かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

社長の居ない会社

2015-05-30 | 事例
社長は92歳の老齢、近くに身内が居ないため、其の急死には誰も看取れなかった。
身内は娘だけ。いずれも遠隔地に嫁入り。そこで十分な生活と基盤を持っている。
20名くらいの社員はいずれも年が離れて最年長者で65歳。定年の年だ。
後継者探しには苦労したらしいが、功を上げないまま現在に至っている。

元気だったが、夕食を済まして間を置かず、倒れたらしい。身の周りの事をしてくれる人に 
電話をする間も無かった。

会社は黒字で3億の借り入れがあるが、リスケなど一回もした事が無い。其れに帳簿上は
現預金が18000万ある。広い自宅が会社と地続きだ。
みんなで探せば後継者は簡単に決まると遺族は見て居たが之が決まらなかった。

顧問の税理士がとんでもない無い事を関係者にいい散らした。
「簿記に有る18000万の現預金はほとんどが不良債権です。ローンやカードで回収した物が不良に
 成った場合、処理しなく現預金として残したままです。ですから社長は毎月の資金繰りは
 本当に苦労していました。ご自分の給料など貰った事は無いでしょう。
 会社の借り入れは全部で3億、全て保証して居ります。これに対して自宅の価値は上手く
 いって7000万です。
 資産はその他、ご自分の預金が2000万あります。
 今までは社長の個人商店と同じですから、社長が居なくなれば倒産は目に見えています。
 相続人には全員相続放棄をお薦めします。
 其の場合、後を裁判所が整理しますが、おそらく破産になるでしょう。やむ得ないですね。」

姉妹の中には反対意見も有った。
一人が保証を全て引継ぎ、社長になれば、銀行は他の相続人の保証義務を全て免責するでしょう。
債権者もこの方法が良い。協力するという態度です。そうすれば父の遺産の2000万は皆に入ります。
また会社が生きているうちは自宅も賃貸などに使えます。
万一会社が実際に行き詰ったときに、無理に破産をしなくても、社長になった一人だけが、
債権者と話し合って、解決出来るのではないだろうか。この方法を考えましょう。

しかし、税理士のアピールが効いたのか、相続人は勿論、親戚や社員関係に社長になると云う者は居なかった。
この案を言い出した姉妹の意見もいつの間にか消されてしまった。

相続人を代表して長女が全員相続放棄する事を債権者に伝えた。

債権者を代表してメインの地銀が次の様に云った。
「それでも今の会社は、社長が居なくても、全く普通に動いていますね。
 返済も約束通りなされています。この会社を潰すなど考えられません。
 返済がいままでとおりと代わりが無い限り、私どもは全く態度を変えずにお付合いをさせて頂きます。」

事実社長の他界後2ヶ月過ぎるが何一つ変っていない。
みんなが以前からの持分をきちんと守っている。銀行折衝は一番若い女の子だ。

このままで当分過ごせそうだ。どうしても社長の署名捺印が必要の時は担当者がサインを
しておこう。それで駄目と云われたときは、その人に会社を任せて全員が辞めよう。

妙な会社が出来ました。
社長も社長代行も居ない会社です。
でも世間は普通に付き合ってくれます。
仕入れセーブも起こりません。

漸く3-4ヶ月。
むしろ業績は若干良くなっています。

この会社、これからどうなるでしょうか。


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