かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

部下の裏切り

2007-11-21 | 事例
ショーを見ながら食事をするレストラン。観光バスの立ち寄り場所にも
なりました。歌舞伎座と並び、この辺りの名所に育てようと思っています。

Iがこのレストランを買い取ったのは未だ3年前です。
今の事業、野菜の産地直送販売に不安を感じたために手を伸ばしました。
自分のところの最も新鮮な野菜が充分に使える、第一、今の仕事は、
先の天候次第で決まる大きな博打で有るが、ショーは3ヶ月先の出し物まで
決めれて、計画的な仕事が出来る、此れがIの思惑でした。

Iはショーにこんなにお金が掛かるとは思っていませんでした。
千万単位で掛かる企画費に当初は決済印の手が震えたものです。
でもそのおかげをもって、評判は結構よく、観光バスの立ち寄り場所にも
なったのです。

今年は雨が多く野菜は不況でした。入るべき野菜が入らないのです。
産直業者の泣き所です。自分のルートで注文が入荷しなかった時は、
他ルートの高い商品を仕入れて納めなければなりません。
逆ザヤは絶えず発生します。此れが怖いのです。
1週間も雨が続けば、産直業者は片端から倒産です。

今年は、その中にIの会社も巻き込まれました。
お金は見る見る減っていきます。借りるべき銀行はありません。
しかも残が少なくなったと言っても、未だ大丈夫と思っていたら、
その残がありません。
そして部下の使い込みが解かったのです。2000万近いお金です。
Iが部下に背かれた最初でした。
しかし部下は言を左右にしどうしても認めません。

とにかく不足額を用意するのが先決です。
こんな騒ぎでこの経理マンを徹底的に追求は出来ませんでした。
経理マンは居直っています。ただ出来たのはこの男の配置を換えただけです。
今まで、社内の天皇で通っていたIの噂が一挙に下がった事件でした。

Iには頼りになる二人の部下が居ります。KとSです。未だ30台の彼には、
部下と云うより共同経営者の感じです。

会社の資金は長くて後3ヶ月。Iはついに会社の整理を覚悟しました。
そしてその整理は自分が責任を持とう。
しかし、産直は別会社を作って二人のうちの一人のSに、レストランは
もう一人のKに任せることを決めました。当人たちの意志も確認しました。
二人とも大張り切りです。

Iはその時に是非今後の自分の生活のことも考えてくれるように依頼して居ります。

レストランはオーナーを探すことが先決です。Kは最適のオーナーを
見つけてきました。後で考えるとKは今日を見越してオーナーを
決めていた感があります。
Kを支配人として、従業員もそのまま全部そっくり引き継いで呉れます。
譲渡代はこれらの債務と相殺されてIの手取りはありません。
その上将来、Iが立ち直ってから又支配することは出来ません。
「これから利益が見込めるのにな。でも此処で資金が続かないから
仕方無いさ。引き受けてくれる人が居なければ倒産しなければならないものね。」
Iはこうして自分を慰めただけです。

ビジネスローン2行から借りた1億円、殆どこのレストランに
つぎ込んだのです。折角1人前になって、これから収益を上げると云う時、
資金が続かないために第3者に攫われたのです。
Iの利益は新会社が今後産直の野菜の納入を続けるだけです。

産直の新会社のSは、いざ自分がその責任者になると、急にIとの接触を
嫌い出しました。
万一債権者の銀行に新会社のことがばれ、詐害行為と言われる恐れがある。
Iとは完全に手を切りたいと云うのが本音です。
Iは瞬く、自分の分身のようなレストランや新会社と接触も出来なくなったのです。
しかも債務は全てIの責任です。

しかも、IにKとSとの不仲が伝わったのです。
KがSから野菜を仕入れるのを止めた。と云うのです。
宥めに入ったIに、Kは説明します。
「納期が正確でない。それに欠品の対応が上手くない。」
しかし、Sに言わせると、Sは業界の風習である「個人への心付けのバック」を
断ったらしいです。
「新会社も出来たばかりであるから一定の期間勘弁してくれ。」と頼んでから
直ぐにKの仕入れが、減ってきたと云うのです。
何れにせよ此れを理由にSはIに当分何もできないことを通告してきたのです。

Kは自分がよい地位になったとたん、そうしてくれたIも親友のSも裏切ったのです。
Sは自分の地位を守るがために、実質の創始者で、かつ自分を選んでくれたIに
そっぽを向いています。
遣いこんだ社員は、新会社で引き取らず辞めましたが、結局誰からも
何のお咎めもありませんでした。

2社のサービサー2社からIに「債権を譲り受けた。今後の返済の件でご相談したい」と呼び出しが掛かっています。
今は何より家族にため、生活を守ることです。
落ち込んでいたIに昔の闘志が湧いてきました。

そんなIを心から応援したいと思っています。







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