かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

競売を免れたが、一寸したミスで

2011-01-13 | 事例
「R銀行に金利を払っている限り、工場は安泰さ。」
彼の結論でした。
11行から4億を借りて居ます。R銀行からは2億です。
工場はR銀行と2番に保証協会が付いて居ります。
保証協会は4行・1億5000万の保証です。
銀行に返済をしなければ、どの銀行も競売できると信じていた彼が、
最終的に得た結論です。

「銀行に金利だけでも払っていれば、競売なんかしないよ。
 だから工場を長く使用するには金利だけを払いなさいよ。」
知人の言葉がこびり付いて居ました。でも月商2000万足らずの小さな鉄鋼場、
返せる筈が有りません。しかし、やがて彼は、無剰余である限り、無担保の
銀行は不良になってもどうする事も出来ないと解かって来たのです。

保証協会も抵当権者です。最近呼ばれました。I銀行が代位弁済をしたのです。

女性担当者は、優しかったのです。
「まだI銀行1行しか来て居りませんが、他に3行保証協会を利用して居ますね。
 全部が代位弁済になったら今後のことに話し合いましょう。」
そういって今の債権残高を示し、彼に残高確認と今後の返済の約束を書かせただけです。

「あの、全部が代位弁済になると、工場は直ぐに取られてしまうのですか。」
「あ、工場ね。当会もRさんの後に付いて居りますが、当会の取り分はないと
 思いますよ。いずれにせよ此の担保はRさんの出方で決まります。」
此の言葉は彼に大きなヒントを与えたのです。
彼はR銀行さえ競売をしなければ工場は守れると判断したのです。

機械設備も大切です。
しかしこれは2年前、知人からお金を借りるとき、集合物譲渡担保契約をして居ります。
どんな意味を持つか良くわからず、借りるときに捺印しただけですが、
これが今になって利用できるとは思いもしませんでした。
ある民族系の銀行が要求したとき、此のことを思い出して事情を話したのです。
それからは何も言って来ません。
彼は此の件で何か要求が有れば知人との契約書を見せれば良いと思って居ます。

銀行は「稼動している会社の売掛金など、どうもしないよ。」とも聞いて居ます。
彼はR銀行さえ注意すれば他はどうもならないと腹を決めたのです。

親父が造った鉄鋼場、小さいときから彼は此処以外の世間を知りません。
中学を出て直ぐに此処で働き始めました。一家の生活を支えて呉れる大切な場所です。
今も毎朝、心をこめて清掃もし、盛り塩まで備えて居ります。

R銀行1行になったとは云うものの、月に50万の返済です。
2000万で10%の粗利、人員が10名ではやっていけません。火の車以上です。
ついに仕入代金も満足に払えません。
「此の不景気ももう少しで治まるだろう。売上さえ一寸伸びれば昔通りに
 直ぐ戻るさ。戻ることを考えると従業員も首には出来ないし。」
毎日がやりくりしきった金繰りです。

ついに1部の仕入先は債権の棚上げを交渉して居ます。
1年間の棚上げです。
この事は直ちに同業者に知れ、地域の騒ぎになって居ります。
しかし、一方ではまだ、材料を供給するところもあり、工場は動いて居ります。
潰れるだか、継続だか解かりませんが、相変わらず工場からは機械の音が聞こえます。
まだまだ簡単には手を上げる雰囲気では有りません。

しかしながら此の頑張りも此処まででした。
彼は売掛金を殆ど差押されたのです。
社会保険の滞納がずうっと揉めて居りました。
税務署は「売掛金も直ぐやるよ」と言われて居りましたから未納の税金は有りません
月に5万づつ納めて居りましたが認めません。
決算書を出せと言うので、出さないといけないと思って出しました。
これが基になって居る感じです。

文句を言いました。
「貴方、会社は潰れると言ったではないですか。だから差押えたのですよ。」
「言葉の弾みで出たんです。本当に潰れます。勘弁してください。」
しかし駄目でした。
税務署とか社会保険は「会社は潰れる」と言うのは絶対の禁句です。
知らなかったでは済まされません。
言われて決算書を提出したのも失敗でした。

工場は今は盛り塩をする人も無く、落札を待って居ます。
同じ頃、彼の自宅も失うでしょう。


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