いいもの見ぃ~つけた!

「いいもの」は探せばいっぱいあります。独断と偏見による個人的「いいもの」情報発信所です。

<苺> よつぼし

2021-06-06 11:11:16 | 食品

 「よつぼし」

●よつぼしとは

 
◆日本で初めて実用利用されはじめた種子繁殖型イチゴ品種
よつぼしは農林水産省の提案公募型事業「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」の一つとして、三重県、香川県、千葉県と九州沖縄農業研究センター(農研機構)の4つの機関が2009(平成21)年から2012(平成24)年までの4年間にわたり「共同育種による種子繁殖型イチゴ品種の開発と種苗供給体系の改革」という共同事業に取り組み、研究開発したいちごで、日本で初めて実用化されるイチゴ種子繁殖型品種として2014(平成26)年に品種の登録出願が出されています。

開発に当たっては各機関がもつ沢山の優れた育種を組み合わせ、その中から選抜が行われたそうです。

結果的に三重県が「かおり野」から育種した「三重母本1号」を母親とし、それに花粉親として、「さちのか」や「とちおとめ」それに香川県独自の四季なり品種を香川県が交配育成した「A8S4-147」という品種が選ばれました。よつぼしはこの2品種の交配によってできるF1品種となります。

一般的な他のイチゴはランナーと呼ばれる蔓で株分けをする、いわゆるクローンの増殖によって苗を増やしておくのに対し、種から増やすことによって親株から病害虫の影響を受けにくくできるとともに、収穫時期が終わった後、親株を管理する必要がないというメリットがあります。栽培技術のマニュアル作成に当たっては育成に関わった4機関以外にも、山口県と北海道、それに東北農業研究センターでも栽培されたそうです。

名前の由来は「甘味」、「酸味」、「風味」が揃って「よつぼし」級に「美味」しい事と、4つの機関が共同で開発した期待の品種という意味が込められているそうです。

◆よつぼしの特徴
形は比較的整った円錐形で、香りもよく、半分に切った断面を見るとわかるように、果実の中もかなりしっかりと赤い色がついています。果芯の空洞はわずかに見られます。

食べてみると、固くなく柔らかすぎもせず適度な食感で、酸味は強くなく甘味が広がる感じです。

●よつぼしの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
よつぼしは2017(平成29)年1月現在、全国各地で苗の頒布による試験的な栽培が行われている段階で、種子の販売は2017年以降の予定だそうです。

種子の販売が始まればF1品種として全国どこでも生産が可能となります。

◆よつぼしの収穫時期と旬
よつぼしは早生性品種となっており、11月中旬頃から収穫が可能とされています。

*https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fruit/Strawberry-Yotuboshi.htm より

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<言 葉> 夏の言葉 清水

2021-06-06 11:00:15 | 言葉

 「清水」

 三夏の季語。

 岩陰から天然に走りでる水や、流れる水、湛えられた水。また地下から湧き出てくる清冽な水をいう。 清水のある場所やその状態により「山清水」、「岩清水」、「草清水」、「苔清水」などという。

 子季語には、真清水/山清水/岩清水/底清水/苔清水/草清水/清水汲む/清水掬ぶ/清水茶屋がある。

*https://kigosai.sub.jp/kigo500a/265.html より

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<現役ミュージシャン> 意外な年齢のミュージシャンたち-ナラダ・マイケル・ウォルデン

2021-06-06 10:13:50 | MUSIC

 「ナラダ・マイケル・ウォルデン」

  1952年4月23日生まれの69歳

 ジャーニーの新ドラマーはナラダ・マイケル・ウォルデン!
 今年アルバム・デビュー45周年を迎えるアメリカのロック・バンド、ジャーニー。近年は黄金期を支えたスティーヴ・スミスが再びドラマーとして参加していたが、今年3月にベースのロス・ヴァロリーと共に解雇されたことが発表されていた。そんなジャーニーが去る5月25日に「Don’t Stop Believin’」のリモート・セッション動画をオフィシャルYouTubeで公開! これは23日に行われたユニセフUSAのヴァーチャル・イベント出演時の映像で、冒頭、真っ白なツーバス・セットを叩くドラマーが登場。誰だろうと思ったら何とナラダ・マイケル・ウォルデン! ニール・ショーンが自身のSNSでナラダがジャーニーの新メンバーになったことを発表したという。

 ジャーニーが新たな編成で公開した「Don’t Stop Believin’」のリモート・セッション映像。冒頭からナラダが登場!
ナラダ・マイケル・ウォルデンと言えば、マハヴィシュヌ・オーケストラ、ジェフ・ベックなどで活躍した伝説のドラマーで、特にジェフの代表曲である「Led Boots」での名演はあまりにも有名。「Don’t Stop Believin’」の映像でもオープン・ハンド奏法から、重厚なバック・ビートを叩き出し、見事にバンドをグルーヴさせている。

 自身のInstagramで、ナラダはジャーニーへの加入発表の喜びや、長い付き合いのあるニール・ショーンをはじめとする各メンバーへのリスペクトを語り、「ジャーニーは、これから品格あるホンモノのロック&ソウルと共に、頂上を目指して堂々と進んでいく」とコメントしている。新ベーシストは80年代にジャーニーのサポートを務めたこともあるランディ・ジャクソン。強力なリズム体が加わったジャーニーの活動に期待したい!

*https://drumsmagazine.jp/news/news-journey-narada-michael-walden/ より

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<日本酒> 兵庫 白鷺の城/田中酒造場

2021-06-06 09:49:38 | 日本酒

 【平成30酒造年度全国新酒鑑評会 金賞銘柄一覧(大阪国税局)】
 〈兵庫〉 白鷺の城/田中酒造場

 当蔵は天保6年(1835年)に創業し、肥沃な播磨平野に位置する姫路の酒蔵として「名刀正宗」という銘柄を主に造り続けてきました。日本人の魂に響く日本酒を、今の時代にあった味で創りだす「温故創新」の思いのもと、5年、10年先の酒造業界を見すえた酒造りを続けています。

 伝統の石掛天秤搾りから、驚異の精米歩合を誇るお酒までお客様の笑顔を思い浮かべ、お米を作ってくれる農家さん、精米技術を磨いてくれる業者さん、皆さんと一緒にお酒を造っております。

 田中酒造場について
 昔むかし、蔵の周りで多くのお米が作られていたそうです。陽光豊かで、台風や大雨が少ない播州平野、秋の穏やかな瀬戸内海からの風と日当たりによって収穫された稲は、今でも田んぼの真中に組まれた細い丸太の馬にまたがり、穏やかに乾燥されます。思い出します、私が子供の頃に丸太に藁の紐をかけてもらってブランコにして遊んだ事を。

 収穫時にもなると一時に大量の米俵が運び込まれる為、天保6年(1835年)、今と変わらぬこの地に、酒蔵を開いたそうです。酒の名は「名刀正宗」。どんな思いが込められたのでしょうか。「正宗」といえば、岡崎正宗が鍛えた名刀と辞書にあります。切れ味が鋭く、キラリと光る品の良さ、我が名刀正宗は、栄養満点のふっとい大根も、空中に舞うしなやかな紙でさえも瞬時にスパッと切れるような喉越しを堪能させてくれます。それはまるで、着流しの似合う粋な男前さんのようで、実は骨太のマッチョ?

​ 「名刀正宗」を礎に、「白鷺の城」「亀の甲」をはじめ、未知なる米の宇宙(個性を発見)を探検し、進歩し続ける時代のお酒にも挑戦する事によって、人とのご縁が始まり絆が深まり輪が広がり華となって感動を与えてくれます。私で六代目。どれほどの蔵人達がわが人生をこの蔵の為に心血注いでくれたことか、感謝でございます。これから100年もまた、方々の人生の祭り、季節の祭りを彩りながら祝い、清め、活力となる計り知れない力をもち、欠かすことの出来ないお酒でありたいと思います。

 六代目 田中流酒造り
 「北流れの屋根」に寄り添う赤レンガの煙突。兵庫県姫路市広畑に、我が蔵のシンボルは大空を突き抜けるようにそびえ立ちます。そばには穏やかな夢前川が流れ、ゆったりとした、のどかな土地です。

 この地に広村(現・広畑)ができ、一番最初に見つけた水源が、当蔵の井戸水だそうです。どんなに日照りが続いても「広の田中の井戸は決して枯れない」と言われ、その井戸水は今もなお脈々と湧き出ており、我が酒の中枢を担っております。毎朝、神様に感謝を込めて、「ありがとうございます」と手を合わせ祈ります。

 創業1835年以来、「名刀正宗」を醸し続け、時の姫路城城主・酒井家より「花気随酒」の扁額を賜り芳醇美酒と賞賛されたと聞き及んでおります。6つの時代にわたり、歴代の杜氏が守り育ててきた蔵の味「名刀正宗」。當主は子供の頃から酒蔵に入り、遊びながら鼻を利かせ、耳で感じ肌と触れ合いキラキラと輝くような目で蔵中を駆け巡り、体一杯で酒の神様と戯れていたのでしょう。蔵の中ではエネルギーが全開だったようで、杜氏によく叱られたというお話も聞いた事があります。溢れんばかりの好奇心は今も健在、当時の様子が目に浮かびます。しかし、私たちが感じ取れないような風の流れや空気の違いを敏感に感じ取るほど、蔵中のわずかな異変をも察知し、近寄りがたく厳しく凛々しさも感じます。

 當主の魂に響くものがあればとことん貫く、人が何と言おうと、半端じゃない。この魂を貫く姿勢が蔵の個性、蔵の味となって表現されているのではないでしょうか。當主のモットーは「温故創新」。「温故知新」の「知る」にとどまらず、造り手らしく「創」、新しくつくりだす事が喜びだと申します。激変する時代でありますが、日頃から多種多様な情報をキャッチし、自分なりにアレンジした引き出しを1つでも多く持つ事が新たな挑戦への鍵となっているようです。壁にぶつかる事(ピンチ)は飛躍のチャンス、それを踏み台に、考え方、頭のチャンネルを切り替え(チェンジ)、再度、挑戦(チャレンジ)する事。それも、不易流行を礎に。

 我が蔵を知る方々は、次はどんなお酒が飛び出すのか、とても楽しみの御様子で、それはまるで、ドラえもんの不思議なポケットから出てくる、タケコプターやどこでもドアのようにワクワクするみたいですよ。そうなんです。皆様がウキウキ、ワクワク楽しい気分になってくれるお酒を造る事が、當主にとっての前提なのです(旨いのは当たり前ですがね)。

 酒を醸すという中で、忘れてはいけないのが日本人の魂だと申します。四季の移り変わりを細やかに感じとる日本人ならではの感性と、日本だからこそ出来る麹、酵母のミラクル。日本の心の豊かさを享受し、楽しめる日本の酒、そして第一に、蔵の姿が見え、蔵人の働く様子が伺えるような酒でありたいと。

 これが、六代目、田中流なのです。

 田中酒造場 兵庫県姫路市広畑区本町3丁目583

 ラインナップ

 「白鷺の城」純米大吟醸 超特選 縁結 結寿・純米大吟醸 ・大吟醸 など

 「亀の甲」純米大吟醸  弐拾弐・四拾七 など

 「名刀正宗」 特別純米酒 若天 など

 

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<伝統野菜> 宮城 もちとみぎ

2021-06-06 09:08:07 | 伝統野菜

 「もちとみぎ」

 【生産地】宮城県登米市

 【形状】最大の特徴は黒色、紺色をしている実の色

 【食味】スイートコーン種と比較すると、甘みの面では格段に劣るが、触感がもちもちとしており、噛みごたえがあり、腹もちがよい。トウモロコシと同様にゆでたり、蒸して食す。

 【来歴】昭和50年代あたりまでは、市内だけでなく、県内で広く栽培されており、かつては、このもちとみぎが農家の長屋(納屋)の軒先に干してある景色は農村の一般的な姿だったが、昭和40年代に甘みの強いスイートコーン種が農村に普及したため、徐々に作付が減り、現在では地種によりとうもろこしを栽培する農家はほとんどいなくなった。

 【収穫時期】8月頃

*https://tradveggie.or.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E4%BC%9D%E7%B5%B1%E9%87%8E%E8%8F%9C%EF%BC%8D%E5%AE%AE%E5%9F%8E/#i-24 より

 

 上記の情報以外ネット上には何もない。「登米市」に以前は情報があったようだが、それを鑑みると、現在では「ほぼ生産」がないと考えられる。

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<漢字検定> 1級 四字熟語 10.回答 11.出題

2021-06-06 08:57:47 | 漢字検定

 前回の回答

 

 次の四字熟語の読み方を答えてください。
 ※読み方が複数あるものには代表的な読みを答えとして表示しています。

 

 問1 人心収攬  -じんしんしゅうらん-人々の心をうまくとらえてまとめること。また、人々の信頼をかちえること。▽「人心」は多くの人々の心。「収攬」は集めてつかむ、にぎること。

 

 問2 洪範九疇 - こうはんきゅうちゅう-「書経」の洪範編に述べられた政治道徳の九原則。五行 (ごぎょう) ・五事・八政・五紀・皇極・三徳・稽疑 (けいぎ) ・庶徴 (しょちょう) ・五福の九つ。

 

 問3 往事渺茫  -おうじびょうぼう-過ぎていった昔のことは、遠くかすんではっきりとしないということ。
「往事」は過ぎ去った過去のこと。
「渺茫」ははるか遠い様子や広くて果てしない様子のこと。

 

 問4 鄒衍降霜  -すうえんこうそう-天に無実を訴えて、真夏に霜を降らせたという鄒衍の故事のこと。
中国の戦国時代の五行説を唱えた思想家の鄒衍は、無実の罪で投獄されたときに、天に無実を訴えると、天はそれに応えて真夏に霜を降らせたという故事。

 

 問5 嗇夫利口 -しょくふりこう-喋りは達者だが、身分の低い人のこと。
「嗇夫」は地位の低い役人のこと。
「利口」は喋りが上手い人。
中国の前漢の文帝が、上林苑の動物園に行ったときに、動物園の帳簿について尋ねても誰も答えることが出来なかったが、口のうまい下級の役人だけが答えることができた。
その喋りに感心した文帝は、口のうまい下級の役人を長官にしようとしたが、家臣に口がうまいだけの男を昇進させると天下の混乱に繋がると諫められ、昇進を取りやめたという故事から。

 

 今回の出題

 

 次の四字熟語の読み方を答えてください。
 ※読み方が複数あるものには代表的な読みを答えとして表示しています。

 

 問1 撥乱反正  

 

 問2 対驢撫琴  

 

 問3 人心洶洶  

 

 問4 恍恍惚惚  

 

 問5 白璧断獄

 

 

 *漢字検定Web問題集 HP より

 *goo辞書・四字熟語辞典オンライン より

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<経産大臣指定伝統的工芸品> 京都 京鹿の子絞

2021-06-06 08:40:25 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「京鹿の子絞」

 Description / 特徴・産地

 京鹿の子絞とは?
 京鹿の子絞(きょうかのこしぼり)は、京都府一帯で作られている染織品です。布を糸で括って染め上げる染色技法の1つで、括られた部分が染色されずに白く残ることで模様を表現します。染め上がった模様が子鹿の斑点を連想させるため、「鹿の子絞」と呼ばれるようになりました。
代表的な技法は「疋田絞(ひったしぼり)」や「一目絞(ひとめしぼり)」などで、全部で50種類以上にのぼります。1人1種類の技法を有す技術者が1粒ずつ括り上げ、その特殊な技法に合わせた染色を行います。京鹿の子絞の特徴は、複雑で精巧な括り粒です。精緻(せいち)な括りで表現される独特の立体感は、他の技法ではみることができません。他の染色に比べて完成までの期間が長く、総絞りでは1年半、振り袖では2年以上かかることもあります。
 着物や帯などの和装素材として長い間伝承されてきましたが、柔軟な発想の転換により、現在ではファッションやインテリアにも取り入れられるようになっています。

 History / 歴史
 絞り染めは世界各地でみられる染色技法で、その始まりはインドとされています。日本には仏教などとともに伝わったとされ、6~7世紀頃には日本各地で行われていました。
 最古の記録は「万葉集」で、平安初期の歌人が絞り染めについて詠っています。10世紀には宮廷衣装の模様にも用いられるようになり、室町時代から江戸時代初期にかけて「辻が花染(つじがばなぞめ)」として一世を風靡しました。また、各地で技法が改良され、京都一帯では「かのこ」「鹿の子絞」「京鹿の子絞」と呼ばれる技法が確立され、17世紀末には最盛期を迎えます。奢侈(しゃし)禁止令により、贅沢品とされた絞り染めが姿を消した時期もありましたが、その高度な技法は、現在に至るまで着実に受け継がれています。
 一方、他の伝統工芸品と同様に後継者不足に直面しており、京鹿の子絞を未来に受け継ぐため研修会や展示会などを通して、若い年代に魅力を発信しています。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/kyokanokoshibori/  より

 職人の手から手へ。心を括り染めてゆく京鹿の子
 絞り括りによって生みだされる立体的な染めの美しさ。下絵師から絞括師、染め分け師、染師、仕上師と職人の手から手へ技と心をつなぎながら生み出されてゆく京鹿の子。鹿の子絞りに乗せられる職人の心と技を追う。

 
 括り(くくり)に母の心を重ね見る疋田絞り
 「母の絞りを見よう見真似で」始めたのは12歳のとき。その2年後に母親と死別。今では数少ない疋田絞りの職人、川本和代さんの絞りには、母親から受継いだ技と母への想いが込もっている。こんもりとした丸い指が、生地に刷り込まれた小さな水玉の粒をひとつひとつを摘み括っていく。あま撚りの絹糸は右手指に複雑に掛けられていて、括り拍子を取る。結び目を作っているわけでもないのに、括られた山は硬く均一に隆起して正絹の柔らかな生地からは想像できない程堅い。「疋田絞り」いわゆる総絞りは、仕上げるのに1年はかかる大物だ。慣れるまでは指先から血が滲む程の手仕事。「どんなに急いでても2ついっぺんには括れません」。習い始めの頃「1粒何とか括れるようになっても、その粒が邪魔をして2つ目が括れないんです。苦労してやっと2つ目が括れるようになると、次は2段目が括れません」。これまでのどんな仕事にも「満足できたことがない」という川本さん。一番嬉しかったのは「“おばあちゃんが孫娘の成人式にって作ってくれた着物が仕上がって来たので見てやって”言われて寄せてもらった時のこと。見たらそれ、私が括らしてもろた着物やったんです。言葉が出えへんほど嬉しかった」。一旦括りが終わって手を離れたら、職人が仕上がりを目にするということはまず無いのだという。一目で自分の括りだとわかる。生き別れた我が子を目の当たりにした。そんな想いだったのだろう。


 穏やかな人柄。疋田絞りを括っている間、心に浮かぶのはどんな想いなのだろう。括りの中で、まだ幼くして死別した“母親の心”に出会い、その心うちを辿っているようにさえ見える

 “丁寧に勝る技術はない”染め分けられた上品なゆらぎ
 職人として会得するにはどれ位かかるのだろう。「10年目にようやく“わかった”と思たことなんか、今思えば馬鹿みたいなもんですわ。20年目もそう。ずっと同じで、終りなんてないんとちゃいます?」。“染め分け”家業三代目の山岸和幸さん。しかし幾ら自分の父が師匠と言っても「“習う”のは基本的な部分だけで、後は自分のやりよう」と言う。「うまいこといかんな、と思ったらチラッと親父のやっとるのを見るでしょ。そうして(技を)盗むんです」。分業が特長の京都の伝統工芸。それぞれの職人が自分の任された工程を一級のセンスで仕上げていく。幾ら分業とは言え絵師は絞り括りを考え、染め分けは染を考えて作業をする。「その先を考えた仕事が出来ないと、一人前やないような気がするね。綺麗に染め上がるよう括り方を変え、染めが映えるように染め分けをする」。ただ「どう頑張っても出来ない事もある。そういうときは残念ですねぇ。仕上がったのを見て、あーやっぱりな」と思う。「ああいう絵をかくとこうなるっていうのは絵師に言いますね。そうすると描く人は出来上がりをイメージし易くなるでしょ」。情報と気配りが“鹿の子”一反一反に乗せられ伝達されていく。「人が絶えると技術が絶えるんですわ。知識(技術)は蓄積されるもの。一旦絶えたものを復活させるのは大変なんです」この技と心を、四代目につなげたい。


 お金儲けにならないことは楽しい!染め分けの限界を研究し「釣り竿と釣り糸の図案」を試作。趣味の山登りも、一歩一歩踏みしめて頂上を目指す。仕事も趣味も自分との戦い。どう頑張っても太刀打ち出来ないものに挑む


 何年続けても、まだ新しい発見があるという。プレッシャーを感じたのは「親父が伝統工芸士になった時。顔を潰す様なものは作れん」と実感した。「年に1、2回この仕事をして良かったと思う“狙い以上”の仕上がり」があると言う。

 
 心に描かれた色を“絞り”にのせる
 染師、川本弘さん。「技術を身に付けたい」と17歳で弟子入り。生まれ育った実家の近所に、黒染・無地染・友禅染の染屋さんは沢山あったが「鹿の子絞」にこだわった。「絞りには他の生地物にないものがあるでしょ。平面だけの染色と違うて、生地自体が立体的で何とも言えん味がある」それが川本さんを惹きつけた。1回の染色で1色しか染めることが出来ない“浸染法”。色の指定はあっても「常に色本(色見本)よりも良い色(深みと光沢のある色)を出すことを心掛けている」と言う。最終工程に近い染師の技量は、それまで関わった全ての工程・全ての職人の技を引き受ける。「ちょっと気になったから言うて、直しが入れられないんです。染めは液体に浸ける訳やから、薄めの色から慎重に合わせていくんです」。一寸の油断も許されない。一瞬で全てが決まってしまう、染めの難しさだ。「弟子入りして5年間、(染色釜の)薪割りしかさして貰えなくて、逃げ出したことがあったなぁ。何しにここに来たんか分からん言うてね。でもホンマのとこ言うて、事が大きいだけに親方も不安やったんやと思いますわ。鹿の子一反、丸々任せる訳ですから」。夏は釜の湯気で蒸し暑く、冬は底冷えする作業場に立ち続けて50年。一度だけ失敗した。染め過ぎた。絞りの白地まで染め切ったのだ。染料会社が同じ品名・品番で、染料の成分を変更していたのだ。心に楔を打つ為、「今も手元に置いている」と言う。

 巻き込みの点検。やや薄めに調整した色目で1回目の染色。「絞りで立体的に交差した部分は、どうしても生地が巻き込まれて染め残しになりやすい」ので確認する。「京都の染屋さんで、ここまで手かけてはる所はどこもない」と定評がある

 1回目の浸し。色指定の紙片を見ながら、釜の色を調整していく。「ちょっと薄めかな、言う位から調整していく。僕の場合で、だいたい7~8本(色)で合わせます」。日中、屋内の自然光でしか色の確認ができない。時間との勝負だ

 
 職人プロフィール

 川本和代(かわもとかずよ)
 昭和16年1月19日生まれ。京鹿の子絞絞括師。伝統工芸士

 山岸和幸(やまぎしかずゆき)
 昭和24年2月9日生まれ。京鹿の子絞染め分け師。伝統工芸士。京鹿の子振興協同組合幹事

 川本弘(かわもとひろし)
 昭和4年3月26日生まれ。京鹿の子絞染師。伝統工芸士。勲七等青色桐葉章受賞。京鹿の子伝統工芸士会副会長。

 こぼれ話

 フローリングのリビングにも映える京鹿の子

 着物は好きでも、着る機会が減ってきているのが現状。着る機会がないのなら「暮らしの中」に取り込んでしまうのも一つの手。目隠しとしても、コーナー分けにも使えて、2つに折りたためるコンパクトなインテリア。最近は、京鹿の子の風合いを活かした新製品も沢山考案されています。京鹿の子も衝立もしっかり日本的なものなのに、なぜかフローリングのリビングに置くと映えるのです。和室が減ってきている最近の住宅事情にもぴったり。

 大胆にデザインされた“のれん”。白い絞りの粒が光を放っているようにも見えます。伝統的な京鹿の子ですが、タペストリーやのれんには、こういった斬新で遊びごころを活かしたデザインが採用されています。とても抽象的なデザインなのに、その色や絞りに光や風を感じます。染色小物は沢山目にしますが、やはり京鹿の子絞りにしかない味があります。風に揺れるのれんは、平面の生地を立体的に演出します。

*https://kougeihin.jp/craft/0207/ より

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