かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

銀行を舐(な)める

2008-12-11 | 事例
「明日がタイムリミットです。明日中にご入金が無ければ、代位弁済に
 なります。明日中にご入金くださるか、当社は金利と云って未処理の
 お金が溜まっていますから、それで処理させて頂こうと思っております。
 その旨社長さんにお伝え願います。尚25日の分は何もありませんから
 ご入金を宜しく願います。」

Uは社長を引き継いで漸く3年目、新進気鋭の若手経営者です。
経理の責任者から留守中の電話の報告を受けて居ます。

大した工場も無いこの地方ではUの工場は筆頭に近いです。
古くからこの地にある繊維関係の工場です。取引先は大手ばかり、
Uの懸命な営業努力の賜物か、業績も落ち付いております。
資金のことは何も解かりませんが、経理の責任者の弁からも、
銀行も友好的で必要の時は用立ててくれると信じて居ます。

試算表が一寸悪くなって居る所為か、もう、今後は簡単に追加融資や
手形切り替えも出来なくなりましたと部下から報告を受けたのは、
半年ほど前です。人事みたいに聞いて居たのですが、其れがわが身の
事と知ったのは、4ヶ月ほど前です。

手形は切っていませんから不渡りの心配は有りませんが、
4ヶ月まえ資金不足になりました、融資が有るか、銀行返済を
延ばしてもらわないと出金が不足です。
「それぽっちの事、俺が出る幕ではない。君から銀行に良く頼め。」
と言っても経理は「社長お願いしまあす。」と動きません。
もう何回か打診して、撥ね付けられたみたいです。

Uは仕方無く自分で銀行に出かけたのです。
勿論Uが頼めば一発でOKだろうと自負があります。

話は纏まりませんでした。
「現在は融資が無理」と云うので、「ではリスケをお願いします。」
と言うことになったのです。
リスケぐらい支店長がうんと言えば簡単に認めてもらえると思っています。
「我々は銀行の得意さんだ。我々の言う事は聞くべきだ。」
と云う腹のうちです。詳しく企業の内容まで説明することは無いと思っています。

銀行は決算書以外は何も資料を提出しないUに何とか近況の
状態だけでも知りたく、資料を求めるのですが、其の言葉をUは
無視して居ます。Uは勝手に自分の会社をまくし立てただけで、
銀行も納得したと思って、帰選りました。
そして金利だけを入金する様に命じたのです。

「金利を入れましたが引き落として有りませんよ。」
部下の報告ですが、さして気にもしません。わざわざ自分が,
出かけて説明したですから銀行も其の通りにしてくれるだろう。
そう思って、次の月も次の月も銀行に何の連絡も無しに、黙って
口座に金利相当額を入金しただけです。
3ヶ月目の金利も先日銀行に入金したばかりです。
そんなUに、部下が銀行の電話を伝えてきたのです。

「代位弁済だか、何だか知らないが、やりたければやればよいさ。」
Uは銀行の言う事などに気を使いません。

その日、何気無く先代のところに立ち寄り、先代に今日の銀行のことを
茶飲み話に出したのです。先代の顔色が変わりました。

「お前、保証協会に代位弁済になると云うことは一寸前ならば
 不渡りも同じだよ。以後銀行は恐らく当座取引をやめるだろうし、
 何処の銀行も貸せなくなるし、それどころか、手形も割らなくなるよ。
 直ちに手を打たねば。」

銀行との折衝など関係ないと云う息子に諄々と諭したのです。
今まで銀行など虚業として舐めきって居たUにも、漸く朧げにも
何か自分の態度が間違って居たと云う思いが湧いたみたいです。

修復にはさして時間は掛かりませんでした。
とりあえず今までの金利の払いで今回を処理し、すると後の分は
2ヶ月以上金利も払っておりません。
其れを追いつかないといけません。
先代の個人資産が大きく減りました。

リスケの件は資料を出して仕切り直しになったのです。

若い社長の勘違いか、3ヶ月無駄な時間を過ごしました。
其の基は社長の銀行を舐めて居たような態度に有ります。

社長は従業員を10名減員の予定です。
報告を受けた先代はどんなやり方をするか心配で仕方ありません。





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