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<経産大臣指定伝統的工芸品> 島根 石州和紙

2021-07-15 08:05:54 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「石州和紙」

 Description / 特徴・産地

 石州和紙とは?
 石州和紙(せきしゅうわし)は、島根県の西部(石見地方)で作られている和紙です。約1300年もの長い歴史をもつ伝統工芸品です。古くは平安時代の書物にも石州の名前が記されており、奈良時代に柿本人麻呂が民に「紙漉き(かみすき)を教えた」という内容が、江戸時代の書物にも登場しています。
 石州和紙の特徴は、靱皮(じんぴ)繊維が平均して10ミリほどの長さがあり、絡みやすい楮(こうぞ)の性質を生かしている点です。完成品の楮紙は折ったり揉んだりしても強く、洋紙と比較しても丈夫な構造をしています。紙肌が滑らかで柔軟なため、やさしい光沢があり、特に書道用紙に適しています。石州雁皮(がんぴ)紙は、靱皮繊維の長さが平均3ミリほどで粘着性がある雁皮を使用した和紙で、最も繊細で虫害に強く、湿った状況においても丈夫です。完成した雁皮紙は光沢があり半透明に仕上がり、書画用紙や賞状用紙、染め紙、便せんなどまで多種多様に製品化されています。
 なお、石州和紙の指定要件は下記になります。
 ●技術・技法
 1、抄紙は、次の技術又は技法によること。
 ①「流し漉き」又は「溜め漉き」によること、②簀は、竹製またはかや製のものを用いること、③「ねり」は、トロロアオイを用いること
 2、乾燥は、「板干し」又は「鉄板乾燥」によること
 ●原材料
 主原料は、コウゾ、ミツマタ又はガンピとすること
 以上の指定要件を満たし、かつ製造産地の協同組合の検査に合格してはじめて経済産業大臣指定伝統的工芸品「石州和紙」を表示することができます。
 ●製品
 技術・技法と原料を用いた紙もしくは、紙製品が対象になります。

 単なる石州和紙は、上記の技術・技法と原料にとらわれない石見地方(石州)で、製造された紙もしくは、紙製品のことです。

 History / 歴史
 1798年(寛政10年)発刊の「紙漉重宝記」によると、704年~715年(慶雲元年~和銅8年)に石見の国の守護であった柿本人麻呂が民に紙漉き(かみすき)を教えたという記述があります。島根県西部の石見地方では、それから約1300年の間石州和紙が漉き続けられてきました。
 江戸時代に大阪の商人は石州和紙を帳簿として使用しており、商品にとって何より大切な顧客台帳を記す和紙として利用していました。火事が起こった場合でも、顧客台帳を井戸になげこんで焼失をまぬがれ、井戸から引き揚げても紙が破れたり溶けることがなく商売が再開できたと言われています。
 1969年(昭和44年)には、石州半紙技術者会が製造する「石州半紙」が国の重要無形文化財指定を受けます。
 2009年(平成21年)には、ユネスコ無形文化遺産の保護に関する条約に基づいて、人類の無形文化遺産として「石州半紙」が登録されました。重要無形文化財「石州半紙」を含む伝統的工芸品「石州和紙」は現在も文化財修復用の特殊和紙として用いられ、1300年続く文化として若手職人に受け継がれています。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/sekishuwashi/ より

 自然と歩調をあわせて作る、石州和紙
 約1300年もの間、ここ石見(石州)地方では、手漉き和紙が漉き続けられ、守られてきた。先人たちから引き継がれた技術、技法により製造された「石州半紙」は1969年に国の重要無形文化財の指定を受けている。

 
 品質には絶対の自信
 生産の最も多い、「石州半紙」は地元で栽培された良質の楮を使用して漉かれ、微細で強靭で光沢のある和紙である。かつては大阪商人が石州半紙を帳簿に用い、火災の時は、いち早く井戸に投げ込んで保存を図ったというくらい、その品質は歴史的にも評価されている。
 その石州和紙の技術、技法を今に伝える伝統工芸士、久保田保一(くぼたやすいち)さんにお話を伺った。


 石州和紙作り55年の元気な職人
 久保田さんは大正13年生まれ。取材の日も紙漉き場で、紙漉きをしたり、乾燥場で仕事の進行状況を確認したりと精力的に動き回っており、少しも年齢など感じさせない。
 「私はね、終戦後から本格的にこの仕事を始めたんですがね、その当時からこの地でも和紙を廃業する人が多かったんですよ。でも親父の後姿をずっと見て育ってきたでしょう。これ以外に何も考えずに仕事を始めましたよ。あっという間に55年もたってしまいました。」
 職人であり、師匠である父親から仕事を教えてもらう時の苦労はなかったのだろうか。その質問に対して久保田さんは、「技術的な注意は何もなかったね。和紙作りは、耳から入る知識は何にも役に立たんのですよ。だから、直接『手取り足取り』教えてもらったことは一切なかったですよ。やってみて、失敗をして、怒られて、次第に体で覚えていくもんです。だから私の息子にも同じようなやり方で指導しました。」と温かい笑顔で答えてくれた。
 「この仕事は、本当に和紙が好きで、もの作りが好きじゃないと勤まらん仕事。だからガミガミ言うてもいかんのです。気長に構えて、1人か2人でも技術を守って、伝承してくれればいいと思っているんです。」


 自分が命を賭けている仕事だからこそ、一生勉強
 55年の間ご苦労はなかったのですか?という質問に、久保田さんは「今やから言いますが、昔は親父のやり方と自分の考え方が違ってけんかをしたこともありますよ。当時は、和紙の販売は問屋任せで、わしらみたいな製造者は市場のニーズが全くわからんかったのです。紙を作ることばかりで、市場で何が求められているか、また市場での末端価格はいくらなのか、さっぱり知らなかったんですよ。それじゃいかんと、昭和27年に個人でマーケットリサーチして、市場開拓したんですよ。当時としては攻撃的なやり方だったんで、2~3年は村八分されましたね。でも、ただ紙を作ることだけでなく、人間は死ぬまで勉強でしょう。自分が命を賭けている仕事が、流通の中でどう動いているのかなども、職人として勉強しなければいかん。向上心を忘れたら、職人はそこでおしまい。人間は誰でもそうでしょ?」と問い掛けられ、身が引き締まる思いだった。
 「またこの和紙作りは、『自然と歩調を合わせて』仕事をしていくことが大切。大自然からいただいた原料の顔色を見て、配合や段取りを決めて、地元の和紙作りに最適の水にもいつも感謝しています。原料も水もすべて地元の自然の恵み。その日その日の気温、湿度によっても微妙に段取りが変わります。私は、自然の歩調に合わせて生きているんです。」と謙虚に、自分の仕事を語ってくれた。
 伝統工芸士とは、伝統の技術を守り続ける職人でもあり、その分野で時代を切り開き、大自然と共存してきた人たちのことなのかもしれない。

 こぼれ話

 石州和紙製造における、紙漉きに使う代表的な器具とブータン王国と友好交流のご紹介をします。

 1.漉き桁(すきけた)
 水に強いヒノキ材を使用。漉きすを間に挟み、原料を汲みこんで、前後または左右に動かし和紙を作る道具。用途に応じて各サイズがあります。

*https://kougeihin.jp/craft/0906/ より


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