うまいッ! 「プリっと歯ごたえ&さっぱり脂身 サーモン~広島県・廿日市~」 2016年05月15日
番組内容
川魚のニジマスを海で育てた広島生まれの養殖サーモン。プリプリした食感とさっぱりした脂のりが特長です。川の養殖場では稚魚を元気に育てるため衛生的な環境を整え、海では、エサに特産のレモンを配合することで、養殖魚特有の臭みを抑えています。川と海、それぞれの生産者を訪ね、おいしさの秘密を探ります。さらに、広島のかきと並ぶ名物にしようという取り組みもスタート。サーモンを使った新レシピも紹介します。
*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201605150615001302100 より
詳細不明につき、勝手に調べてみました。
広島生まれ、広島育ちの「広島サーモン」
RED U-35 2021 ファイナリスト ドグエン・チラン シェフも絶賛!
広島生まれ、広島育ちの「広島サーモン」
「広島サーモン」は、広島県内にある川と海を使った養殖場で連携養殖されたトラウトサーモン*1(ニジマス) のこと。養殖のみならず、加工から出荷まで広島県内で一貫して行っている生粋の広島食材です。
その魅力と味わいについて、モダンベトナム料理とナチュラルワインのお店「CHILAN(チラン)」で広島サーモンを使った料理を提供しているシェフのドグエン・チランさん、そして生産者である「万古渓(ばんこけい)養魚観光センター」の山里洋輔さん、加工と市場への出荷を担う「広島水産株式会社」の坂東豊さんの3人にお話をうかがいました。
*1「トラウトサーモン」は本来淡水魚であるニジマスを海水で養殖したものを指す商品名。
抜群の鮮度と脂のおいしさが最大の魅力
朝〆後に鮮度を保ったまま即冷凍されているので、生食にも加熱料理にも使えて、調理の幅が広がります。そして何より触っていて楽しい。北海道の秋鮭や時鮭とも、北大西洋のアトランティックサーモンとも違う肉質と味わいはどう調理しようか、と想像力の幅を広げてくれる食材です。
広島サーモンの魅力について、そう話すのは、2021 年、日本最大級の若手料理人の大会「RED U-35」(ぐるなび他主催)においてファイナリストの 4 人に選ばれ、RED で最上位の女性に贈られる「岸朝子賞」を受賞するなど、今、日本で注目されるシェフの一人、ドグエン・チランさんです。
ベトナムにルーツを持つ、東京生まれ、東京育ちのドグエン・チランさん
チランさんは東京、フランス、オーストラリアのビストロやレストラン、ワイナリーで修業を積んだ後、2020 年にソムリエの夫・藤井千秋さんの故郷でもある広島県廿日市市(はつかいちし)へ移り住み、モダンベトナム料理とナチュラルワインのお店「CHILAN」を開業。フレンチをベースに、ベトナムのエッセンスをプラスした独創的なコース料理とナチュラルワインを提供しています。
広島サーモンは、コース料理の一品として滑らかな舌触りを生かしたセビーチェにしたり、魚醤とターメリックでマリネして揚げ焼きするベトナム料理「チャーカー」の食材として使っているといいます。
「ニジマスらしい脂分控えめで繊細な身と、脂がのったハラミのバランスがよく、生食はもちろん、油を使うチャーカ ーのようなお料理でもおいしくいただけます。年齢が高めのお客さまの場合は、脂分の多いハラミ部分をカットすることもあるんですが、そのハラミでうちの 2 歳になる子どものおかずを作るとすごい勢いでパクパク食べるので、や っぱりおいしいんでしょうね(笑)」
CHILANさんPresents 広島サーモン絶品レシピ
庭で採れたみかんの果汁と一味で作ったソース、素揚げしたレンコンと広島産のハーブを添えて。ハーブの清々しい香りとみかんの酸味が一層食欲をそそる
「CHILAN」で使う食材は瀬戸内産、中でも広島県内の食材から厳選。今回、広島サーモンの魅力を最大限に引き出すレシピとして編み出した「広島サーモンの低温コンフィ 祗園パセリソースとみかんのジュ」にも広島県産の食材と調味料がふんだんに使われています。
「広島サーモンの低温コンフィ 祗園パセリソースとみかんのジュ」に使った食材。
瀬戸内のコイワシを使った自家製の魚醤、広島県産の一味、江田島産のオリーブオイル、蒲刈産の藻塩。
庭で採れたみかんと祇園パセリ、広島サーモン
ちなみにコンフィとは、食材を高温の油でじっくりと煮たフレンチの料理法のこと。一般的には鴨のモモ肉など筋肉質な食材を柔らかく調理するための技法です。もともと柔らかく生食もできる鮮度が魅力の広島サーモンの切り身は、低温でコンフィすることでふわっとほどけるような食感をつくりだし、ひと口で広島サーモンが持つ旨みを口いっぱいに感じられます。
食材の背景にあるストーリーを大事にしたい
生産者さんの話をじっくり聴く機会を大切にしたいというチランさん。情報収集はSNSも大いに活用しているそう
「使い慣れた食材で料理する方がもちろん楽なんですけど、『どう料理してくれるの?』と試してくるような食材は、大変ですが使っていて楽しいです。その方が自分の視野や世界が広がり、結果として創造的で新しい料理が生まれることが多いです」
そんなチランさんと広島サーモンとの出合いは、広島らしい魚介類を探していた時にインターネット上で見つけた記事がきっかけでした。
「広島レモンを配合した飼料で養殖していることや、高度な技術で採卵から養殖まで広島の川と海で連携して行っていることなど、強いこだわりを持って生産している点にすごく惹かれました。問い合わせ先の広島水産に連絡すると、すぐにサンプルを送ってくれて、生産に関わる皆さんの想いや、開発に至るまでのストーリーも聞かせていただき共感できたので、お店で使わせていただくことにしました」
手間はかかっても「朝〆」で鮮度にこだわる
広島サーモンを卸している飲食店の料理を食べたり、店主やシェフから話を聴くのが楽しみと語る坂東豊さん
当時、チランさんからの問い合わせに対応したのが、広島サーモンの加工や市場への出荷を担う広島水産の坂東豊さんでした。
「チランさんには養殖から加工・出荷まで全ての工程を広島で一貫して行っていること、そして飼料や養殖方法を工夫し、魚のおいしさにもこだわっていることなどをお伝えして、結果、数ある食材の中から広島サーモンを選んでいただきました」
新型コロナウイルス感染症が拡大した時期に開発を進めた「冷凍フィレー」の登場によって、繁忙期の年末まで提供が可能になった
脂分が多すぎず少なすぎず、旨みとのバランスも絶妙な広島サーモンは、チランさんの言うとおり生食だけでなく、揚げたり加熱する料理とも相性がいいそう。
「最近は冷凍フィレーも普及し、イタリアン、フレンチ、中華レストランでも使われることも増えました」と、坂東さんは顔をほころばせます。
広島サーモンは広島市中央卸売市場内にある水槽で生きたまま管理され、朝〆して出荷される
また日々多くの魚介類を扱う広島の水産卸会社として、かなりこだわっているのが ”鮮度”だといいます。
「西日本には魚の鮮度を重視する魚食文化があります。なので広島サーモンも、いかに良い鮮度のまま届けるかということに最新の注意を払っています」
広島サーモンは必ず活魚で仕入れて水槽で管理し、3月から9月のシーズン中は注文が入るたびに朝〆して、その日のうちに出荷します。
「手間のかかる作業ですが、このひと手間をかけることで、他のサーモンにはない弾力とプリっとした食感が生まれます」
こうした地道な努力の積み重ねによって順調に販路を広げている広島サーモンですが、最近は国内にもトラウトサーモンを養殖する競合が増えています。その多くは短期間で大型化するよう改良された品種を、脂分を増やした飼料を使って太らせているとか。
対する広島サーモンは、時間がかかっても自然に近い環境で育てることを大切にしています。それには川での養殖を担当する万古渓養魚観光センターと、海での養殖を担当する「内浦水産」の協力体制が欠かせません。
特に、30年以上も前に淡水魚のニジマスを海で育てることを思いつき、川と海の連携養殖の礎を築いた万古渓養魚観光センターの存在は大きいということで、同センターを訪れました。
広島サーモンのおいしさの秘訣
万古渓養魚観光センターは、昭和30年代後半から広島県廿日市市の万古渓と七瀬川の清流で、ニジマスやアマゴなどの川魚の養殖を行なっている養殖場。話を聞いたのは、広島サーモンの養殖を担当する山里洋輔さんです。
山里さんによると、七瀬川に生息するアマゴの一部*2が、冬になると川より水温が高く餌が豊富にある海へ行き、春に大きくなって遡ってくるのを見た社長の伊藤順二郎さんが「養殖しているニジマスも冬は海で育てればもっと大きくなるはずだ」と、川と海の連携養殖を思いつき、成功させました。
「まさにトラウトサーモン養殖の先駆けだったのですが、当時はまだトラウトサーモンの認知度が低く、事業化には至りませんでした」
*2 アマゴやニジマスは、川で生まれて一生川で過ごす残留型の個体と、海へ降りる降海型の個体がある。
稚魚から幼魚まで60~100万匹のニジマスを3人の職員で育てる。餌やりは1日2回。水路のチェックや水量・水質管理など1日のほとんどをいけすで過ごす
しかし時代は変わり、回転寿司ブームもあってトラウトサーモンの人気は急上昇。かつて伊藤社長が養殖に成功していたことを知った広島県の後押しもあって、2013年、大崎上島で海面養殖業を営む内浦水産と水産卸の広島水産との3社で協議会を立ち上げ、「広島サーモン」のブランド化に取り組むことになりました。
鱗が銀色になる(銀毛)こと、水の中で背びれと尾びれの先端が黒くなることが、海に順応できる個体であるという証だそう
万古渓養魚観光センターが担うのは採卵後、ふ化した稚魚たちが海に順応できるようになるまでの約2年間。七瀬川の清流を直接引いたいけすで、じっくり成長した広島サーモンは2年目の冬を迎えると、大崎上島にある内浦水産の海面養殖場に移されます。
そこで広島レモンを配合した餌で大きく育てられた後、広島市中央卸売市場にある広島水産へと、活魚出荷されます。
海を経験したニジマスのおいしさは山里さん曰く「脂がのって、別の魚になるという感覚」だという
実は万古渓養魚観光センターでは、養殖過程で幼魚に一度海を経験させるという世界的にも稀な養殖方法を行なっています。川より水温の高い海で成長を促すこと、また本格的な海面養殖が始まる前に一度海の環境に慣らすことが目的ですが、この方法にこだわるのには理由があると山里さんはいいます。
「もっと簡単な方法もある中で、海を2回経験させるという手間もコストもかかる方法にこだわるのは、自然に近い環境で育てたいという伊藤社長の強い想いがあるからです。それに海を経験したサーモンは確実においしくなります。皆さんにはやっぱりおいしい魚を食べてもらいたい。だからこの事業を無くさないよう大切に続けていくことが、我々の使命かなと思っています」
*https://oishii.hiroshimakensan.org/gnavi/ より
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