「浸し豆」
1 青大豆とは?
「青大豆」は大豆の中でも、熟しても青い色のものをいいます。ほとんどの大豆は、熟すと黄色や黒色になりますが、青大豆はなぜ青いまま。それは青大豆と普通の大豆はそもそも別品種だからです。お米は「コシヒカリ」や「あきたこまち」などいろんな品種がありますが、大豆にも品種の違いがあるんですね。
青大豆は黄色い大豆と比べ“油分が少なく”その代わりに“糖分が多い”など成分も異なります。また、青大豆は普通の豆と比べて見た目は大粒。風味豊かで甘みが強く、そして低脂肪でおいしい青大豆は希少価値が高い隠れた名品といわれています。
2 青大豆の産地
青大豆は流通量も少なく、皆さんがほとんど目にすることがないかもしれません。国内の産地では秋田・山形などが有名ですが、それほど多くつくられているわけではありません。その理由は、おいしい青大豆は栽培が難しいからだといわれています。青大豆は病気にかかりやすく、収穫も手作業で大変なのだとか。そのため、実がなる時期に早く涼しくなる東北や北海道で少量作られているのが現状です。
このような理由で、青大豆はなかなか皆さんが手にする機会がないんですね。特に国産の青大豆は量も少なく値段も張ります。
3 「青大豆」と「枝豆」は違うの?
「青大豆」と「枝豆」と名前だけ聞くと、ついつい違う作物かな?と思ってしまいます。しかし、両者の見た目はそっくり!「青大豆と枝豆って何が違うの?」と疑問を持つ方は多いんです。
そもそも「枝豆」は、未成熟な大豆を収穫したものです。つまり、枝豆と言う植物があるのではなく、収穫時期が違うだけなんです。もともと同じ植物ですので、枝豆をそのまま成熟させていくと大豆になるのです。
最近は特に、香りのする青大豆が“香り豆”と呼ばれています。最近人気の枝豆“だだちゃ豆”は香り豆とよばれる青大豆を使っています。
4 青大豆とおせちの歴史話
青大豆はおせち商材として「ひたし豆」にして食べられます。「ひたし豆」をおせちとして、良く食べる地域は、新潟県、山形県、福島県、宮城県そして長野県の信濃エリアです。数の子と合わせて「数の子豆」として欠かせない食材にもなっていて、数の子=子だくさん、豆=まめまめしく、といったゴロ合わせを掛けているお目出度い料理の一つです。
ちなみに青大豆とおせちについて、一つだけ文献が残っている事として、豊臣秀吉の天下平定の後、当時米沢藩の藩主であった伊達正宗が、仙台所がえを秀吉より命じられた際に、米沢の青大豆を仙台の地の田んぼの畔道に植える事を奨励したそうです。仙台藩の当時の領地は、今の福島県浜通りと宮城県。その後、米沢には、越後の上杉家が移封されました。戦国の雄上杉謙信の領地といえば、今の新潟県と長野県の信濃エリア。上杉家と青大豆の関係は文献として確認できませんが、伊達正宗と上杉謙信の関係する場所が、この青大豆を原料とする「ひたし豆」を好んで食べる地域になっています。このような歴史を考えるだけで、何か浪漫を感じる話ですね。
*https://www.takaguchi-m.com/column より
「ひたし豆」は東北・信越地方の郷土料理!おいしく食べられるレシピをご紹介 written by ひがのあや
豆を煮るのは時間がかかって難しい、というイメージがありませんか? 最近ではドライパックになって売っているものもあり、手軽に料理できるものも増えています。これまであまり豆を料理する機会はなかったのですが、最近おいしい豆が食べたいなと思い始めました。
甘くない、そしてぽそぽそしていない豆を探して始めたところ、たまたま「これおいしいよ」と渡されたのがこの「ひたし豆」です。さて「ひたし豆」はどう料理したらいいのかな。
ひたし豆とは
袋には「ひたし豆」と書いてありますが、ひたし豆というのは東北・信越地方の郷土料理です。茹でこぼした青大豆を、しょうゆやみりんと合わせただし汁につけたものです。
新潟県、山形県、福島県、宮城県そして長野県の信濃エリアではおせち料理に「ひたし豆」を使われています。数の子と合わせて「数の子豆」としても食べられています。
青大豆はその名の通り青い大豆の品種で、枝豆と似ていますが枝豆とも違います。大豆が成熟する前に収穫するのが枝豆ですが、青大豆は一般的な大豆とは違い、成熟してもきれいな緑色のままです。青大豆は大豆に比べて甘さがあり、うま味や甘さがぎゅっと濃縮されているのが特徴です。
青大豆は病気にかかりやすく栽培が難しい上、地表近くに実がなるので収穫も手作業で行われるため、なかなか流通していません。実がなる時期の9月から11月頃に涼しくなっている、北海道や東北地方で作られています。
「ひたし豆」は枝豆のようなほどよい歯ごたえがあるので、お酒のおつまみにもいいと言うのも納得です。水に浸す時間は必要ですが、調理時間は短いので常備菜としても重宝します。
「ひたし豆」の料理方法-下ごしらえ-
袋に入った「ひたし豆」はまずよく水で洗ってから使います。そして一晩水につけてから料理に使うのがベストですが、夕食に使うなら朝起きてから水に浸しても十分間に合います。私は寝る前に水につけておこうとしたのにうっかり忘れて寝てしまいましたが、朝起きてから水に漬けても十分柔らかく、美味しく料理できました。
水につけておくと皮がしわしわになってふやけ、まんまるだった「ひたし豆」が枝豆のような状態になります。途中でふとボウルをのぞいたら「芽が出るのでは?」思ってしまうほどしわしわで驚きました。6〜12時間も水に浸しておけば十分です。
「ひたし豆」を十分に水につけたら、その水ごとお鍋に入れ煮ていきます。「ひたし豆」はコトコト煮るというほど煮る必要はありません。15〜20分程度、ふたはせずにアクを取りながら煮ていきます。
ここまでが下ごしらえ。ひたし豆を作るときも、豆ご飯にするときも、ここまでは共通です。塩を入れて煮て、サラダに乗せても美味しく食べられます。しょうゆやみりんと合わせただし汁に一晩漬けても、ポン酢に漬けても美味しく食べられます。
「ひたし豆」の料理方法-「ひたし豆」で豆ご飯はいかが?-
ひたし豆を使った豆ご飯のレシピ
枝豆くらいの固い食感がお好みの方は、下茹でする時間を短めの約10分くらいにすると美味しく仕上がります。
豆ご飯はいつもえんどう豆で作っていましたが、「ひたし豆」で作った豆ご飯はしっかりとした豆の食感を楽しめます。比べてみると豆らしい青々しさや、ほくっとした風味は控えめです。豆の青い風味やほくほく感が好きな方にはちょっと物足りなく感じるかもしれません。枝豆のようなしっかりとした食感の豆が好きなので、次に見かけたら「ひたし豆」を常備しておきたいなと思います。
*http://table-trip.com/3713/ より