会社の整理や事業の再生には、信じ、愛することが出来る人がいれば、結果は全然違います。
そして願わくば、その人が元からの夫婦であることを祈っています。






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自己破産も出来ない人

2007-05-14 | 事例
50歳の半ばも過ぎた1級建築士の彼が、商売違いの製水器に手を出したのは2年と
一寸前です。
東京から車で2時間の町、仕事も回ってこなくなりました。
しかし、彼の妻は近くの銀行の長年のパートで結構良いお金を取っています。
85歳の母の年金と合わせ、それだけで生活には充分です。

それだけに、何に付け甘いところが滲み出ています。
ましてや、彼の母は当人とも4人姉妹。母を除いては比較的裕福な家庭です。
彼はそんな叔母たちに背一杯甘えて育っています。

そんな彼が知り合いに薦められて、製水器の販売を手がけたのです。
販路も決まっていないのに、20台仕入れました。200万弱です。
勿論売れる筈がありませんが、最初、義理で3台ほど売れたのです。売れれば倍儲けです。
此れが唯でさえ甘い彼の判断を狂わせました。
奨励金が付くとか言われ、更に仕入れたのです。

支払いは月2回、厳しいです。
2回払ったらお金がありません。

此処からお定まりの借金地獄に入りました。
カード・消費者金融 妻が知った頃は、もう手の付けようもありません。
仕入れた商品は仕入れを無視したダンピング。自宅は2番抵当です。
まだ、商工ローンや街金を知らなかったのが幸いです。
しかし1部の信販は二人叔母が別々に保証をして居ます。
二人とも今は未亡人。自宅の名義人です。共に50台の子供が居ます。

貸せるところがなくなり、最後は叔母のところを日参しました。
叔母も叱るどころか、借りるのに力になって居ます。
しかし此れもつかの間、家族が知って、彼は出入り禁止状態になりました。

最初この叔母たちから借りて、商品代を払っていれば、こうなって居ませんでしたが、
今は利息にもなりません。

電話の攻勢です。
母は2階に閉じ込めて、電話の音から遠避けています。
電話も取ればつい何時ごろ払うと弁解の言葉になりますから、
払えるかと思って、尚、又掛かってきます。

自己破産を覚悟しました。
飛び込んだ弁護士は、もっと早くしなかったことを責めます。そして、直ぐするよう強く薦めています。
破産をすれば、全てが楽になるらしいです。

「銀行では破産を調べて居る人が居るの。貴方が破産をすれば、直ぐに解るわ。
私は直ぐに馘よ。どうして今後生活するの。」
妻の言葉は一番深刻です。
「お義母様の年金手帳も何処かに預けてあるでしょう。戻ってくるの。」
此れは弁護士にも言っています。弁護士も直ちに戻るとは言って居ません。
「年金担保は今禁止になって居るから大丈夫と思うがな。」と云ってくれるだけです。
「自宅は取られるよね。叔母様たちの家は大丈夫かしら。」
自宅は競売になるでしょう。しかし殆どがローン代です。
借金に回るのは僅かです。
叔母たちも、まさか家まで失うことはないでしょうが、虎の子の預金だけでは、
間に合いそうもありません。
そのほか、堅い叔母たちは、自分が紹介した人には、自分で払うでしょう。
母の一族は一大恐慌が巻き起こります。

彼は自己破産をやめました。
いやもう少し延ばすつもりです。其れまでに準備をします。
本で知った経営コンサルタントを尋ね、不動産を守る処置をして居ます。
自宅に居座る方法も教えて頂きました。
母を姉妹の一人に預け込む算段をして居ます。
その間も電話はますますひどくなって行きます。その電話は2ヶ月我慢すると
見違えるように静かになると聞いています。 

彼は知りませんでした。
コンサルタントから教えていただいている方法は今は何の役にも立たない。
詐害行為で必ず負けることを。そして妻が離婚を考えて今住居を探していることを。
母の姉妹は彼の魂胆を知り、母の受け入れには団結して断るつもりです。

買い物は妻が買ってこないと何もありません。
その妻は今晩帰ってくるのでしょうか。






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神か魔物かビジネスローン

2007-05-12 | 事例
「決算書の数字と将来の業績を担保としてお金を貸せる。」
銀行のビジネスローンのうたい文句です。保証人も社長一人です。

担保不必要。第3者保証も不要。それで居て何千万かが即決に近い形で、直ぐに手に入ります。今までの「借りる手数」から考えると夢のようです。
第一、今時、「貸してくれる魅力」が堪りません。

借りる方も、確実に返済できるお金ならば幾ら借りても構いません。
しかし長引く不景気のために、赤字補填や、他に返済するために借りる人も少なく有りません。
簡単に多額のお金が借りられる、困っている時に神が手を差し伸べてくれたのです。
しかし、そんな人には後日魔物が待っていました。

地方都市のお菓子メーカーです。昔からの和菓子を作り、遠距離のスーパー各店に
卸して居ます。
昔からの狭い工場で何とかやってきましたが、もう非効率です。工業団地に新築し、移転することにしました。その方が原価も下がる筈です。
資金は地元の金融機関3行が調達してくれます。
しかし満額ではありませんでした。担保が相当不足だからです。そのため、以前から足しげく通っていた大手銀行からビジネスローン8,000万を借りることにしました。
勿論社長だけの保証です。
しかし工場が完成し、移転を済ませた頃から資金繰りが おかしくなりました。
業績は落ちていません。利益率も今まで通り、経費は逆に減っているくらいです。
原因はビジネスローンでした。
建設資金です。地元銀行は返済期間を考慮してくれました。
しかしビジネスローンだけは5年です。それに金利も若干高めです。
今までリスケなど1度も考えたことのない企業が、借りた金を返済出来ないと云うことに直面したのです。
本業では儲かっています。銀行返済だけの問題です。
地方銀行はリスケに快く応じてくれました。
しかしビジネスローンは応じません。挙句6ヶ月間は認めるが、5年以内で完済してくれと強硬です。
他の銀行の後押しもあり、全面的に条件を変えて頂きましたが、話し合いが決まるまで4ヶ月以上かかっています。
その時期、温和な社長の声が変わりました。魔物が手招いている姿を見たのです。

都内中央区の小売の老舗です。主人が夭折し、早くから女社長としてやって居ますがもう70歳を過ぎました。それでも皆に元気よく指示して居ます。
この店が資金不足になり始めたのは、もう7-8年以前です。
それでも本業はそんなに赤字を出しておりません。
粉飾はやって居ないつもりですが、若干の手を入れて黒字を保って居ます。
其れまでは、お金だぶついていました。
7行の銀行が無担保で、頼みもしないのに貸してくれて居たのです。
其れが8年ほど前から吸い上げに変わりました。何のかんのと理由を付けられ、一括返済をさせられたのです。余分なお金がどんどん吸い上げられてきました。
やがて余裕資金は底を突きました。
もう纏めた返済は不可能です。
それどころか「新たに貸してくれるか、リスケをしてくれるか」でない時は返済も出来ない状態になったのです。
よくしたもので、この頃からビジネスローンを貸してくれる銀行が出てきたのです。しかも相手方の持ち掛けです。
社長は「貸してくれ」とは言いません。孫のような銀行員に「お金がない、返済が出来なくなる。」と云うだけです。
その為かどうか、解りませんが救いの神が現れたのです。おかげ様で銀行返済は当分リスケをせずに返済できます。
そのお金が無くなる頃、また違う銀行が貸してくれたのです。
こうして次から次の貸し手が現れました。社長は平然と返済を続けられます。
しかし、この借入は、手形借入の手形の書き換えとは違います。
5年と云う短い返済が増えていきますから、借入残が増えなくても、返済額は増える一方です。
もう貸してくれる銀行が現れても、返済が続かなくなるのは目に見えています。
その時は強引にリスケしかないと、腹は決まっています。
ただし、銀行は貸金は無担保でも、女社長は相当な資産をどこかに隠してあると睨んで居ます。ある銀行など支店長がぶらっと遊びに来て、さり気無く探りを入れて
居ります。
当人は住んでいるマンション以外何も無いと頑張っています。
もう直ぐ魔物が猛威を奮いそうです。

お金の借り方さえ間違えなければ、どんなお金を借りても良いでしょう。
消費者金融でも役立つ場合は多いです。
ただし借り方・使い方を一つ間違えると、何倍にもなって自分に襲いかかってきます。
サラ金地獄と云う言葉もありますが、本当の原因は自分が作っています。
決して貸せる方ではありません。
ビジネスローンも後で魔物に変わり易い貸し金の一つです。

どんなような推移でどんな魔物となっていくか、そんな例を機会がある時、ご紹介したいと思います。






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これもリストラかしら

2007-05-09 | 事例
どうしても人員解雇が出来ません。
銀行には返済を減額し、公租公課の未払いは出来ますが、仕入れの金を遅らせることも出来ません。

一時の最盛期より売上は4分の1近くに落ちています。しかし人員はあの頃と変わって居りません。社会保険等完備しているこの企業から自発的にやめていく人も居りません。

銀行も指摘します。保証人の優良企業の社長も指摘します。
「適切なりリストラさえすれば、この企業は即、生き返ることが出来る。直ちにリストラをしなさい。」

社長はそれでもリストラをしません。
理由は単純です。
「景気も復活に向かっている。一旦首を切ると、この辺りではもう人の募集は難しい。なんとしても今の従業員をくい留めておきたい。
資金の不足は、銀行が貸せないから、保証人に依頼すれば良い。
貸して頂けないとわが社は倒産です。その時は保証債務をよろしくお願いいたします。と云えば、どんな保証人も助けてくれる。」
思っただけでなく、其れを実行して居ました。

誰がどう言おうが社長はリストラを実行しませんでした。
人員をそのまま抱えて居ます。
流木の伐採。その製材加工、販売と3つの部門がありますから、人員が多いから、どうしても伐採と製材は増えます。在庫が多くなり資金に響きますが温室育ちの従業員には無関係なことです。

5日が支手の決済日ですから、月末に保証人のところに行き、何とか保証人の振り出し手形を手にすれば良いです。
其れを2ヶ月くらいで返済すると云う構図を繰り返していけばよいのです。

毎月相当な赤字です。しかし一方では堅いところもあって保証人には返済約束は
守って居ます。
しかし銀行には、とうに金利だけ、公租公課も溜まっていきます。給料の未払いもついに出るようになりました。
それでも、仕入れは若干目を光らせるようになりましたが、人員のリストラには
てをつけません。
さすが社員も会社に不安を感じ始めてきて居ります。

今までも断ったり条件をつけていても、結局は手形を貸していた保証人は、ついに社長に引導を渡しました。
「このままではこの会社は絶対に潰れる。私も多額の損を背負うが其れは覚悟した。今月主だった社員で会議を開き、私に喋らしてくれないか。そうすれば今月だけは助ける。しかし来月からは何があっても助けません。私の覚悟はして居ます。」
社長も仕方なく保証人に主だった社員の前で喋らしたのです。

同業者の大先輩、此処の保証人であることも知って居ます。今までも何回も来社した顔見知りです。気楽な気持ちで聞いていた社員の顔が次第に真剣味を増してきました。

翌日はこれが噂となり、パートを含めた全従業員のひそひそ話です。
要は大改革をしない限り、この会社は長い事がない。特に人員は半分以下にしないと駄目だと云うことを知ったのです。
それにもう保証人は一切面倒を見ないと云っていました。
今月一杯で、この会社は終わりではないか と言う噂です。

直ぐに反応が出ました。パートの半分以上が辞めると言い出したのです。
近くの大手電気メーカーの工場が好条件でパートを大募集をして居ます。
これが影響しました。
ついで、伐採をやって居る従業員全員から、この事業を切り離し我々にやらせてくれと申し込みがありました。
こちらは望むところです。一番の金食い虫が離れます。
原木は幾らでも手に入ります。

そんな空気に追われてか。製材部門でも退職希望者が続々です。
退職希望を募ったわけでないですがそれ以上の効果が出たのです。

この騒ぎに社長は倒産を覚悟しました。人員が減ると世間の評判となり信用失墜で
商売など出来ないと思っていたからです。

しかし、一方では経費減と云う大きな効果が出ました。
其ればかりでなく、仕入先が返品を受け付け、余分な在庫を引き取ってくれたのです。以前から赤信号が出ていたためもあるでしょう。
退職金が保険積立で支払いに問題がないのも幸いしました。遅配分は3ヶ月くらいで支払います。

そして其れより効果があったのは残った社員のやる気でした。
優秀な社員は辞めました。
しかしそれだけに危機感は強く、売上減が殆ど見えなかったことです。

此処2-3ヶ月さえ何とか切り抜ければやっていけます。
今になって社長はリストラの重要さに気づいたのです。

これは去年の11月のことでした。

それ以後、保証人は電話もしませんでした。
しかし、毎月、6日の日はびくびくしていました。業界に不渡り情報が流れはしないかと云うことです。

5月7日保証人に、電話があり、社長が尋ねてきました。
今までの考え違いとご迷惑を掛けたお詫び、今後はもう全て自力で大丈夫と云う
報告でした。

まだ夜冷する信州の夜、この夜は暖かでした。






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