かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

猫からのヒント

2007-08-06 | 事例
Tさんは悩んでいました。
会社を続行すべきか、それとも今手を引くべきかと云う事です。

全部で3名の小さな住宅販売会社。親会社の物件を販売するのです。売れたら2ヶ月から4ヵ月後に手数料が入ってきます。
親会社と言っても資本や人事の繋がりはなく、単に販売をさせてもらうという立場です。毎月、30万の会費を払って居ます。会費の支払いを止めるとTさんは売るべき商品が無くなります。

5月以降トンと売れないのです。
手形は切って居りませんから、助かりますが、人がどうしても最低3名は必要です。コンピューターのネット販売をするには必要人員です。一人でもかけると販売は難しくなります。
したがって給料の支払いには特に気を使っています。

7月末で資金は枯渇寸前、8月の支払いは殆ど予定が立ちません。
それに7月も坊主でした。8月は例年悪いです。期待は出来ません。

倒産を覚悟して、7月の末に、Tさんは、2軒ほど相談をしました。
いざと云う場合の処理の仕方が、全然解からなかったからです。

その一人、弁護士は「破産しかない」と強く言いました。
全てを精算してやり直せというのです。どんな様にやり直すのか
具体的のことはアドバイスはありません。
破産の費用は200万ほどかかり、ローン中の自宅は手放すことに
なるだろうと言うのが、主旨でした。

コンサルタントは、「先ず自分が生きて行くことを考えよう。」と言いました。
しかし、収入の道が考え付きません。当座お金を少し用意をしてその間に
探すしかないという結論になりました。
自宅はローンの方が、賃料より安い。それに無剰余物件だから、手放さないほうが良いだろう。そのほか、仕入れ業者との交渉の仕方等、一言で言うと、自分で任意整理をしなさい。そのほうが僅かな資産でも守れると云う事でした。

一方でコンサルタントはこの決算書ならば保証協会で貸してくれる可能性があるよ。しかし借りても商売が出来なければ意味がないものね。と言いつつ借り方の説明をしてくれました。

駄目元と思っていた保証協会が借りれるように話が付いたのです。
600万借りて200万の残債を返し、正味400万が8月上旬に入ることになりました。
借りると9月までは会社は持ちます。9月の売上を見ながら会社整理が出来ます。
駄目で元ですから、9月まで背一杯仕事をやってみたいです。

しかしコンサルタントの意見は少し違いました。
「商売ですから波があるが普通ですが、それにしても5月からの業績はおかしい。此処で思い切って整理をすべきではないだろうか。
幸いある程度のお金も掴める事だし。8月の途中までやって駄目だったら、
皆に支払う前に、会社の整理を宣言しよう。其れが一番Tさんがお金を握ることが出来るよ。その後の生活を考えると其れしか方法はないですよ。
Tさん。子供の学校まで辞めさす事を考える必要もないですよ。」

Tさんは「お金が続く限り商売を続けるか、後の当座の生活費に食い込むまで
商売をするか」悩んでいるのです。

ぼんやり考えて居るTさんの目に家族がかわいがっている猫が飛び込んで
きました。猫は本棚の横の文箱を足がかりにして本棚の上に飛び上がりたいのです。
良く此処へ来て狙っては居ますが、1回も飛び上がった処は見ておりません。
やがて猫は諦めて何処かに消えています。今日も同じ様に狙っています。

Tさんはふと気づいて、飛び上がるのに、全然邪魔と思えないところに、
何時も置いてあるティッシュの箱をどかしてやりました。すると驚いたことに
猫は上手く本棚の上に飛び乗ったのです。

なぜかその時にTさんははっとしました。今の猫の姿がTさんをして
何か感じさせたのです。
 何時も狙っていれば猫だって出来るんだ。
 一見邪魔にならないようなものが、実際には大きく影響している。
 今まで俺は顧客の説明に、当然とか不必要と思って手を抜いていた点は
なかったか。価格と支払い方法だけを問題にして居なかったか。

猫の跳躍はTさんに再度自分の仕事を見直させることになったのです。

その結果Tさんは何かやれば出来るような気になってきました。
会社の倒産なんてその寸前に考えよう。
今はもう1度チャレンジあるのみだ。

Tさんは張り切っています。

猫は本棚の上が自分の常駐の場所のひとつと決めたようです。






日記@BlogRanking
 宜しければ、クリックして下さい









返済を止めれない性格

2007-08-03 | 事例
昨日も打ち合わせた方ですが。
借地上の建物で、小さなホームセンターを経営して居ります。

銀行借金が大きく、リスケ後は金利の他、若干の元金を返済して居りますが、それでも、負担は大きかったです。
何とか私財で補って参りましたが、其れも限界になり、いよいよ金利も返済不能になってまいりました。

倅に店舗だけは残してやりたいです。
其れも借金は0にして。
出来ればその後、彼もそこで働きたいのです。

難しいことではありません。
先ず銀行返済を止めることから始まります。
先ず返済を止めて、「私は返せなくなった。」と云うのが第一です。
ところが此れがどうしても彼には出来ません。

彼のように銀行に対して何も言えない人は意外と多いです。そのような人について述べてみたいと思います。

銀行に平気でリスケを依頼し、NOと云われればこちらから返済をストップし、金利に若干の元金を加えて振り込んで、涼しい顔をして居る人が居ります。
金利以上払えば銀行はどうすることも出来ないさ、と嘯いて居ります。

一方では担保もろくに入っておらず、第三者保証もなし、銀行なんてどちらから見ても怖くないような人が、リスケの事も言い出せず、一人返済に苦しんでいる人も少なくありません。

どんなことをしても、銀行返済だけは忠実に守っている人に出会う都度、この人は個人財産の全てを銀行に差出し、又、迷惑を掛けれない人を保証人にして居るから、銀行には盾を付けないかと思って居ましたが、どうもそうでは有りません。

銀行を必要以上に恐れて居るのです。
前世からの決まり事の様に、銀行に対しては服従心が実に強いのです。
「借りた金は返すべきだ。」と云うモラル観だけでは有りません。銀行以外には迷惑を掛けているところが多いのですから。
はっきりした銀行を恐れる理由など見当たりません。その人の育ち・道徳観・社会観などがミックスされてこうした態度になって居るので有って、一口で言えば性格と云うより他無いと思っています。

これらの人たちには共通した特徴があります。
リスケ依頼まではおっかなびっくりの態度で銀行と折衝します。しかし其れすら払えなくなった時、私は利息を含めた銀行返済を中止する事をアドバイスします。決して他から借りて返済したり、仕入れ代金の金を回すようなことのないように注意します。
此処ではっきりと態度が違ってきます。

返済中止が一番良いと解っていても、どうしても踏み切れないのです。
「銀行返済を止める事だ」とアドバイスしますと、「其れしか方法はないのですね。」
と同意しながら直ぐに「困ったな困ったな。どうしよう。」と嘆いています。
この返済が出来なくなった場合、先ず銀行の返済からストップしようと云うと、
アドバイスに同意し、其れをやりますと言いながら、「困った、困ったどうしよう。」と同じ台詞を言う人に何回も出会って居ます。
何で、同じ台詞が出てくるか解かりません。同じ性格のためでしょうか。

そしてそのとおり実施されないことが多いのです。銀行の返済だけは続いて居ます。
その分仕入れ支払いがたまったり、給料の遅配が出たりして居ります。

こんな状態ですから、会社は再生どころか整理になります。
この様に自分で銀行と折衝も出来ませんから、会社整理の時もこの人たちの選択は
必ず法的整理になります。
弁護士や管財人が全てやってくれる方法で無いと自分では出来ないからです。
自己破産が圧倒的に多いです。

逆に、自分でてきぱきと折衝もし、決断力に富んでいる人は任意整理が多いような気がして居ます。

彼の場合、債務処理だけならば自己破産も良いですが、店を続けるという強い気持ちがあります。でも破産をすれば完全に店は終わりです。
第2会社を作って、其れを倅にやらせて、自分は将来サービサーと交渉して債務処理をする、其れが一番と思います。
どうしてもサービサーと上手く和解できない場合は、2-3年過ぎて破産が第2会社に影響しなくなってから破産をしてもよいでしょう。

今度こそ、勇気が必要です。勇気を持って返済を中止するしかありません。






日記@BlogRanking
 宜しければ、クリックして下さい