「くじら汁」
主な伝承地域 下北半島、八戸市
主な使用食材 クジラの塩漬け(脂身)、人参、ごぼう、寒大根、凍み豆腐、じゃがいも、高菜の塩漬け、味噌、醤油
歴史・由来・関連行事
かつて八戸市に捕鯨基地があったことから、近隣ではクジラの食文化が発達した。「鯨一匹七浦うるおう」といわわれるほど、クジラは地元に利益をもたらすありがたい食べ物だった。部位によって味わいは異なるが、「くじら汁」に使うのは「白身」と呼ばれる背の本皮部分。脂肪分のかたまりなので、繰り返し湯通ししたり、から炒りしたりして余分な脂を落としてから調理する。正月の祝い料理でも出され、巨大なクジラにあやかって「新年は大きな獲物にありつけるように」「大物になれるように」との願いが込められている。
食習の機会や時季
年取りや正月の祝い料理。焼いた角餅を入れて雑煮にすることもある。現代でも年末の市場やスーパーマーケットなどではくじら汁用の塩漬けにされた身が並ぶ。数種類の野菜や豆腐を入れて大鍋につくり、正月から数日にわたって食べる。クジラから出汁が出て、日を経るごとに美味しくなるものだった。
飲食方法
クジラの本皮(脂身)を湯通しやから炒りをして余分な脂を落とすのが大事である。これをしっかりするとまったく脂っこさがなく、コリコリとした食感になる。また凝縮した旨味が出汁となり、汁全体を美味しくする。具だくさんで、大根、人参、ごぼうなどの根菜に、じゃがいもが入るのが特徴的だ。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
2019年の再開まで31年間商業捕鯨が行われていなかったこともあり、若い世代には特にクジラを食べる習慣自体が薄れている。正月以外は家庭でつくることは減り、郷土料理店や八戸市の朝市などで提供されている。「くじら汁」は地元の住民にとって大切な郷土料理であり、地域で伝承に取り組んでいるグループもある。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/kujira_jiru_aomori.html より
*北海道の郷土料理にも「鯨汁」がある。
https://blog.goo.ne.jp/admin/editentry/?eid=b0fa7ec87a6c473a1d5dd83581020e77&sc=c2VhcmNoX3R5cGU9MSZsaW1pdD0xMCZzb3J0PWRlc2Mma2V5d29yZD0lRTMlODElOEYlRTMlODElOTglRTMlODIlODklRTYlQjElODEmcD0x 参照。