「此の産業は地場産業として育てるのが我々の任務の様な気がするな。」
誰と無く呟く様に云った専務の一言がその後の彼の会社を決定つけました。
山国です。木を伐採し山から下ろして製材する材木業。減ったとは云え、
まだまだ昔からの家業の人が居ります。
外材に追われるようになったのは平成になってからです。
今までの材木屋も伐採は止めて材木の仕入れ卸に代わって行きました。
そんな中、彼の義父は、国産材をこよなく愛した人でした。
経営上、外材輸入はせざるを得ませんでしたが
国産材育成を叫んで居たのです。
義父は、社内に別会社をつくり、国産材には力を入れて来ました。
別会社は補助金の関係で組合組織にしましたが、子会社と変わりは有りません。
木材業の不況は平成10年代になってから一段と拍車がかかりました。
倒産が随所で現れました。
義父も同じです。不動産の切り売りも山林が多ければ何の役にも立ちません。
信金も大口債権者の義父の会社に日参し、信金の債権保全より、
義父の会社の資金繰りを検討しましたが、ついに倒産を覚悟したのです。
いかに軟着陸をするか、銀行と最後の打ち合わせ会議の時に本店から
専務も見えたのです。その時に専務が呟いた一言が冒頭の言葉でした。
事情が一変しました。
会社の整理とともに事業の継続が持ち上がったのです。
今の会社は整理せざるを得ないだろう。任意整理で行こう。
幸い組合が有る。義父は経営から手を引いて、組合で全部の事業を引き継ごう。
唯、工場は当分今の工場を使うことになる。
他の銀行は売却を遅らせることに同意してくれるだろうか。
メガ銀と地銀、それに公庫が2軒あります。
「儂からも一寸挨拶しておくよ。」
信金の中でも大口債権額でしょう。それが泡と化す事は何も云わずに、
今後の事業の継続を言う専務に彼は手を合わせました。
幸い、組合は同じ屋根の下であっても別会計。
規模はまだまだ小さいですが、若干の黒字でした。
しかし余裕のお金は有りません。
専務は、こんな場合だから融資も出来ないが、特別にと1500万の枠と
手形割引枠も作ってくれたのです。
その代わりに信金は何時でも実地に調査も出来ますし、会議など出席も出来ます。
娘婿の彼も組合長と云う職が急に降りかかってきたのです。
潰れると思って居たのが、嬉しい誤算でした。
平成17年の夏でした。
旧会社の整理は弁護士主催の1回の債権者会議で終りました。
仕入先は多額のカットが有りましが若干の配当で承認です。
銀行筋も直ちに競売はやらない方針です。
売っても大して金にはならない山あいの工場、あるいは専務の口利きで
競売を待ってくれたのかも知れません。
その後の彼は必至でした。
寸暇も惜しました。
信金も会議には勿論、絶えず実地にアドバイスなど懸命でした。
時期が悪かったです。その後幾ら頑張っても売上は下がる一方でした。
こんな時に信金と彼との間で1つだけ大きな意見の相違が有りました。
「大幅なリストラが必要です。」
と云うのに対し、彼は折角移籍した員であり、
此の体制でないと売上が伸びた時に困るから
と云って40名の社員を減らそうとしないのです。
自然減が妥協線でした。
結果的にこれが大きなマイナスでした。
しかも特殊作業で社会保険は相当な高率です。
1年くらいは何とか出来ましたが、以後は赤字です。
赤字は何かを減らさないと解決できません。給料にも響きます。
40名はそれから1年半を過ぎると20名までに減りましたが、
計画的に減ったのではありません。
それが仕事の手順に影響し、業績に表れます。
信金も段々様子見の態度に変わって行きます。
不味い事に専務は定年で居なくなりました。
そして組合は、借りたお金の金利すら返済が難しくなりました。
又前の会社の競売を控えていたいた他行は競売を実行してきました。
幸い信金だけは仕掛けて来ませんでしたから、信金担保の部分に工場を集結しました。
何時しか従業員は自分家族を含めて8名になっていました。
此の2月末、信金は提案をしてきました。
「金利も1年近く頂いて居りません。1部は保証協会付で、元来は保証料は
前払いですがこれも半年分を2回頂いて居りません。何とか3月中に
これだけは綺麗にお願いします。そして又新たに進みましょう。」
今までの信金の好意。今回の提案は何としなければ成りません。
しかし出来ないのです。どう転んでも半分の半分だって払えません。
払わなくて不良債権に成っても、信金は直ちに競売はやってこないでしょう。
売り先は全部知って居ますが、其の差押えもないと思います。
本来ならば、行って頭を下げるべきですが、どうしても出来ません。
此のまま払わず、返事もせず、信金の出方を見ます。
不況は人間性までむしばんで居ります。
http://oguchi-keiei.com/postmail/postmail.html ← お問い合わせは、こちらから
電話・FAXでのお問い合わせは、
042-483-3604(10時~17時)
※電話番号は、お間違いの無いようおかけ下さい。
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誰と無く呟く様に云った専務の一言がその後の彼の会社を決定つけました。
山国です。木を伐採し山から下ろして製材する材木業。減ったとは云え、
まだまだ昔からの家業の人が居ります。
外材に追われるようになったのは平成になってからです。
今までの材木屋も伐採は止めて材木の仕入れ卸に代わって行きました。
そんな中、彼の義父は、国産材をこよなく愛した人でした。
経営上、外材輸入はせざるを得ませんでしたが
国産材育成を叫んで居たのです。
義父は、社内に別会社をつくり、国産材には力を入れて来ました。
別会社は補助金の関係で組合組織にしましたが、子会社と変わりは有りません。
木材業の不況は平成10年代になってから一段と拍車がかかりました。
倒産が随所で現れました。
義父も同じです。不動産の切り売りも山林が多ければ何の役にも立ちません。
信金も大口債権者の義父の会社に日参し、信金の債権保全より、
義父の会社の資金繰りを検討しましたが、ついに倒産を覚悟したのです。
いかに軟着陸をするか、銀行と最後の打ち合わせ会議の時に本店から
専務も見えたのです。その時に専務が呟いた一言が冒頭の言葉でした。
事情が一変しました。
会社の整理とともに事業の継続が持ち上がったのです。
今の会社は整理せざるを得ないだろう。任意整理で行こう。
幸い組合が有る。義父は経営から手を引いて、組合で全部の事業を引き継ごう。
唯、工場は当分今の工場を使うことになる。
他の銀行は売却を遅らせることに同意してくれるだろうか。
メガ銀と地銀、それに公庫が2軒あります。
「儂からも一寸挨拶しておくよ。」
信金の中でも大口債権額でしょう。それが泡と化す事は何も云わずに、
今後の事業の継続を言う専務に彼は手を合わせました。
幸い、組合は同じ屋根の下であっても別会計。
規模はまだまだ小さいですが、若干の黒字でした。
しかし余裕のお金は有りません。
専務は、こんな場合だから融資も出来ないが、特別にと1500万の枠と
手形割引枠も作ってくれたのです。
その代わりに信金は何時でも実地に調査も出来ますし、会議など出席も出来ます。
娘婿の彼も組合長と云う職が急に降りかかってきたのです。
潰れると思って居たのが、嬉しい誤算でした。
平成17年の夏でした。
旧会社の整理は弁護士主催の1回の債権者会議で終りました。
仕入先は多額のカットが有りましが若干の配当で承認です。
銀行筋も直ちに競売はやらない方針です。
売っても大して金にはならない山あいの工場、あるいは専務の口利きで
競売を待ってくれたのかも知れません。
その後の彼は必至でした。
寸暇も惜しました。
信金も会議には勿論、絶えず実地にアドバイスなど懸命でした。
時期が悪かったです。その後幾ら頑張っても売上は下がる一方でした。
こんな時に信金と彼との間で1つだけ大きな意見の相違が有りました。
「大幅なリストラが必要です。」
と云うのに対し、彼は折角移籍した員であり、
此の体制でないと売上が伸びた時に困るから
と云って40名の社員を減らそうとしないのです。
自然減が妥協線でした。
結果的にこれが大きなマイナスでした。
しかも特殊作業で社会保険は相当な高率です。
1年くらいは何とか出来ましたが、以後は赤字です。
赤字は何かを減らさないと解決できません。給料にも響きます。
40名はそれから1年半を過ぎると20名までに減りましたが、
計画的に減ったのではありません。
それが仕事の手順に影響し、業績に表れます。
信金も段々様子見の態度に変わって行きます。
不味い事に専務は定年で居なくなりました。
そして組合は、借りたお金の金利すら返済が難しくなりました。
又前の会社の競売を控えていたいた他行は競売を実行してきました。
幸い信金だけは仕掛けて来ませんでしたから、信金担保の部分に工場を集結しました。
何時しか従業員は自分家族を含めて8名になっていました。
此の2月末、信金は提案をしてきました。
「金利も1年近く頂いて居りません。1部は保証協会付で、元来は保証料は
前払いですがこれも半年分を2回頂いて居りません。何とか3月中に
これだけは綺麗にお願いします。そして又新たに進みましょう。」
今までの信金の好意。今回の提案は何としなければ成りません。
しかし出来ないのです。どう転んでも半分の半分だって払えません。
払わなくて不良債権に成っても、信金は直ちに競売はやってこないでしょう。
売り先は全部知って居ますが、其の差押えもないと思います。
本来ならば、行って頭を下げるべきですが、どうしても出来ません。
此のまま払わず、返事もせず、信金の出方を見ます。
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