「にらせんべい」
主な伝承地域 北信地域
主な使用食材 にら、小麦粉、味噌
歴史・由来・関連行事
山に囲まれた北信地域の山間部は、急傾斜の畑が多く、水田はわずかで、米の代わりに麦が多く栽培されていた。また、千曲川流域の平坦地では、水田の裏作として麦が中心に栽培された。米は、自分の家で毎日食べることが出来ないほど貴重だったので、その節約のために、昔から、小麦を粉にしてつくる料理は「粉もの」と呼ばれ、毎日の食事の大事な役割を果たしてきた。「粉もの」の中でも、粉を水溶きして、その中に刻んだ野菜を入れて焼いたものは「せんべい」や「うす焼き」と呼ばれ、おこびる(又はおこびれ)や子どものおやつによくつくられてきた。おこびる(おこびれ)とは、「小昼(こひる)」が変化したもので、ご飯とご飯の間の中間食のようなもの。畑仕事の労働の間に食べるため腹持ちのよいものがつくられた。中に入れる季節の野菜は、にらやなす、ねぎなどがあるが、にらは栽培が簡単で、雪の積もる冬以外いつでも収穫できることから、どの家でも庭先に植えておき重宝に利用した。特に春先に伸びた柔らかいにらでつくったにらせんべいは格別の味だという。にらせんべいやうすやきのつくり方も家庭によって少しずつ異なり、粉と野菜と一緒に味噌も混ぜて焼いたり、焼き上がってから、味噌だれや醤油だれをかけて食べたりといろいろだ。
昔は、ほうろくを火にかけ、油を節約するために真綿に油をしみこませたものでほうろくの内側をこすり、この中へ溶いた小麦粉を流し入れて焼いた。焼けたら、適当な大きさに切り分けて食べた。
食習の機会や時季
年間を通して食べられている。以前は、農作業の合間や子ども達のおやつとしてつくって食べていた。
飲食方法
生地は、多めの油で焼いてうすく広げて表面をカリカリに仕上げる。味噌ダレや醤油ダレを少々加えて下味を付け、焼きあがったにらせんべいにも、タレをたっぷりつけていただく。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
今も、各家庭でつくられており、親から子へ継承されている。また、保育園などの給食としても提供されており、若い世代にも親しまれている。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/nira_senbei_nagano.html より
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