【平成30酒造年度全国新酒鑑評会 金賞銘柄一覧(名古屋国税局)】
〈岐阜〉 天領/天領酒造
天領の歴史
近江日野(現在の滋賀県日野市)上野田(コウズケダ)にて家を興す。
蒲生氏郷公の家臣として近江地方で地盤を築き、日野屋佐兵衛と称し江戸時代の初め頃(1680年と伝えられています)から江州日野から本州一円を巡って行商をしていました。
その後、飛騨に商いのため出店を構え、飛騨の人情の細やかさ、自然の美しさ、風俗の麗しさに魅かれて、この地に住み着き、物品販売のかたわら日本酒造りをはじめました。
明治時代になって酒造業を家業として行うようになり、昭和31年「天領酒造株式会社」として法人化し現在に至っています。
飛騨の自然を愛し、人情を愛した日野屋佐兵衛の心意気を、酒造りを始めてから八代目になる現代まで脈々と受け継ぎ、飛騨の自然の恵みで育った酒造好適米「ひだほまれ」、飛騨山脈からの地下水をもちい、自家精米にこだわり、飛騨の酒を造る天領へと成長を続けています。
家業としての日本酒酒造り
酒屋業は家業として長い歴史があり、これからも連綿と続けていかなければならないと考えています。
継続するために必要な要件がオーナーの考えによっていろいろあります。
たとえば、出荷数量至上主義であり品質至上主義であったりします。
現在わが社は、品質を追い求めていますがその切り口もいろいろあり、それは製造方法(純米、本醸造など)であったり原料であったりしています。
最近は「ひだほまれ」を中心にした原料の良さを強調してきました。
現在は原料米全量が高級な酒造好適米となり、ある面では究極の酒造りと言って良いのかもしれません。
しかし、酒造りはいろいろな条件によってなされていますので、あらゆる条件を最高のものにしていくことはもちろん、
真摯な気持ちで取りくむ事が絶対必要であると考えています。
商品企画と品質設計
常に目先の変わったものを発売していくことは考えていません。
従来の酒造りの中からその時代のトレンドに乗りそうなものがあれば、発売をしていきたいと考えています。
代表的な銘柄の特別純米酒『飛切り』は、酒が貴重であった時代(甘い増醸酒の時代)から本物の酒を求め始めた時代(地酒が見直された時代)に本物の地酒として昭和40年に発売しました。
純米酒、飛騨の酒がコンセプトでした。
現在の酒質
酒造好適米の特徴を生かすために、自社精米による精密な精米(精白が悪いと雑味がでる)と日本でも稀な超軟水による酸味の少ない酒質を目指しています。
特別純米酒『飛切り』は純米らしい味の幅を持たせつつ料理の味を損なわない控えめな甘さと香りを特色としています。
吟醸香のような華やかな香りはありませんが、食中酒として最適な酒質と言えます。
京都、東京の有名料理店での使用が多いのもそのためです。
ネーミング
キャッチコピーのいらないネーミングを考えています。
特別純米酒『飛切り』は字のごとく「飛切り上等」の意味。
酒造りへの想い/杜氏 片桐一成
天領に携わり、天領の日本酒造りを支える人々、その想いを...
酒造りの世界に入って25年、そして先代の渡辺杜氏より酒造りを受け継ぎ10年の月日が経ちました。
好奇心の塊で突き進んだ20代
経験と葛藤の中で苦悩した30代
そして杜氏となり酒造りの真髄に向き合い探求し続けている40代
現在に至るまで経験を重ねるほどに酒造の奥深さを感じています。
これからも初心を忘れずに毎年新たな気持ちで、酒造に向き合えることに喜びを感じながら、蔵人一同の力を結集し『和醸良酒』の精神で多くの方々の心に響く酒を醸していきたいと思います。
製造へのこだわり
どんな銘柄米を使っていますか?
1 00%酒造好適米を使用しております。銘柄は2銘柄。 おもに飛騨特産「ひだほまれ」を使用しています。 一部「山田錦」も使用しております。
ところで酒造好適米って?
酒造好適米は一般には「酒米」と呼ばれ、一般のお米より大粒で、その中心部に「心白(しんぱく)」という少し白く見える軟組織を持っており、タンパク質、灰分、脂肪分が少なく、精米から醪造りに至る各工程において適性を持っています。
「山田錦」は知ってるけど「ひだほまれ」?
酒造好適米は「山田錦」を初め「五百万石」「美山錦」などが有名ですが、「ひだほまれ」は北アルプスの麓、飛騨の山間の寒暖の差が大きい水田で栽培される米で、心白は内柔外硬で最適な蒸米になる性質を持っている、飛騨特産の酒造好適米です。
酒造好適米の生産体制は?
全量、契約農家に依頼して、上品質の原料米を生産をしています。
精米は?
コンピューターを利用した高度な精米機によって24時間体制で万全の精米を行っています。 自社精米で行っています。
なぜ自社精米なの?
手間のかかる精米工程は業者などへ委託するのが一般的ですが、仕上がりに不安があるため、自らの管理の元、安定した品質の精米を目指しているからです。
水は天然水ですか?
はい、100%天然水です。 飛騨山脈からの地下水を地下30メートルから汲み上げた正真正銘100%天然水を使用しています。 このお水は軟水で日本酒造りには最適な、天然の無菌水です。 蔵の前にはその水を楽しんでいただける深井戸水を設置し地元の方々に親しまれています。
水質について
天領酒造では、水道法に定められた水質検査を行っています。
わが社のナンバーワン
①酒造好適米使用率 県下第1位(使用率100%)
天領の日本酒はすべて(一般酒も)高価格の酒造好適米だけで製造しています。
その証のタグを容器に表示しています。
わが社製品の基礎と考えています。
②自社精米比率 県下第1位(弊社調べ)
天領製品に使用する好適米の精米は自社で行っています。
手間のかかる精米工程を業者などへ 委託するのが一般的ですが、自社精米に比べ仕上がりに不安があるため、わが社ではコンピューターを利用した高度な精米機によって24時間体制で万全の精米を行っています。
③天然水使用比率 県下第1位(使用率100%)
わが社で使用する水はすべて清浄無比な地下水です。
上水道を使用しますと鉄分など不純物が多い(わが社の地下水の数十倍)ため、ろ過など薬品や機械で仕込水を加工しなくてはなりませんが、わが社は天然水仕込み100%です。
④特定名称酒出荷比率 県下トップクラス
わが社で出荷する清酒のうち、吟醸酒・純米酒・本醸造酒の特定名称酒の占める割合が県下トップクラスです。
地元産の上質な原料米を使用して高品質の酒造りをしている証明です。
⑤生酒出荷比率 県下トップクラス
わが社が出荷する清酒のうち、生酒(一度も火入れしていない酒)を出荷する数量が占める割合が県下トップクラスです。
わが社が提案している少量容器による「四季の酒」が消費者に受け入れられている証と考えています。
⑥使用酵母が多種類
わが社で使用している酵母は、求め酒質によって使い分けをします。
特に『花酵母』は、東京農業短大醸造科 中田教授が開発された、野花から採取した酵母で、特徴ある『吟醸香』や『ウマミ』を醸します。
わが社では、吟醸系の香り豊かなお酒の醸造に使用しています。
天領酒造株式会社 岐阜県下呂市萩原町萩原1289番地1
ラインナップ
「天領」全国新酒鑑評会 『入賞酒』・ひだほまれ大吟醸・山田錦大吟醸 『天領』・純米大吟醸 ひだほまれ・純米大吟醸 など
「日野屋」大吟醸 無濾過生原酒 別誂 The Black Crocodile・VINTAGE 大吟醸・340周年記念 大吟醸 無濾過原酒 など
「天禄拝領」大吟醸・純米大吟醸 など
「吟」大吟醸 などなど