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<経産大臣指定伝統的工芸品> 石川 輪島塗

2021-04-11 06:45:19 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「輪島塗」

 Description / 特徴・産地

 輪島塗とは?
 輪島塗(わじまぬり)は石川県輪島市で作られている漆器です。輪島塗の特徴は、輪島市でしか採れない輪島地の粉を使用していることにあります。
輪島で採れる地の粉は良質な土で、下地に使用することによって、より強度の高い漆器にすることが可能になりました。そして、見た目の美しさも輪島塗の魅力です。
 輪島塗では、彫りを入れた部分に金を入れ込んだり、金粉と銀粉を用いた蒔絵という表現が良く知られています。金や銀を用いた見た目の優美さは人目を惹く魅力があります。寿命の長さにおいても、輪島塗は優れた漆器です。輪島塗は、100を超える工程を経ては初めて世に送り出されます。そのためより強固になっているだけでなく、壊れたとしても修復することができます。

 History / 歴史
 輪島塗 - 歴史

 輪島塗の起源については、室町時代に根来寺(ねごろじ)の僧が伝えたという説や、戦国時代に豊臣秀吉の兵火より逃れた根来寺の僧が伝えたという説など様々な説があり、現時点では定かでありません。ただし多くの言い伝えで共通している部分は、日用漆器として使用されていた根来塗(ねごぬり)が由来となっている点です。日用漆器が発展して、輪島塗となったという説も有力です。
 現在の輪島塗に近い形態になったのは、江戸時代前期、寛永7年(1630年)ごろのことです。さらに、江戸時代の中期にあたる享保2年~元文4年(1716~1736年)頃にかけては、現在の工程とほとんど同様の工程になっていたと言われています。
 現在では、優美で少し高級志向のある輪島塗ですが、昭和以前のイメージは現代とは異なりました。どちらかというと、冠婚葬祭で用いられる堅牢な実用品として用いられることが一般的だったからです。しかし、冠婚葬祭の形態の変化や昭和50年(1975年)の国の伝統工芸品指定から、現代では芸術的な意味合いも持つようになりました。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/wajimanuri/ より

 

 

 「布着せ本堅地」堅牢輪島塗の秘密
 数ある漆塗り産地の中でも堅牢さにかけては随一と言われる輪島塗。その秘密は輪島ならではの素材を使った高度な技術によるものだ。一説には「神のお告げ」によるものという言い伝えもあるそうだが・・・。

 
 全国的にも知名度の高い漆器産地
 地元に惜しまれつつも、この3月末(2001年)に穴水-輪島間が廃止されてしまった“のと鉄道”輪島駅に降り立った。落ち着いたたたずまいの町並みをのんびり歩いてみると、新鮮な魚貝で有名な朝市通りへと向かう道の両側にも漆器の店が建ち並んでいる。輪島はおそらく、日本でもっとも知られた漆塗りの里だ。

 下地が肝心、輪島塗の神髄
 輪島塗の特徴はまず堅牢であること。生活用品から生まれた輪島塗は、とにかく丈夫であることが求められた。堅牢さの秘訣を塗師の市中泰雄(いちなかやすお)さんにうかがうと、「下地に一番神経を使います。」という。この下地の工程だけでも様々な工夫が凝らされている。その工程を少し詳しく見てみよう。
 まず、木地に生漆を染み込ませる“木地固め(きじがため)”をし、椀の縁などの割れやすい部分に布を張って補強する“布着せ”。さらに、布と木地の境目に漆を塗る“惣身付け(そうみつけ)”。
 ここから輪島ならではの地の粉(じのこ)を使った作業が始まる。粗めの地の粉を漆に混ぜて塗る一辺地付(いっぺんじつけ)。地の粉を細かくして二辺地付。もっと細かくして三辺地付。地の粉の微細な孔に漆が染み込み固まるため、堅牢さが増すという。もちろん各段階の間には、漆の密着性を上げるための磨きや研ぎが入る。下地がしっかりできていないと上塗りの段階で布着せの布がずれるなどの問題が出る。「何事も最初が肝心というでしょ。漆塗りも同じ。」


 神のお告げ?「小峰山の土を使え」
 地の粉が使われるようになったいきさつとしては「神のお告げという言い伝えもある」という。輪島にある小峰山の土を使えというお告げがあり、珪藻土(けいそうど)が発見されたというのだ。しかしそのままの状態では漆塗りには使えない。それを焼いて粉状にすることで、ようやく地の粉として使うことができる。神のお告げの真意はともかく、いかにして強い漆器を作り上げるかという先人の挑戦と知恵には驚かされる。まさに職人の執念ともいえよう。今でも小峰山では毎年6月に地の粉祭りが行われ、祖先の労苦を偲び感謝をしているそうだ。


 格好と艶が仕上がりのポイント
 塗り上がった品を見て「格好と艶がきれいに仕上がっているとうれしい。格好は漆の厚みがきれいにそろっていること。下地がうまくできた証拠です。」という。例えば木地固めの時にしっかり磨いておかないと布がうまくつかず、仕上がりの格好も悪くなる。
 漆器の色も重要な要素だ。「(漆を塗るときに)顔料や漆の調合、天候によっても色が変わる。今日、思い通りの色に塗れたなぁと思っても、明日雨が降ると乾燥の状態が変わってしまって、数日後に乾いたときには思っていたのと違う色になってしまう。それぐらい微妙です。だからこの色で塗ってくれという注文が実はとても難しいのです。」市中さんの好きな色を聞いてみると、「古代朱(こだいしゅ)。赤の中に黒が微妙に混じった深みのあるいい色。でも調合がとても難しい。」


 100年前の良い物を改良して新しいものを
 輪島の塗師は、形や模様についても考えるプロデューサー的な仕事も兼ねる。また、輪島塗の特徴に、行商という販売スタイルがある。塗師自身が全国のお得意さんをまわって、注文をとり商品を売るのだ。古くは北前船を利用したという歴史ある販売システムで、今も受け継がれている。「お客さんと直接話ができるので、いろいろと要望を聞けてありがたいです。」市中さんも大阪や兵庫、東京などに多数のお得意さんを持っている。
 市中さんのこれからの抱負を伺うと「100年ぐらい前の良い品物を改良して新しい物を作りたい。当時の物はデザインなど良い物が多い。父が考えたデザインで、まだ作りかけの物があります。かなり古い物だが、それも完成させてみたいですね。」と楽しそう。古くて新しい物を、ぜひ作り上げて欲しいと思う。


 職人プロフィール

 市中泰雄

 18歳から仕事を始めた2代目塗師。木地固めから上塗りまでをこなす

 こぼれ話

 漆器ならではの売り方、買い方

 今も昔も、漆器は職人の手間と時間のかかる高価な品物。簡単に買える代物ではありません。そこで考え出されたのが椀講(わんこう)という制度。輪島の塗師が漆器を販売する方法として活用しました。
 例えば10人の買い手が集まって代金を1/10ずつ出し合い、一年後、漆器が完成すると、くじを引いて1人の引き取り手を選びます。その後、また代金を集めて翌年、くじを引く。塗師には10年間の仕事が約束され、買い手はひょっとすると10年間お金を貯めないと手に入れることができない物が1年で手にはいるかもしれないという期待が生まれます。
 売り手と買い手の知恵が生んだ面白い制度。現代ならば、注文してから塗上がるまでの時間を利用した漆塗り貯金もいいですね。待っている間の楽しみも贅沢のうちです。

*https://kougeihin.jp/craft/0513/ より


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