「ねりこみ」
主な伝承地域 津軽地方
主な使用食材 さつまいも、干ししいたけ、人参、こんにゃく、金時豆、油揚げ
歴史・由来・関連行事
その昔、弘前禅林三十三カ寺の和尚が托鉢(たくはつ)をして集めた野菜を「くず寄せ」にしてつくりはじめた精進料理がルーツといわれる。色とりどりの野菜が輝くように美しくしつらえられ、目にも美味しい料理である。野菜の煮物に葛を加え、練りこむようにしてつくることからこの名がつけられた。砂糖をたくさん使い、甘く美味しく仕立てるのが特徴で、日常食ではなく正月のお膳につけたり冠婚葬祭の際のおもてなし料理として使われた。おかずとしての側面を持ちながら、現代でいうスイーツのような意味合いを持たせたとも考えられる。
食習の機会や時季
弘前地方では昔から慶弔のときには、必ず「ねりこみ」を食べる習わしがある。「こくしょ」「のっぺい」などと似た料理で、季節の野菜類にこんにゃくを入れること、煮汁をたっぶりさせて片栗粉でとろりとさせるのが特徴だ。寒い地方なので冷めにくいようにとろみをつけたといわれる。季節によって旬の野菜を主とし、初夏はえんどう豆、秋は里芋、冬はいんげん豆が中心の「ねりこみ」をつくる。大切なおもてなしの際には、栗やイクラを入れて豪華に仕立てることもある。
飲食方法
材料を角がつくかたちに切りだし汁で煮て、砂糖と塩で味をつけ水溶き片栗粉でまとめる。風味づけに少量の醤油を加えることもある。甘みが強いので、口休めとしてお膳に添えられることが多い。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
「津軽料理遺産認定・普及委員会」が、2008年に津軽地方の歴史と風土に育まれ受け継がれている伝承型の郷土料理から「津軽料理遺産」として選定し、発信と普及に努めている。また「あおもり五所川原グリーンツーリズム協議会」でも講座を開いて普及活動をおこなったり、郷土料理を積極的に取り入れる農家民宿などもある。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/nerikomi_aomori.html より